ロボ娘とヒーローアカデミア 作:ロボ娘
理由は後書きにて
2月中旬、雄英高校入試1週間前となった。
12月にマスターから緑谷様へ
しかし、それはあくまでも、壊れないだけだ。戦闘に使えるようなものではない。相手によっては"固定砲"として、使えるとは思うが、それでもまだまだだ。
増強系の恐ろしいところは、人間の身体能力を全て上げる事にある。破壊力、移動能力、回避力、それら全てを持続的に強化する事による汎用性の高さだ。
けれども、緑谷様はそれを生かし切れていない。
彼は"個性"というものに慣れていないからなのか、技として使用しているのだ。
回避、攻撃、など、その都度一つの動作を強化している。そのため、発動するという工程で遅れが出るし、咄嗟の動きに対応できない。
そして1番の問題が、発動する溜めや動きで、その後の行動や組み立てが予測できてしまうことだ。
おそらく指摘すれば、彼のことだ、すぐに修正するだろう。
しかし
『緑谷少年にはあまり答えをあげないで欲しい。相談されても、ヒントに留めてくれないか? 自分で考えることに意味があると思うんだ。』
マスターはそう言っていた。
そのため、出来ることはただ、彼が考えられる土俵を作ることだけだ。
いつもの海浜公園で、いつも通りに組み手をする。
マスターは雄英の入試関連の仕事が忙しいため来ていないが、基本的にいつも通りだ。
以前と違うのは、私の出せる出力がマスターの権限で上昇していることと、緑谷様が"個性"を使用していることだ。
現状、一瞬だけの使用ならば彼の身体は約15%の出力まで耐えられる。しかし、戦闘中、狙って決まった出力を出すことはいまだに出来ない。
戦いながらでは、だいたい2から5%ほど、ズレてしまう。
そのため、安全に出せるの最高で10%までだ。
「スマッシュ!」
緑谷様は拳を振りかぶる。
10%から13%ほどの出力だろう。
おそらく、10%狙いの現状本気の一撃だ。
本来の出力の10分の1だが、それでも直撃を受ければ、いくら私でも、それなりのダメージを受けてしまう。
けど、そんな心配はない。
"個性"の発動時に緑谷様は一瞬の隙が生まれる。さらに、発動中は正拳突きや、回し蹴り、など、単純な動作しか出来ない。複雑な動きだと制御が出来ないのだ。
いくら威力は必殺でも、トップなくても、経験を積んだヒーローならばかわすのは容易だ。
———ブーストステップ
右足で地面を蹴ると同時に、人でいう
先ほどまで約2メートル離れていた緑谷様との距離をゼロにまで持っていく。その瞬間、私の背中に緑谷様の突きが起こした風圧が伝わってくる。
「緑谷様、格闘においてゼロ距離というのはほぼ何も出来ない状態です。」
「———-っ!」
絞め技を放つ場合や、
それは、
肘打ち、膝蹴り、頭突き、全ての攻撃を形になる前に押し留める。
マスター並みの"個性"の出力が有れば別だが、高くても15%に満たない、今の緑谷様ならば、攻撃の形にさえしなければ押さえ込むのは容易い。
「スマッシュ!」
緑谷様は
しかし、肩を掴み動きを止めて、足を払う。そして、そのまま背後に回り裸絞めをかける。けれども、完全には技を決めずに形だけで留める。
激しく動いたためなのか、緑谷様の心拍は異様に早く、体温も高い。
「これで、終わりですね。少し休憩にしましょう。」
「は、はい。」
完全に落とさず、手を離すといつもどおりバタリと緑谷様は倒れた。
絞め技の影響ではなく、単に疲れからだろう。
既に緑谷様のつけている重りは合計で80キロだ。そんな重りを背負い動き回っていたのだから、倒れても仕方がないだろう。
というよりも、倒れるくらいを目安にしている。
息を整えた後に緑谷様はゆっくりと立ち上がった。
「どうしたのですか?」
「……そうか、間に合わないなら、はじめから……。そもそも、アンの力は常に人間離れしてる。それに対応するには僕自身……。冷静になってみればオールマイトも多分、常に……。制御は難しくなる……。身体はの負担も……。10%いや、5%以下ならもしかしたら?」
