【黒子のバスケ】に転生しただけの簡単な二次創作です 作:騎士貴紫綺子規
……なんて。最後にクリスマスプレゼントもらったのって、いつだったか……ヤバイ。泣けてきた。
タイトル通り前篇です。続きはいつになるだろうか……。今年中にもう一話位は更新したいですな。
視点切り替え過多! ご注意を!
「続かない」といったとおり、続きません。なぜならこれは番外編だから!
『――一位はいて座! おめでとう、友達との再会があなたに幸運を呼び寄せるかも。懐かしのあの人に連絡を取ってみよう! ラッキーアイテムはバスケットボール!』
「……ん~……」
テレビから聞こえてくる声に耳を寄せていた男性は、ふとテーブルの上に置いてあるスマホを手に取る。そしてアドレス帳を開いて――
★ ★ ★
「おっはよ! 真ちゃん!」
八分音符でもつきそうなほど高揚している高尾に肩を叩かれながらユニフォームに着替える。痛いのだよ。
「遅いのだよ、高尾。もう五分前だ」
「
けらけらと笑いながらも着替える手を休めないあたりはさすがだと思うが、それでも眉間に皺が寄るのは仕方のないことだろう。
「おっはようございまーす!」
「
開口一番罵倒してきた宮地先輩に目礼をしつつ――持ってきたトランプを組み立てる。
「…………オイ。何だ、それ」
「トランプです」
「見りゃ分かんだよ。んなこと聞いてんじゃねえ」
「あ、宮地サーン。それ、今日のかに座のラッキーアイテムっス。トランプタワー」
「……よーし、ナメてんだな? ナメてんだろ?」
青筋を浮かべつつも笑顔な宮地先輩に否定しつつも作る手はやめない。……初めて作ったが、意外と難しいな。
トランプの枚数はジョーカーを含めて全部で53枚、それらを使ってできるトランプタワーの最段数は5段。人事を尽くすオレに不可能はない。
……と、三段目まで作り上げたところでふと思い出した。宮地先輩には聞きたいことがあったのだ。
「先輩」
「あ゛あ゛? つかお前さっさと練習――」
「サイン入りCD、持っていませんか」
今日のかに座のラッキーアイテムはトランプタワーだ。作るのには苦労するが問題はないだろう。家にもトランプくらいはある、基本娯楽は少ないが。
しかし明日は――
「あ? 明日のラッキーアイテムか?」
「はい。『有名アーティストの直筆サイン入りCD』でした」
あいにくとオレはテレビで見るのはニュースとおは朝くらいだ。歌番組などはほとんど見ないので、当然持っているCDはゼロ枚である。親にも尋ねてはみたものの、サイン入りはなかった。
「有名アーティスト? それって――」
「それって!
「何途中で入ってきてんだよ、刺すぞ」
ドリブル練習をしていたはずの高尾がいきなり話に加わってきたことで思わず体を仰け反らせてしまう。先輩も憎らし気に見ている。
「だって!
