ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~
「あら?」
「どうしましたの、わたくし?」
「黒い渦みたいなのに突撃させたわたくしと連絡が取れなくなりました」
わたくし達の目の前に現れた黒い渦。そこに分身体を送り込んで調査させたのですが、これはこれで面白そうですわね。
「いいんですの?」
「構いませんわ。どうせもう時間が少ないわたくしですもの。こちらも消費した時間を集めないといけませんし、些事に構っていられませんわ」
わたくしに後ろから抱き着いてくるわたくし。彼女に話しながら、黒い渦の方を見ると段々と閉じていきます。白の女王と戦ったせいで空間も時間も不安定になっております。これはこれで面白い事が起こりそうですわね。
黒い渦を越えた先は不思議な場所でした。どうやら異世界のようですわね。訪れた直後に複数の人達が襲い掛かってきたので、彼等を処分しました。少し強い精霊も居ましたが、そちらも衰えているとはいえ只人に負けるわたくしではありませんわ。
「さて、ここは……あらあら、素敵な場所ですわね」
周りを確認すると壁には培養液に入れられた不気味な胎児。手術台の上には幼い子供が乗せられ、身体のあちこちから血液を垂れ流してすでに事切れていますわね。その子の身体は精霊の胎児であろう物と融合させられているようで、身体の中に歪な二つの力が入っています。その二つが拒絶反応を起こして死んだようですわね。
その子だけでなく、実験体にされたのは複数の誘拐されたであろう子供の死体が積み上がっています。そもそも普通にやって種族すら違う精霊と人の融合などほぼ不可能です。わたくし達のように
『許さない』
『なんでこんな事……』
『助けて……』
なるほど、殺された子達の絶望と憎悪が精霊に影響して性質を反転させようとしていますね。ここの連中はこれらも狙ったのですね。反転した精霊、魔王との戦いはひどく大変でしたし……ムカつきますわ。
「帰る方法も、力もありませんし、このまま消えるしかありません。でも、癪ですから、嫌がらせも兼ねて楽しませてもらいましょう。何れわたくしもこちらに来るかもしれませんし……プレゼントを仕込んでおきますか。それにこの子達も随分と恨みを持っているようですしね」
死体の中から良さそうな子を選んで精霊の胎児達を全て使用します。わたくしの劣化した部分を融合させた精霊の胎児で補いましょう。この世界は霊力が豊富ですし、肉体を戻して……わたくしの体内に入れますの。あとはここにあの方のDNAを入れて掛け合わせ、使えそうな人を探します。ギリギリ生き残っている死に掛けの子供の記憶をオリジナルから貰っている
まさか、まさか、わたくしと同じ異世界の魂があろうとは……ましてやわたくし達の世界を見て、わたくしのファンになる方とは……気持ち悪いですわ。ぶち殺してやりたいのですが、もう死んでいますし……それにこれは僥倖ですわね。このまま愛せなくても、子供としてならできます。それにこの世界以外の知識はアドバンテージになるでしょう。
「完了ですわね。後は外に行きましょうか」
お腹を撫でてから生き残りの子達を治して差し上げてから連れて外に出て、その子達を解放してあげてからしばし異世界を堪能します。とりあえずじゃが丸君というのを食べてからこの異世界の街を堪能していきますの。
次第に苦しくなってきましたので、わたくしは裏路地に入り、準備を整えますわ。時間も残り僅かなので最後の仕上げです。わたくしの身体と胎児を融合させ身体を作り直します。ああ、本当に楽しみですわ。
彼の知識から何れこの世界に皆さんがやってくる事は確実。その時のわたくしとあの方の反応がとっても楽しみですわ。どんな表情をしてくれるんでしょうか?