何やら、緑谷様はぶつぶつと言いながらいまだに残るゴミ山の方へ、向かい始めた。よく見る光景だ。
しかし、今は休憩時間だ。
「緑谷様、休憩時間です。」
声をかけても反応せず。残り少なくなったごみ山の前に立った。
それだけ集中しているのだろう。何かに深く集中出来るのは彼の長所だが、自分の世界に入るのは短所だ。
将来的に無視をされたと思い不快な思いをする人も出てくるかもしれない。私には不快に思うなんて感情はないから問題ないが、将来が不安だ。
「———ワン・ファー・オール」
そのまま緑谷様は私を無視して"個性"を発動した。
しかし、普段と異なり全身全ての強化だ。目算にして出力は2%以下だ。
全身を均等に強化できている訳ではないので、部位によっては
しかし、これで戦闘での"個性"を発動する、という遅れを減らすことができる。
また、感覚的な強化倍率はおそらく、出力のパーセンテージ以上に跳ね上がっているだろう。
もともと、一言に殴るという動作でも、腕や手だけの力ではなく、肩、腰、足、全身を使っている。
正確な倍率、出力はきちんと計算しないと分からないが、腕だけを高レベルに強化するよりも、全身を低レベルに強化する方が、最終的な威力は高くなる可能性もあるだろう。
それはそれとして
「緑谷様、休憩時間です。オーバーワークは身体を壊します。」
止めるべく緑谷様の肩を叩く。
私が声をかけたことに驚いたのか、緑谷様は"個性"の制御を誤ってしまった。
目算で30%ほどだ。
一瞬で、強化しただけで力を入れて動かした訳ではないが身体の許容を超えた出力。さらに、身体の1箇所だけではない。
激痛が全身を駆け巡っているだろう。
「———-っ!」
それにより、緑谷様は声にならない悲鳴をあげ、四つん這いに倒れた。
見たところ酷い怪我はしていない。
このまま放置しても問題はないだろうが、しばらく特訓は無理だろう。
「緑谷様、休憩時間はもう直ぐ終わりますが、延長しますか?」
私もしゃがみ四つん這いになっている緑谷様と視線を合わせると、彼はコクリと頷いた。
その後、緑谷様の特訓は順調に進み、雄英高校入試前日となった。
「緑谷少年、フルカウルにも慣れてきたみたいだね。」
マスターはフルカウル(全身を強化する状態の名称)でゴミ掃除をする緑谷様をみて言った。
マスターは今年から雄英の教員になる。今日は入試前日で、忙しいはずなのに無理やり時間を作って来たのだ。
「はい! まだ、"
長時間は2%、数十秒単位なら8%、一瞬なら10%、痛みを我慢すれば15%まで安全に上げられるようになっている。
緑谷様の制御能力では15%は少しでも制御を失敗すると、許容オーバーとなってしまう。落ち着いて集中できる状況だったり、サポートアイテムを使えば何の問題もなく使えるが、現状、実戦ではかなり限られた状態でなければ使えないだろう。
「では、緑谷少年。アンから最高で15%を使えると聞いた。どういう風に感じた?」
マスターによれば、15%を超えるとその力で空気を弾き遠距離攻撃が可能になるという。
「えっと、制御に集中しててあまり……。えっと、たしか、風圧が凄くて、土煙がいつも以上に起きてたと思います。」
「その通りだ! 緑谷少年。
その言葉に従い緑谷様は海の前に立った。
そして、右腕のみ力を発動させる。"個性"の出力はみるみるうちに上昇してジャスト15%となる。
戦いながらだとまだ、精密な制御は出来ないが、落ち着いて集中できれば問題ない。
「スマッシュ!!」
その叫びと共に緑谷様は拳で虚空を殴った。
その瞬間、空気が弾けた。
弾けた空気は弾丸のように飛び、水飛沫を起こした。
遠距離攻撃と考えると、威力としてはあまり大きくはない。
それどころか、近年の小学生の"個性"の方が強力な空気弾を飛ばせる場合もある。それくらいの威力しか出ていない。
しかし、それでも、出来ることが多いに決まっている。
