ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
リリさんとベルさん。それに分身のわたくしが地上へと帰っていきました。残っているのはわたくしとロキ・ファミリア。それにわたくしを狙って襲ってきた人達。この人達はわたくしを生み出した組織の一員みたいで、目的はわたくしの回収のようです。
わたくしの所在についてはザニスさんが彼等に教え、わたくし達を確保する戦力として雇い入れたようですわね。そもそもわたくしを売り渡す予定のようで、彼等と交渉していたと記憶が教えてくれました。
「それで彼等はどうするんだい? 地上に運ぶのもこれからの事を考えると戦力を割くわけにはいかない。何分、急に言われて急いできたから物資も乏しい。そちらはクルミ君が用意してくれるようだが……」
「んなもん、さっさと処理すればいいだろう」
「ですわね。欲しい情報は手に入れたので、後はこちらで処理しておきますわ」
時喰みの城を発動して彼等を影の中へとご招待しておきます。レベルがわたくしよりも高いので時間を吸い取るには長い時間が必要でしょう。ですが、それは考えようによっては旨味となりますわ。彼等には死ぬまでわたくしの為に働いて頂きましょう。
「では、向かいましょう。ティオナさん、おんぶしてください」
「オッケー!」
「じゃあ、私はレフィーヤを運びましょう」
「わ、私ですか!?」
「リヴェリアもベートに運ばれるかい?」
「断る」
「俺もごめんだ」
「じゃあ、僕がリヴェリアと一緒に行く。君達はリヴィラを目指して最短で行ってくれ。クルミはもう一人をこちらにつけるように」
「「「了解!」」」
リヴェリアさんとフィンさん。それに分身のわたくしが残り、わたくし達は急いでリヴィラを目指して突き進みます。
「さて、彼等から引き出した情報を教えてくれ」
「ええ、かしこまりましたわ」
三人で進みながら先程手に入れた情報を伝えていきます。
「子供を誘拐して人体実験か……ふざけた事を!」
「彼等は
「
「リヴェリア」
「わかった。
「なるほど。人体実験をしていたのですから、当然ですわね。つまり、彼等がわたくしの親というわけ……でも、ないようですね」
「どうしたんだい?」
「彼等の記憶を見ると確かな事はわからないのですが、わたくしの容姿を持つ子供は居なかったようです。ですが、精霊と人の融合体など普通は行いません。ですわよね?」
「当たり前だ。そのような馬鹿げた事を行うなど、狂っている」
リヴェリアさんはそうとう怒っているようですね。まあ、エルフの子供も相当数が犠牲になっているようです。というか、エルフは精霊との親和性がよいそうなので仕方がありません。中にはハイエルフの子供を拉致して実験体にしたとの記憶がございました。
「彼等しか行っていませんから、彼等によって作られたのは間違いないはずなのです。ですが、おかしいのです。実験を行っていた者達は
何故彼等がわたくしに気付いたかというと、ザニスさんがソーマ様から聞いた話を彼等に伝えたからです。そのせいでわたくしが精霊との融合に成功した存在と理解し、実験を行っていた者達を滅ぼしたのがわたくしだと思っているようですわ。流石はわたくし! 時崎狂三ならば普通に可能な事ですわ! と、言いたいのですが、神の恩恵を貰うまでは能力を使えなかったので、わたくしではないでしょう。施設の場所はわかったので、そちらに後で行きましょう。何かの手掛かりが残っているかもしれませんし。
「しかし、ソーマ・ファミリアは
「フィンさん」
「なにかな?」
「勘違いしないでいただけますか? ソーマ・ファミリアは
「ほう?」
「ザニスさんが個人的にやっているだけです。彼はもう
「書類上か。かなり苦しいね」
「まあ、そうなんですよね」
「一度解体してロキ・ファミリアに来ればいい。歓迎するぞ」
「そうだね。それがいいだろう」
「それも一考に値するのですが、わたくしはソーマ様に拾っていただきましたし、そのご恩はお返ししたいのです。ですから、今はまだこのままですわね。本当に危なくなれば解体も考えますが……」
「なら、その時を期待して待とうか。他に情報はあるかな? 例えば彼等の主神とかね」
「タナトスのようですわね」
他の
下の階層につく前にフィンさんがローブを投げてくれたので、それを掴んで彼が槍を壁に刺して減速してくれます。わたくしはそれで着地します。リヴェリアさんも同じようにしていますが、おそらく彼女は必要なかったでしょう。
