結城友奈英雄伝説   作:アレクサンデル・G・ゴリアス上級大将

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本作において重要な一つの指標が

乃木若葉≒ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム

であるということです。ですのでⅡ章・Ⅲ章ではことあるごとにディスられます。わかちゃん推しの方々にはご不快かもしれませんが我慢していただけますようお願い致します。ちゃんと『Ⅳ 花結いの章』で埋め合わせしますのでしばしお待ちを。









解説



ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ
銀河帝国軍上級大将。第5代イゼルローン要塞総司令官 兼 第33代 イゼルローン要塞駐留艦隊司令官。結城家とは昔からの付き合いで、結城侯爵家現当主たる友奈とは孫と祖父のような関係である。結城家先々代当主夫婦は早世しメルカッツもまた娘夫婦に子供がいなかったのもあって強い絆で結ばれている。友奈は彼を以前は「お祖父ちゃん」と呼んでいたが、軍人になってからは「先輩」呼びになっている。実績からしてとっくに元帥になっていても良いが、融通利かぬ性格が災いして出世が遅れている。だが指揮下の将兵達からは友奈程派手な武勲は多くないが不敗神話もありその頑固さも含めて強く敬愛されている。




勇者のジレンマ

勇者には謎の寿命と容姿のジレンマが存在する。何故か、勇者は40歳まで生きることができず、また容姿が16歳前後で固定され殆ど成長しない。。銀河帝国初代皇帝でもある若葉大帝は30歳で衰弱死、他の歴代勇者も戦死或いは病死が殆どであった。結城侯 友奈の母も34歳で戦死した。最近であれば三ノ輪銀 上級大将が12歳で戦死した例もある。このジレンマを破った勇者は現在未だに確認されていない。


勝利、そして悲劇

「いや~・・・若葉も歌野も棗も・・・先に・・・タマも年貢の納め時か・・・かはっ」吐血

 

「タマっち先輩、もう少し持ち堪えて!軍医が来るから!」

 

「杏・・・要らねえよ・・・あんま取り乱すな元帥・・・栄えある帝国軍統帥本部総長だろ?」

 

「でも・・・タマっち先輩!」

 

「ありがとう杏。後は任せたぞ・・・。」

 

 

 

帝国暦21年 6/29 0135 土井球子 上級大将 第三次イゼルローン要塞攻防戦にて戦死

享年 39歳

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戦艦 ベイオウルフ 艦橋

 

「貴族の馬鹿息子共が。穴の中に引っ込んでいれば長生きできたものを、わざわざ宇宙の塵になりに来たか。」

 

「閣下、ブラウンシュヴァイク公の旗艦“ベルリン”を確認しました!」

 

「ほう、お出ましか。我々の敗走が擬態だと気付かなかったようだな。ブラウンシュヴァイク公も出たとなると、精々派手に負けてやらねばならんな。」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦艦 ベルリン 艦橋

 

「敵は怯んでおるぞ!総攻撃だ!」

 

 

 

 

戦艦 ヴィルヘルミナ 艦橋

 

「見ろあの醜態を!一度逃げ癖がつくと恥を恥とも思わなくなるのだ!一挙に奴を葬り、ピンクの小娘も捕らえて、ギロチンにかけてやるわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリュンヒルト 艦橋

 

「ミッター君の芝居も絶妙だね。」

 

「そろそろですかな?」

 

「そうだね。全軍に通達、攻撃に転ずる。一隻たりともガイエスブルクに返すなと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちかねたぞ!全艦全速!総反撃だ!」

 

 

 

 

 

 

ミッターマイヤー大将率いる第一艦隊群に突撃をかけた貴族連合軍であるが、まんまと誘い込まれた形になった。左から結城侯友奈率いる本隊第二艦隊群、右からジークフリード・キルヒアイス上級大将指揮する第三艦隊群が総攻撃を仕掛けてきたのである。

 

 

 

 

 

 

「敵の7割方は撃破するなり捕らえるなりしましたが肝心のブラウンシュヴァイク公は未だに捕らえるあるいは撃沈することはできておりません。どうやら公爵自身そこまで前に出てはいなかったようで。」

 

「どうせ後ろで偉そうに構えていたんでしょ。奴自身の尊大さが身を助けるか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このガイエスブルク会戦において貴族連合軍は総兵力の8割を失ってしまった。しかし貴族たちの交戦意思は未だに砕けたわけではなく、以後の長期戦に備え未だに支配下にあった植民惑星から各種物資を徴用していた。しかしこのリップシュタット戦役に伴う混乱の中で植民星の住民たちも貴族支配のタガが緩んできたことを敏感に感じ取っていた。それに伴いシャイド男爵が支配する惑星ヴェスターラントにおいて大規模な暴動が勃発。シャイド男爵はそれに弾圧を加えたがむしろ反乱の火は大きくなるばかりでシャイド男爵は反乱を鎮圧するどころか民衆によって殺された。その報告をアンスバッハ准将から受けたブラウンシュヴァイク公は当然激怒した。

 

 

 

 

「賤民共が、よくも我が甥を殺してくれたな!我が領土に生きる恩を忘れよって!ヴェスターラントに核攻撃を加える。よもや一人も生かしておくな!」

 

「お考え直し下さい。」

 

「黙れ!下賎の者共を一人も生かしておくな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閣下、惑星ヴェスターラントで民衆が蜂起、シャイド男爵が殺されました。潜入させた者からの報告によりますとこれに激怒したブラウンシュヴァイク公が72時間後、懲罰の為に熱核兵器でヴェスターラントを爆撃するとのことです。」

