ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
キアラちゃんのキャラ付けと能力付け。彼女は世界樹の子にしました。ボウケンシャーですからね!
「ん……何時の間にか寝ておりましたか……」
「ちゅっ、ぺろっ」
どうやら、事務作業をしている間に机に突っ伏して寝てしまっていたようです。おかげで書きかけの書類に涎手とインクの跡があります。
書類の作り直しはかなり痛いです。ここ此花亭の宣伝も兼ねてギルドやガネーシャさん、ヘファイストスさんなど、神々に手を回して
その為に書類が馬鹿みたいに増えております。それに加えて先日のダンジョンで行われたフレイヤ・ファミリアの襲撃。そのせいでわたくし達の数が取られた上にギルドに提出する書類が複数できました。
「んんっ!?」
ヌルヌルした物が足を這ってきました。執務机の下に視線をやると、中には服を脱いだ金髪の幼い女の子がわたくしの足をペロペロと小さな舌で舐めていました。
「キアラさん……何をしていますの?」
「舐めて起こしてた……お父さん、こうして起こすと喜んでいたから……駄目だった?」
「駄目ですの。年齢的に……というか、キアラさんは何歳ですの?」
とりあえず、机の中から引きずり出してから服を着せながら話を聞きます。聞いた年齢は人からすれば成人まじかの十四歳で、もうすぐ誕生日みたいですの。ただ、エルフからしたら幼い子供でしかないようです。エルフのような長命種にとってはままある事ですわね。
「舐めなくていいの? 気持ち良くするよ……?」
「魅力的なお誘いですが、遠慮しますわ。むしろわたくしが舐めたいぐらいですし」
「わかった。舐めていいよ。わたし、それぐらいしかできないし……」
両手を広げて身体を差し出してくる彼女を抱きしめてベッドに連れていき、座ります。それから膝の上に彼女の頭を乗せて撫でてあげます。まあ、ほぼ身長が変わらないので少し大変ですの。
「先も言いましたが、そのような事はしなくて構いませんわ」
「……いや……捨てないで……」
「捨てません。というか、もしかして、何かしないと捨てられると思っていますか?」
「ん」
「では、まずその勘違いから取り除きましょうか」
しっかりと説明していきますが、キアラさんが受けてきた教育が根強く残っているようです。何もしなかったら捨てると言い聞かせてられてきたからでしょう。彼女からしたら、今の生活を捨てたくないようで、最高権力者であるわたくしに身体を差し出すぐらいなんとも思っていないようです。
このまま放置していたら悪い人に騙されて大変な事になりそうです。悪い人達はまだソーマ・ファミリアにもいますからね。今は大人しくなさっておりますが、詐欺をしたりするのは普通にやっていましたからね。
「何か役割があれば安心しますか?」
「一緒がいい。離れていると不安……」
撫でながら考えますが、彼女もダンジョンに連れ込むのがいいかもしれません。それならわたくしが四六時中一緒に居ることができますしね。ですが、他に何かないか聞いてみましょう。
「やりたい事とかありませんか? 出来る限り叶えて差し上げますよ」
「ん……別にないよ……?」
「好きな事はありませんか?」
「ん~星をみること?」
「星ですか?」
「お父さんに命令されていない時はずっと星を見ていたの。とってもきれいだし、見ていると嫌なことがはやく終わるから。それにたまに不思議な生き物も見れるの。ぐにゃぐにゃしてたり、炎の鳥さんがいたり、面白いんだよ」
「待ってください。それは見てはいけないものなのではありませんの?」
「?」
「いえ、いいです。わたくしと一緒に居たいのであれば、ダンジョンに行くしかありませんが……」
「ダンジョン?」
「もちろん危険ですし、死ぬかもしれません。ですので、もう一つの選択肢として……わたくしにその可愛らし耳を触ったり、舐めたりさせて頂ければいいですの」
「じゃあ、両方」
「いや、冗談ですの」
「ん! ん!」
舐めろと差し出されてきたので、抗えずにコリコリ楽します。開発されているキアラさんは喘ぎだして色々とやばいですの。
「クルミ様っ! リリは……って、何をしているんですか?」
リリから見たらベッドで幼いエルフの幼女を抱き上げて耳をハムハム、コリコリしている姿です。
「ガネーシャ・ファミリアを……」
