ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
レヴィスさんが投げ返した矢をアイズさんが切断し、彼女は一時的に止まりましたわね。その背後からベートさんとフィンさんが躍り出て駆け抜けていきます。
「ちっ、流石にこの数は無理だな」
「だから言ったのだ。溢れた
白いローブの仮面の男が、レヴィスさんに言いながら
「
柱に巻き付いている蛇みたいな植物の巨大花と食人花達を溢れさせ、ロキ・ファミリアの方達に襲わせます。ですが、それを予想していたのか、即座にフィンさんとベートさんが来た道を戻りました。それを見たレヴィスさんはわたくしの分体を掴んで走ります。
「レア・ラーヴァテイン」
リヴェリアさんの言葉と同時に無数の巨大な炎の柱が洞窟内に溢れ出し、周りを
「何故だっ! あり得ぬっ! 何故っ、何故っ! ロキ・ファミリアの主力が纏めて来るのだ! 精々一人か二人であろう!」
白いローブ姿の仮面さんが服のあちこちを叩いて火を消しながら叫んできます。まあ、普通に考えたらその通りなんでしょうね。今回のような中層の調査に呼ぶのなんてレベル4ぐらいでしょう。それがレベル5数人とレベル6二人とか、オラリオでも最高峰の戦力がいきなり現れたのですから、取り乱すのも無理はありませんの。
「決まっているだろう。こちらの情報が漏れていた。それだけだ」
「まさかお前が漏らしたのか!」
「私じゃない。居るだろう怪しい存在が」
そう言ってレヴィスさんは掴んでいたわたくしを持ち上げます。わたくしは気にせず魔石をもきゅもきゅと食べておりますわね。
「あり得ぬ。監視はしていた。ソイツはただ魔石を食べていただけだ」
「ああ、そうだな。だが、コイツが来てから情報が流れたのは確実だ。それに他の連中から報告が来ていただろう?」
「っ!? 分身かっ! おのれっ! 殺してくれるわっ!」
「やめてくださいまし。わたくしが情報を流したという証拠はございませんでしょう?」
「ああ、そうだ。だからここで使い潰す事にした」
「え!?」
レヴィスさんがアヴェンジャーの首に注射機のような物を押しあて、中身を注入していきます。すると、アヴェンジャーの身体がビクンッと震えて絶叫を上げだします。
「くるみっ!」
アイズさんがまだ燃える中を飛び込んできてくださいました。レヴィスさんはそんなアイズさんと剣を交えていきます。アイズさんの後ろからはベートさんが現れて仮面の人と格闘戦を始めました。
「くるみに何をしたの!?」
「何、少し活性剤を打ち込んだやっただけだ」
アヴェンジャーの左目が光り、有り得ない事に背後に
「キヒッ! キヒヒヒヒヒッ! 憎い憎い! 殺せ殺せ殺せぇぇぇ!」
同時に白い髪と白い軍服に変化し、左目は青い文字盤の時計へと変わっていきます。
「これは……」
「反転だ。彼女は精霊と人との融合体。ダンジョンの
「まさか……」
「答えは簡単だ。お姫様が誕生する。精々あがけ」
「ところがぎっちょんですわ」
反転しかけているアヴェンジャーの足を掴んで時喰みの城へと引き込んでやります。
「甘い」
「みぎゅっ!?」
レヴィスさんに顔面を踏みつけられて時喰みの城へと落とされましたが、しっかりと掴んでいたので問題ありません。ただ、レヴィスさんもアイズさんも一緒に落ちてきましたけれど。
「ここは……?」
「時喰みの城。わたくしの支配する異空間ですわ」
「なるほど。影を使って情報のやり取りを行っていたというわけか。だが、どこであろうと問題はない」
「ええ、そうですわね。ですから、停止させますわ。アヴェンジャー、あの子の相手はわたくしがしますので、アイズさんはそちらの方をお願い致しますわね」
「うん。任せて。今度は私が勝つ」
「ほう、いいだろう。返り討ちにしてくれる」
アイズさんとレヴィスさんが掻き消えるように移動したので、わたくしは神威霊装・
「
「きひっ!
