ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
ザニスさんをリリさんと一緒に倒してハッピーエンド! とはなりません。残念ながらまだまだ処理しなければいけない事があります。と、いう訳でソーマ様も強制的に拉致してリリさんと共にソーマ・ファミリアの本拠地へと戻ってきました。
「なんというか、ボロボロですわね」
「ごめんなさい。リリがやりすぎました……」
加減がわかっていなかったのか、そこら中が壊れております。一部は外まで壁を貫いているので通りからこちらが見られております。通報を受けたガネーシャ・ファミリアの方々もこちらに来ておりますが、別のわたくしが対応しているので問題はありません。
「それで彼等をどうしますか?」
リリさんの言葉にロープで縛られて転がされている人達を見ます。彼等は全員、例外無く縛られており、女子供や怪我人もいます。そんな彼等は恐怖に震えてこちらを見ていますわ。まあ、リリさんが何人か殺しているので無理はないでしょう。
「わたくしは正直、どうでもいいですし詳しくは知りませんのでリリさんにお任せしますわ。リリさんが始末したいのでしたら、こちらの穴に捨ててくださいまし」
カンテラに照らされて出来た影の一部に時喰みの城を展開して、廃棄場を作っておきます。これでここに入った生命はもれなくわたくしに時間を吸い取られてしまいます。
「リリがやるんですか?」
「ちゃんとソーマ様も連れてきました。ソーマ様、これからこの人達を選定します」
「面倒だ。そちらで勝手にやってくれ……」
「それは出来ません。それにこれはソーマ様が効率良くお酒を造る為に必要な事ですの」
「そうなのか?」
「ええ、そうですわ。残す者達にはしっかりとお酒を造るためのお金を稼いできてもらいます。ですので、途中で中抜きしたり、盗み飲みをするような奴はぶち殺してやります」
「その言い方だと、ザニス様とまるで変わりませんよ?」
「わたくしは私腹を肥やすなど……するかもしれませんね。武器とか欲しいですし。むしろ私腹を肥やす為に売って売って売りまくっちゃいます!」
「そういう人でしたね。まあ、いいんですが……」
「とりあえず、ソーマ様は協力してくださいまし。わたくしの言う通りにしておればちゃんとお酒を造る環境を整えてみせますので」
「いいだろう」
ソーマ様も納得して頂いたので、改めてザニスさんについた皆様を見ます。いえ、ザニスさんにもわたくしにもつかなかった人も居るのですが、そこは仕方がありません。まとめて選定します。わたくし、味方以外には優しくありませんもの。
「皆様。ザニスさんに代わり、わたくしがソーマ・ファミリアの団長に就任しました。ですので、体制を一新いたします。まず、犯罪行為や他のファミリアに迷惑をかける行為は一切禁止いたします。もちろん、やられたらやり返します。ええ、容赦なく徹底的に、です」
「今回みたいにですね」
「そうですわね。今回の乗っ取りはザニスさんがわたくしの邪魔をしたからですわ。ですので、邪魔をしなければ問題ありませんでした。
まあ、団長になったからには真面目に運営させていただきますわ。そんな訳でまず犯罪行為を洗い出して処分させていただきます。ソーマ様は神様なので嘘はつけません。わたくしは記憶を読む魔法を持っていますので、誤魔化しは一切通用しませんのであしからず。
今からする尋問に嘘偽りなく、真摯に事実を答えなさい。さもなければ行き着く先は死だと心得るように。では、リリさん。お願いいたします」
「わかりました。まずリリは子供に罪はないと思うので、子供は誰の子供だろうと関係なく無罪とします」
リリさんが子供達を運んで一ヶ所に集めていきます。ですので、わたくしはテーブルなど壊れた物を時喰みの城で回収して廃品回収所やゴミ捨て場に移動させておきます。
テーブルなどを新しい物に替えてクロスもしっかりと備え付けて綺麗にします。その上に他のわたくしを使って買い出しに行かせた料理が入った鍋などを並べていきますわ。
すぐに室内にいい匂いが漂いだしました。リリさんが移動させた子供達を別のわたくし達でロープの拘束から解放し、手洗いうがいをしっかりとさせます。
「はい。手洗いうがいをしたら食べていいですよ」
「お、お金は……」
「要りません。好きなだけ食べなさい」
「やった!」