「同意ですので問題ありませんわ。年齢もギリギリセーフですしね!」
「本当ですか?」
「ん。お願いした」
「なら、構いませんが……詳しく教えてください」
リリさんにキアラさんの事情を説明し、わたくしと一緒にキアラさんについて相談します。彼女の特殊性から、あんまり置いておくのはかなりまずいですしね。
「まあ、リリ達と一緒に冒険させるのが無難でしょう。ベストはオリジナルのクルミ様と一緒にキアラをここに置いておくことですが……」
「無理ですわね」
「イヤ」
「まったく……」
「まあ、そういう訳でわたくし達のパーティーに入れましょう。ベルさんに許可を貰わなければなりませんが、おそらく大丈夫でしょう」
「ベル様は女の子には甘いですしね。それにベル様もレベルアップしましたから、中層に向かう事になるでしょう。人数を増やしておいた方が無難です」
リリさんも椿様から中層については詳しく聞いているようです。ぶっちゃけ、人数が居て装備があれば普通に活動は可能なようです。中層で警戒するのは
「まあ、わたくしとキアラさんの二人だけで向かうのでも構いませんよ」
「ベル様に相談してからにしましょう。問題はソーマ・ファミリアの内部にどう説明するか、です」
「そうですわね」
現状、わたくし達のパーティーに入りたがっているソーマ・ファミリアのメンバーは多いです。わたくしが居れば安全は確保されますし、装備だってリリさんみたいに供給されるので待遇が段違いなのです。
「明らかに嫉みが発生します。クルミ様の性格からして懐に入れた子は甘々ですし。いえ、耳と尻尾を持つ女の子に、でしょうか?」
「あははは……」
「ハムハムする?」
「後でしますわ。まあ、仕方がありません。ここはリリさんにわたくしのお世話係を外れてもらい、キアラさんをお世話係とします」
「え”!? リリはクビなんですか!? 捨てないでくださいっ! どんな姿にでもなりますから! なんだったらキアラになって二人で……」
「リリさん……貴女は副団長ですから、忙しいでしょう。わたくしの世話はキアラさんにお願いします。負担は減りますよ」
「いそ、がしい? 全てクルミ様がやっていて、副団長のお仕事なんてクルミ様の世話ぐらいしかないんですが!」
「……アレ? あ、本当でした。人海戦術で全て片付けておりますわね」
「じゃあ、もう愛人にしましょう。これなら手を出す事はありませんし」
「お世話係も似た感じですが……」
「よし、二人に増員です。どうせわたくしはいっぱいいますもの。何の問題もありませんわ」
「ですね!」
「おー!」
二人共、納得してくれたようでよかったです。しかし、かなり依存してしまっているのが問題のような感じもしますが、きっと大丈夫でしょう。わたくしと可愛い二人のゆりゆりしい姿を第三者のわたくしで確認すれば最高ですもの。
「ところで、リリさんの用件はなんだったのでしょうか?」
「あ、そうでした。聞いてください! リリはレベル3になりました!」
「は? おかしいですわね。空耳が聞こえてきました」
「ですから、レベル3です! 最短ですよ! 一ヶ月未満です! レコードホルダーになりました!」
「……リリさんに……抜かれた……? わたくしがスロウリィ……?」
「リリの勝ちです。クルミ様!」
ニヤリと笑うリリさんの姿にわたくしは立ち上がります。キアラさんがベッドから落ちそうになりましたが、別のわたくしがしっかりと抱きとどめて降ろしてあげます。
「今すぐソーマ様のところに向かいますわよ! リリさんがレベルアップして、わたくしがレベルアップしていないはずがありません!」
「どんな理屈ですか。普通に無理じゃないですか? だって、今回のクルミ様、援護していただけですし?」
「いえ、ちゃんと一人はつぶし……きれてはいませんでしたわね。アレ、本当にレベルアップしていないかもしれません! やばいです! 団長としての威厳が! キアラさん! 行きますわよ! リリさんはこの書類をガネーシャさんと此花亭の皆様にお届けくださいまし!」
「ん!」
「わかりました。いってらっしゃいませ」
急いでソーマ様の部屋に入ります。相変わらず酒を造っていますが、強制的に停止させてステイタスを更新してもらいます。
「レベルアップはどうですか!?」
「できる。だが、アビリティは上がりきっていない。それでも上げるか?」
「……」
やっぱりあのレベル5は殺しておくべきでしたか?