特に彼女達は暴走するでしょうね。それを見るのもまた楽しみです。わたくしは愛しい子供の中からゆっくりと特等席で楽しませていただきましょう。
◇◇◇
「ある日♪ ビルの中♪ 気が付けば~中世ヨーロッパ~♪ TS幼女になっていたですの♪ ザッケンナコラー!」
ガラスに写る姿はまごうことなき七歳ぐらいの幼女。黒色のフリルがあしらわれた赤色のワンピースドレスを着た可愛らしい黒髪ツインテールだ。頭には赤色のヘッドドレスまであるから完全なゴシックロリータの分野にある赤ロリといった感じ。とても似合っていて、胸の下にあるリボンもアクセントになって可愛らしいのでグッド。
ここまではただの可愛らしい、美少女の幼女ちゃんでまだ問題ない。問題は瞳が深紅のような瞳と黄金のような瞳のオッドアイだろうということ。また、左にある可愛らしい黄金ちゃんの瞳の中には時計の文字盤があり、針までしっかりと動いているものとする。
「どうしてこうなったァァァァァッ!」
思わず叫び声を上げると周りから視線が集まってくる。ソイツ等は武器とか持っていて、明らかにファンタジーな感じ。だって、ケモ耳とかエルフ耳とかの人も居るしね。正直、大好物です! モフモフハムハムしたい!
「可愛らしいお嬢ちゃん。おじさんといい事しない?」
「迷子かな? お兄ちゃんがいいところに連れていってあげるよ!」
「ぜひ私の家族に!」
「ひっ!?」
「待てやっ! この幼女はうちがもらっ!」
身の危険を感じたので逃げるが勝ち! そんなわけで脱兎の如く逃走です。
「逃げたぞ! 追え!」
「ヤバイ! あっちはまずいで!」
路地に入り、適当に走っているとドンドン道が入り組んできていて、わからない。追手がやってくるので、木箱に隠れてやり過ごし、また走る。それを繰り返すスニーキングミッションをどうにかやり遂げたけれどガチで迷った。
空もだんだんと暗くなってきたし、お腹も減ってきたし、正直泣きたい。いきなり気が付けば幼女にされて変態共に追いかけ回されるなんて悪夢だ。
「むしろ、本当にどうしてこうなった……?」
記憶を整理してみよう。とりあえず朝起きて、パソコンつけて狂三ちゃんまとめ動画をエンドレス再生して聞きながら、食事と着替えをして外に出たら……地震が起きたんだ。そこで近くの子供に操作を誤ったのか、車が突っ込んできたので弾き飛ばした気がする。
そこで多分死んだんだろう。つまり、これは神様転生的な奴なはず。多分きっとそう。そうじゃないと色々とおかしい。異世界TS転生とか、そうでもないとありえない。きっと手紙とかが服の中にあるはず……ない。不親切だ。まあ、貰った特典は予想できる。
この身体の瞳から時崎狂三の幼女バージョンだという事は確定だろう。デート・ア・バレットで異世界に迷い込んだ彼女が幼女になっていた姿と同じようにも感じる。つまり、巨大な時計の形をしており、時間を操作し、自分自身を複製する事も出来る天使
時間を消費しなければ力を行使できない狂三にとっては不可欠な能力と言える。そうじゃないとすぐに寿命が尽きて死んじゃうから。
「物は試し……
声に出して言ってみても反応しない。なら武器である霊装はどうかと試してみるけれどこちらも出ない。つまり、この身体は可愛いだけのただの幼女だった?
