クソッタレの神への反逆   作:山田ヘイタロウ

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第1話

『あー、テステス……。聞こえてるか、クソッタレの神よ。私はアルフレッド。元天使だ』

 街にあるスピーカーからそんな声が響く。男の声、それは街の全域に響く。

『私たち人類解放軍(レジスタンス)はテメェに聖戦を仕掛ける。これは私たちレジスタンスからの宣戦布告と受け取ってくれい』

 それから数分後、街に大量のスーツを着た人間達が現れる。胸元には羽の形をした金色のバッジが付けられている。

 巨大建造物が立ち並ぶ街の中に二人の男が立っている。

「天使のお出ましか……」

「任せろ、派手に行くぜ!」

 そう言って現れたスーツ姿の集団、いや、天使と言うべきか。それに先陣を切って突っ込んでいく白いTシャツにジーパンを履いた金髪、金目の男を黒髪、灰色の目の男は見送った。

「あ、そう。任せるわ」

「ダラァっ! はっはっはははは!!」

 次々と天使をなぎ倒して金髪の男が笑う。

「おいおい、どうしたぁ! クソ後輩どもぉ!」

 驚異的な身体能力で天使を吹き飛ばしては街を破壊していく。

「あっちだ、あの男を狙え!」

 そう叫び黒髪の男をスーツの集団が取り囲んだ。

「分かってるよ……」

 そう言って彼は銃を両手に持って撃ち放つ。

 全弾命中。

「ヒュー、流石だぜエドガー!」

「こっちにあんまり敵を寄越さないでくれるかな!」

 エドガーと呼ばれた青年は銃を撃ち放ちながらそう叫ぶ。

「ははっ! オマエは俺と同じ武闘派だろうが!」

「違いますぅ! 俺は知識派ですぅ!」

 軽口の応酬をしながらも、的確に数を減らしていく。残弾が尽きたエドガーがリロードをする瞬間に生まれる隙を金髪の男がフォローする。

「つか、お前、任せろって言ったよな!」

 バァン、バァン!