「偉業は達成している。何時でもレベルアップはできるが……」
「……ちなみにリリさんはどうでした?」
「アイツは力がSSSでそれ以外はAだったな」
「……このままレベルアップするのはなしですわ。よろしい。深層でガチでやってやりますわ」
「好きにしろ。それでは酒作りに戻る」
「あ、キアラさんのステイタスもお願いします」
「……面倒だ」
「お願いします。強制的にもっと止めさせますわよ?」
「代わりに発酵を頼むぞ」
「お任せくださいまし」
「では来い」
「ん」
「魔法名は星術。星々から天空に存在する
この子、ハイなエルフちゃんですが、ゾディ子じゃないですか。育てたらメテオとか撃てるかもしれません。あ、ハイなエルフならおかしくありませんでしたね。リヴェリアさんは普通に撃てますし。寵姫はわたくしのせいかもしれませんが、まあいいでしょう。かわいい子なので全然問題ありませんしね。
◇◇◇ クルミ→ヘスティア
僕はベル君のレベルアップを祝ってから、此花亭にやってきた。今回はお客としてやってきたので正装に着替えている。といっても、クルミ君がソーマのついでに用意してくれた服なんだけどね。
「やあ、ヘスティア」
「タケミカヅチ。今回はよろしく頼むよ」
「ああ、そちらも頼む。だが、今回は安全だろう」
「圧力を思いっきりかけるからね」
「うむ」
タケミカヅチと一緒に満開の桜並木の道を取り、階段を登って高台にある此花亭に到着した。階段以外にも迂回する遊歩道もあり、そちらも桜並木の道で他の場所に繋がってたりもする。プールなどのアスレチックエリアまであるんだよね。
「「「いらっしゃいませ、お客様」」」
狐人族の仲居さん達が迎え入れてくれてる。彼女達に荷物を預けて案内してもらう。案内された部屋は良い景色の部屋でオラリオを一望できる。室内風呂もあるから露天風呂に行かなくてもいい。
部屋には呼び出し用の鈴もあるから、用件があったらこれを鳴らせばいい。でも、まずはお風呂に行ってから
露天風呂に入って身体を綺麗にしてから正装に着替えて待機する。仲居さんが迎えにきてくれるので、案内に従って宴会場へと移動する。
宴会場では既に何人もの神達がやってきていて、席に座っている。僕も席に案内されて座る。すると直ぐに膳が運ばれてくる。簡単なおつまみと良い匂いのお酒が載せられている。
「俺がガネーシャだ!」
「知ってるぞ~!」
「うむ。今回は趣向を変えて新しくできたこちらの旅館で神会を行う。温泉もレクリエーション施設も完備されていて、ガネーシャ感激!」
「何より出てくる酒がソーマだしな!」
「確かにそうよね。温泉が気持ちよかったし、そのあとの一杯は最高」
しばらくすると、今度は料理が載った膳が運ばれてきて、おつまみが載ったのが回収されていく。今度の膳には透明なボトルに入った高そうなお酒が二瓶も置かれており、料理も小さな鍋と焼き魚や飾り切りされた煮物などがある。仲居さんが一杯目は説明しながら入れてくれる。それによると、普通のソーマと純米酒と呼ばれるお酒みたい。
「うまっ! なんやねんこの酒……」
「ほんまもんのソーマやで! 店に出回らん奴や!」
「やべぇ、病みつきになるっ!」
「お代わり!」
「申し訳ございません。こちらのお酒は特別な物となっており、
「お土産まであるんだ……」
「ふふ、何を仕掛けているのかしら?」
ヘファイストスやフレイヤ、ロキも皆来ている。ただ、今は食事を楽しませてもらう。なんせただだし、デメテルが丹精込めて作った野菜とかが使われていて、粗末にしたら殺される! しっかりと味わって食べないとね!
食事が終わり、膳が下げられて壁際に仲居さん達が待機して飲み物、カクテルなどを渡してくれる。ここからは適当に好きな神々と一緒に座る感じだ。僕も美味しいカクテルを飲みながらヘファイストスに近況報告をする。するとフレイヤ達もやってきたので軽く話しておく。なんだかフレイヤはとっても気分が良さそうで、逆にロキは忌々しげに見ているね。
「さて、これから
ロキがそう言うと、同じタイミングで扉がバンッと開けられてクルミ君が堂々と入ってくる。神々の視線が集中するけれど、一切気にもしていない。
「すいません。主神様を連れてくるのに手間取りましたわ」
彼女の後ろには襟首を掴まれて引きずられてきたであろうソーマが居る。うん、どうやらバックレようとしたみたいだね。勇者だ!
