転生先は大好きな世界でした   作:Monburan

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有栖とデート(後編)

 

 

 カフェで軽食を済ませた私と栞さんは、再び外を歩き始めました。

 

『……次は何処に向かっているんでしょうか?』

 

 どうやらデートは栞さんの好きなところに行くようですし、栞さんのよく行くところと言えば図書館か猫カフェです。私の予想では猫カフェでしょうか……

 

 

「有栖、次はねっ」

「猫カフェですか?」

「なんでわかったの!?」

「栞さんはわかりやすいですから」

 

 

 猫カフェに到着すると、栞さんは猫のようにぴょんぴょん跳ねながら受付に向かいます。そして、猫じゃらしをふりふりさせながら猫を追いかけていきました。

 

『私は猫カフェ初めてなのですが、どうしたらいいのでしょうか……』

 

 放置された私は、とりあえずその場に座り事の行方を見守ります。栞さんは楽しそうに猫と戯れています。

 

「にゃぁ~」

 

 私が栞さんを眺めていると、一匹の猫が膝の上に乗っていました。私は膝に乗ってきた猫を撫でてあげます。

 

『全く気がつきませんでした……。すごい子ですね』

 

「にゃぁ~」

 

 するともう一匹猫が来たので同じように撫でてあげます。

 

「にゃぁ~」

 

 気がつくともう一匹増えていたので更に撫でてあげます。

 

「にゃぁ~。にゃぁ~。にゃぁ~」

 

 更にもう数匹……。ちょっと多すぎじゃないでしょうか? 気がつくと私の周りには20匹程の猫が集まっていました。どんどん膝の上に乗ってきて、重量に耐えられなくなった私は一匹を手に持ちます。

 

「……んぁ」

 

 私の手が塞がった時、一匹の猫がスカートの中に入り込んできました。私は足を動かして拒もうとしますが、猫が上に乗っていて上手く動かせません。

 

「ま、待って。そこは……」

 

 スカートに入り込んだ猫が太ももを舐め始めます。私が足を動かして抵抗しようとすると、急に手に持っていた猫が暴れ始めました。

 猫たちの激しい暴動に体勢を保てなくなった私は仰向けに倒れ込みます。すると、私が倒れるのを待っていたかのようにスカートの中に数匹の猫が入り込んで来ました。

 私はそれを阻止しようと片足を曲げて抵抗しますが、曲げて開いた無防備なところを執拗に舐められて抵抗すら出来なくなります。

 

「……んっ。そ、そんなとこ舐めちゃダメっ。し、栞さん。助けて……」

 

 

 息絶え絶えで私はなんとか栞さんに助けを求めます。左腕で目を隠しながら、仰向けで横たわる私は既に力なく、片足の上がったスカートは捲れあがり、スカートの中は猫に舐められ続けています。場所が場所ならば職務質問されても文句が言えない状況になっていました……

 

 

「えっ、有栖。なにしてるの……」

「栞さん、何も見なかったことにしてください……」

「う、うん。何も見てないよ? 何にも見てないから……」

 

 

 こうして、なんとか猫に解放された私が栞さんと手を繋ぎ外に出ると、先ほどまでの天気が嘘のように外は大雨になっていたのです。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

「雨だねぇ……」

「雨ですね……」

「さっきまで晴れてたのにねぇ……」

「はい、先程までは快晴でした……」

 

 私と栞さんはお互いに顔を合わせてどうしようか迷います。このまま帰るのは少し残念ではありますが、仕方ない状況なのもまた事実。運がなかったと諦めるべきでしょう……

 

「有栖っ、二人でお泊まりしちゃう?」

「……お泊まりですか?」

 

 私のことを気遣ってくれたのか、栞さんが提案してくれます。私としては少しでも長く栞さんと一緒にいたいので喜ばしい限りですが……

 

「……いいんですか?」

「うんっ、そこのホテルいこっ!」

 

 栞さんに引っ張られて私はついていきます。ちょっとピンク色のビジネスホテル。見た目はアレですが、ビジネスホテルのようです。栞さんがフロントで手続きをしてくれます。幸い部屋は空いていたようで、すぐにカードキーを受け取り室内へと向かいます。

 

「とりあえずシャワー浴びよっか。有栖からどうぞ」

「いいえ、栞さんからどうぞ。私は少し落ち着いてから入りますので」

 

 私の言葉に栞さんは了承してシャワーを浴びに浴室へと向かいます。栞さんが浴室に入ったことを確認した私は、椅子に座ってようやく一息つきます。

 

「お泊まり……」

 

 椅子に座りながら周りを観察しますが、どうにも怪しげな雰囲気を感じます。まずベッドが1つしかありませんし、頭の上にこ、こん……。いえ、よくわからないものが置いてあります。ここは本当にビジネスホテルなんでしょうか……? 

