ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
「フレイヤ様のために死ねぇぇぇぇぇっ!」
「リリ達のために燃え尽きてくださいぃっ!」
燃え盛る炎の海の中。互いに叫びながら手に持つ武器を相手を殺すためになりふり構わず全力で振るいます。大戦斧と大戦斧が激突し、中心で炎の渦が巻き起こります。リリの火に対する耐性があるサラマンダーウールを素材にして仕立てあげられ、全ての布に
「ああもうっ! さっさと死んでくださいっ!」
「断るっ!」
身体を燃やされ、皮膚が火傷で爛れ、肉が焼ける臭いが立ち込めているというのに、相手は気にせずに大戦斧を振るってきます。相手の大戦斧はリリの大戦斧、イフリートが放つ熱によって金属が赤くなっています。更に相手の持ち手も布が燃え尽きて皮膚が完全に焼き付いてしまっています。その状態ですら、リリに対抗できる力と速さ、技術を持っています。リリなら確実に死んでいます。
「「あああぁぁぁぁっ!!」」
相手の振り下ろしを横に避けようとしたら、途中で軌道を無理矢理変えて柄の方で攻撃してきます。それをイフリートで受け止めてカートリッジをロードして爆発させて更に燃やします。当然、リリの方もこの服を超えてダメージが入ってきます。
「ぐっっ!?」
「もう降参してください! 本当に死にますよ!」
「断る! 勝利するのは俺だ!」
顔の半分が焼けても戦斧を振るってきます。その表情は悪鬼羅刹のようでとても怖く、下がりそうになりますが……ここで下がればリリはもうクルミ様やベル様と一緒に冒険できない気がします。ですから、リリも負けられません。
「いいえ、勝つのはリリですっ!」
地面にイフリートを叩きつけ、爆発を起こします。その衝撃で空を飛び、天井に到達するとそこを蹴って身体中の筋力を使って全身で回転しながら上段から振り下ろします。当然、イフリートの火力はカートリッジをロードすることで
「避けても炎からは逃れられません! これで終わりですっ!」
「なめるなぁぁぁっ!」
リリの全力全開の一撃を相手の人は大戦斧を合わせて全身の力で激突させてきます。激突と同時に炎が解放されてまるで華のように綺麗に咲き誇りました。
「ああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁっ!」
相手が炎に包まれ、地面に埋まっていき、ついには大戦斧が熔けて刃が彼に迫ります。ですが、自分から身体を引いてリリの横に移動してイフリートを持つリリの腕を蹴ってきました。
彼の一撃は地面に力が流れるようにされていて、リリの腕を簡単に砕きました。激痛に襲われる中、視界に迫る拳が一瞬だけ見えたので腕をあげてガードしようとしますが、間に合わずにお腹を蹴られて吹き飛ばされます。酸素どころか血液を口から出しながら何度も地面を転がって止まります。
呼吸もできなくて、視界もチカチカして、全身から激痛が襲い掛かってきます。もう休んで楽になりたいと思ってしまいます。ですが、明滅する視界の中でクルミ様の姿と遠くで戦っているベル様を見たら、ここで諦めるなんてできません。
「終わりか?」
「……相手がまだ立っているのに、リリができないはずが……ありません!」
「うむ」
折れていない腕で立ち上がり、相手を見るとあちらは折れて熔けていった自分の武器を無視して、リリが手放したイフリートを掴みました。その瞬間、イフリートが燃え上がって彼を焼いていきます。相手の人はすぐに手を放してから怪我を気にせずにこちらに歩いてきます。リリもそれに応えるように歩いていきます。互いの速度が段々と上がり、走り出していきます。
「「死ねぇぇぇぇぇっ!」」
拳と拳が激突し、リリの拳も相手の拳も砕けました。ですが、それだけでは止まりません。露出した骨を武器として殴って来るのがわかったので、頭を移動させます。すると相手の骨で頬が裂けました。リリも蹴りを放ちますが、相手は腕でガードしてきます。それを粉砕して吹き飛ばしにかかると、相手は蹴りを放ってきました。
足を上げている状態では股間ががら空きになっているので受けるとまずいです。ですので、残っている腕で相手の足を受け止めて自ら飛びます。
空中で回転してかかと落としを放ちます。相手も蹴りを放ってきていて、互いに足同士が命中して吹き飛んで回転し、なんとか身体を起こすとあらぬ方向に向いている足がありました。腕も足も砕かれました。もうここで終わりでもいいかもしれません。ですが!