こちらが撃った
「わたくし達!」
「ああ、愛していますわ! 愛していまませんわ! 憎い、憎くない……愛しくて憎いから、消しましょう。
複数のわたくし達が武器を持ってアヴェンジャーに殺到しますが、彼女が
「空間操作とかチートすぎますわよ!」
「時間操作ができるわたくしに言われても困りますわね!」
わたくし達にバリスタなどの遠距離攻撃武器で攻撃してもらいますが、
「
壊された物は
「きひっ! きひひっ!」
アヴェンジャーはこちらに突撃してくるので、わたくし達が前に出て武器を持って挑みますが、
「接近戦だと武器が壊されるのが痛いですわね。とりえあずはこちらから。
お返しとばかりに飛んできた
「空間と時間の勝負……まるでポケモン映画のパルキアとディアルガではないですか」
「もっと愛しましょう! きひっ!」
「ああ、もう!」
横合いから別のわたくしが攻撃するも、ニュータイプのように超感覚を発動しているみたいにキュピーンと気付かれて不意打ちを対処されます。本当にまるでニュータイプ……ああ、そうでした。そうでしたわ。空間を操るのなら、空間認識能力もかなり高いはずですし、わたくしの攻撃を全て認識していてもおかしくはありませんわ。
過去にわたくしを送ってやられる前にアヴェンジャーを戻した方がいいのですが、残念ながらそこまでの時間の余裕はありません。
どうすれば有利に戦える? あちらとのわたくしの違いは? 原作で、デート・ア・バレットで狂三さんは白の
悩みながらも回避行動を取りつつ、銃弾をお見舞いしていきますが普通に対処されてしまいます。ですので、周りを見ると、少し離れたところでアイズさんとレヴィスさんが戦っています。そちらは驚いた事にアイズさんが押していますので、こちらは時間稼ぎをすれば──
「冒険せずして何がボウケンシャーですかっ! それによくよく考えたらなんと滾るシチュエーションでしょうか! だって、反転体のわたくしと戦えるという事はわたくしが! 時崎狂三である事の証明にほかなりません! 何故なら彼女も戦っているのですから! きひっ!」
──時間稼ぎなどやめです。冒険して私が勝ってみせます。その為に足りないリソースを生み出しましょう。そう、勝つ手段が思いつかないのならば思いつけるようにすれば良いだけですの。
「わたくし達、全員の記憶と経験を同時進行でリンクさせます。今こそオリジナルを超えますわよ!」
「このまま死を待つだけよりも面白そうですわね」
「名前をつけるのならばくるみねっとわーくですかしら?」
「カタカナではなくひらがななのがわたくし達らしいですわね」
軽口を言いながら高速で回避しながら、アヴェンジャーとグレイを除く全ての分身体と接続します。彼女達、残存する四二体のわたくし達とリンクする事で身体中が限界を突破して至る所から血管が破裂して血飛沫が舞いますが、ポーションを使って回復します。
「苦しいのでしょう。すぐに楽にしてあげますわ。わたくしはわたくし達を愛していますもの」
「「「「お断りですわ!」」」」
身体中が痛くて視界が滲みますが、常に互いの位置を視認して、それらをリアルタイムで確認する事で死角を無くして相手の空間認識能力に対抗してこちらも認識能力を上げて対処しますわ。
限界を超えて酷使しているせいか、左目が光っている上にちかちかしていますが、構いません。それよりもやる事はいっぱいあるので、些事には構っていられません。記憶と経験から更にリンクさせる項目を増やし、今度は脳を、思考をリンクさせます。
増えた演算能力で神威霊装・
「憎い愛しいイラつく嬉しい……」
矛盾した思考の中にありながら、軍刀と短銃を使ってクルクルと回転しながら三百六十度、全方位から放たれるこちらの攻撃を迎撃してくれます。
「きひっ! 良い事を思い付きましたわ!」
「それは良かった、ですわ!」
身体中を襲ってくる激痛を我慢し、ポーションで傷を癒しながらクリアになっていく思考を以て作成した計画にのっとり、アヴェンジャーを誘導していきます。あちらもこちらを追ってくるので、その人達が居る場所へはすぐにつきました。いえ、予想よりはかかりました。どうやら、時喰みの城の空間も一時的に拡張されているのかもしれません。時間と空間がぶつかりあっているので、この異空間自体が不安定になるのもおかしくはありませんもの。
「なんだこれは……」
「くそがぁっ!」
向かった先には四人の方々が居ます。彼等は縛られているので即座に銃弾で縄を撃ち抜いて自由にしてあげます。それから武器も地面に突き刺して返してあげます。
「撤収!」
「あん?」
「ナニッ!」
即座にわたくし達は逃げます。アヴェンジャーは見境なく彼等にも襲い掛かるので、彼等は武器を取って必死に対応しだします。本来、彼等はこのようにして
その間に武器へ細工を施していきます。おそらく、これで問題なく殺し合えるはずですわ。遠距離攻撃を持つ者達は
三人の
「それ、良さそうですからわたくしにくださいな。