本当にどうしてこうなった……チートもないただの幼女が中世で生きていけるはずないだろ! いい加減にしろ! 行き着く先は奴隷や娼館とか、良くてホームレス! 超幸運に恵まれたら保護されるかも……どちらにしろ食い物にされる可能性は高い。
「とりあえず動こう」
テクテクと歩いて人通りの多い所に進んでいくこと、数十分。大通りに出ない。そんな時、呻き声が聞こえてきた。そちらに向かうと、小さな女の子が蹲っていた。どうやら生きているみたいだ。残念。死んでいたら荷物を貰ったのに
「大丈夫、ですか?」
「……こほっ、こほっ……」
殴られたのか、咳き込んでいるので背中を撫でてあげると、しばらくして呼吸がましになってきたみたいで顔を上げてきた。彼女はこちらの姿を見るなり、嫌な目で見て来た。まるで獲物を見るかの様な目だ。
「言っておきますけど、お金なんてありませんよ。生憎と絶賛迷子中で、家も何もない根無し草ですからね」
「その格好で?」
「知りません。幼女趣味の変態が用意したのでしょう。私は気が付けばこの街に居て、途方にくれていただけですから。というわけで、助けてあげたので寝る所を貸してください。貴女も同類でしょう?」
「私が同類、ですか……」
「根無し草じゃないんですか?」
「違います!」
「それはごめんなさい。それなら、大通りに案内していただけるだけでもいいですが……」
「いえ、もう遅いので寝床も提供します。こっちです」
ヤバイ感じもするけれど、どうしようもないのでついていこう。どうせ夢だ。夢だという事にしておこう。夢だったらいいにゃあ……それに利用できる。
◇◇◇
彼女に連れていかれたのは大きな建物でした。その中には飲んだくれの人がいっぱいいて、なんだか凄く怖い場所な感じがする。視線がいっぱい集まってきますが、彼女は気にせずに私を奥に連れていく。
「団長。迷子の貴族様です。家に届ければお金になります」
「ほう」
団長と呼ばれた男はこちらにやってきて、何故か少しも汚れていない私の服を上から下まで見てくる。
「良くやった。何処の貴族か聞き出せたか?」
「そこはまだです。逃げられる前にここに連れてきたんですから」
「わかった。ではこちらで預かろう」
そう言って彼女は私の腕を彼に渡した。私は彼女を見ると、ニヤリと笑っていた。
「信じるから馬鹿を見るのですよ……」
「いえ、はなっから信じてませんが」
「え? なら何で付いて来たんですか?」
「妥協ですが?」
「だ、妥協?」
「言った通り、
ニコリと笑ってあげると、ビックリした表情をしている彼女。そんな彼女を置いてクルリと回って団長と呼ばれた男性の方を見上げる。
「さあ、私が何処の誰で、どのようにしてこの街に連れてこられたのか、探してくださいな。報酬は貰えるかもしれません。保障はしませんけどね」
「……名前は?」
「覚えていませんが、まあ仮にくるみとしましょ」
「ソーマ様に確認する。来い」
「はい」
連れて行かれた先で、黒髪のなよなよした男性がいました。彼はこちらを一瞥しただけで興味が無さそうな感じだ。
「ソーマ様、彼女について聞きたい事があります。彼女の言葉が真実かどうか、お教えください」
「……面倒……」
「お酒を造るために必要な事です」
「……わかった……」
それから、団長さんの質問に答えていくけれど、嘘についてはバレた。どうやら、このソーマという人は本物の神様で、神様は嘘を見抜くらしい。なので、真実を混ぜて異世界などは誤魔化しつつ、何故ここに居たのか、私が誰なのかはわからないと言った。ただ、名前は多分くるみだとも。
「ザニス、彼女と二人っきりにしてくれ」
「ソーマ様?」
「いいから、これは命令だ」
「……わかりました」
団長さんが渋々出ていくと、ソーマ様は立ち上がって私が座っている所までやってきた。そして、両手で顔を掴んで瞳を左目に近付けてくる。
「え、いや、そういうのは困ります……」
「お前、
「え?」
「いや、正確には半分精霊か……身体は人間だが、その左目には精霊の力が、精霊その物が入っている感じがする」
「
何故か口から出た言葉が勝手に変換された。怖い。ガチで怖い。
「先程の言葉に嘘はなかった。だったら、お前は死んだ。おそらく、精霊と人との融合実験でもしたのだろう。その身体の持主と精霊は死んで、混ざった物が出来たか、まったく別の物が生まれたか。どちらにしろ、コレを飲んでみろ」