「貴方の、
魔法を発動すると同時に相手がこちらに飛んできました。リリの上に着地した彼の肘がお腹を強打して血を吐きますが、魔法だけはなんとか維持してクルミ様の姿に変わります。相手は気にせずリリの顔を殴ろうとして、苦しみだします。
「なん、だ……これ……」
答えは簡単です。シンダー・エラでクルミ様に変身したことで伸びた髪の毛を
「こふっ……これで、かったのは……リリ、です……」
「いいや……俺だ!」
握っていた拳を攻撃され、首を絞められているのに気にせずに殴ってきました。リリはその一撃で鼻や顎を砕かれ──
「そこまでですわ」
「うむ。勝負ありだ」
──死に掛けたところで止まりました。リリに放たれるはずだった拳はクルミ様が受け止めており、クルミ様の小さな手は折れ、掌に関しては砕かれています。相手の背後には椿様がおられて身体を押さえつけています。
「離セ! 離セェェェェッ!」
「ええ、離してあげますわ。この世界の軛からね」
クルミ様が冷たい声が響き、彼の額に短銃が押しあてられています。クルミ様の背後には時計盤が見え、三の数字を表していました。
「そこまでだ。殺すというのなら、手を出させてもらう」
声が聞こえた方を向くと、ボロボロの方々とロキ・ファミリアの方々がいらっしゃいました。同じような小さな方々がクルミ様達に殺気を向けています。
「クルミ、やめておけ。お主も納得済みであっただろう」
「むぅ……そうですけれど、そうなんですけれども! ここまでボロボロにされて殺されかけたリリさんを見たらどうしてでもですね……というか、椿様が止めなければ介入していたのですが!」
「カッカッカ! 手前が弟子の冒険を止めるかよ。師匠としてそれはできんのでな! 許せ!」
「く、るみ……さま……」
「ああもう! せっかくレベル5を殺せる機会でしたのに! <
そう言いながら、短銃の銃弾を引き抜いてから別の銃弾を入れてリリに向って引き金を引きました。銃弾がリリに命中すると、今までの激痛などが嘘のように元気に動けるようになってきました。
「反則級の回復能力だな」
「本当にね」
「手前も欲しいな」
「このサービスが欲しければクルミレンタルサービスか治療をご利用くださいまし」
団長の方々に言われたクルミ様は、リリの上に乗っている人を掴んで知らない方々の方に投げようとしましたが、ちっとも動いていません。
「……」
「「「ぷっ!」」」
「今笑った奴。ぶち殺してやりますから名乗り出やがりなさい!」
「ああ、すまない。あまりに可愛らしかったのでね」
「うむ。大変愛らしかったぞ」
クルミ様は椿様に頭を無造作に撫でられて、頬を膨らませて影から複数のクルミ様を呼び出しました。
「よし、おかわりのジャガーノートが欲しいようですわね。今度は十体くらい召喚してやりましょうか?」
「「「止めろ!」」」
「でしたら、さっさとリリさんの上から退けてくださいます? リリさんに乗っていいのはわたくしだけですわ! ハリーハリー! 早くしないとこの弾丸を撃ちますわよ」
「ちなみに効果はなんなのだ?」
「肉体の加速。つまり、老化ですわね。さて、大怪我をしている状態でこの弾丸を撃てばどうなるでしょうか? 興味がありませんか?」
「オッタル!」
「助けてやって!」
「頼むよ!」
「やれやれ……」
オッタルと呼ばれた人がリリの上に乗っていた人を持ち上げてくれました。彼はもう力は入らないようです。というか、オッタル……フレイヤ・ファミリアの猛者じゃないですか!? オラリオ唯一のレベル7!