子供達は我先にと食事にありついていきます。まるで飢えた狼のようです。流石に素手で食べるのは見ていられないので、サポートにわたくし達をつけてテーブルマナーを最低限は仕込みます。
「「美味しいっ!」」
「フォークとナイフを使うのです。これで食べないと取り上げますわよ」
「「っ!?」」
わたくし達の言葉を聞いて青ざめた子供達はすぐに使い方を覚えてしっかりとフォークとナイフを使いだしました。子供達の中からは笑顔も見えてきたのでいいでしょう。
リリさんの方を見ると、容赦なく何人かを捨てる……なんて事はしていませんでした。ちゃんとソーマ様と聞き取り調査をしています。
問題ないと判断した人達は解放されたので、ポーションで治療してからこちらの食事会に参加してもらいます。だいたいが新入りだったり、子供と仲良くしている人達ですわね。まっとうにダンジョンに潜って稼いでいる人達です。そのほとんどが巻き込まれ、中立として今回の件をスルーした人達です。
「残りは子供達に聞きます。こちらに居る中で親に生きて一緒に居たいと思えるなら、解放してあげてください」
リリさんの言葉に動いた子供達は本当に少数です。数組の男女が解放されて子供と抱き合っています。彼等はリリさん的には合格といったところなのでしょう。リリさんは幼い頃からソーマ・ファミリアで過ごしてきたので、子供達に自分を重ねているのでしょうね。
「おいキアラ! 俺を助けろ! お前は俺の娘だろう!」
キアラと呼ばれた金色の髪の毛を持つハーフエルフの子供はビクッと震えて、恐る恐る縛られている方を見ます。見ると、服装は大きなボロボロのシャツ一枚だけで身体中に殴られたような跡もあります。
「大丈夫です。本当に心から一緒に居たいと思うなら助けてください。そうでないなら、無視してください。貴女の事はリリとクルミ様が守りますから」
「そうですわ。貴女みたいな可愛い子はわたくしがしっかりと守ってさしあげます。何も心配いりませんわ。ですから、キアラさんがどうしたいかですわ」
リリさんが肩を掴んで止めて視線を合わせ、わたくしは後ろから抱き着いて頭を撫でてあげます。騒いでいる親の方は別のわたくし達が取り押さえたので問題ありません。
「話してください。今までどんな事をされてきましたか?」
「……殴られるの、嫌です……客を取らされるのも嫌です……でも、そうしないとご飯がもらえなくて……」
「ソーマ様」
「本当だ」
「そうですか。キアラさん。貴女はこれからもあの人と一緒に居たいですか?」
「嫌っ! おとうさん、おかあさんみたいに成長したらわたしの事、売るって言ってた!」
「ふがぁぁっ!」
「なるほどなるほど」
わたくしは神威霊装・
「
父親の頭を撃ち抜き、彼の記憶を探りますと、色々ととんでもない事が判明しました。どうやら、彼女の母親は拉致されて凌辱されたエルフのようです。
暗黒期と呼ばれる闇派閥の全盛期というオラリオがバイオレンスな状況でやってきた綺麗なエルフの少女。彼女はリヴェリアさんに憧れて高貴な家から家出してきた娘で、彼等に誘導されて拉致されて監禁されたようです。
そこで散々弄ばれ子供を出産。心が壊れていた彼女は薬で無理矢理何度も子供を生まされ、限界がきたのか、隙を見て武器を奪って自らの腹を引き裂いて命を絶ったようです。
彼はそんな失態で自分が処分されるのを恐れて彼女が最後に産んだ赤ん坊を連れ出し、ソーマ・ファミリアに入って事なきを得たようです。本来なら闇派閥から報復の襲撃を受けるのですが、その闇派閥はロキ・ファミリアなどに壊滅された事でうやむやになったようですわね。そして、成長した子供を娼婦としてイシュタル・ファミリアに売るために育てていたと。それでもストレス発散や資金稼ぎのために本番以外をさせていたようです。
まあ、エルフは肌を触れられることすら極端に嫌う種族で、美男美女が多いみたいですから高く売れるらしいです。それに魔法や精霊との親和性も高いので、それこそ高貴な生まれのエルフなら実験体には最適でしょう。しかし、エルフ達にバレたら戦争案件ですわね。
「クルミ様?」
「この子はわたくしが貰います。しっかりと可愛がって育てるので安心して死んでくさいまし」
「まっ、まてぇぇぇっ!」
記憶をくるみねっとわーくによりリアルタイムで情報を共有わたくし達がずるずると引き摺って時喰みの城へと続く穴へと投げ入れました。
「あの……」
「もう大丈夫です。怖い人はいなくなりましたので、こちらでケーキでも食べてくだいまし」
