翌日の昼休み、私はお昼を食べ終えて教室で本を読みながら静かに過ごしていました。私の前の席では鈴音も本を読んでいて、教室中央付近には桔梗ちゃんと大勢の女子がお話をしています。
そして教室のいつもの廊下側後ろの席では、今日も平常運転の4人が元気に騒いでいました。
「なあ博士、今日はこの前の続きが見れるんだよな?」
「グフフ、続きとはこれのことでゴザルか?」
『1年女子ランキング(2学期版)』
「これだよ、これ! 続きが気になってテスト勉強に集中できねえんだよ!!」
「おい、寛治抜け駆けはよせ、俺も混ぜろ! あとお前どっちにしろ集中出来てねえだろうが」
「次のランキングはなんだ!?」
男子を教えてる平田くんと幸村くんも大変そうですね……
そしてランキングまだ続きやるんですか?
前回ので読み終わったと思っていました。
「グフフ、今回のランキングは……」
『ランキングは!?』
「いい匂いがする女子ランキングでゴザル!!」
『ウオオオオオオオオオオ!!!』
……このランキングってまともな物ないんでしょうか? 彼女にしたい女子ランキングとかにして欲しいです。
「今度こそ月野が1位だぜ!!」
なんかもう須藤くんのテンションにも慣れてきました。そういえば私の匂いってどうなんでしょう?
自分だとわからないんですよね。たまに桔梗ちゃんや千尋ちゃんが犬のようにくんくんしていますが気になるところです。
「いや、待てよ健。今度こそ佐倉だろ、近寄ったらいつもいい匂いするんだぜ! なあ、綾小路?」
「さぁ、どうだろうなぁ……」
綾小路くん今日は出だしから参加しているんですね、いつから常連になってしまったのですか……
「いや春樹、今回も桔梗ちゃんだぜ、二連覇は目前だ!」
私が桔梗ちゃんを見ると、ちょっと気になっているのか自分の匂いをチェックしています。あっ、こっちに来ました。
え? いい匂いするかなって?
桔梗ちゃんはいつもいい匂いしていますよ、だから必要以上に近づくのはやめてください……
桔梗ちゃんの接近を必死に食い止めていると、どうやらランキングの発表が始まったようです。
『3位 一之瀬帆波』
「なっ、また一之瀬かよ、強敵すぎるだろ。だがいい匂いはしそうだな、今度嗅ぎに行こうぜ」
山内くんそれやると本当に捕まりますよ?
それじゃなくても退学になる運命なのに、寿命を縮める行為はやめてください。
「けどよ春樹、逆を返せば3位に一之瀬を封じ込めたってことだぜ? ここからはBクラスの独壇場だろ!」
「そうか、そうだよな! Bクラスの未来は明るいぜ!!」
「グフフ、それでは次のページを捲るでゴザルよ」
『2位 坂柳有栖』
「オオオオオオオオオオイ!!」
「話が違うぞ寛治、Bクラスの独壇場じゃなかったのかよ!」
「まさかここに来てAクラスかあ、坂柳ってあの杖ついてるやつだよな? これは意表をつかれたぜ」
「そおいや彼女にしたい女子ランキングでもトップ5入りしてたな、人気あるのかあ」
あっ、彼女にしたい女子ランキングあったんですね、私その結果が気になります。
後でこっそり教えてもらいましょう。
「それにしても健のやつ今日は静かだな、寝てんのか?」
椅子に座りながら姿勢正しく目を瞑っている須藤くんを見て、池くんが声をかけます。
山内くんがそんな須藤くんの肩を揺さぶります。
「おい、健。起きろって、次1位だぞ?」
須藤くんはゆっくりと目を開けて立ち上がりました。そして堂々と次のページを捲ろうとします。
「寛治、春樹、俺はずっと起きていた、そしてこの時を待っていた。月野が1位になるこの時をな……」
誰も須藤くんの手を止めることなく、1位のページが静かに捲られました。
外村くんも、池くんも、山内くんも静かにその結果を見守ります。そして……
『1位 月野栞』
『オオオオ』
渋い歓声が響きます。
池くん、山内くん、外村くん、綾小路くんが須藤くんに向けて拍手をしています。
須藤くんはものすごいドヤ顔で声も上げずにその称賛を受けています。
ねぇ、1位、私なんだけど……
なんで須藤くんが称賛されてるのでしょう。
ちょっと納得いきません。
「栞ちゃん1位だよっ」
「うんっ、そうみたいだね……」
桔梗ちゃんが私に結果を知らせてきます、それと同時に近寄って匂いを嗅ごうとするので、両手で近づくのを阻止します。それが気にくわないようで桔梗ちゃんが抵抗してきます。
「栞ちゃんだって私の胸揉んだんだからいいじゃん!」
「あ、あれは桔梗ちゃんが誘ってきたからだよ、だからダメっ」
桔梗ちゃんが顔を膨らませています、ちょっと可愛いですが恥ずかしいので嫌です。
我慢してください。
「じゃぁ私の胸揉んだんだから栞ちゃんのも揉ませてよっ!」
「それもダメです」
「……いいもん、また部屋に連れ込んで無理矢理に……」
桔梗ちゃんが何か言ってますが聞かなかった事にしましょう……
ランキング発表が終わると聞き耳を立てていたクラスのみんなもそれぞれの行動へと移っていきました。池くんたちも静かになったようです。
「けどよ健、月野のこと名前で呼ぶ許可まだ降りてないんだろ、いつ切り出すつもりなんだ? 俺は無人島行く前には船の上で桔梗ちゃんって呼べるようになったぜ」
「ああ、それについては作戦がある、今まで何度も邪魔され続けて来たからな。次こそは絶対に成功させるぜ」
「……なあ、外村。このランキングってまだ続きあるのか?」
「綾小路殿、あるでゴザルよ。本日はここまででゴザルが次のランキング名だけであれば捲っていいでゴザル」
「おっ、綾小路、次捲るのか?」
「次はなんだろな、寛治、楽しみだぜ。健はまた月野応援すんのか?」
「おお、俺は次も1位を狙うぜ」
「……そうか、なら捲るぞ」
『えっちな女子ランキング』
こうして私たちのランキングは次のページへと進んでいくのです