「おい! ベーリングも治療してくれ!」
「嫌ですわ。エリクサーでも使えばいいじゃないですか」
「もうないんだよ! それにここまでいったらエリクサーでも無理だ」
「「それな」」
「頼む。金は払う! フレイヤ様に誓ってもいい!」
「「絶対に払う」」
反応を見せないクルミ様に起き上がったリリは横に居るクルミ様のスカートの裾を掴んで引っ張ります。
「クルミ様。リリのためにも治療してください」
「リリさん? この人達はわたくしだけでなくリリさんも襲撃して死に掛けるほどの大怪我を負わせたのですよ?」
「それはリリも同じです。それに……このまま負けたままは嫌なのです。ええ、嫌なんです。今度はリリの手で勝ってやります。ですから、万全の状態じゃないと困ります」
「よくぞ言った! クルミよ。手前からも頼む。なんならクルミ専用の武器も無料で作ってやる」
「マジで言っていますの?」
「ああ。弟子の成長祝いだ。何が欲しい?」
「では、ジャッカルを」
「なんだそれは?」
「後で説明しますが、オラリオには無い武器ですわ。まあ、後程フレイヤ・ファミリアに請求しましょう。で、誰が要りますの?」
そう言うと、オッタルさん以外の人が手をあげました。槍の猫人族の方は嫌々ですが、手をあげていますね。手をあげた三人の中では一番怪我が酷いです。
「副団長の治療もとなるとお高いですわね」
「絶対に支払ってやるから、治療しろ」
「あら、してくださいの間違いではありませんの? 別に拒否してもいいんですのよ?」
「……」
「「「してください!」」」
喋れなくなっているベーリング様以外のご兄弟は即座に言いました。というか、普通に頭も下げています。
「ちゃんと頼むぐらいで助かるなら安いもんだ」
「「それな!」」
「では、四名様ですわね。どれだけの時間、戦闘しました?」
「えっと一時間くらいだよな?」
「いや、もうちょいだ」
「追いかけっこもふくめたら二時間だな」
「でしたら、一人三時間としましょう。<
容赦なく四人に弾丸を一発ずつ撃ち込んでいきます。すぐに四人のガリバー兄弟様は傷が消えました。ベーリング様にいたっては起きてから周りを走りだしましたね。
「で? どうしますの? ん?」
「……た、たのむ……」
「してください、クルミ様」
「貴様!?」
「聞こえませんね。空耳でしょうか?」
「アレン。フレイヤ様のためだ」
「くそがぁあああああああああああぁぁぁぁぁぁっ! 頼みます、クルミ様……」
「声が小さくて何を言っているのか聞こえませんね」
「……頼みます、クルミ様……」
「空耳が……」
「頼みますクルミ様! 治療してください! お願いします!」
「よろしい。治療してさしあげましょう」
フレイヤ・ファミリアの副団長であるアレン様は顔を真っ赤にして、周りの方々は腹を抱えて笑っている方も居ます。クルミ様はニヤニヤした後、ちゃんと治療してあげました。彼の腕も元通りで、即座に報復に移ろうとしますが、すぐにやめました。
「あら、攻撃を仕掛けてくるかと思いましたが、意外に賢明ですわね」
「今、俺もオッタルもここに居る。お前は複数存在していて、影に潜む事も
苦々しそうに告げた内容から察するに、クルミ様が報復に動けばフレイヤ様が殺される可能性がある事がわかったのでしょう。何せ、先程笑われただけで団長の皆様が必死に止めるような連中を召喚しようとしたぐらいですからね。冗談だとは思いますが、クルミ様だとやりかねません。
「って、クルミ様! ベル様は大丈夫ですかっ!」
「ああ、それなら大丈夫ですわ。別のわたくしがしっかりと見ていますし、すでにアイズさん達もあちらで観戦なさっておりますし」