「はぁ……」
貰ったコップを飲むと、凄く美味しかった。極上の美酒と言えるもので、身体がポカポカしてくる。
「これ、お酒ですか?」
「やっぱり、普通に飲めるか」
「ええ、美味しいお酒ですわね。気に入りました。おかわりを所望します」
「ああ、いいだろう」
ソーマ様はグラスを二つ用意したので、こちらも注いであげて一緒に飲む。とろける甘さがあり、病み付きになりそうなほど美味しい。
「これ、もっと欲しいなら、瞳を差し出せと言われたら差し出すか?」
「は? 断固拒否ですが? なんでお酒のために身体を差し出すんですか? お酒は嗜好品。身体の方が大事ですのよ?」
「……」
「確かに美味しい事は美味しいですし、また飲みたいのでお金に余裕があれば貯めて買いたいと思いますが、身の破滅をしてまで買うつもりはありませんわね」
「わかった。くるみだったか、行く当てがないのなら、私のファミリアに入るか?」
「ファミリア、ですか?」
「そうだ」
この世界では神々がファミリアというグループを作り、人々に神々の恩恵を与えてステイタスを強化するらしいです。それによって人は新たなるステージへと進む。オールドタイプがニュータイプやエックスラウンダー、イノベイターなどになる感じらしい? え? 違う? そうなんだ。
「どちらにしろ、重要なのは君が魔法を使えるようになる可能性が高いという事だ。今の状態では人と精霊の融合はできても、力を発現する事はできていない」
「なるほど、そういうことでしたか。では、よろしくお願いします」
「じゃあ、脱げ」
「え? 変態ですか?」
思わず身体を抱きしめてドアへと下がる。幼女趣味の鬼畜外道な野郎だった?
「背中に
「なるほど、わかりました」
肩紐を外して服を降ろしてベッドに横になって背中を見せる。可愛らしい乳首とかが見えたので、慌ててしっかりと寝転がる。冷たい物が背中に触れると身体中に激痛が走った。特に左の瞳からの痛みが強い。噛み合っていない物を無理矢理嚙合わせるかのような感覚に悲鳴をあげる。
「終わったぞ」
「はひぃーっ」
起き上がって肩紐を直して服を整える。ベッドは色々と汚れてしまっているけれど仕方がない。
「これがくるみのステイタスだ」
渡された紙を見ますが、読めません。なんだこの変な文字は……日本語で書け、日本語で。
「読めないので、書ける物とペンを貸してください。書き写します」
「口頭でいいだろう」
聞いた限りではこんな感じだった。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖
【くるみ・ときさき】
レベル1
力 I 0
耐久 I 0
器用 I 0
敏捷 I 0
魔力 I 0
【魔法】
「
【
【
【
【
【
【
【
強力な分消費する時間は多め。
【
【
【
【
【
魔力と寿命を消費して発動する。発動には基礎コストとして十日を消費する。また、発動する魔法の数字が上がるにつれて十日ずつ関数で消費が増加する。
「神威霊装・
歩兵銃と短銃の二丁拳銃を物質化する。攻撃に使う銃弾は物質化した影で出来ている。
【スキル】
「時喰みの城(0)」
周囲に影を張り巡らせ、自らの影に異空間を作成する。影に触れている存在の時間を吸い上げる。異空間の中に沈んで移動や潜伏ができる他、特定の人物を引きずり込んでの捕食や保護も可能。作成には寿命を一年消費する。寿命を一年消費するごとに異空間の広さを拡張できる。一メートル四方、一年ずつ増やせる。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖
ザ・狂三ちゃん! ガチチートです、ありがとうございます! ただ、寿命を使って制作する所から始めないといけない。というか、
「神威霊装・
発動しようとしてもうんともすんとも言わない。
「時喰みの城から作らないと駄目なのではないか?」
「なるほど。ちなみに私の寿命ってどれくらいかわかりますの?」
「しらん」
「デスヨネー」
仕方ない。最低の一年を消費しよう。それに神様なら寿命は存在しないはず。きっと多分。寿命がないなら奪えない可能性もあるけれど、気にしない。きっと一年くらいなら大丈夫!