「くるみたん! ソーマは顔が真っ青やけど大丈夫なん?」
「知りません。生きてさえいれば構いませんの。それにこの程度、わたくしが
絶対零度の視線に殺気を乗せながらソーマを見るクルミ君は本気でやばい。そんな彼女に神々は面白そうに見ているけど、彼女の怖さを理解していないように思える。
「さて、神の方々には申し訳ございませんが、二つ名の前にわたくし、ソーマ・ファミリアの団長からお酒の宣伝をさせていただきます。皆様が飲まれたお酒についてです。お断りなされるのなら持ち帰らせていただきますが、構いませんか?」
「大歓迎や! どうぞどうぞ!」
「おうよ! いいなお前達!」
「「「いいともー!」」」
「俺がガネーシャだ!」
「ありがとうございます。では、お願いします」
クルミ君が手を叩くと、外からソーマ・ファミリアのメンバー達が台車を押してくる。その上には木で出来た箱が複数置かれているみたい。
「こちらは純米酒と呼ばれる極東のお酒です。皆様がお飲みになられたのは六割の品ですが、こちらの箱に入っていますのは八割の完成品となります。まあ、ソーマさんが満足することなんて滅多にありません。ましてや新しく手を出したお酒です。それでもかなりの味になります。まずは一献、試飲してくださいまし」
箱を開けて取り出されたボトルにはヘファイストスとソーマ、極東系ファミリアの印が刻まれている。善く善く見れば、箱にも凝った意匠が施されていて、明らかに職人が作ったのだと思われる。
そんなお酒の蓋が開けられると、部屋中に濃厚な香りが漂ってくる。それをクルミ君が影から無数に呼び出した分身達に神一柱ずつ手渡ししていく。
僕にも渡されたが、コレは目の前にしただけで美味しいと断言できる。自然と口がおちょこと呼ばれるものに移動していき、飲む。まるでベル君とデートして愛を囁きあって口付けするかのようなもの凄い幸福感に包まれる。そんな美味しさだ。気付けば全てを飲み干していた。もう一杯と手を出しそうになるが、すでにクルミ君は消えていた。
「さて、皆様。先程お飲みいただいた純米酒と完成品のソーマ。それに加えてワイン、リキュールの四点セットをご用意いたしております。どれもソーマ・ファミリアが、ソーマさんが自信を持って提供する逸品となります」
その言葉に神々が本気でクルミ君を見詰める。彼女の横にある台車には沢山の箱が積まれており、全員が持ち帰っても問題ない数がある。
「な、なあ……くるみたん……それ、くれるん? 無料で? お土産やんな?」
「不思議なことをおっしゃいますのね。もちろん無料であげるわけないじゃないですか。売れば数百から数千万ヴァリスはするのですよ?」
「「「デスヨネー」」」
「わたくし達ソーマ・ファミリアとヘスティア・ファミリアのお願いを聞いて頂ければ差し上げますわ。聞いていただけないのなら、差し上げません。もちろん、売りもしません。これはわたくし達がヤケ酒として全部飲ませていただきます」
唇に指をあてながら可愛らしくも妖艶な感じで言ったクルミ君に全員の視線が釘付けになる。
「神を脅そうというのか?」
「とんでもありませんわ。わたくしはギブアンドテイク。商取引を持ち掛けているだけですもの。購入するのにお金を支払うのは当然ですのよ。ましてやこちらのお酒はデメテル・ファミリア、ヘファイストス・ファミリアに加えて極東系の方々にご協力頂いて作った物ですもの。ですから、もちろん、わたくし達身内のファミリアだけで頂く事にします。ええ、ええ、今回はわたくしのお願いを聞いてもらうために無理をしてわたくし共、ソーマ・ファミリアの持ち分から捻出しておりますしね」
「そうなのかい?」
「ええ、そうよ。と、言ってもお酒の九割はソーマ・ファミリアの持ち分で、私達に流れてくるのは一割。それを分けるくらいね。もちろん、販売分は別よ。あくまでも身内で消費するための奴ね。そもそも子供達に飲ませるには劇物だし、私達が飲むための奴なの。水割りとかなら子供達でもなんとか飲めるかしら?」
「つまり、対神兵器というわけだね」