クルミ様が指差した方向ではベル様がミノタウロスと戦っているところでした。今までそれどころじゃなかったので、気づきませんでしたが……なんだか普通に勝てそうです。
ベル様はミノタウロスの角にバゼラードを命中させて切断しました。ご本人も予想外のようで少し驚きましたが、普通にダメージを積み重ねています。当たれば大怪我ですが、リリが相手をしたベーリング様よりは格段にましです。ガードさえすれば死なないんですから。
「うむ。手前がリリに売ったバゼラードか。アレならばミノタウロスの断ちにくい皮膚も問題なく切断できる」
「彼が使っているのは椿の作品か」
「主神様には初心者に渡す物ではないと怒られたが、あの武器の代わりでは仕方があるまいて」
「あのもう一つの武器だな。かなりの業物だ」
「うむ。オッタルの言う通りだ。もう片方の武器は主神様の作品だ」
「ちょっと待ってくれ。つまり、彼はヘファイストス・ファミリアの主神と団長が鍛え上げた一級の装備を持っているってことかい?」
「そうなりますわね」
フィン様が本当に頭が痛そうにしました。
「一つ聞くが、ちゃんと盗まれないように言及して対策はとっているんだろうね?」
「リリが盗んでしっかりと教えました!」
「何をしているんだ……だが、確かに教訓にはなるか」
話しながら見ていると、ベル様はミノタウロスの突進を回避してから背後に回って飛び乗り、首にヘスティア・ナイフを、背中にバゼラードを突き刺して魔法を使いだしました。ミノタウロスは内部から焼かれていきます。
「美味しそうですわね」
「「「え”」」」
「今夜はステーキにしましょう。子供達の分も買って……いえ、この際ですから牛をまるごと買って焼肉でもいいですね」
「すいませんクルミ様。リリはお肉はいいです……考えただけで吐きそうになります……」
「ああ、リリさんは仕方がありませんわね。さっきまで人を焼いていましたもの」
「やめてください! 思い出させないでください!」
焼かれた人が隣に居るんですよ。というか、椿様はイフリートの柄の底を開けて弾丸を取り出していき、整備しだしていきます。
「クルミよ。ほれ」
「ああ、ありがとうございます。<
「うむ。回復完了だな。再装填すればまた使える」
「あの、もしかしてリサイクルですか?」
「当然だ。これ一発だけでもバカ高い値段がしおるからな」
「ソーマの蒸留酒に魔石を混ぜてた物ですもの。再装填は一発で百万ヴァリスはしますわよ。外側だけでも似たような物ですが」
「運用するのはクルミがいる前提だな。巻き戻さんと話にもならんわ」
「まあ、特別弾はもっとするんですが……」
「アレは主神様達に使用禁止と言われてしまったからな」
「ソレはどうしてなんだい?」
「使用者が死ぬからですわ」
「え?」
「ぶっちゃけるとリリが着ている法衣でも一瞬で焼失する炎を放ちおった。おかげで安全面の観点から禁止となった」
「まあ、神の力みたいなものですからね」
「素材からして神の血であるからな!」
「なんという冒涜を……」
その特殊弾はヘファイストス様かヘスティア様の血と魔石の粉末を高純度に蒸留したソーマに混ぜて作り上げた弾丸という事ですね。それを使えば神様の力が宿った炎になると……使ったら死ぬのが納得です。
「まさに神姫であろう?」
「神姫とはどういう意味でだい?」
「神の姫だ。神の使徒である精霊を表している。この武器は精霊の欠片を利用して作っておるからな」
「へぇ……それで神の姫ね」
「何れ成長して精霊となるのも兼ねていますわ。炎の精霊として十分な力をつければ……きひっ!」
話している間にベル様がミノタウロスが消えたことで落ち、地面に着地しました。そのまま背中を見せて動かなくなりましたが、おそらくマインドダウンでしょう。
「さて、あちらも片付いたようだが、君達はどうするんだい?」
