結城友奈英雄伝説   作:アレクサンデル・G・ゴリアス上級大将

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解説

幼年学校勇者科15期

幼年学校勇者科には士官学校の生徒会長以上に実質的な指揮権が与えられていた学級委員長、副学級委員長、書記、監査ら学級幹部が存在していた。尚、犬吠埼風上級大将は名を連ねていないが、15期の“総大将(笑)“として祭り上げられている。

委員長 結城友奈 伯爵

副委員長 ジークフリード・キルヒアイス
三好夏凜 子爵

書記 楠芽吹 子爵
弥勒夕海子 子爵

監査 加賀城雀 男爵
犬吠埼樹





結城侯爵家

帝国軍 初代宇宙艦隊司令長官 高嶋友奈 元帥を始祖とする高嶋侯爵家。結城伯爵家はその傍系にあたるが、高嶋家の直系は帝国暦97年に途絶えてしまった。本家との仲があまり良くなかった結城家は高嶋家の相続権がある唯一の家だったが、引き継がず高嶋領は皇帝直轄領になった経緯がある。歴代当主は皆中将以上に昇り、勇者として帝国を守り続けてきた。6代目当主(現当主)である結城友奈元帥の代で侯爵に昇った。


ジークフリード・キルヒアイスは勇者である

「ジーク!」

 

「どうしたの友奈?」

 

「お母様が玉ねぎのパイを焼いてくれたよ!一緒に食べよう!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

「もうあなた達何をしてるの!冬の噴水に落ちるなんて!」

 

「ごめんなさいお母様。」

 

「申し訳ありません。私が目を離したばかりに。」

 

「ジークフリード君は大丈夫よ。友奈がおバカさんなだけなんですから(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジーク・・・お母様が戦死したって・・・。」

 

「友奈・・・。」友奈を抱き締める

 

「皆私を置いて逝く・・・もうジーク以外誰もいないよぉ・・・。」啜り泣く

 

「大丈夫だよ友奈。僕がずっとそばにいるから。」

 

「うん・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「単なる野心家に過ぎなかった乃木若葉が、一代で“神聖不可侵”などと称する銀河帝国皇帝にまでなりおおせた。なら、私にできない道理は無い筈だよ!」

 

「はい!宇宙を手にお入れ下さい、友奈様。ジークフリードは、貴女についていきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お分かりの筈です。友奈様には。10人の提督の反感も、助けられた数百万将兵からの感謝に比べれば、取るに足りません。」

 

「そうだね、その通りだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宇宙を・・・手にお入れ下さい・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私には親友がいた。燃えるような赤毛で、誠実で、のっぽで、ずっと私についてきてくれた。

銀河が敵になっても私に味方してくれる確信と信頼があった我が友。ジークフリード・キルヒアイス。

私が両親以外に愛した唯一の友。ありがとう友よ。私は他ならぬ君の為に、前に進むよ。ヴァルハラから見守っていてね。何としてでも誓約を果たすから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三好少将、お怪我はありませんか?友奈様の命により援護に参りました。」

 

 

 

「お金を借りたい?幾らお貸しすれば?」

 

 

 

 

 

 

「三好少将、感謝は無用です。『仲間は助けよ』と友奈様のご命令に忠実に努めているだけですから。」

 

 

 

「少将を私がどう思っているか、ですか?頼もしく美しい同期です。え?それ以外に無いのか?そうですね・・・才覚もあり努力も怠らない私が見習うべき勇者です。何より三好少将は帝国の為に剣を振るえる勇者の鑑です。私は今までも、これからも友奈様の御為にしか戦いませんし戦えませんから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気に入らない奴。私が何度挑んでも勝てなかった赤毛ののっぽ。何度危機に陥っても助けてくれたお人好し。同期の桜とはいえ、いっつも突っ掛かってきた私に無利子無期限で大金を貸す大馬鹿者。私を“三好家の次期当主”ではなく“三好夏凜”として見てくれた初めての男。なんで先に逝ってしまった?!私が想いをぶつける前に!もっと言いたいことがあったのに!もっと強くなってぎったぎったにしてやりたかったのに!皮肉なもんね・・・あんたが死んでからあんたの亡骸の前で初めて本音が言えたんだから・・・ごめんキルヒアイス。私は・・・あんたが大好きだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「犬吠埼候補生、よろしければ私がお教えします。」

 

 

 

「犬吠埼少将の泣き虫は悪いことではありません。他者を慈しめる心があるということではありませんか。それはむしろ良いことです。」

 

 

 

 

「友奈様の勘に従って援護に参りましたが、無駄にはなりませんでしたね。ご無事ですか犬吠埼少将?」

 

 

 

いっつもお姉ちゃんの影で小さくなってた私をそれとなく訓練をしてくれたり、弱さを肯定してくれた赤毛の男の子。私を“勇者 犬吠埼樹”ではなく“犬吠埼樹”として見てくれた、私よりずっと大きかったのに威圧感の無い優しい雰囲気で長話ができたお姉ちゃん以外の初めての人。私の王子様。キルヒアイス提督。なんで逝っちゃったの?私が想いを伝える前に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東郷候補生、もうやめて下さい。お身体に障ります。こんなに飲んでしまっては・・・。」