古来より神や怪物を倒すのにお酒を使われてきたのもまた事実。クルミ君は何も間違っていない。
「うむ。ガネーシャとしては受け入れよう。ただし! その内容が犯罪でなければだ!」
「ええええ、もちろんですわ。二つ名を指定させて頂きたいだけです。変な二つ名をつけられたら……わたくし、報復しそうですもの」
「た、例えばどんなんや?」
「まずソーマ・ファミリアはそのファミリアと一切の取引をしません。売りませんし、買わせません。横流しをしたらそのファミリアとも取引をしません」
「「「え”」」」
「続いて協力ファミリアにも要請し、同じようにさせていただきます。その際にかかる代金は全て、ソーマ・ファミリアで持ちます」
「ちょい待ち! 協力ファミリアってヘファイストスとデメテルのとこやろ!?」
「そうですが、それが何か?」
「デメテル!?」
「別にいいと思うわよ。もちろん、食材が無駄になるというのなら、許さないけれど……全部お酒にするのよね?」
「はい。買い取った食材は全てお酒にして販売します。ですので、取引できるファミリアは助かるのではないでしょうか? 買取額もファミリアに売る倍の値段で構いませんし」
「ならいいわよ。食料は別に私のファミリアから買う必要もないわけだし……」
「「「っ!?」」」
「外から来るっていってもかすかやん! 絶対にぼったくられるで!」
「衣食住の内、衣と住はなくても最悪なんとかなりますが、食はどうでしょうか? 食べなくては生きていけません。それに最高級の味を味わい、それに魅了された方々がそう簡単に抜け出せるとは思いませんわ。少なくともわたくしは無理ですわね」
オラリオの食を押さえられたらどうしようもないね。外から入ってくるのだって、クルミ君は普通に買うだろうし、そうなるとただでさえ少ないパイを取り合うことになる。うん、悪魔の諸行かな?
「なにも戦うのは武力だけではないわ。経済的につぶしてやるっていう宣言ね」
「それだけじゃないわよ。武力もあるわ。彼女、ダンジョンを大規模に破壊できる火力を発揮できるの。相手が仕掛けてきたら、当然反撃するわよ」
「フレイヤはどうなんや?」
「わたくしは賛成よ。そもそも二つ名なんてただの余興でしかないもの。それで命を狙われるなんてごめんだわ。彼女、普通の子供でもないもの。神様の事を敬っていないのは様をつけない時点で明らかでしょう?」
「
「そこまではわからないけれど、彼女が特別なのは事実よ」
「そうやな。まずそっからや。ソーマ。お前、彼女を改造したか?」
「していない。誓ってそれはない。彼女はもとからこうだった。闇派閥がやったのだろうが、人と精霊の人体実験の結果、生まれた存在だ。その性質は人というよりもエインヘリヤルであり、それよりも精霊だ」
「……つまり、地上で制限なく神の血を使えるってわけやな?」
「なにそれ、悪夢じゃねえか……」
「それが事実かどうかはこの場ではどうでもいいことではありませんか。重要なのはこちらがお願いしているのは皆様の懐が一切痛まない二つ名の決定権です。代価までしっかりとご用意いたしましたので、どうかお認めになってくださいまし。仲良くいたしましょう?」
「せやな。ロキ・ファミリアは彼女の願いを聞き入れたる」
「フレイヤ・ファミリアも同じよ」
「私もよ」
「私も~」
ある程度はわかっていたけれど、賛成する神々が多い。ただ、反対する者もいる。だって、別に断ってもお酒を諦めるだけだしね。クルミ君が言っているのは、あくまでも変な二つ名をつけた場合だし。普通のをつければいいんだよ。
「ガネーシャは犯罪でもないからかまわん!」
「それと、まだ隠し玉があるでしょう? 彼女、治癒能力がとっても高いの。その分、お金をいっぱい取られるけれど、すぐなら手足の欠損ぐらい簡単に治療してくれるわ」
「「「っ!?」」」
「本当か!」
「確かに可能ですが、時間経過が重要なので古い傷などはかなり高くなります。ですので精々、一ヶ月くらいの傷なら治療が可能です。それ以上はわたくしが支払うコストが大きすぎます」