「用件はすんだ。帰る」
「寝たいからな」
「「「それな!」」」
「ああ……」
「フレイヤ・ファミリアは撤収か。君達は?」
「リリさんは一緒に深層に来ますか?」
「帰ります! か・え・り・ま・す!」
「わかりました。では、ベルさんを運んで帰りましょう。フィンさん、アイズさんを借りますね」
「わかった。皆! 僕達はこの階層を徹底的に調査する! ジャガーノートが残っているかもしれないし、怪我人が居るかもしれない! 警戒して調査にあたってくれ!」
フィン様がしっかりと後始末をしてくれるので、ここはお任せしましょう。ベル様はアイズ様におんぶされて運ばれていきます。リリとクルミ様はそれについていきます。道中は一足先に戻るフレイヤ・ファミリアの方々がしっかりと処理してくださったので問題もありませんでした。
「クルミ君! 護衛である君が居ながら何をしていたんだ!」
「彼が冒険をしようとなさったので介入準備だけして待機しておりました。ボウケンシャーは冒険してこそです。そうでないボウケンシャーに価値などございません。彼も一端の男になったという事ですわ」
「むむ……」
「落ち着いて欲しい。クルミとリリはフレイヤ・ファミリアと交戦し、ジャ……レベル6相当の
「それにちゃんと逃がそうとしましたよ。でも、ベル様が拒否したんです」
「うん。この子はすごく頑張って冒険してたよ。もちろん、リリもクルミも」
「本当、みたいだね。わかった。今回の事は大目にみるよ。だが、ヴァレン某がベル君の頭をなでている事は別だぁぁぁぁっ!」
ベッドに寝ているベル様の横にアイズさんが座って優しく頭をなでていました。それを見たせいか、クルミ様も座っているリリの後ろから抱き着いてリリの頭を優しく撫でてくれています。
「アイズ、遠征に戻るぞ」
「わかった。行こう、クルミ」
「いや、こっちの私は残りますわよ」
「え……」
「そんな悲しそうな顔をしないでくださいまし。ああ、もう! 別のわたくしを貸してあげますから、その子と一緒に行ってください!」
「ありがとうクルミ。お姉ちゃん、頑張る」
「姉ならもっと頑張ってくださらないと困りますわ」
「うん。次はレベル7になる」
「いえ、そっちではなくてですね……まあいいです」
別のクルミ様がアイズさんと手を繋いで出ていったので、リリもお暇します。
「お風呂に入って仮眠を取ります」
「確かにそれがいいですわね」
「一緒に入りますか?」
「いえ、一人で入りますわ。色々と仕事が残っておりますもの」
「わかりました」
「ただ、柚さんやキアラさん辺りに一緒に入るように言っておきますわね。お風呂の中で寝たら困りますわ」
「お願いします」
お風呂に移動してお二人に身体を洗ってもらってから干してもらっていた温かいお布団で眠りにつきます……
◇◇◇
「ただいま戻りましたフレイヤ様」
「お帰りなさい。待っていたわ! よく頑張ったわね!」
お喜びになられているフレイヤ様が俺達一人一人、抱きしめながら祝福をして頂いた。涙を流し、喜びを感じた後、ステイタスを更新していただく。
「最高よ貴方達。おめでとう。全員レベルアップよ。オッタルは残念ながらまだだけれど、アレンはレベル7に、アルフリッグ、ドヴァリン、ベーリング、グレールはレベル6に上がれるわ。これは盛大に宴を開かないといけないわね」
「よし! 追いついた!」
「「「「やり~!」」」」
「ちっ。これなら三匹ではなく全てを相手するべきだったか……」
「拗ねなくていいわ。あなたはレアスキルが発現したもの。憤怒猛執っていうらしいの。力が大きく上昇して物理耐性、魔法耐性が上がるみたいね」
「確かにフレイヤ様のおっしゃる通りですね。更に鍛錬を重ねましょう」
「ふふ、頑張ってちょうだい」