「あ、ありがとうございます……?」
「リリさん、闇派閥の関係者とこの子に関与した人を見つけて排除してください。ちょっと秘匿しないとロキ・ファミリアと全てのエルフが敵になる可能性があります」
「了解です」
リリさんと子供達の選定から外れて最後まで残った四十人。その人達の犯罪経歴をソーマ様と一緒に暴いて問題ないと判断したのが十一人。それ以外の人は全員、時喰みの城へと叩き込んで処分しました。追加の仕事もできたので、半数のわたくし達を彼等が使っていた闇派閥の施設へと向かわせ、関連書類とそこに居た連中の身元を
わたくし達以上のレベルの人はザニスさんが増援としていた人達を殺したように麻痺毒を充満させて倒す予定でした。ですが、そんな人達は居なかったのでどうにか残されていた痕跡もキッチリと処分できました。どうしてもできない物はソーマ・ファミリアで買い取って店舗か倉庫として利用させていただきます。
とりあえず、リヴェリアさんに知らせる前に少しでも彼女の好感度を稼いでおかないと、本当に終わります。なのでしばらくは内緒です。妹として可愛がればいいでしょう。いえ、いっその事、
ウカノミタマさんに預けてあちらで育てる事も考えましょう。どう考えても地雷ですし。
わたくしが動いている間にロキ・ファミリアに居たチャンドラさん達を呼び戻し、そこで改めて方針をお話します。
「まず、犯罪行為は一切なし。探索ファミリア以外にも商業ファミリアとして登録します。よって、我々はオラリオに酒屋を持つ事になります。そこの従業員を皆さんにしてもらいます。もちろん、ボウケンシャーとしてダンジョンに潜って頂いても構いません。武器や防具が無かったり、壊れたりしたらこちらでお金を稼いでくだいまし」
「もちろん、商品のお酒を勝手に飲むのは駄目です。給料から倍の値段を引かせてもらいますからね」
「リリさんの言う通りです。真面目に働けば毎週、一本のお酒をさしあげます。それ以外は買って飲むように。だいたいファミリア割引で八割の値段で買えるようにしますので、我慢してくださいまし。それと週休三日制にしますから、休みの日は好きにしてください」
「後、ヘファイストス・ファミリアと提携する予定ですの、見習い鍛冶師さん達の武器がかなり安く手に入ります。それを使ってダンジョンに潜るのもいいと思います」
リリさんが椿さんの弟子になったので、ヘファイストス・ファミリアの初心者達とソーマ・ファミリアを組ませる事を提案されたそうなので許可しました。ヘファイストス・ファミリアから武器や防具を提供してもらい、こちらはお酒と戦力を提供します。まあ、こちらの方が貰いすぎになりますが、それぞれのパーティーにわたくし達がお目付け役として入りますので、ヘファイストス・ファミリアとしては安全に発展アビリティの鍛冶が狙え、未来の専属顧客をゲットできるというわけです。
「ああ、それとダンジョンで手に入れた魔石はギルドに売らずにこちらへ持ってきてください。買取の値段に少し色かお酒をつけてお渡ししますので。後、完成品のソーマは売り物とわたくし達で飲む用を用意します。お祝い事があれば皆で飲みますわ。例えば今日とかですわね」
「「「うぉぉぉぉぉっ!」」」
「会場はここではないので後程、移動しますわよ! 全員、移動先が新しい本拠地となりますので、ここは店舗へと改築するので荷物を纏めるように!」
色々と提出する書類が必要ですが、問題ないでしょう。有力者達は味方につけているので、お酒を本格的に販売する許可は下りるはずです。ギルド関連はわたくしがしますし、子供達は英才教育を施して……ああ、どうせなら孤児院もやりましょう。合法的にモフモフできるはずですし、わたくしにも役得はございます。未来の労働力にもなりますしメリットはございますものね。商業許可が得られたら、本格的にくるみレンタルサービスを行いましょう。
貸し出す場所はドラクエの酒場……ルイーダの酒場みたいな感じなのをいずれは用意するとして、今はヘファイストス・ファミリアの方ですわね。
週休三日……ホワイト企業かな?
子供は無償で飲み食いが可能です。リリの事もあるので子供には手厚く保護されます。ええ、手厚く……英才教育が施されます。リリとくるみが使っていた機材もありますからね!
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