「引くわ」
目を血走らせてマシンガントークをかました相棒に、物理的にも精神的にも距離を取りつつも、その内容には驚いた。「万人から愛される存在」。そんなものが現実に存在するのかと考えたほどだ。
「……そこまで有名なのか?」
「お前知らねえの? マジで?」
意外にも宮地先輩は知っているらしい。詳しく聞くと、
「お袋と姉さんが大ファンなんだよ。オレは男のアイドルなんて微塵も興味ねーんだけど、みゆみゆが『尊敬する人』で推していたからそこから興味は持ったな。……サイン入りCDなら確か姉さんが前抽選で当てていたような……ちょっと聞いてみるわ」
と言って連絡を取り始めた。……話の節々で高尾が「アイドルじゃなくてアーティストっすよ!」とか何とか言っていたが、宮地さんは全無視だった。というか――
「宮地サンお姉さんいたんだ。弟いるのは知ってっけど」
「同感なのだよ」
後ろを振り返るとその弟が今まさに怒鳴り声を上げていた。相変わらずあの兄弟は二人とも喧しいし言葉使いが荒い。
さて。ようやく四段目が終わった。残る最後の二枚だ、人事を尽くすのだよ、オレ――と思っていると、ふと高尾が「し、真ちゃん……」と震えながら声をかけてきた。何なのだよ、一体。
「あ、あれ……」
高尾が指差した方を見たオレも同じく固まって目を見開いた。なぜなら――
「――ああ、そうだ。風邪ひいてないか? 最近涼しくなってきたからな。冬休みはこっちに戻ってくるんだろう、楽しみにしている。……ああ、あと、この間はありがとう、おかげで助かった。後輩も喜んでいたよ。それから――」
――オレは夢でも見ているのだろうか。
これまでかというほどに目尻を下げた笑顔で。
電話の相手を気遣っている。
「ヤベェ。気持ち悪い……」
真っ青な顔で呟いてしまった高尾に内心激しく同意する。俺たちが見たことのある彼の笑顔というものは、いつも目元に陰が差していて見た者全てを縮め上がらせるものばかりだ。そんなオレ達が、今の彼の笑顔を見て不気味に思うなという方が無理というものだろう。
「オイお前らとっとと練習…………って! 兄キ!」
固まっているオレ達に見かねたのか件の男の弟である宮地裕也先輩が視線の先のおぞましいモノを見て大声で駆けていった。
「兄キ! それ姉キからの電話だろ!? オレにも替われ!」
「バッカ、誰が渡すかよ! それにオレから掛けてんだ!」
いつも通りの表情に戻った宮地先輩とその弟。突然始まった兄弟喧嘩にほかの部員たちも何事かとこちらを向いてきて――あ。
「緑間、高尾。お前ら外周十周だ。宮地両人、お前らは練習3倍。四人とも、朝練中に終わらせるように」
……今日は厄日なのだよ……。
★ ★ ★
朝っぱらから外周十周という鬼畜所業をやらされて帰ってきたらもう授業始まる時間ギリギリという散々な目にあわされて始まった本日。今日は真ちゃんの調子がどうも悪い。まあラッキーアイテムがトランプタワーな時点で持ち運びが不可能な状況に追い込まれているのは分かっていたのだけれど。もうボンドや接着剤でくっつければいいんじゃねえ? 形が残ってさえいれば問題はないだろうと言うと「そういう問題じゃないのだよ」と怒られた。つーか真ちゃんも、タワー造るだけなら二枚でいいじゃん、何も1デッキ丸々持ってくることはないだろうに。
放課後、体育館に行く途中で、ふと今朝の事件(と言っても差支えないだろう事柄)を思い出していると同時に恐怖映像が浮かんできて慌てて頭を振り払った。ということで、道中に出会った大坪サンに聞いてみることにする。
「大坪サーン! お供しまッス!」
「高尾か」
ちらりとこちらを一瞥してまた何事もなかったかのように歩き出す大坪サン……ちょっとは面白い反応を期待したい。真ちゃん程とは言わないにしても。まあでも、あの厳格そうな表情は滅多なことでは崩れない気もするが。
「朝の宮地サンのことなんスけど、」
「あれか……」
話しをふるとあからさまに顔を歪められた。「あいつも
「宮地サンにお姉さんがいたなんて話、初めて聞きました」
「ああ、お前らは知らないか。中学時代は有名だったんだがな」
そういって携帯を取り出して何やら操作したかと思うと、画面をこちらに向けてきた――写真?
