ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~   作:ヴィヴィオ

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危険な狩り

 

 リリの前に現れたのはリリよりも小さな女の子でした。その子は貴族様が着るようなドレスを身に纏い、肌にはリリにあるような傷は一切ありませんでした。どう見てもいい所のお嬢様であり、ダイダロス通りに居るような子ではありません。

 騙されやすそうな世間知らずのお嬢様。おそらく迷子なのでしょう。ですから、とりあえず言いくるめてリリの最低な家であるソーマ・ファミリアへと連れていきました。

 彼女はあろうことか、リリと同じだと言いやがりました。リリは断じて彼女と同じではないです。リリの人生はあんな綺麗なお姫様が着るようなお洋服どころか、新品の品なんて一度も着た事はありません。両親にもほとんど関心を寄せられず、与えられるご飯を食べて生活していました。

 そんな両親もお金を求めてダンジョンに潜り、あっけなく死にました。リリは生きるために、ただ生きるために必死にサポーターとしてダンジョンに潜りました。そこで冒険者の人に殴られ、役立たずだと言われながらも藻掻きました。

 それでもどうしようもなく、辛くて逃げました。老夫婦の花屋さんに拾われて一時は幸せを得る事ができました。でも、見つけ出されて居場所は奪われました。

 だというのに汚れていない綺麗な服を着て、何不自由なく過ごしてきたであろう彼女がリリと同じと言った事は許せませんでした。

 だから、地獄であるソーマ・ファミリアに連れていって団長に任せました。少なくともお金儲けの道具にされて酷い目に遭うだろう。そう思っていたのに……彼女の方が上手でした。

 リリの事などはなっから信じておらず、目的は団長やソーマ様と会う事だったらしいのです。実際、その後は団長とソーマ様の三人で話をして、少ししたら団長が出てきました。

 

「どうやら、本当に何故オラリオに居たのかもわからないらしい」

「つまり、誘拐ですか?」

「そのようだ。どこの家の娘か判明したら金がたんまり貰えるだろう。良くやった」

「はい。ありがとうございます」

「とりあえず、明日は捜索願いが出ていないか確認しに行かなくてはならない」

 

 彼女の家は絞り尽されるようでしょう。良い気味なのです。

 

「まあ、名前もわかっていないようだが、あの容姿ならばすぐに足が付くはずだ」

 

 名前もわからないなんて、本当に記憶がないみたいですね。そんな風にしていると、奥の部屋から彼女の絶叫が聞こえてきました。

 

 私達は不思議に思っていると、しばらくすると、奥の部屋からソーマ様と彼女が出てきました。彼女はニコニコしながら、私の手を取ってきました。物凄く嫌な予感がしたのです。

 

「貴女、お名前は?」

「えっと、リリはリリです……」

「ボウケンシャーですか?」

「サポーターですが……」

「サポーター?」

 

 どうやら、サポーターというのもわかっていないみたいですね。本当に冒険者というものを知らないのですね。オラリオに見学をしにきただけなのでしょうか? そこで何かに巻き込まれて記憶を失ったとか? どうでもいいですね。

 

「ダンジョンで荷物持ちなどをする役割です」

「なるほど。では、貴女に決めました。ソーマ様、この子を私の世話係にしてください。同じ女の子ですから、構いませんよね?」

「ああ、好きにしろ」

「ソーマ様?」

「彼女は特別だ。それよりも酒作りに関してだ」

 

 ソーマ様は団長と何かを話だしました。彼女は私の腕を掴んで引っ張っていきます。

 

「さあ、神様の許可は取りました。来てください」

「え、えっと、リリに何をさせる気ですか?」

「まずは掃除ですね」

 

 そうして連れられていったソーマ様の部屋にあるベッドは酷い事になってました。さっきの悲鳴はこういう事だったのですね。彼女の粗相を片付けながら、思った事はソーマ様が手を出したのか、彼女がそうなったのか、どちらにしろソーマ様が変態だったという事です。