長ったらしい詠唱をして時喰みの城を発動。一年の寿命を消費する事で一メートル四方の影の異空間を作成できた。続いて神威霊装・
「問題ないようだな」
「はい。それじゃあ、寿命ください」
「……まあ、やってみるといい」
「時喰みの城、展開」
展開した時喰みの城でソーマ様を囲ってみますが、効果なし。寿命が増えた気もしない。無限ではなく、存在しないのだから無理みたい。残念無念。
「
「ですね。ダンジョンに潜っていっぱい稼ぎましょう」
「好きにしろ。ただ、酒の改善点があれば教えてくれ」
「お酒ですか。ワイン、蒸留酒、日本酒など色々とありますが……全部作ってみるのもいいかもしれませんね。スランプに陥っているのなら、別の物に手を出して発想を得る方法もありますわ」
「……確かにそうだな。金が要るか」
「お酒を売ればよろしい。充分にお金になるはずですから」
「ザニスに相談してみよう」
「それと泊る部屋を用意してもらってもいいですか?」
「……ここで寝ればいい」
「え、嫌ですけど。だって布団が……」
「誰かに掃除させろ。それから、この部屋は好きにしろ。私は別の部屋で寝る。世話係も用意するように言っておく」
「あっ、ちょっ!?」
ソーマ様が出ていってしまったので、仕方なく私も外に出ます。外に出ると、見覚えのある少女がこちらを見詰めていました。
「貴女、お名前は?」
「えっと、リリはリリです……」
「ボウケンシャーですか?」
「サポーターですが……」
「サポーター?」
「ダンジョンで荷物持ちなどをする役割です」
「なるほど。では、貴女に決めました。ソーマ様、この子を私の世話係にしてください。同じ女の子ですから、構いませんよね?」
「ああ、好きにしろ」
「ソーマ様?」
「彼女は特別だ。それよりも酒作りに関してだ」
あちらは何か揉めていますが気にしない。
「さあ、神様の許可は取りました。来てください」
「え、えっと、リリに何をさせる気ですか?」
「まずは掃除ですね」
部屋に連れていってベッドを見せると、何とも言えない表情になったけれど、すぐに何かを悟ったのか、大人しく片付けてくれた。聞かないでくれて良かった。もちろん、私も手伝います。
「えっと、次はどうしますか?」
「ご飯を食べて寝ます。一緒に食べましょう」
「お金は……」
「ソーマ様から貰ってきましょう」
「待ってください! 本当に待ってください! リリが用意してきますから!」
「わかりました。では、お願いします」
「……はい……」
椅子に座って残っていたお酒を飲みながら待つ事数分。女の子が急いで帰ってきました。その手にはホカホカの芋っぽいものがありましたとさ。
「それは?」
「じゃが丸君です。それよりも本当にリリも食べていいんですか?」
「構いませんよ。それに明日から一緒にダンジョンとやらに潜るのですから」
「本気ですか? お嬢様が?」
「大丈夫です。ふぁるななる物ももらいましたし、スキルも魔法もあります」
「あ、そうですか……ソーマ様のお気に入り……いえ、愛人になっただけでは……」
おかしい。彼女の目が死んだ。でも、きっと大丈夫。不安なだけだろう。私が守ればそれでよし!