 

「とりあえず、テレビでもつけてみましょう」

 

 私はテーブルの上にあるチャンネルを持ち上げ、電源のボタンを押します。

 

『あん、あん、あん』

 

 そしてすぐに消します。……何か見てはいけないものを見た気がします。テレビを消すと、テーブルの上に置いてあるDVDに手を伸ばします。不自然に裏返しで置かれた2枚のDVD……。なぜかタイトルが気になり、手に取り確認します。

 

 

『猫に犯された少女』

 

 

 ……なんでしょう。ものずこく殺意を覚えます。ひどいタイトルですし、ひどいタイミングです。ここまで来たらもう1枚も確認しておきましょう。

 私がもう一枚のDVDに手を伸ばそうとしたとき、栞さんの声が耳に届きました。私は慌ててチャンネルとDVDを元の位置に戻して、椅子へと座り直します。

 

「有栖、お待たせぇ。入っていいよぉ」

「はい、栞さん。シャワーを浴びてきますね」

 

 とりあえず、私は何も見なかったことにしてそのままシャワーを浴びにいきました。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

「有栖、お待たせぇ。入っていいよぉ」

「はい、栞さん。シャワーを浴びてきますね」

 

 

 有栖がシャワーを浴びに行ったのを確認した私は今日の出来事を振り返っていました。

 

「有栖は楽しんでくれたかなぁ……」

 

 猫にいじめられたり、大雨に降られたりトラブル続きだったしなぁ……。ここはお泊まりで良いところ見せないと! 私はまず部屋を確認します。なぜかベッドが1つ、そして頭の上にはコンドーム。

 

「ビジネスホテルのはずなんだけど……」

 

 私はとりあえずテーブルの上のチャンネルを手に取り、テレビをつけます。

 

『ぱん、ぱん、ぱん、まん、まん、まん』

 

 そしてすぐに消しました。きっと愛と勇気の物語だったはずです。そうに違いありません。テレビを消した私は不自然にテーブルに置かれている2枚のDVDが気になり手を伸ばします。

 

 

『猫に犯された少女』

 

 

「有栖のことですね。これは見つかったらまずい気がします。早急に片付けましょう……。2枚目は……」

 

 私は2枚目のDVDに手を伸ばします。

 

 

 

『絶対領域の小悪魔』

 

 

 

「有栖ですね。間違いなく有栖の主演作品です」

 

 

 私はチャンネルとDVDを引き出しの中に封印して有栖の戻りを大人しく待つのでした。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

「栞さん、お待たせしました」

「うぅん、全然待ってないよ。おかえり、有栖」

「ただいま、栞さん」

 

 私は栞さんの声に答えながらテーブルの上を確認します。どうやら栞さんも同じ行動を取ったようです。おそらく引き出しの中にでも封印してくれたのでしょう……

 

「有栖、この後どうしよっかぁ」

「……そうですね、チェスもありませんし。栞さんは何かしたいことはありますか?」

「んー。あっ、有栖のガーターベルトしてみたい」

「そういうしたいことではないのですが……」

「ダメ?」

「どうぞ」

「やった!」

 

 私は栞さんにガーターベルトを手渡します。そういえば前から着けてみたいとは言っていましたが……

 

「ねぇ、有栖。靴下も貸して? 私のじゃ短いからできないよ」

「靴下も、ですか。栞さんがいいならいいですが……」

 

 私は栞さんに靴下を差し出します。栞さんは何の躊躇もなく私の靴下を履いていきます。嬉しいような悲しいような複雑な心境です……

 

「できた!」

「に、似合いますね……」

 

 栞さんのガーター姿は女の私でも触ってみたくなるような色気を纏わせていました。まるで小悪魔です。私の視線に気がついたのか栞さんが誘惑をしてきます。

 

「さ、さわる?」

「……っつ。い、いいんですか?」

「うんっ。ちょっとだけ、だよ?」

 

 これも経験です。決していかがわしい気持ちがあるわけではありません。あくまでも今後の参考のために触るだけです……

 

 その後、私と栞さんは長い夜を共に過ごし朝を迎えると、手を繋ぎながら仲良く寮へと帰りました。部屋についた私は、みなさんのおかげで栞さんと過ごせた楽しい時間を思い出していました。それにしても、あの時の栞さんはとても可愛かったです。

 そうですね、もし題名をつけるとしたら……

 

 

『絶対領域の小悪魔』でしょうか。

 

 

 

 こうして私は幸せな1日を過ごしたのです

 

 

 





次の栞ポイントアンケートは誰が1位になるか楽しみです。推しの女の子に是非清き1票を!

次回は新章『ペーパーシャッフル編』です。

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