 ソーマ様が特別扱いすると宣言した事とこの件を考えるときっとそうなのでしょう。はじめては痛いと聞きますしね。実際、その後の食事もソーマ様からお金を出してもらおうとしていました。

 私はすぐに自腹で買いにいきました。流石にソーマ様に出してもらうわけにはいきませんし、団長にいちゃもんつけられる可能性が高いですからね。

 じゃが丸君を買って戻ると、彼女はソーマ様がお作りになられたお酒を飲んでいました。団長に怒られるかもしれませんが、ソーマ様が許しているのでしょうし、おそらく大丈夫なのでしょう。それよりも、彼女が酒に溺れたらどうなるか……不安に思っていたのですが、全然そんな事はないようで、普通に会話も成立しました。

 それから予定を聞くと、本当に、本当にムカつく事に魔法もスキルも発現したから、ダンジョンに潜ると言いだしました。無理だと思って確認してみたら、第一級冒険者とはいかなくても第二級や第三級で活躍できそうな装備でした。連射が出来る銃って普通に強いですね。それに弾丸も魔法で生成するのでお金もかかりませんし。

 世話係という事で、雑務やダンジョンの用意も全てリリに任せてくれるらしいので、死ぬ事は避けられそうですが、儲ける事はできません。ソーマ様のお気に入りである彼女に何かあれば、リリの身に危険が及ぶのは確実なのです。ですから、本気で用意して冒険者登録をしました。

 文字も書けないらしいので、代筆しました。これでくるみ・ときさきというソーマ・ファミリアの冒険者が誕生です。

 そして、さっそくダンジョンへ。そこでリリは……才能の差というものを徹底的に見せつけれたのです。

 銃を撃てばゴブリンの身体が吹き飛び、影を操るスキルを使えばゴブリンが飲み込まれて姿を見せる事はありませんでした。リリが、リリがどれだけ苦労して覚えた技術も意味が無いとでも言うように圧倒的な火力による虐殺でした。

 たまにフラフラしてこけそうになったりもしましたが、それでも四階層まで普通に進めました。魔法とスキルの強さにリリはくるみを本気で殺したくなります。もちろん、やりませんが。くるみは絶対にリリを信頼してはいません。信用はしているかもしれませんが、裏切られる事も想定しているはずです。実際、後ろから近づけばあの影によってリリはゴブリン達と同じように捕食されるか、撃ち殺されるでしょう。それよりもこの強さを利用して小金をせしめる方がいいかもしれません。

 

「キヒッ、キヒヒヒヒヒッ!」

 

 怖い笑い方をしながら虐殺をしていく彼女は正直言って、リリは即座に帰って縁を切りたいと思う人材です。ええ、そうです。ダンジョンで彼女が行った所業からその判断は正しかったのでしょうとも! 

 

 

なんで四階層で竜が出てくるんですかぁぁぁぁぁっ! 

 

 

 幸い、彼女が後ろに黄金の時計盤みたいなのを出現させて私と相手、自分を撃つ事で、身体を加速させる魔法を使ってくれたので逃げられました。この事は絶対に報告できませんし、クルミ様には厳しく注意しておきました。

 

「ところで、この魔石はどうしますか?」

「食費と生活用の経費さえ貰えれば全部リリが管理していいですよ。好きにしてください」

「本当にいいんですか?」

「ええ、私がダンジョンに求めているものは出会い(寿命)ですもの」

「は?」

「それにリリの装備を整えた方が深く潜れるでしょうしね」

「わ、わかりました。では、リリが管理しますね。()()()()()()()()()()()

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 リリは思わずニヤリと笑ってしまいます。彼女もキヒッと笑っています。二人共、別の意味で互いの目的があるのがわかりました。リリはお金の安全を手に入れ、彼女はリリのお金を狙ってきた人をどうにかするつもりなのでしょう。

