結城友奈英雄伝説   作:アレクサンデル・G・ゴリアス上級大将

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「帝国軍の高級士官は戦場を個人的な武勲の立てどころとしか考えていない。従って同僚との協調性に乏しく、兵士に対する愛情も薄い。さらに言うのであれば年端もいかぬ小娘に重荷を背負わせているということを帝国軍全体が忘れているのだ。蝶よ花よと愛でられることもなく、恋い焦がれることもなく戦場で扱き使われ死んでいくのだ。これを当たり前とする現在の帝国軍は異常であると言わざるを得ないだろう。憂慮すべきである。」

ハウザー・フォン・シュタイエルマルク
















「こんなに惨めな最後になるなんて・・・今までが幸運だっただけか・・・ぐんちゃん、今そっちに逝くからね・・・。」

帝国暦21年11月25日 1534 高嶋友奈 元帥 第一次ダゴン星域会戦にて戦死 享年39歳


Ⅲ 大満開の章 Ⅰ節 誓いを胸に
立ち止まってはいられない!


帝国暦157年 11月3日 軍務省 第13会議室

 

 

リップシュタット戦役に伴う軍の混乱が収まり、新しい提督達の任用、新しい人事異動により以前より帝国軍は強化された。それに伴いバーテックス領に侵攻し領土を回復、宇宙に平和と統一をもたらすべく『ラグナロック作戦』の人事が結城公 友奈から諸提督達に下令された。

 

「まずイゼルローン方面に向かって3個艦隊を動かす。このイゼルローン方面軍の総司令官はオスカー君に。副司令官にレンネンカンプ先輩ルッツ君の両名に任せる。同時にフェザーン回廊から本隊を送り込む。この本体の第1陣はミッター君に任せる。第2陣ミュラー君。第3陣は私が自ら指揮をとる。直属部隊にはアルトリンゲン、ブラウヒッチ、カルナップ、グリューネマン、トゥルナイゼン 各中将が指揮する艦隊を配する。 第4陣カール君、第5陣ワーレン君、第6陣アイゼナッハ君。フリッツ君とアーダル君は戦況に応じて戦線に参加すること。第7陣 兼 後方総司令官はメック君に。補給に関する任務は一任するから宜しくね。」

 

総旗艦ブリュンヒルトには

 

参謀総長 兼 軍務省次官 オーベルシュタイン上級大将

主席副官 シュトライト少将

次席副官 リュッケ大尉

親衛隊長 キスリング大佐

宰相付主席秘書官 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ

 

が結城公 友奈の補佐として乗り込む。

 

「ウルリッヒ君は帝都防衛司令官として東郷さんと協力してオーディンを守るように。芽吹ちゃん以下防人艦隊はオスカー君に先んじて出撃しヴァンフリート4-2に基地を建設、バーテックスが来ない内に無理の無い範囲で駒を進めるように。作戦発動はオスカー君のイゼルローン方面軍の進発を以てとする。以上、解散。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軍務省 士官用バー “海鷲”

 

「史上類を見ない出兵だが、今の我が軍の勢いであればバーテックスに勝つことも難しくはないだろう。正直俺は戦いそのものに対しては何ら不安は感じていない。だが問題は・・・。」

 

「そうだ、ロイエンタール。卿も感じてはいるだろう。公は、キルヒアイスが死ぬ以前と何かが違う。具体的にどこがどうとも言えんが変わってしまわれた。」

 

「あぁ。先週ちょうどこの場所だ。公務を終えられた公と一緒にサシで食事をしていたんだが、その時公がお食べになられていたのはあの方の大好物であった筈の山菜うどんだった。だがそれを食べても公の表情が変わらなかったのでな。何事かと思い質問してみたのだ。そしたらどんな返事が来たと思う?」

 

「?」

 

「『全く味がしない。』だそうだ。キルヒアイスがあんな死に方をしてしまってからずっとあの調子らしい。味覚が戻らないとな。」

 

「やはりキルヒアイスを失ったのは大きすぎたな。」

 

「正直な話、上司のそういう面に対して臣下たる我々が口を出していいのか分かりませんが、なんとか病院に行かれるよう我々で説得するしかないのではありませんか?」

 

「ミュラーの言う通りかどうか俺には分からないし、俺の食い物に対する価値観と閣下の食い物に対する価値観が同じとも無論限らないが、ただでさえキルヒアイスが隣にいないストレスと、食い物の味もわからないストレスでこのままだと負の連鎖が起きてしまう。いやもう既に起こっているか。なんとかこの連鎖を断ち切れないものだろうか。」

 

「とはいってもなビッテンフェルト、政治上軍事上を問わず実務的な意見であればあの方は受け入れて下さるだろうが、プライベート関係の意見に関しては俺達ごときの意見は受け入れられないだろう。それに閣下は病院嫌いであらせられる。この前膠原病研究所に赴かれたのもキルヒアイスの遺言があったからであって、あの方が自ら進んでというわけではなかったようだしな。」

 

「うーむ。私がまだ一介の大佐に過ぎなかった頃、まだ中佐だった閣下と共に仕事をしていたが、その頃以上にどうもワーカホリックになってしまっておられる感が私からすると否めない。キルヒアイスが死んでからずっと働きっぱなしではないか。」

 

「レンネンカンプ提督のおっしゃる通り。キルヒアイス提督が以前私に教えてくださったのですが、閣下はどうにも無趣味で貧乏性なところがおありでした。唯一の趣味と言っていい押し花もキルヒアイス提督が勧めたものに過ぎずあの方ご自身が進んでやっておられたというわけでもないですからな。詮無い話になりますが、3年前にあの方から直接頂いた四葉のクローバーの栞ですが、今も本を読むときに使わせて頂いてますよ。」皆に見せる

 

「芸術家であり読書家でもあるメックリンガー提督にとっては望外のプレゼントだったなぁそれは。」

 

「うむ。」

 

「確かに公のことも気にはすべきでしょうが、とりあえず艦隊の整備に努めましょう。総参謀長殿はともかく、公の周囲についてはシュトライト少将とキスリングに一任しましょう。あの二人なら安心して公を任せられます。」

 

「ミュラーの言う通りだな。ひとまず武人としての義務を全うしよう。全てはそれからだ。」

 

 

 

 

 

 

 

帝国暦157年11月10日

帝国軍は150年にわたる戦乱に終止符を打つべく出発した。総兵力20万隻、約3000万人を投入し帝国軍は歴史のページを捲る為大海へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

「友奈ちゃん、どうか無事に帰ってきて・・・。」




次回 結城友奈英雄伝説『不思議な夢』
銀河の歴史がまた1ページ
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