「一ヶ月か……値段は?」
「その日であれば1レベルで百万ヴァリス。二レベルだと二百万ヴァリス。そこから一日ごとに百万ヴァリスですわね」
「高っ!」
「わたくしも命を消費して治療しますので、このお値段です。それと多少の割引サービスもございます。ダンジョンへの随伴や護衛。身の回りのお世話やお手伝いをするわたくしの分身レンタルサービス、クルミレンタルサービスを行いますので、そちらを契約いただいたら、怪我をしたその場で治療も可能ですし、分身なので殿も引き受けます。また、人海戦術を利用してダンジョンの階層出入口を制圧し、そこで治療や商品の販売や引取なども計画しております」
「ダンジョンを安全に攻略する用意というわけか」
「はい。ですが、わたくしは殿方と普通に接する程度は構いませんが、えっちぃことはしません。そういうサービスをお求めの方は歓楽街に行ってくださいまし。それが判明したら、キッチリと請求と報復をさせていただきます。ですので、できるのは娘や孫、教導やダンジョン探索でのヘルプや護衛、事務作業のお手伝いなどとお心得ください」
「傭兵みたいなもんやな。ちなみにうちは今、使っとる。物資の高速輸送までやってくれるから、遠征には楽や。三人雇って遠征の売り上げ三割持ってかれるけど、その価値はあると判断した」
「遠征の値段か……」
「物資移動は二人雇って頂かないと出来ませんのであしからず」
僕は完全に賭けで手に入れたから無料なんだけど、普通に考えて高いよね。その分だけ有効性は非常に高いんだけど。
「低レベルほど安く雇えるのはいいな」
「高レベルほど大変だけどな。そもそもレベル2だし、そんな低い階層は……いや、火力は頭がおかしいのか」
「まあ、雇う雇わないは今はいいじゃない。それよりも、二つ名でしょう?」
「そうやな。まず、その二つ名を言ってみい。うちらがそれを気に入ればなんの問題なしや」
「そうだな。まずはそこからだ」
「では……わたくしの二つ名はナイトメアでお願いします」
「痛い! いや、痛くないのか?」
「確かにナイトメア……敵にしたら悪夢のような存在ではある」
「これなら確かに普通のような、普通ではない……微妙な辺りだ」
「そこはくるくるくるみんとか、ときときとかどうよ?」
銃声が部屋に響いた。クルミ君の手には小さな短銃が握られている。どうやら、撃ったのは空になった瓶みたい。
「何か言いまして? わたくし、どうやら空耳が聞こえたみたいでして……」
「幼女くるみ……あぎゃっ!? な~~~に~~~を~~~」
「勇者だな」
「うむ。勇者だ」
どうやら、殺されたわけではないみたい。ただ、無茶苦茶遅くなった。
「よし、くるみたんの二つ名はナイトメアで決定や。ただし、そのままつけるのはムカつくから、小さい悪夢、リトル・ナイトメアや! これならくるみたんの要望も入れとる! どうや!」
「それならいいんじゃないか? 確かに小さいし」
「だな」
「貴女はどうかしら?」
「……まあ、妥協点としてリトル・ナイトメアなら、いいでしょう。わたくしもまだまだ小さいですし。でも大人になったら外してもらいますからね!」
「「「は~い」」」
「いや、はずさん! 娘はお嫁にださんのだ!」
「いつからお前の娘に……いや、レンタルサービスを使えばいけるのか。彼女みたいなかわいい子にパパやお父さんと呼ばれるのは……」
「「「ありだな!」」」
「お母さんやママもいいわね!」
「確かに!」
クルミ君はリトル・ナイトメアに決定した。ベル君についてもフレイヤが協力してくれたし、クルミ君とのからみも合わせてリトル・ルーキーに決定された。ベル君については所要時間もあって疑われたが、同じく圧倒的に早くレベルアップしたクルミ君もいるので追及はなんとかかわせた。
「で、次はフレイヤやな」
「うふふ、私のところのアレンとガリバー兄弟がレベルアップしたわ」
「まじかよ……」
「ロキ、はなされたやん」
「やばくね? フレイヤ・ファミリアの一人勝ちか?」