 

「本当?なら最寄りのジークの艦隊群に命じて攻撃を阻止しないと『お待ちください閣下。』?」

 

「いっそ血迷ったブラウンシュヴァイクに、この攻撃をやらせるべきです。貴族共の非人道性の良き宣伝材料になります。」

 

「オーベルシュタインはヴェスターラントの住民を宣伝の為に見殺しにしろと私に言うつもり?」

 

「帝国250億の民の為にです閣下。」

 

「・・・ジークに一個分艦隊で良いからヴェスターラントに向かわせるよう指令を『閣下!』考えさせて。ひとまず下がって良いよ。」

 

「・・・。」一礼し退室する

 

 

 

 

 

 

 

「ジーク。」

 

「友奈様、ヴェスターラントの件で参謀長からご不快な提案でもありましたか?」

 

「・・・流石だね。やっぱりジークに隠し立てはできないよ。」苦笑い

 

「友奈様、政略にはあまり口出ししたくはありませんが一言だけ申し上げます。政略の為に民衆の犠牲を厭わないというのではあの乃木若葉となんら変わるところが無いではありませんか!友奈様は友奈様の覇道をお進み下さい。何者にも邪魔されるべきではありません。私とて例外では無いのです。」

 

「・・・。」黙り込む

 

「参謀長は少なくない貢献を友奈様にしてきました。ですが彼は憎い乃木王朝を潰す為に友奈様を利用しているだけです。忠誠心などある筈も無い。信念を曲げてまで言うことを聞く必要はありません。友奈様を彼が利用しているように友奈様も彼を利用するだけに留めるべきです。」

 

「・・・わかった。ごめんねジーク。こんな当たり前なことを言わせちゃって。」

 

「いえ。私は友奈様に半身と認めていただいている身。必要なら何でも何度でもお諌め致します。」

 

「今回の戦いが終わったら、またクロイツナハⅢでお休みを取るよ。今度こそ一緒に穏やかに過ごそうジーク。」

 

「御意。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェルナー大佐、惑星ヴェスターラントに強行偵察艦を急いで派遣せよ。内密に、そして12時間以内に。」

 

「はっ。12時間ですな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閣下、こちらをご覧下さい。」核攻撃後のヴェスターラントの映像を見せる

 

「!?これは・・・どういうこと!!」

 

「敵の攻撃が早まったようです。残念ながら派遣した艦隊は間に合いませんでした。」

 

「じゃあこの映像は何!?」

 

「念のため先行させておきました強行偵察艦からのものです。」

 

「オーベルシュタイン・・・!」

 

「この映像を帝国全土に流すのです。貴族共と我々のどちらに正義があるか、子供でも理解できるでしょう。貴族共は自分で自分の首を絞めたのです。」

 

「オーベルシュタイン、まさかわざと私に嘘の攻撃日時を・・・!」

 

「起こってしまったことは最大限利用すべきです。ヴェスターラントの住民250万の死を無駄にしないためにも。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閣下、報告致します! 惑星ヴェスターラントがブラウンシュヴァイク公の核攻撃を受け壊滅しました!」

 

「なんですって!?どういうことですかベルゲングリューン准将?!攻撃開始時刻は60時間後の筈では?!」

 

「はい!どうやら総参謀長が嘘の情報を流したようです。あの野郎ヴェスターラントの虐殺を宣伝に使うつもりです!」

 

「元帥閣下に直接確認してきます。艦隊のことをお願いします。」

 

「はっ。」敬礼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惑星ヴェスターラントの虐殺は帝国全土に大きな波紋を呼んだ。ブラウンシュヴァイク公の残虐さがクローズアップされるにつれ、相対的に結城侯友奈に対する臣民からの期待感は高まっていくばかりであった。帝国軍の若き英雄は帝国全臣民の希望となりつつあった。 しかしそんな外部での盛り上がりとは別に帝国軍内部においては別の意味で波紋が立つ噂が立ちつつあった。

『ジークフリード・キルヒアイス上級大将と結城侯友奈が大喧嘩した』

というのである。

 

 

 

「友奈様、何故このようなことを?!」

 

友奈は目の前にいる直談判してきた親友に本当の事を言いたかった。オーベルシュタインが嘘をついたばかりにこのようなことを招いてしまったと。しかしヴェスターラントの住民を政治利用しようという下心が自分にあったことは否定できない。白い手をした覇者など存在しないということを彼女自身よく知っていた。ヴェスターラントの住民達に対する贖罪の意味も込めてキルヒアイスには本当のことを話すにしても言い訳すべきではないと考えていたのである。

 

「まさかオーベルシュタインが嘘の報告をするとは思わなかったの!私だってこんなことしたくなかった!」

 

「・・・。」

 

「でもごめん。ジークに嘘はつけない。私も心の片隅でヴェスターラントをブラウンシュヴァイクに攻撃させてそれを政治利用しようという下心がなかったわけじゃない。心のどこかにはあったの。その結果がこれ・・・私はどうすればいいの?」

 

「友奈様、とりあえず私は下がります。私も友奈様も少し高ぶってしまっているようです。一旦お互いに頭を冷やすべきです。」

 

「うん。」

 

「では失礼します。」




次回、結城友奈英雄伝説 『終幕、さらば友よ』
銀河の歴史がまた1ページ
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