 銃を撃つ音が響く。

「分かってるだろ、エドガー。俺はアルフレッドみたいな範囲攻撃はないんだぜ」

「分かってるよ、コンチクショウ!」

 文句を言いながらも、彼らは敵の数を減らしていき、最後の一人に同時に攻撃を放った。

「これで最後か……」

「おい、最後倒したの俺だよな?」

「……お前の拳より、俺の銃の方が早かったろ」

「はあ?」

「んだ、コラ?」

 くだらない事で喧嘩を始めようとすると大型の装甲車が現れる。

「おい、撤収だ乗れ!」

「アルフレッド!」

 車に乗っていたのは茶髪のミディアムヘアーの成人男性。彼は仲間のアルフレッドだ。上には黒いワイシャツを着ており、下は黒のチノパンツ。

「早くしろ、エドガー、ジョセフ!」

 そう言われて二人は車に乗り込んだ。

「私はマニュアルの運転が苦手なんだ!」

 そう言って彼はギアをローに入れて発進する。

「ちょ、アルフレッド!」

 金髪の青年、ジョセフが運転席をバンバンと叩く。

「何だ! 運転中に話しかけんじゃねぇ! 事故っても知らねぇからな!」

 その反応にエドガーも後ろを見ると、もうすぐそこまで追手が近づいていた。

「アルフレッド! チンタラ走ってんじゃねぇ! もっと速度出せ!」

 エドガーもアルフレッドを急かす。

「これでオーバートップだ!」

 ギアをオーバートップに入れて、アルフレッドはアクセルを思い切り良く踏み込んだ。

 車はさらに加速して、大幅に追ってから距離を離す。

「うっしゃあ! これで巻いたな!」

 トンネルに入って彼らは完全に安心し切っていた。追っ手を巻いた事で、これ以上の災難は一先ずは無いだろうと思っていたのだ。

 トンネルを抜け出すと、目の前にはブカブカの白いコートを着て、くまのぬいぐるみを持った白い髪、白い肌の幼気な少女が立っている。

「ーーっ、ちょ、拙い! ぶつかる……!」

 アルフレッドは驚いたようで急ハンドルを切るがそれも意味がない。車体は宙に浮かされてしまったから。

 その時にチラリと少女の胸に黄金に輝く、羽のバッジが見えた。

「……あの子、天使だ」

 エドガーがそう呟くと、車体は落下してひしゃげた。

 こうなっては装甲車はもう使えないとドアを蹴り飛ばし、三人は車の外に出た。

「あれ、おにーちゃん達が反逆者?」

 少女はぬいぐるみを抱きしめて可愛らしく首を傾げてそう尋ねてきた。

「なら、捕まえなきゃね」

 少女は臨戦態勢に入ったようで、三人を一瞥すると手を手前にクイと曲げる。

 挑発行為のように思われたそれには、それ以上の意味があったようでジョセフの背後に装甲車が衝突する。

「っ〜……!」

 痛みに顔を歪めたかと思うと、ジョセフは少女を睨みつける。

「クソガキ……」

 そして、怒りに満ちた笑顔でそう告げた。

「クソガキじゃ無いよ。私はディアナ。『慈愛』の天使だよ」

「おう、クソガキ。痛い目見してやる」

 そう言ってジョセフは構える。

「え、おにーちゃんは名前も覚えられないんだ。可哀想にね……」

 その言葉は彼女の本心だったのだろうから余計にタチが悪い。

「泣いても許してやらんからな」

「へぇ、ちょっとは楽しませてね」

 好戦的なディアナに対して、ジョセフもまた戦意を抱いている。

「たとえクソガキだとしても、ガキに手をかけるのは気が引けっからな……。手加減はしてやる、よっ」

 そう言ってジョセフは勢いよくディアナに突っ込んでいく。彼女の目の前でジョセフは跳躍する。その後の行動を予測したディアナは右腕を開き、そして右腕を胸の前に持ってくると、ガードレールが剥がれて彼女の前に移動する。

「おいおい、その程度で防げると思ってんのかあっ!」

 メリメリとジョセフの繰り出した右足による蹴りでそれはへし折られた。

 それを見たディアナは目を見開く。

「わあ、おにーちゃんは脳筋なんだね……」

 迫る蹴りを両腕で少女はガードしようとする。ジョセフはこの時点で勝負は決した、そう確信していた。

「だから対応できない」

 彼女がそう呟き、ジョセフの足が触れるとバチィンと音がした。強烈な音だ。

「ぐあっ……!」

 ジョセフはその場に蹲み込んでしまう。

「おい、ジョセフ。大丈夫か?」

 アルフレッドが心配そうに近寄る。

「……ちょっとピリッと来ただけだ」

 ジョセフは脛を抑えながらそう答える。

「おいおい、電気系統かよ」

 ジョセフの言葉にエドガーは確信を得る。

 この世界には能力というものがある。それは『神』を守る天使達が与えられた特殊な力のことである。その能力には様々な種類がある。目の前にいるディアナという少女は電気を操ることができる能力であった。

 ガードレールや車が動かされたのもそう考えると納得がつくものだ。

 ただ、そうなると、銃の使い手であるエドガーには相性が悪い。さらに電気を操り体に纏うことでバリアが張ることができるようで、肉弾戦に優れるジョセフにとっても最悪な物だ。