 換金してダンジョンから戻り、くるみは私を連れてソーマ様の部屋へ連行していきました。そこでステイタスの更新をお願いしたのです。団長は良い顔をしませんでしたが、ソーマ様は普通にしてくれました。くるみがリリの分も頼んでくれたので、ついでに更新してもらえたのは良かったです。まあ、スキルとかは生えていません。

 

「それでお酒の件だが……」

「そうですわね。日本酒から作りますか? 極東系のファミリアにも売れるでしょうし。といっても、方法は詳しく知りませんのでそちらのファミリアに居る主神の方々にお聞きした方がいいでしょう。ソーマ様のお酒を持って赴けば必ず飛びついてくるでしょうし」

「ふむ。だが、面倒ではないか?」

「ソーマ様。一ファミリアだけでお酒を造るのは大変ですし、原材料の事もございます。それに販売は面倒でしょう?」

「そうだな。出来れば酒造りだけに集中したい」

「でしたら、他のファミリアに任せてしまいましょう。ソーマ・ファミリアだけでお金を集めてお酒を造ろうとするから大変なのです。資金稼ぎも含めて他のファミリアに任せてしまえばよろしいのです」

「ザニス、出来るか?」

「それは無理です。現状ではとてもとても……」

「あらあらまあまあ。それでしたら私とソーマ様で話を付けてきましょう。子供なら相手も簡単とはいかなくても、話くらいは聞いてくれるでしょう」

 

 とても楽しそうに笑うくるみに団長が凄く、すご~く嫌そうな表情をしていました。リリにはよく分かりません。ええ、わかりませんとも。

 

「ふむ。確かにそうだな」

「ま、待ってください。わかりました。調整しますから、時間をください」

「いいだろう」

「では、日本酒の製造方法などを聞きにいく事だけはしましょう。実際に作れないかもしれないですし、実験すればいいでしょうから」

「そうだな。方法を聞いたら手伝ってくれ」

「ええ、もちろんですわ。わたくしも美味しいお酒は飲みたいですもの」

 

 話は終わったみたいで、リリ達は部屋に戻って一緒に寝ます。朝、ダンジョンに向かうのですが、その前に団長に呼び止められました。

 

「くるみを監視しておけ。何か有れば知らせろ。いいな?」

「わかりました」

 

 団長はレベル2なので、ひょっとしたら殺せるかもしれません。リリはクルミ様の事が嫌いです。大っ嫌いですが、彼女のおかげでソーマ・ファミリアが変わるのなら、利用していいかもしれません。大っ嫌いな団長とクルミ様が殺し合ってくれればリリは漁夫の利を得られるかもしれません。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 この世界に来て二日目。本日は最短ルートで六階層まで潜りたいとリリに告げた。今回の狙いは新米殺しと名高いウォーシャドウ。コイツなら上層部でもそれなりの時間を持っているかもしれない。ちなみに昨夜は緊急の討伐部隊が入り、大変だったらしい。朝も討伐されてから安全が確認されるまでダンジョンに入れずに食事をとっている。

 

「ま、このわたくしなら影相手なら余裕ですわね」

「何言っているんですか……普通に考えて勝てませんよ。ですから六階層には行きません。五階層までです」

「しかし、効率が悪いんですよねぇ~」

 

 テラス席にある椅子に座りながら、テーブルの上にあるジュースを手に取って、足をプラプラさせながらストローで飲む。他にもパンケーキが置かれているので、それを上品に食べていく。

 

「確かにお金の効率は悪いですが……」

「そっちじゃありませんの。敵の数です。おびき寄せる物とかありませんか?」

「ありますけど、かなり危険ですよ?」

「なら、少しの実験をしてから実行ですね。リリはそれを沢山用意してくれますか?」

「ほ、本当にやるんですか?」

「やらないならもっと深く潜るだけですわね。別にリリは嫌なら残っていても構いませんよ?」

「行きますよ! 行けばいいんでしょ! でも安全はしっかりと確保しますよ!」

「ええ、実験が成功すれば安全はほぼ確実ですの」

「それならいいんですけどね」

「では、準備をお願いします。わたくしは一階層で待ってますから」

「わかりました。くれぐれもそれ以上進まないように」

「ええ、もちろんです。待ち合わせ場所は二階層への入口です」

 

