転生先は大好きな世界でした   作:Monburan

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つんつんします

『お邪魔しま~す』

 

「はぁい、いらっしゃいませ。適当に座ってね、飲み物出すから」

 

「月野さんの部屋初めてきたけど、なんか本とかチェスとか大人っぽい雰囲気だねぇ」

 

「わかる、月野さんって時々大人びてるんだよねぇ」

 

 軽井沢さん時々ってなんですか、精神年齢は大人なんですからね。

 大人なんですからね? 

 

 佐藤さん以外の3人は慣れた様子でそれぞれの好きなポジションへと座ります。

 私が飲み物を用意し終わる頃には、ちゃんと勉強道具をテーブルに出して準備が整っていました。

 

 

「よしっ、じゃぁ集中して早く終わらせちゃおっか」

 

 

 勉強会が始まって初めての休日、私たち勉強会メンバーの5人はお昼から私の部屋に集まって勉強をする事になりました。

 どうやら日曜日は軽井沢さんに予定があるらしく必然的に本日に決まった勉強会ですが、しっかりと集中して早くも2時間が経過しようとしていました。

 

「そろそろ2時間たつし休憩にしよっかぁ」

 

「やったぁ、栞ぃ疲れたよぉ」

 

「心ちゃん頑張ったね、いいペースで進んでるよっ」

 

「私も頑張って教えたよ!」

 

「うんうん、みーちゃんも助かってるよ? ありがとう」

 

 心ちゃんが頑張りすぎて床に倒れ込みます。

 そしてその心ちゃんの背中の上にみーちゃんが倒れ込みます。

 

「井の頭さんとみーちゃんって仲良いよねぇ、前から知り合いだったの?」

 

「違うよ、心とは高校からだよ。心の側は居心地がいいんだよ」

 

「いつの間にかみーちゃんがなついてた、つまりペット」

 

 佐藤さんの質問にみーちゃんが心ちゃんの上に寝そべりながら口を開きます。

 心ちゃんも床に倒れたまま答えました。

 

「あと、井の頭さんじゃなくて心だよ、心でいいよ!」

 

「みーちゃんそれ私のセリフだからぁ、けど心でいいよぉ、井の頭さんって長いしねぇ」

 

「ありがと、じゃぁ心って呼ぶね」

 

「あっ、私も心って呼ぶ! これからよろしくね」

 

 佐藤さんの言葉に軽井沢さんも続きます、仲良くなってくれたようで良かったです。

 私がそんな4人を眺めていると軽井沢さんが綾小路くんの話を始めました。

 

「そういえばさ、昨日久々に綾小路くんと話したんだけど……」

 

 綾小路くんと言う単語に反応して佐藤さんが冷静なふりをしながら興味深々に耳を傾けます。

 

「話したんだけど……話し全然続かなくて、つまらなかった」

 

 なんの情報も得られなかったことに残念がる佐藤さん。そして綾小路くんの顔が思い出せないみーちゃんと心ちゃん。

 

「綾小路くんって誰?」

 

「たぶん月野さんの前の席の人だよぉ、みーちゃん。私も話したことないなぁ」

 

 普通に暮らしてたら綾小路くんって接点作る方が難しいくらい一人でいますからねぇ。しかしもう二学期なのに認知されてないのはすごいですね……

 私も綾小路くんの話をそれとなく報告しておきましょう。

 

「私も綾小路くんと話したよっ、席が近いしね」

 

 私の言葉に佐藤さんが今度こそはと耳を傾けます。心ちゃんとみーちゃんは興味無さそうにゴロゴロしています。

 

「なんかね、元気系の人がタイプなんだって!」

 

「つ、月野さん結構ぐいぐい聞いてくタイプなんだ、よく好きなタイプとか聞けたね」

 

「……元気系、私って何系?」

 

「佐藤さんは、何系だろ……そもそも元気系って幅広すぎじゃない? 平たく言えば殆んど元気系になりそうだし」

 

 やはり私の元気系だけでは情報が足りなかったようですね。

 次はもっと深入りして聞いてきましょう。

 その後は勉強に戻り、ひたすら勉強と休憩を繰り返すこと数時間、時刻は18時となり解散の時間になりました。

 

「みんなお疲れ様、今日一日でだいぶ進んだよ。これなら中間テストは間に合いそうだねっ」

 

「もう勉強したくないぃ……」

 

「私もしたくない……」

 

 心ちゃんと佐藤さんは限界に達しているようですがみーちゃんはまだまだいけそうですね。

 ……軽井沢さんは、軽井沢さん? 

 

「軽井沢さん大丈夫!?」

 

 私が軽井沢さんを見ると、足のつま先を押さえながら今にも倒れそうになっていました。

 

「だ、大丈夫、じゃないけど。ちょっと足が痺れて動けない……」

 

「なんだ、足が痺れただけですか。びっくりしました」

 

「し、痺れただけっていうけど結構つらいんだから……」

 

 軽井沢さんがちょっと恥ずかしそうにつま先を押さえながら訴えてきます。

 ……なんか、こういうの見ると触りたくなっちゃいます。私はゆっくりと軽井沢さんに近づきます。

 

「……えっ、なに?」

 

 隣まで移動してきて座る私に対して軽井沢さんが警戒します。

 

「……ツン」

 

「ぁぁあああ」

 

 私が人差し指で軽く足をつつくと軽井沢さんは倒れて悶え始めました。

 

「ま、待って、月野さん。そ、それはだめ、ホントにダメ!」

 

 軽井沢さんが横になって曲げた足を押さえながら叫びます。そんな姿を見て他の3人も近くに寄ってきました。

 

「軽井沢さんごめんね、月野さんには逆らえないの」

 

「軽井沢さん可哀そうですねぇ、すぐ楽になりますよぉ」

 

「つんつんしていいの!?」

 

 なんか私が指示したみたいな流れになってますが、身に覚えがありません。

 みんな触りたいんですよね? 

 

「だ、ダメ。ホントに待って……」

 

 軽井沢さんがあまりにも必死に拒否するのでみんな触るのを躊躇し始めました。

 だけどもう一回くらい触りたいですね……

 

「軽井沢さん!」

 

 私の声に軽井沢さんだけでなく全員が注目します。

 

「仕方ないから軽井沢さんには選ばせてあげるよ。時間を開けて一人一回ずつツンツンするか、全員でタイミングを合わせて一回だけツンツンするのどっちがいい!?」

 

「ど、どっちも嫌よ! けど、どっちかならタイミングを合わせて一回……」

 

「じゃぁ私から時計回りに心ちゃん、佐藤さん、みーちゃんの順でカウントダウンいくよっ!」

 

 私たち4人にもはや言葉は必要なく目を合わせて頷いてから人差し指の準備をします。

 

「さんっ」

 

「にぃ」

 

「いち」

 

「ゼロ!」

 

『つん!!!!』

 

「ぁぁぁああああ!!」

 

 その後、足の痺れが治った軽井沢さんが泣きながら私たちを叱りつけた事は言うまでもありません。

 

 

 

 こうして私たちの学力は向上していくのです

 

 

 

 

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