 

 

 

「東郷少将は私以外のはじめての友奈様の親友です。それだけで、命を投げ出して守る理由には十分です。」

 

 

 

「三ノ輪上級大将閣下とて、東郷中将を責めたりはしないでしょう。東郷中将は、三ノ輪上級大将閣下の分も生きて、何十年か後に胸をはってヴァルハラで再会すれば良いのです。亡くなられた閣下も、それをこそ望みましょう。」

 

 

銀を自分のミスで失い、そのっちは皇帝に即位してしまい、私の元には誰も残らなかった。目をかけて下さったグリンメルスハウゼン閣下も肺炎で亡くなられた。身寄りも無くやさぐれ黒ビールの海を彷徨っていた私を、二人は陽の光のような暖かい手で救いだしてくれた。友奈ちゃん、キルヒアイス。私にとってあなた達は私に舞い降りた黄金の翼を持った天使だった。キルヒアイス・・・あなたがいないと背中がとても寒いの・・・もう家族を失いたくなかったのに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「犬吠埼候補生は立派な姉であり、15期の総大将です。ご自分に自信を持って下さい。」

 

 

 

 

「犬吠埼大将、それは違います。犬吠埼中将とて貴女の過保護にうんざりはしていても嫌がってはいません。」

 

 

 

 

「犬吠埼大将、ご無事で?!」

 

 

 

 

 

 

要らんお節介から始まって、無関係なのに喧嘩した樹との関係修復に態々奔走してくれたり、部長として至らない私をそれとなくフォローしてくれたり、ヴァンフリートで追い詰められた私を助けてくれたり・・・キルヒアイス、なんで恩を返す前に死んじゃったのよ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「事情はオーベルシュタインから聞いて承知している。」

 

「はっ。」

 

「みんなの働きには厚く報いるよ。私もこれからオーディンに帰還する。迎えに誰か一人寄越してほしいな。」

 

「はっ。ではミッターマイヤーを。」

 

「うん。」

 

「ところで、レムシャイド伯の一族はことごとく捕らえてありますが、いかがいたしましょう?」

 

「仮にも副宰相たる方を死刑にはできない。自裁をお薦めして。」

 

「御意。で、一族は?」

 

「何らかの犯罪を起こした或いは関与していた者に対しては死刑、そうでなかったものは辺境に流刑。」

 

「はっ。罪無き者は例外無く流刑でよろしいのですね?」

 

「罪なき者を処断してしまってはジークに何を言われるかわかったものではないよ。よって命は取らない。もし勢力を巻き返し私を討とうとするならそれも良い。実力のない覇者が打倒されるのは当然のことだからね。」

 

「・・・。」

 

「オスカー君達も同様だよ。私を倒すだけの自信と覚悟があるのなら、いつでも挑んで来て構わないよ。」

 

「ご冗談を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レムシャイド伯を倒し、首都星オーディンに戻ってきた結城侯 友奈は、三ノ輪宰相から宰相の地位を引き継ぎ、また引き続き帝国軍最高司令官の職も兼任しつつ公爵に昇り名実ともに銀河帝国の頂点に立った。

だが、いつも彼女の右後ろにいた赤毛の友がいない。

 

「・・・。」

 

宰相になった結城公 友奈は生前に遡り、ジークフリード・キルヒアイスに帝国軍三長官の地位と元帥の称号を与え、生前の功に報いた。だがその程度で自分への献身に対する十分な褒賞であったとはとても言い難い。何より彼が望んだのは自分のそばにずっといることであった。せめてそれを叶えてあげたいと思い、自分の住処である シュワルツェンの館の正面玄関、その脇にある花畑に彼を丁重に葬った。墓碑銘は彼の肖像と生没年、そしてたった一言だけである。〈Mein Freund〉(わが友)であった。

 

「もう失うものは何も無い。奴らを滅ぼし宇宙を手に入れて、みんなでまた暮らそう。」

 

 

 

 

 

 

 

また、新たなる戦いが始まる。帝国暦154年3月、まだ肌寒い晴れの日であった。結城友奈は17歳になったばかり。彼女の戦いは、もう一度ここから始まる。




ついにバーテックス殲滅の為に動き出す帝国軍。

「今だ!全艦突入!」







「司令官のお許しが出た!全艦、全面攻勢に転じる。黒色槍騎兵艦隊に遅れをとるな!」







「終わらせる・・・今度こそ全てを!」











「青二才に、用兵の何たるかを教えてやるとしようか・・・Feuer 〈ファイエル〉!!」








「遅いじゃないか、ミッターマイヤー。卿が来るまで生きているつもりだったのに・・・間に合わないじゃないか・・・疾風ウォルフなどという大層な渾名に恥ずかしいだろう・・・。」








新章「大満開の章」 近日公開。

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