「遠距離攻撃。今の緑谷少年だとあまり大きな威力は出ないが、それでも、使い方次第では武器になる。入試でも役に立つかもしれない。」
そう言われると緑谷様はギュッと拳を握った。
その拳は少し震えている。
「………はい、必ず受かってみせます。」
「HAHAHA! 硬いぞ、緑谷少年。緊張も大事だが、しすぎるのも良くない! そうだ、アン、10ヶ月前の写真を出してくれ」
「了解」
——-画像データ検索
——投影
まだ、少し残るゴミ山にある業務用冷蔵庫に左目を向ける。眼球をカメラから投影機能のあるものへと、グルリと切り替える。
そして、私たちと出会った頃の緑谷様の写真を業務用冷蔵庫へと投影する。
「ぷ、プロジェクター?!って、僕?」
緑谷様の叫びは無視してマスターは話を続ける。
「見たまえ、これが10ヶ月前の君だ。器を作るどころか、使いこなしてる。安心しなさい、君は強くなってる。」
「……はい!」
緑谷様は力強く頷いた。
しかし、それは間違いだ。いや、間違いではないかもしれないが、明らかに足りない。
マスターから緑谷様を任された以上、妥協は許されない。たとえ、マスターが満足するレベルであっても、緑谷様を強くしなくてはならない。
それが、オールマイトの後継者だと思う。
「いいえ! 緑谷様。マスター、受かるだけでは足りません。私の持てる力全てを使い教えたマスターの後継者です。入試トップで合格。それ以外、選択肢はありません。」
「と、トップ!?」
「って、アン、そんなプレッシャーをかけなくても……。」
プレッシャー。そうかもしれない。
だが、マスターは甘い。
マスターの後継者として恥のないヒーローにするには、トップで入学し、在学中の成績も全て1位を取るくらいでないといけない。
「No. 1たる、マスターの弟子ですよ。それくらいして貰わなければ困ります。」
それに、緑谷様は強くなっている。
限定的であまり使い物にはならないが遠距離攻撃が可能で、パワーもスピードもある。いうならば近距離よりの万能型だ。
索敵能力には難があるが、緑谷様の頭の回転の速さならばそれくらい補えるだろう。
それらを加味すると、彼ならば高校の入試くらいならばトップで通り抜けるだろう。
こうして、入試前日の特訓は終わった。
マスターは家へと帰らず、そのまま雄英へと出かけてしまった。どうにも書類仕事には慣れず、まだ残っているという。
普段ならば私がやってしまうのだが、雄英高校には仮にも生徒という立場に収まるため、高校の仕事は簡単には手伝えない。
入試当日も同じだ。
すでに入学の決まった生徒が入れるわけが無い。たとえ入れたとしても、見学なんて出来るわけがない。
推薦に受かった生徒が、一般受験に立ち会う。そんなことができるわけがない。
マスターのサポートアイテムとしても同様だ。
実技試験の映像はいわば採点基準。筆記試験でいうところ回答用紙みたいなものだ。教員が個人のスマホで試験の様子を撮影できないのと同じで私が閲覧できるわけがない。
ということは、私は緑谷様の実技試験の様子を見ることは一生叶わないのである。
どうでもいいですが、この物語で1番強化されるのはデクではございません。別のキャラが強化される予定です。お楽しみに
遅れた理由と言い訳。
元々、書いた話では、主人公がオールマイトに連れられてデクの入試を見学する内容でした。
しかし、書き上げた段階で、「あれ? 試験を見学するのおかしくね?」って、思ってしまいました。
(もともと、この主人公はほとんど裏口入学みたいなものなのは気にしない)
それが、気になってしまって慌てて書き直しました。
この回ではデクの現在の能力を示したかったので、こんな内容になってしまい、遅れてしまいまし。
すんません
番外編として三人称なり、デク目線なりなりでやっても良かったけど、これはあくまでも、アンとうロボットの物語なので端折ることにしました。
・ブーストステップ
アンの関節にはピストン運動が出来る機構が付いている部分がある。
そのため、瞬間的に素早く力を出すことが出来る