「お断りさせていただきますわ」
アヴェンジャーの対象に自身の印を刻み自らの手駒のルークへと仕立てる弾をこちらの銃弾で撃ち落とします。手駒にした者に更に寄生させることで相手をビショップに仕立てることも可能なので、防いでおきます。
「貴様ラ、俺をなんだと思っていやがル!」
「「手駒ですわ」」
「殺ス! 殺してヤル!」
「鬱陶しいわ」
アヴェンジャーが瞬時に彼の背後に空間転移を行って軍刀を彼の心臓へと突き刺しました。その瞬間に剣斧を持ったわたくしが上から現れて全力で振り下ろします。
「無駄ですわ」
アヴェンジャーは
「っ!? 何故ですかっ!」
「「「油断しましたわね!」」」
複数のわたくしが影を使って転移し、それぞれが持つ剣や槍でアヴェンジャーを串刺しにしますが、次の瞬間には首を斬り落とされてまとめて殺されました。ですが、確実に傷を与えました。その上、上から剣斧による攻撃が決まり、相手は軍刀で防ぎます。剣斧と軍刀は質量の違いにより、軍刀が圧し折れてアヴェンジャーを切断するはずでした。ですが、その前にレヴィスさんがアヴェンジャーを横から殴りつけて吹き飛ばす事でアヴェンジャーの片腕を斬り落とした程度で終わってしまいました。
「
極めて高い自己修復を得たアヴェンジャーの身体はみるみるうちに再生していきます。その前に
「ごめん、取り逃がした」
「……まあ、仕方がありませんわ」
隣に来たアイズさんは申し訳なさそうにしていますが、まだまだチャンスはあります。
「アイズさん」
「ん?」
「
アイズさんの剣に向かって
「二人で殺りますわよ」
「うん。やる。でも、白い子はくるみだよね……?」
「アレはもう敵ですわ。殺すしかありません。戻せる可能性もあるかもしれませんが……」
「それなら僕達も交ぜてもらおうか」
上からフィンさんやグレイ達が降りてきました。どうやら、外の制圧は終わったようです。残るのはこの二人だけですわね。
「ここまでだな。撤退するぞ。出来るか?」
「わたくしはまだ愛したりませんが、仕方ありませんわね。おいとましましょう」
「逃げられるとでも?」
「さあな」
「また遊びましょう。わたくし」
「そうですわね。今度は殺してあげますわ、わたくし」
「楽しみですわ」
空間が捻じ曲げられてレヴィスさんと共にアヴェンジャーである反転した白いわたくしが消えました。実力は相手の方が上ですし、空間を操る関係上、時喰みの城の支配権もあちらに一部奪われているので仕方がありません。こちらが上なら逃がしはしませんのに……
「くるみ。もしかして、あの時の子なの……?」
「そうですわよ。ただ、あの子はダンジョンに入られてから合流した子なので、直接的な関わりはグレイがほとんどです。気にしなくても問題ありませんわ」
「でも……」
「アレはわたくしが相手をすべき敵です。誰にも邪魔はさせません」
「それはいいのだけど、彼女の名前はどうするんだい? 流石にくるみと同じ名前だと困るからね」
フィンさんの言葉で少し考えます。アヴェンジャーでも良いのですが、既に彼女はその役割から逸脱し、別個体となってしまいました。そうなるとやはり白の
「白の
「プリンセスか」
「可愛いからいいと思うよ」
「可愛いのは当然ですわ」
「同意ですわ」
「自分達で言うのか……」
呆れられていますが、気にしません。時崎狂三が可愛くないはずありませんもの。
「それよりも早くここから出ますわよ。異空間その物が不安定になっていますので、下手したら崩壊してしまいますからね」
「そうだね。道を開けてくれ」
「ええ。それとアイズさん」
「なに?」
「気に病んでいるのなら、今度こそわたくしをちゃんと地上まで連れていってください。もう限界ですわ」
「えっと、わかった。今度は必ず無事に連れて帰る」
アイズさんに抱き着いてから外への扉を開いて力を抜くと、彼女がギュッと握り返してくれてました。それからすぐにお姫様抱っこのような感じになり、近くで綺麗なアイズさんの顔を見れたのはご褒美でしょう。
まあ、流石に無茶をやりすぎましたので限界です。後始末や安全は全てロキ・ファミリアに任せてわたくしは夢の世界へと旅立ちましょう。本当、ランクアップしてから戦いたかったですわ……。
ソード・オラトリアは次、遠征ですね。
その前には普通に地上での話ですが。
ちなみに白の王女はラスボスです。やっぱり、くるみちゃんの相手は彼女じゃないといけません。黒には白です。ブラック★ロックシューターとホワイト☆ロックシューターしかりですね。
後、FGOで天啓持ちの冥王
次回は流石にランクアップさせます。スキルはくるみねっとわーくをスキルにする予定です。普通ならこのまま続ければ死にますが、神の恩恵によってスキル化される事で問題なく使えるようになります。
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このまま|刻々帝《ザフキエル》のみ