「大神オーディンよ、若葉大帝よ。ご照覧あれ!我らの戦いを!我らの路を明るく照らす友奈の戦いを!」
「閣下!」
「気持ちはわかるが落ち着けシュナイダー少佐。我々にできることは無い。精々神樹様に祈る位だ。」
「はっ・・・お見苦しいところをお見せしました。」
「構わん。皆同じ気持ちだ。だが心配あるまい。友奈とキルヒアイスは強いからな・・・。」
口ではそんなことを言っているメルカッツではあるが、行動が言葉に比例していない。何故なら落ち着いた表情で優雅にコーヒーを飲んでいるからである。友奈とキルヒアイスが勝利することを微塵も疑っていないのである。
ジークフリード・キルヒアイス side
「友奈様、とりあえず頭を抑えましょう。」
「うん。クロスボウで弾幕張るよジーク。」
「お願いします。」
はじめまして かな?ジークフリード・キルヒアイス(偽)だ。今友奈様と一緒にバーテックスと戦っている。前世では小さな島国の名も無き市役所の下っ端だった。退官して80位まで生き老衰で一度死んだんだ。そして気付いたらこの銀河英雄伝説の世界に生まれていた。自分がジークフリード・キルヒアイスになれたと気づき、僕は年甲斐もなく喜んだ。
前世では良き上司に恵まれなかった。でも今世ならアンスバッハの凶行さえ凌げばあの皇帝ラインハルトの副帝になれる。
良き上司〈最高の親友〉に会える運命に静かに狂喜していたんだ。だが歴史を学ぶにつれてこの世界が本来の『銀河英雄伝説』と違う世界だと気付かざるを得なかった。
バーテックス?
銀河帝国 初代皇帝 乃木若葉?
帝国暦140年?
おかしい。何故この伝説のスペースオペラにゆゆゆ要素が混ざっている?
ゆゆゆを否定するつもりは無いが、正直ゆゆゆでは銀河英雄伝説に到底及ばない。銀河英雄伝説はアニメでは無い!日本文化史上最高のスペースオペラだ!何故混ざってしまったんだ!!
嘆いてもしょうがない。ひとまずラインハルト様とアンネローゼ様が隣に越してきたら仲良くなっていこうじゃないか。
「母さん。」
「どうしたのジークフリード?」
「隣に誰か引っ越してきたの?」
「とても栄誉なことに結城伯爵家の方々が越してこられたみたいよ。粗相の無いようにね。」
「はい 母さん。」
結城伯爵家?結城・・・まさか そんなことが。試しに外に出てみると・・・
「お~綺麗なお花畑。ありがとうございますお母様!・・・君は?」
「は はじめまして。僕はこの家のジークフリード・キルヒアイス。」
「ジークフリード?・・・どこにでもいそうな名前だね。私は結城友奈!よろしくね!」手を出す
「う うん。 よろしく。」握手
思えば、これが僕の第二の人生の始まりだった。
「ハァーッ!」一刀両断
御霊が見えた!
「友奈様!」
「うん!」クロスボウを捨てる
「吹っ飛べぇー!!」勇者パンチ
「「「ウォーーーッ!」」」
「「「帝国万歳!!結城閣下万歳!!」」」
「シュナイダー少佐。信じられるか?後輩(友奈)は階級こそ私より上だが、まだうら若き少女、キルヒアイスもそうだが未だ14歳だ。
今の銀河帝国は歴代“勇者”の屍の上に立っている。
彼女達の犠牲は帝国の民250億を150年生き長らえさせてきた。
私は皇帝陛下を含め先代“勇者”の方々とも交流があったからよく知っている。
誰もが表面上元気を取り繕っているが、心はボロボロだ。責任に押し潰されそうになりながらな。
このような不毛な連鎖はそろそろ断ち切らねばならん。皇帝陛下と宇宙艦隊司令長官、宰相代理が手を組んでその為の計画を建てているらしいが、それが始まるまでは我々が友奈を支えてやらねばならん。」
「はっ。」
「まあ尤も、友奈は別だ。キルヒアイスに半ば依存している事、先先代勇者だった母君の仇である奴らへの強い復讐心が友奈の心を補強している。並みの勇者など比較にならん程友奈は強い。だが強さだけでは駄目だ。あの強さは脆さを抱えている類い。遠からぬうちに砕けるだろう・・・。」
約2年後、メルカッツの懸念は現実となる。ある悲劇を引き金として・・・
次回、結城友奈英雄伝説 第3話 『英雄と 友と 部員達と』
銀河の歴史が、また1ページ