「必要な物は全部任せます。撤退のタイミングもお任せしますから、そちらのペースでお願いします」
「それなら、まあ……武器は何を?」
「これです」
影から小銃を取り出すと、かなり驚いたようだが、すぐに呆れた表情になった。
「銃は単発なら強力ですが、連射はできません。ダンジョンには向かない武器です」
「連射できますよ。これ、魔法の武器ですから」
「えっと?」
「ですから、魔法で作った銃であり、弾丸も魔法です。連射も魔力が続く限り、可能だと思います」
「……わかりました。まずは試しましょう」
「それがいいですね」
庭に出てから的を用意し、そちらに向かって撃つ。弾丸は明後日の方向へと飛ぶ。何度か撃っているとコツを掴んできたので、普通にあてられるようにはなった。ただし、フラフラになってくる。
「マインドダウン寸前ですね」
「マインドダウン?」
「魔力の使い過ぎです」
「それはヤバイですわ。とりあえず、弾丸は先に作って置いておけばいいでしょう」
「それが出来るのなら、かなり便利ですよ……」
「流石は私。さいきょーさいあくの精霊ですの」
「はいはい」
「あ、信じていませんね~」
「しんじてますよ~。それより、なんとお呼びしたら?」
「くるみです。くるみ・ときさき。それが私が私であるためにつけた名前ですわ」
「……わかりました。クルミ様。リリはリリです。リリルカ・アーデといいます。リリでいいですよ」
「はい、リリ。よろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
射撃訓練を終えた後、リリにダンジョンで必要な知識を教えてもらっていると、眠たくなってきた。
「もう寝ましょう。明日は迎えにきます」
「リリも一緒に寝ましょう」
「ですが……いえ、わかりました。一緒に寝ます」
「はい」
大きなベッドを二人で使って寝る。リリを抱き枕にするような事はできないので、普通に寝る。いえ、隣に可愛い女の子が寝ているから寝れない。故にさっき知ったマインドダウンを利用する。弾丸を寿命を使わずに作り上げ、影の異空間に収納しまくる。
◇◇◇◇
朝。マインドダウンから目を覚ますと目の前にリリの顔があった。驚いて叫び声をあげてしまった。その声も大変可愛らしくて、思いだした。TS異世界転生をしたんだった。
「朝からなんですか……」
「おはようございます。取り乱しました」
「ああ、そうですか。おはようございます」
とりあえず、朝の挨拶をしてから顔を洗い、朝食を摂りに外へと出る。ソーマ・ファミリアでは食べないらしい。屋台で軽い物を食べてからバベルの塔というまんまな場所に向かい、ボウケンシャー登録をする。
「ソーマ・ファミリアですね。年齢は……」
「女性に年齢を聞くものではありません」
「……小人族の方ですか?」
「それ以外に見えますか?」
「……見えませんね。受け答えもしっかりとしていますし……はい、わかりました。では初心者研修については……」
「リリ、受けた方がいいですか?」
「要りませんよ。リリがついているのですから、必要ないです」
「だそうなので、要りません」
「畏まりました。最後に一つだけ。冒険者は冒険してはいけません。いいですか?」
「ボウケンシャーなのに冒険をしてはいけないとは矛盾していますね」
「なんかイントネーションが違いますよ」
「えっと、冒険してはいけないというのは命を大事に無理をせずに帰ってくるということです」
「なるほど、わかりましたわ。安全マージンを確保して虐殺すればよろしいのですわね!」
「……ええ、その通りです……」
ヒット&アウェイで殺していけばいい。他にも色々と聞いて、初期武器が貰えるらしいので、リリに換金効率がいいのを選んでもらった。
◇◇◇
そんな訳でダンジョンである。一階にはゴブリンが現れる。そう、ゴブリンか? のゴブリンである。ゴブリンスレイヤーさん、お願いします!