「面倒な敵だな。……やっちゃってくれよアルフレッド!」

 エドガーは隣に立っていたアルフレッドの肩に右手を置いた。

「相性的にそうなるか……」

 ワイシャツの胸ポケットにしまっていた眼鏡を取り出しながらアルフレッドはエドガーよりも前に出る。

「何? 今度は別のおにーちゃんが戦ってくれるの?」

「戦うだと? は、俺[#「俺」に傍点]とお前では勝負にもならんさ」

 そして彼は一言、

『跪け』

 そう呟く。

 それだけでディアナはその場に這いつくばる形になる。

「あぐっ……、あ、がっ」

「小娘、ここで引いておけばお前は廃人にならずに済むがどうする……?」

 圧倒的優位にあるアルフレッドの提案。

「ああ、そのままでは答えられないか」

 少しだけ力を緩める。

「これで答えられるだろう?」

 ギリギリ思考することが出来るレベル。能力の使用は不可能。体が言うことを聞かない。

「それは神の意向に反する……!」

 ディアナの答えに「そうか」と短く呟き、アルフレッドは一時的に能力の出力を上げる。

「あああああっ……!」

 叫び声を上げて彼女はアスファルトの地面に顔面から倒れてしまった。

「え、これ大丈夫なのか?」

 倒れたディアナを恐る恐る近づいて来たエドガーが指を指しながら尋ねる。

「ふん、気絶させただけだ。俺がその程度の加減もできないと?」

 そう言ってアルフレッドは掛けていた眼鏡を外して再び胸ポケットにしまう。

「あ、そう……」

「いやー、アルフレッドの能力は相変わらずチートだな!」

 そう言いながらジョセフが近づいてくる。

「この子供が目を覚ましては面倒だ。早くいくぞ」

 アルフレッドは二人を急かす。

「いや、行くっつっても装甲車、壊されちまったし」

 エドガーがそう言うと、アルフレッドはジョセフの背中におぶさった。

「乗り心地は保証しないが、それなりには早いと思うぞ?」

 背中に収まっているアルフレッドが真顔でそう言う。

「成る程……。よし」

 エドガーもジョセフの前に立ち、両腕を広げた。

「ジョセフ、お前の自慢の身体能力で基地まで送り届けてくれ」

 エドガーがそう言うとジョセフも満更でもなさそうな様子で持ち上げる。

「振り落とされるなよ?」

 そう言ってからジョセフは走り出した。

「なあ、向こうからの連絡はどうなってんだ……?」

 エドガーがアルフレッドにそう尋ねれば、アルフレッドが答える。

「ん、ああ、あっちも大丈夫だったみたいだ。そもそもあの二人も私と同じ精神作用の能力だからな。殲滅には向いてる」

「……おい、オマエらマジで気を付けろよ。舌噛んでも文句言うなよ」

 そう言いながらジョセフは走り続ける。

「……と言うか、向こうの方は既に基地に戻ってるみたいだ」

「て事は、あっちはクソガキみたいな天使との接触なかったのか?」

 ジョセフがそう尋ねると、アルフレッドは首を横に振る。

「どうせ彼奴らは気にしないさ。初めの攻撃で決着《ケリ》がつくからな」

 精神作用の恐ろしいところは、能力が決まって仕舞えば戦いが始まらずに終わるところにある。それがアルフレッドともう二人の仲間にある特殊な能力だ。

「やっぱお前らクソチートだわ。て言うか、俺とジョセフ出る必要なかったよな?」

 文句を垂れるとアルフレッドは笑う。

「行きたいって言ったのはお前らだろ?」

 そう言われて、エドガーはよくよく思い返してみる。

 しかし、どうにもエドガーは行きたいと言った記憶がない。それどころか、拉致のように装甲車に連れ込まれた記憶が存在している。

 それも、突然背後から首に攻撃をされて。

「おい、ジョセフが無理矢理俺を連れてきたんだろ……」

 エドガーの能力も戦闘系の能力ではあるがアルフレッドのような殲滅に適した能力の人間が居ればそれで良かったはずだ。

「ええ……、もう過ぎた事だし良いじゃねぇかよ……」

 ジョセフがやれやれとそう告げるとエドガーは若干の苛立ちを覚えるが、仕方ないと溜飲を下げようと溜息を吐いた。

「おい、後どれくらいだ?」

 エドガーがそう尋ね、辺りを見回すと相変わらずビルの立ち並ぶ街の中で、見覚えがあるかと問われればあるかも知れないと答えるような場所に出ていた。

『犯罪者が出歩いております。民間人の皆様、ご注意ください』

 そんなニュースが巨大な電光掲示板に表示されている。

「あれが見えたって事は……」

 基地はもう少しで着く場所にある。

「次を右だ、ジョセフ……」

 エドガーがそう告げるととんでもない重力がエドガーとアルフレッドの体を襲う。遊園地の絶叫系アトラクションを思い出す。安全装置がない分、こちらの方がより恐怖を感じるかもしれない。

「あいよ!」

 キュイイイン!