そこには制服を着た三人の少年少女たちが写っていた。二人並んで立っている男女のうち、男の方は今よりずっと若いが大坪さんだろう、そして彼の隣にいる金髪の美少女の持っている筒のようなもので殴打されて地面に倒れているのが、金髪具合から見ても宮地サンで――え? ちょっと待って。
「え゛、この女の子がまさか…………」
「そのまさかだ。宮地直美、れっきとした宮地清志の双子の姉だ」
「双子!?」
嘘だろ、と思わず溢してしまう。だって見えない。まだ妹や、近所の子供と言われる方が納得できる。なぜなら――
「だってこの子、どう見ても小学生ですよ!?」
そう、制服こそ着ているが、彼女の身長は大坪先輩の腰ほどしかない。卒業式の写真のようだから時期的にはおよそ三年前、今でこそおよそ二メートルという身長はこのころだとまだ百七十後半くらいしかないらしいし。……そんな先輩の、胸と腹の間くらいしかない身長の双子って一体……?
「それ本人に言うと、死ぬぞ? 三重の意味で」
「三重?」
「まず本人に殺されて、その後運よく生き残ったとしても宮地――ああ、弟二人に殺される。それこそ、息の根が止まるまでな」
「あー……」
宮地兄は言わずもがなだし、あの反応から見るに、弟の方も相当なシスター・コンプレックスを患っていそうだ。
「でもこれ、三年前の写真じゃないっすか?」
「…………そうだな。ちなみに先日本人から電話が来たんだが……」
「だが?」
「『女性の価値は見た目じゃないよね! ちょっと、ちょっと小柄の方が「守ってあげたい」オーラ出しているよね!』と、言っていた――――泣きながら」
あ。
察してしまった。
オレはすべてを理解した。
「そのせいで中学時代は良い意味でも悪い意味でも有名だったんだ。この容姿だからな。告白されることも少なくなかったんだが――」
「弟たちもそうですけど、外聞的にですよね」
「ああ」
好きで告白して付き合う、のは別に問題ないだろう。当人たちが納得しているのであれば、それは微笑ましいカップルになるはずだ――――通常ならば。
しかし、彼女を恋人にした場合、まず間違いなくその彼氏のあだ名は「ロリコン」になるだろう。遊園地で仲睦まじく手をつないでデート、という光景も、傍から見ると、『高校生ぐらいの男が幼女の手を引いて様々な食べ物を買い与え遊園地のアトラクションに乗っている』となってしまう。被りたくもない汚名を着せられることになるのだ。なにその
そこでオレはふと思い至った。なぜそこまでの存在を今まで気づかなかったのだろうか。
「…………弟二人が
それに気づいた宮地――この場合は、兄である清志サンの方だ――が、入学式に大暴れしたらしい。それを大坪サンが直美サンにこっそり知らせたところ、
***
From ストッパー
あ、じゃあ、やっぱりしばらく帰るの止めとくわ。
あとヨロ (人°∀° ) ♡
***
と、返信が来たらしい…………さすがにそこまでは宮地兄には教えなかったそうだが。
――――と、そこで、ちょうど体育館に着いた。大坪サンと一緒に部室に入ると、物珍しげに真ちゃんが目を見張る。
「意外なのだよ。高尾と大坪先輩が一緒だなんて」
「真ちゃん酷いー!」
「うっせえよ、高尾! 刺すぞ!」
真ちゃんをからかい宮地先輩に怒鳴られつつ着替えて部室から出る。しばらく練習していると監督が来、いつも通りミーティングをしてから練習を再開するはず、だった。
「――あと、今日の練習には特別コーチを呼んである。入ってくれ」
その言葉を聞いたオレの全身になぜか鳥肌が立った。あれ、今日おは朝何位だったっけ……?
――そして聞こえてきた声と見えた顔に、オレは今すぐに気絶したくなった。
「む? 投稿してから六時間以内で見られただと? 今はもう、もしくはまだ、寝ている時間じゃないのかね? 良い子の皆。……まさか! 君は良い子じゃないというのかね!? それはいかんな。そんな君には――」
「この私! サンタクロがプレゼントだ! 喰らえ!
『ぐわああぁぁぁぁ……!』
……お目汚し失礼。今年はほとんど更新できなかった……。なお、質問は一切受け付けません。ファンブック第二弾を読んだ方なら答えは分かるので。読み返して思ったけど、主人公がほとんど出ていないという罠。