 リリと一度別れ、封鎖が解除されたダンジョンに入る。そのまま通路から少し離れてゴブリンを探していく。昨日、ステイタスを更新してもらったけれど耐久の伸びは皆無で、魔力と器用、敏捷は上がっていた。まあ、狙撃していたら器用も上がるし、武器は魔法で作っているのだから当然。

 

「さて、【一の弾(アレフ)】」

 

 短銃を呼び出して自らの頭にあてる。私の後ろに黄金の時計盤が現れ、そこから秒針にそって弾丸が生まれて装填されていく。そして引き金を引く。少し頭が仰け反ったけれど、加速は充分。

 そのまま通路を走りながら、見つけたゴブリンがこちらに反応する前に頭を掴んで影に押し込んで時喰みの城に取り込む。

 

「ふむ。このままでも問題ありませんわね。リ……っと、居ないのでした」

 

 リリは居ないので高速で駆け抜けながら、格闘の訓練も兼ねてゴブリンを蹴り飛ばし、地面に転がるところを影へと落としていく。

 直に下の階層へと降りる場所に到着したので、ここからは周りのゴブリンを狩っていく。いや、その前に実験をした方がいいですわ……いいか。

 

「くるみちゃんの三分クッキング~」

 

 まず、ゴブリンをみつけます。続いて軽くゴブリンを叩いてから、松明の影に飛び込む。するとあら不思議。ゴブリンさんはキョロキョロとしてこちらを見失いました。ですので、影の中から手を突き出して、足を掴んで引きずり込みます。

 

「いらっしゃいませ」

「GUGIっ!?」

 

 時喰みの城に取り込んだら、しっかりと吸収していく。しばらく間近で観察していると、身体が消えて魔石だけになった。その魔石も吸収できるか、試してみるとできた。なんと、魔石を吸収すると十日分、一の弾(アレフ)の半分もの寿命が回収できてしまった。

 

「これにて三分クッキングは終わりですわ」

 

 実験も終わった。リリには悪いがソロの時は半分ほどもらう。なのでゴブリンを見つけたら本格的に回避の訓練をする。ゴブリンに攻撃させて、それを回避したり、身体で受けて耐久を上げたりしていく。

 最初は時喰みの城で影を踏ませて動きを遅くしてから、戦う。ゴブリンは殴りかかってくるのでそれをゆっくりと回避していく。慣れたら次第に早くする。

 

「飽きましたね」

 

 小銃で殴りつけて近接戦闘の準備もしつつ撲殺する。気が付けば血しぶきがドレスを汚していた。そのまま放置していると大変な事になりそうだ。でも、不思議としばらくすると綺麗に消えていった。この服も含めて霊装なのかもしれない。ザ・時崎狂三コスプレセットって奴だ。

 暇なので三匹のゴブリンを集めて、複数体を同時に相手をする。流石に普通に殴られるけれど、耐えて殴り返す。

 

「あの、大丈夫ですか?」

「?」

 

 声をかけられたので、そちらを見ると金色の髪の毛をした人形みたいな美人さんがいた。その後ろには褐色肌の女性もいる。

 

「ああ、大丈夫ですわ。格闘戦の訓練をしているだけですもの」

「だから言ったじゃない。一階層でゴブリンが三体も集まるはずないから、わざとだって」

「でも……子供だよ」

「小人族だってだけだよ。こんな格好で来てるくらいだし、強いんじゃない?」

 

 ゴブリンに右ストレートを決めて、少しよろけさせてから次の相手に裏拳を叩き込む。こちらもたいしたダメージになっていない。最後の一匹が噛みつこうとしてくるので、ジャンプして膝を叩き込む。

 

「ダメージ全然入ってないね」

「倒す?」

「いらないですわ」

 