 車が急カーブをするような地面を擦る音を響かせてジョセフは交差点を右に曲がった。

 そうすると狭い路地に入り、暗い場所が見えてくる。

 立ち入り禁止の看板を飛び越えてジョセフは走る。

「おい、とんでもない速度で男が走ってくるぞ!」

 少しばかり立つと、武装した男二人が立っていた。

「……あ、ジョセフか」

「よ、ただいま!」

 キィイイイッ。

 急ブレーキをかけたようにジョセフが止まると、慣性の法則が働いたのか、アルフレッドとエドガーが投げ出された。

「あっ……」

 それにジョセフが気がついたのはアルフレッドとエドガーが基地の扉にぶつかった後だ。

「ジョセフ……!」

 アルフレッドとエドガーは恨みを込めたような視線でジョセフを見ていた。

 それに両手を合わせてジョセフが謝る。

「取り敢えず、扉を開けるからな」

 そう言って門番の役割があった男がそう言い、どこかに通信をつなげる。程なくして地下へと繋がる、扉が開きアルフレッドとエドガーは扉の中へ転がり落ちていくように入っていく。

「……フガッ」

 無抵抗に落ちて行った彼らは何かにぶつかった。

「おい、いつも言ってるだろ……」

 エドガーは起き上がってぶつかった何かを見る。その正体にはエドガーは察しがついていた。それは小さな女の子に見える。涎を口元から垂らし、ふざけたアイマスクをつけて幸せそうな表情を浮かべている。

 格好は上下ともに赤色のジャージに邪魔くさいと言う理由で短めに切られた銀色の髪。

「ここで寝るな」

 そう言ってエドガーは少女の頬をペチペチと叩く。

「ーーカルラ」

 頬を叩かれて不快感を覚えたのだろう。

「ん、お帰り?」

 アイマスクを右手で持ち上げて、右目だけを覗かせながら、カルラと呼ばれた少女が起き上がる。

「おう。……で、ドミニクは?」

 エドガーも彼女と対面するように座ってそう尋ねる。

「ドミニク? 会ってないけど?」

 カルラの答えにエドガーは理解する。この基地に帰ってきたドミニクは眠っている彼女を無視して、基地の奥に入って行ったか、或いは彼女よりも先に戻ってきていたのであろう。可能性としては前者の方が高い。

 ドミニクがどんな人間かを知っているエドガーからして見れば、それは別段おかしなことでもなかった。

 ドミニクは気難しい性質であり、見た目も奇抜な男だった。

「また、部屋に引きこもって絵でも描いてるんじゃない?」

 そう言いながらカルラは欠伸をする。

 その様子にアルフレッドは立ち上がりながら首を横に振った。

「お前らは面倒くさいな」

 扱い難い性格の連中ばかりだ。

「まあ、どうせこの後は嫌でも来てもらうさ」

 アルフレッドがそう言って先に基地の奥に行ってしまった。

 それを見てカルラはアイマスクを付け直して、再び眠りにつこうとする。

「おい、待て……」

 しかし、アイマスクを下ろそうとするカルラの右腕を、エドガーの右手が掴んだ。

 カルラは嫌悪感を顔に滲ませながら、エドガーを睨みつける。

「いくら、エドガーでも私の睡眠の邪魔をするなんて許さない……」

 そう言って立ち上がった彼女はエドガーの股間に向けて勢いよく右足を振り上げるようとするが、エドガーは全力で後ずさる。

「バッカやろう! おまっ、それはダメだろ!」

 そう言いながら、エドガーは立ち上がる。

「チッ、厄介な能力ね。全然、強そうじゃないのに」

「それは俺が一番気にしてるんだから言わないでくれ!」

 エドガーの能力はレジスタンスのメンバーの中でもパッとしないようなものだ。

「あ、でもエレオノーラよりは強いよ」

「そりゃあ、彼奴は戦闘向きの能力じゃないからな!」

 エレオノーラという少女がレジスタンスにはいる。その少女も能力持ちではある。つまりは元天使ではあるのだが、戦闘用の能力ではない。

「おい、カルラ! マジで止めてくれ! 俺がエドガーちゃんになっちまう!」

 必死にカルラの執拗に救助を狙う攻撃を避けながら、エドガーは叫ぶ。

「それはそれで面白そうだな」

 いつの間にかエドガーとカルラの間にはジョセフが入って、カルラの右足を右手で掴んでいた。

「えー……、ジョセフが来たらもうおしまいじゃん」

 そう言って諦めたようにアイマスクを付けて眠りについてしまう。

「ほら」

 そう言ってジョセフが眠ってしまったカルラをエドガーに渡してくる。エドガーはカルラをお姫様抱っこの要領で受け取る。

「おい、お前が持ってる方が良いだろ……」

 身体能力的にジョセフの方が苦にならない筈だ。そう思って抗議するが、ジョセフは気にする様子も見せずに先に行ってしまう。

「すぴー……」

 穏やかな寝息を立てているカルラは先程よりもどこか機嫌がいいように見える。それは求めていた睡眠にありつけたからだろうか。

「重い……」

 そう呟いた瞬間にエドガーの腹に衝撃が走った。

「ぐふっ……。起きてねぇか、コイツ?」

 そう思ってエドガーは抱えているカルラの顔を見るがそれはよくわからない。仕方ないと言うように、エドガーも基地の奥に向かい歩き出した。

 