「俺も負けません!」
「俺達も!」
「「「それな」」」
「では、その前にこちらをどうぞ」
「来たわね」
今回は普通に来たようで、案内の者が居る。どうやら、フレイヤ様が事前に通達していたようだ。クルミはフレイヤ様の前に立つと、手に持つ箱の上に乗せていた紙の筒を渡してくる。
「請求書です。メロンです」
「いただくわ。アルフリッグ、メロンは貴方達で食べなさい」
「ありがとうございます!」
フレイヤ様がメロンをアルフリッグにそのまま渡し、席に座られてから紐をほどいて中身を確認していく。俺も横から確認する。
「アレンが六〇〇万ヴァリスで、アルフリッグ、ドヴァリン、ベーリング、グレールは一人五〇〇万ヴァリスね。治療費が二六〇〇万でその他が一八〇〇万ヴァリス。合計で四四〇〇万ヴァリスと……」
「高過ぎるぞ」
「「「それな!」」」
「ジャガーノートはそっちが呼び出したんだろうが!」
「原因はそちらですもの。本来なら億単位を結構下げておりますのよ?」
「オッタル、支払ってあげて。そうね、五千万ヴァリスでいいわ」
「よろしいので?」
「ええ、気分がいいもの。それに貴方達のレベルアップ費用だと考えたら安い買い物よ。後は彼女へのご祝儀ね」
「はっ」
「……もうちょっと吹っ掛けてもよかったかもしれませんわね」
「あら、少し色をつけてあげたじゃない」
「どうせリリさんの戦いに目を奪われたんですよね?」
「ええ、そうよ。まさか
「勘弁してほしいのですわ」
そう言いながら踵を返すクルミ。
「またいらっしゃい」
「今度はもっと高額にしてやりますわ」
「期待しているわ」
「……これで勝ったと思わないでくださいまし!」
部屋から出て行った彼女を見送ると、フレイヤ様は笑い出した。
「本当に可愛らしい子ね。見ていて飽きないわ」
「戯れもほどほになさった方がよろしいかと。アレは神でも手を出します」
「ええ、わかっているわ。あの子は特別だもの。でも、だからこそちょっかいをかけるのよ」
「かしこまりました。これからは念の為に私かアレンがお傍に控えておきます」
「そうね。お願いするわ。それとあのイフリート、同系統の武器が欲しいわね。オッタルの武器にどうかしら?」
「あのような物は必要ありません。あれば便利ではありますが、高過ぎます」
「素材を聞いて取りに行ってもらうのもいいかもしれないわ。とりあえず次の神会でヘファイストスに聞いてみましょう」
「フレイヤ様……さすがに二〇億ヴァリスも出すのは無理です」
「ダメ、かしら?」
「……駄目です」
「やっぱり稼がないと駄目ね。ロキの子供達が遠征を終えたら、私達も出なさい。クルミも連れていって稼いであげなさい。あの子に死なれても困るもの」
「かしこまりました」
オッタルはさすがに三匹じゃ上がらないと思うの。格下だもの。
基準としてアイズがウダイオスに勝ったときを使っております。
フレイヤ様にリリがロックオンされました。どちらも輝いていたから仕方がありません。
ベル君は少しだけ改変。それ以外は原作通りです。
ロキによる発現する天使
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レーヴァテインから灼爛殲鬼(カマエル)
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変身術の逸話から贋造魔女(ハニエル)
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空飛ぶ靴から颶風騎士(ラファエル)
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このまま|刻々帝《ザフキエル》のみ