 小銃を呼び出してゴブリン達を殴って吹き飛ばし、三体重ねた所に小銃を突きつける。ゴブリンは恐怖からかガチガチ震えているが、気にせず引き金を引いて三匹をまとめて殺す。

 

「今の何処から?」

「銃だよね?」

「そうですわ。でも、それ以外は秘密ですよ」

「それもそうだね~」

「うん……別のファミリアだしね」

 

 二人と少しお話をしていると、こちらを呼ぶ声が聞こえてきた。そちらを向くと、リリが大きな荷物を持ってこちらにやってきていた。

 

「クルミ様~!」

「リリ、こちらです」

「お待たせしました。っと、こちらの方々は……」

「ここで知り合っただけですわ」

「そうですか……」

「知り合いが来たみたいだし、私達も行こうよ。お金を稼がなきゃ」

「うん。バイバイ」

「はい、またお会いしましょう」

 

 二人を見送ってからリリに向き直る。彼女はなんとも言えなさそうな表情をしていた。

 

「リリ?」

「彼女達はロキ・ファミリアです。気をつけてください。いえ、他のファミリア全てです」

「ええ、わかりましたわ。でも、ソーマ・ファミリアもでしょう?」

 

 リリと話しながら階段を降りていく。ロキ・ファミリアの人達が始末してくれていたので、簡単に奥へと進んでいける。

 予定通り、五階層へと到着したので、大通りから離れて路地を進んで上層と下層へと続く階段から離れた袋小路の場所へと移動する。

 

「では、リリ。お願いしますね」

「わかりました! どうなっても知りませんよ!」

 

 少し離れた位置に魔物(モンスター)をおびき寄せ中と書いた看板を設置してから、おびき寄せるお香を焚いてもらい、私とリリは袋小路の入口で待機する。もちろん、影の中に潜ってだ。拡張してあるので二人が入っても余裕。

 

「ひっ!? 沈む! 沈んでます!」

「大丈夫です。私と一緒なら死ぬ事はありませんわ」

「それって一緒じゃなかったら死ぬって事じゃないですか!」

 

 リリが抱き着いてきたので、そのまましばらく異空間で待機する。少し顔を上げるとわらわらと魔物(モンスター)達が大量に集まっていたので、そこを外に出てから時喰みの城を展開して一網打尽にしていく。袋小路なので展開する場所を奥へ奥へと進めていけば全てを飲み込める。十一メートル四方を超える広さはここにはないので逃げられない。

 

「はい、処分完了です。さあ、隠れますよ」

「……はい……」

 

 目が死んでいるリリと共に待機。大量に取り込んで魔物(モンスター)達から時間を吸い取って、魔石に変える。その魔石をリリに回収してもらう。後はこれの繰り返しで魔物(モンスター)を狩りまくる。

 とりあえず、お香を焚いても敵が来なくなるまで徹底的にやってみた。おかげで私もリリもウハウハですよ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「この狩りの仕方は儲けが出ますが、かなり危険です!」

「楽して狩れますよ?」

「それはいいんですけれど!」

 

 リリがフォークを大きいステーキに突き刺しながらそう言ってくるので、こちらはスパゲッティを食べながら答える。今日はお高いお店に来ているというわけだ。

 

「明日もやりますよ」

「……六階層行きましょうか」

「いえ、もう少しこの狩りを続けましょう。保険は欲しいですから」

「わかりました……」

 

 一週間ほど五階層で魔物(モンスター)を集めて狩りをする。次第に現れてくる魔物(モンスター)の数がどんどん増えてきているので、こちらも楽しい。寿命のストックも欲しい。はやく襲ってきてくれないですかね? 