 

 

「よし、全員揃ったな……」

 巨大な長テーブルがあり、一番奥にはアルフレッドが座っている。そして、六人がテーブルの横に置かれた椅子に座っている。六個の椅子があるはずなのだが、一つは余っているかのように空席である。

 何故か。

 それはカルラがエドガーに引っ付いて眠ったまま、目を覚まさないからだ。だが、誰もそれを咎めない。いつものことだったからだ。

「まず、私達はようやく神への宣戦布告を果たした。これより、戦いが激化する」

 アルフレッドが話を続ける。

「おい、アルフレッド。いつも思うんだが……」

 エドガーが発言をすると、アルフレッドは質問をした。

「何だ」

 それにより発言の許可を得たと認識したエドガーが続ける。

「カルラは寝てるけど良いのか?」

「別に問題はない。何せ、この会議は開かなくても良いからな」

 その言葉にエドガーは思わずため息をついた。わざわざ長テーブルを設置して椅子を置いて、会議を開く。その理由が何だ。格好いいから。

 ふざけているのか。

 そう思うが、レジスタンスの全員は割と頭がおかしかったりするのだ。

「まあ、各々気を付けてくれ。私達は堕天使として指名手配されているみたいだからな」

 それだけ言って、今回の会議は解散となった。

「よっ、ドミニク」

 先ほど会うことができなかったドミニクを見つけてエドガーが声をかけると、ドミニクは眉を顰《ひそ》めた。

「エドガーか……。何の用だ?」

 話すのが面倒なようで、不機嫌さを隠すつもりもないのだろう。

「いや、お前とはなかなか話さないと思ってさ」

 こうしてドミニクに声をかけたのは久しぶりに声をかける機会ができたからと言うものだ。

「用がないなら話しかけるな。鬱陶しい」

 そう言って舌打ちをしてドミニクは背中を向けてしまう。

「おーい、そんなんじゃ友達出来ないぞ」

 エドガーは余計なお世話だと思っても、そう声をかけた。

「俺は友達作りのためにレジスタンスに居るんじゃない」

 睨みつけながらそう言われて、エドガーはこれ以上、声をかけても無駄だと思い会話を諦めた。

「ねぇねぇ、ドミニクって暗くない……?」

 そんな声がして振り返れば、そこにはミニスカートに黒タイツを履いて、上はジャケットを着たヘソを露出した美少女が立っている。

 薄桃色の髪は一つに束ねられている。

「エレオノーラ……」

 名前を呼べば、こてんと首を傾げる。

「あ、そうだ! エドガーもこの後、一曲聴いてかない?」

「行くにしても、ちょっと遅れるかもな……」

 エドガーがそう言えば、エレオノーラはエドガーが抱えているカルラを一目見てから、再びエドガーに視線を向ける。

 その視線は何だか軽蔑をしているように思える。

「変態……」

 エレオノーラの口から出たのは軽蔑の言葉だった。

「ちょっと待て」

「眠っている女の子にあんな事やこんな事をしようとしてるんでしょ? エドガーの変態!」

「そんな事しないから!」

「……まあ、エドガーがそんな度胸ないのは知ってるよ」

 エドガーは目の前で笑う少女を見ながら、やれやれと溜息を吐いた。

「じゃあね、私も行くから!」

 そう言って彼女は笑顔で手を振りながら駆け出していく。それを追って赤髪の男性が一人、駆け出す。

「ああ、待ってよエレオノーラ!」

 それを横目に見ながらエドガーも自分に与えられた部屋に向かって歩き出した。




 どこまで続くかわかりません。続かなかったとしたら、それは私の能力のなさが原因です。カクヨムとは違って、ハーメルンではまとめて入れてます。
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