「リヴィラへのショートカットは完了だ。このまま突き進むよ」
「
「大丈夫なのかい?」
「撃ち漏らしだけお願いしますわ」
「わかった。リヴェリア」
「わかっている」
リヴェリアさんが防御魔法などをかけてくれたので気にせずに突撃して時喰みの城へと大量の
「なるほど。影に入れてしまえばいいのか」
「はい。叩き込んで頂けると助かりますわ」
「わかった。任せてくれ」
フィンさんが素手で
◇◇◇
しばらくして何の問題もなく待ち合わせをしているリヴィラにある酒場へと到着しました。酒場に入り、カウンターに居るマスターに符丁を伝えます。
「じゃが丸君抹茶クリーム味を一つ」
「あの扉だ」
「ありがとうございますわ」
扉まで移動すると、フィンさんが呟きました。
「これ決めたのはアイズだろう」
「正解ですわ」
「まったく、あの子は……」
扉を開けて中に入ると、かなり険悪な感じになっておりますわね。まあ、無理もないでしょう。わたくしは面倒なのでフィンさんを前に出してさっさと影の中へと入ります。
「やれやれ……すまない。待たせたようだね」
「ようやくの到着ですか」
部屋の中に入るとこちらに気付いた眼鏡を掛けた理知的な雰囲気を持つヒューマンの女性が声をかけてきました。それにより、皆がこちらへと視線をやってきます。
「ですが、援軍がロキ・ファミリアの団長と副団長となれば待ったかいはあります。それほど危険な相手なのでしょうから」
「雑魚共は置いていけばいいじゃねえか。邪魔なだけだ」
「ベート!」
「なるほど、この雰囲気はこういう事か。すまない」
ベートさんが相手側のファミリアに噛みついているだけのようですわ。すぐにフィンさんが謝罪し、リヴェリアさんがベートさんに注意していきます。
「いえ、相手がレベル6クラスとなれば彼の言い分はもっともです。ですが、こちらも依頼を受けているので、はいそうですかと下がるわけにはいきません」
「だろうね。広範囲の探索と調査はそちらに任せる。僕達は敵戦力の撃滅に力を入れさせてもらうよ。僕達は戦闘は得意でも調査は苦手なメンバーだからね」
「はい。戦闘はお任せします」
「では話がついたところで行きましょう」
「そうだね」
ヘルメス・ファミリアとロキ・ファミリア。それにソーマ・ファミリアのわたくしによる合同調査の開始です。もっとも、大量発生している
渓谷を一方向に向かう
大量の
「なにこれ、気持ち悪い壁……アイズさん、近付かないようにしましょう!」
「うん。確かに気持ち悪い」
やってきたのは各階層に何個か設置されている
「魔法で壊しますか?」
「ならば私がやろうか?」
「いえ、ここはわたくしがやらせていただきますわ」
「貴女が、ですか?」
「はい。取り出したるは種も仕掛けもないただのバリスタですわ」
「「なんでそんな物を持って来ているんだ!」」
わたくしは皆の先頭に移動し、影から巨大な攻城兵器であるバリスタを取り出して設置します。矢の先端を肉のような壁に向けて固定してある紐を切ります。するとバリスタから放たれた矢が壁を粉砕してその先へと進んで何人かをぶち殺します。
「開幕の一撃としては十分でしょう。では皆様。後はよろしくお願いいたしますわ」
バリスタと共に影に沈み、わたくしはアヴェンジャーの方へと移動します。するとそこではレヴィスさんが矢を受け止めていました。
「ロキ・ファミリアめ、手荒い訪問の仕方だな」
「まったくですわね。ところで、その矢。使わないなら欲しいのですが……」
「これはこうする」
アヴェンジャーの言葉にレヴィスさんは矢を放り上げてから回転させ、投げ返しました。バリスタで撃つよりも素早く移動して突入してきたフィンさん達に襲い掛かります。ですが、アイズさんが切断してしまったのでわたくし達は泣きました。ええ、泣きましたとも。アレ、すごく高いのですもの。
ロキによる発現する天使
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レーヴァテインから灼爛殲鬼(カマエル)
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変身術の逸話から贋造魔女(ハニエル)
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空飛ぶ靴から颶風騎士(ラファエル)
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このまま|刻々帝《ザフキエル》のみ