 

「しかし、小さな子供二人で大金を稼いでいるのに襲われないですね」

「襲われたいんですか?」

「ええ、襲われたいですね。返り討ちにしますから」

 

 私の弾丸はレベルなんて関係ありませんもの。さて、食事を終えたらソーマ・ファミリアに戻る。ステイタスを更新してもらう。

 こちらが一週間の成果。

 

 

 

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【くるみ・ときさき】

 

 レベル1

 力 I 0→25

 耐久 I 0→40

 器用 I 0→50

 敏捷 I 0→60

 魔力 I 0→20

 

【魔法】

 

刻々帝(ザフキエル)

一の弾(アレフ)】:対象の外的時間を一定時間加速させる。超高速移動を可能とする。

二の弾(ベート)】:対象の外的時間を一定時間遅くする。意識までには影響を及ぼせないが、対象に込められた運動エネルギーも保持される性質がある。

三の弾(ギメル)】:対象の内的時間を加速させる。生き物の成長や老化、物体の経年劣化を促進する。

四の弾(ダレット)】:時間を巻き戻す。自身や他の存在が負った傷の修復再生が可能で、精神的なダメージにもある程度有効。

五の弾(へー)】:僅か先の未来を見通すことができる。戦闘中、数秒先の光景を視ての軌道予測等に仕様できる。

六の弾(ヴァヴ)】:対象の意識のみを数日前までの過去の肉体に飛ばし、タイムループを可能とする。

七の弾(ザイン)】:対象の時間を一時的に完全停止させる。

 強力な分消費する時間は多め。

八の弾(ヘット)】:自身の過去の再現体を分身として生み出す。分身体は本体の影に沈む形で待機が可能。生み出された分身体を全て駆逐しない限りいくらでも呼び出すことが可能であり、殺害されても何度も蘇る。分身体のスペックは本体より一段劣っており、活動時間も生み出された際に消費した『時間(寿命)』しか活動できない。また、基本的には天使を行使することも出来ない。情報のやり取りを通じて記憶を共有する事もできる。

九の弾(テット)】:異なる時間にいる人間と意識を繋ぎ、交信することができる。撃ち抜いた対象者と会話したり、見聞きしたものを共有できる。

一〇の弾(ユッド)】:対象に込められた過去の記憶や体験を知ることができる。

十一の弾(ユッド・アレフ)】:対象を未来へ送ることができる。進む時間に応じて消費する時間・魔力は加速的的に上がってゆく。

十二の弾(ユッド・ベート)】:対象を過去へ送ることができる。遡る時間に応じて消費する時間・魔力は加速度的に上がってゆく。歴史を改変し元の時代に戻ってきた場合、その特異点となった人物は改変前の記憶を保持、または思い出せる。

 魔力と寿命を消費して発動する。発動には基礎コストとして十日を消費する。また、発動する魔法の数字が上がるにつれて十日ずつ関数で消費が増加する。六の弾(ヴァヴ)からは百日に増加。

 

「神威霊装・三番(エロヒム)

 歩兵銃と短銃の二丁拳銃を物質化する。攻撃に使う銃弾は物質化した影で出来ている。

 

【スキル】

 

「時喰みの城(20)」

 周囲に影を張り巡らせ、自らの影に異空間を作成する。影に触れている存在の時間を吸い上げる。異空間の中に沈んで移動や潜伏ができる他、特定の人物を引きずり込んでの捕食や保護も可能。作成には寿命を一年消費する。寿命を一年消費するごとに異空間の広さを拡張できる。一メートル四方、一年ずつ増やせる。

 

 

 

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 一週間、敵を呼び集める方法で頑張った成果で時喰みの城が20まで成長した。もう、100は諦めて先にあちらの方をするべきかもしれない。その方が効率的ですしね。刻々帝(ザフキエル)は使えなくても、スキルである時喰みの城は使えるので複数になれば効率的に狩れるはず。そろそろステイタスも上がってきたし、やってやりますか。

 

 

 

 

 

 




リリ:才能にあふれるくるみは大っ嫌い。
ザニス:くるみを危険視。


続く? 続かない?

  • 続く
  • 続かない
  • そんなことより狂三が可愛いから書け
  • リリを曇らせて虐めたい
  • 狂三だらけの狂三ハーレム

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