「来ましたよ」
「はい。じゃあ、撃ちます。パーン」
頭が弾け飛んだ。ぐろくて気持ち悪い。出来る限り、殺さないようにしよう。そうしよう。銃では殺さない。まあ、死体は綺麗に消えるんだけどね。
「銃声を聞いて
「了解です」
「ここからは真剣に行きます。リリの指示に従ってください」
「もちろんです。わたくしの命、預けますからね」
「……わかりました」
次に現れたゴブリンは足を撃つ。足が弾け飛んだので、近付く。するとリリが声をあげてきた。
「危ないですよ!」
「大丈夫です。少し試すというか、やらないといけない事があるので」
そのまま近付いて時喰みの城を発動。恐怖で動けないゴブリンを取り込む。二時間分の時間を確保できた。それだけだ。もしかしたら、血液を流していたから、寿命が現在進行形で減っていたのかもしれない。
「その力は……?」
「影に取り込んで対象を殺します。魔石ははい、どうぞ」
影から拾い上げて渡すと、リリは凄くビクビクしていました。
「さあ、どんどん殺しましょう!」
とりあえずしばらく戦うとゴブリンは馬鹿なので、時喰みの城で動きを封じるか、そのまま突撃して取り込んだ方が効率がいい事がわかった。ゴブリンを無傷で捕らえると一日の時間が貰える。ただ、かなり接近しないと時喰みの城の射程に届かない。なので、目標は365体だ。
「この階層は余裕ですね。もっと潜りましょうか」
「ええ、もっと殺しますわ!」
リリと一緒に潜って、コボルトや複数のゴブリンを倒す。流石に複数体になると何体かは撃ち殺して、時喰みの城で捕食する。
「天井にダンジョン・リザードが居ます」
「ああ、アレですわね。擬態して待ってるのなら、好都合」
前足を撃ってから、影に落として捕食。だんだんと相手の生命力、寿命が見えてくるようになったのでそれから逆算して相手の位置を把握し、膝立ちになりながら狙撃していく。出来る限り、撃たないようにしながら進んでいくと。四階層ぐらいで適当にぐるぐる回りながら、時喰みの城と三番だけで倒していく。というか、三番も弾に限りがあるから出来るかぎり使わない。
「……ずるいです。強すぎです……これがレベル1?」
リリが何かを呟いている間に壁から生まれてきた
「時喰みの城」
壁から生まれている
「キヒヒヒヒヒッ!」
「ど、どうしたのですか!」
「いえ、いっぱい吸えてテンションが上がって……」
その時、ダンジョンが震えて壁に大きな穴が空いた。そこから顔を見せたのは……
「なんですかッ!? なんなんですかっ!」
「カッコイイですわね!」
鎧を纏った恐竜のような姿をした大型級のモンスターが壁から生まれてきている。その口は明らかに凶暴そうで、試しに撃ってみるけれどダメージが入らない。
「いいから逃げますよ! ダメージが通らなければリリ達では絶対に勝てません! 死にます!」
「……
相手に
「なんでリリを……アレ?」
「速度を上げる魔法を放ちました。逃げますよ」
「っ!? 了解です!」
二人で脱兎の如く逃げました。四階層に化け物が出現した事により、急遽討伐隊が組まれたらしい。どうしてこうなったのか、誰も知りません。
「いいですね、リリ。わたくし達は何も知りません」
「……はい、そうですね。リリ達は何も知りません。バレたら罰金が凄い事に……」
ダンジョンから得た時間は十年に相当したので、とりあえず時喰みの城を大きくしておきます。本体を増やして作業効率……時間の回収も考えましたが、時喰みの城が小さすぎるのでまだまだ使えないから。11まで上げたので、11メートル四方の空間になった。まだまだ小さい。最低でも100は欲しい。範囲攻撃は正義なのだから。
「もう一度やろうかな?」
「駄目ですからね! 絶対に駄目ですよ!」
「リリがそう言うなら、仕方がありませんね」
まあ、流石にMPK、
あ、ソーマ様の部屋にお邪魔してステイタスを更新しておきました。
続く? 続かない?
-
続く
-
続かない
-
そんなことより狂三が可愛いから書け
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リリを曇らせて虐めたい
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狂三だらけの狂三ハーレム