「まあ、私の子供達は二つ名は決まっているからいいわね。それよりも最後よ」
「これで終わりじゃないのか?」
「確か、残っているのはソーマの子供があと一人だったな」
「この十年ぐらいかけてレベル2になった子か。数年だっけ?」
「まあ、どっちでもいいだろう」
「ああ、皆様。彼女に関しては資料がありますが、それはもう古いです」
「「「いやいや、古いって三日前の奴なんだけど……」」」
「昨日、リリさんはレベル3になりました」
「「「まてぇぇぇぇいっ!」」」
「所要期間は一ヶ月未満?」
「マジかよ」
「というわけで、リリさんの二つ名はリトル・ウィッチです。魔法のように駆け抜けているシンデレラ。わたくしという魔法使いに出会い、お姫様ではなく魔法を使う魔法少女となった彼女にピッタリな名前です」
「魔法少女?」
「ん?」
「こちらをご覧ください。新しい資料ですわ。徹夜で十人導入して作りました」
ニコニコしてクルミ君が提出してきたのはフルカラーの漫画だった。そこにはリリ君とガリバー兄弟のベーリング君の戦いが描かれている。特に変身シーンは念入りにだね
「マジか。マジで変身すんの?」
「変身したのか。どうやって? やっぱり魔法? いや、変身魔法はあるんだが、こんなのありか?」
「ウチのアスフィも協力して魔導具を作り上げた」
「万能者が……なるほど」
「というか、ヘファイストスさん? この武器について一言」
「反省も後悔もしていないわ。神の力を使わずに地上にある素材だけで作り上げた逸品よ。いえ、嘘ね。ちょっぴり反省はしているの。お金をかけすぎたわ」
「中規模ファミリアが吹っ飛ぶような値段よね」
「てか、レベルアップしたのも納得だわ。そりゃ、レベル2がレベル5を相手にここまで追い詰めたらレベルも上がるってもんよ」
「ベーリングの方もレベルアップしてるしな」
「本当に恐ろしいのはこの武器と装備だな。確実に1レベルは上昇しているぞ」
「かかってる費用から言って、用意できないけどな!」
「まあええやろ。リトル・ウィッチなのは魔女やなくて魔法少女やからか」
「です。わたくしとの兼ね合いもありますし、変身魔法も使いますからね」
「で、ダンジョンでフレイヤ・ファミリアとかち合った理由はなんだ?」
「不幸な行き違いよ。うちの子がゴブリンで遊んでいたらしいのよ。それで全身鎧がゴブリンの血で汚れてしまっていてね? ダンジョンで出合い頭に互いを敵だと思って攻撃した後は、そのままやりあったのよ。そのあとはもう互いに引くに引けなくて止まらなかったみたい。ちゃんと慰謝料も支払って解決してあるわ。そうよね。ソーマ」
「全てクルミに任せている。クルミ」
「ええ、その通りです。不幸な事故です。そう全ては不幸な事故なのです」
「……ああ、もう色々とわかったわ。不幸な事故であんなん呼び出したんやな。レベル5を相手に生き残るために」
「結果的にそうなりましたが、ちゃんとフレイヤ・ファミリアが自ら処理しましたので問題ありませんわ」
「せやな。うし! ガネーシャ! これで名付けも終わりや! 宴をしてええか!」
「俺がガネーシャだ! いいだろう。酒はクルミとソーマが提供してくれるソレでいいだろう」
「確かにそうやな。お前らもわかっとるかと思うが、子供に飲ませんなよ。高レベルのドワーフとかでもないと、ソーマに鞍がえされんで」
「おうよ!」
クルミ君が仲居さん達に頼んで全員にしっかりと箱を渡していった。中には確かに四種類のお酒が入っている。このお酒を売れば一気に借金が返せるかもしれない。
「このお酒、さすがに売れないわよ。ここに居る神様が全員もらったわけだしね」
「う~む。さすがにコレを売るのは無粋だよね」
「そうよ。まあ、祝い事があった時にあけるぐらいでいいんじゃない?」
「でも、保管が不安なんだよね~」
「なら、私の方で預かってあげる」
「いいのかい?」
「どうせ一緒に飲むでしょう」
「ああ、そうだった。皆に伝えておく。そのお酒は持ち出し禁止だ。飲むのは此花亭の中でのみ。保管はしっかりとしておいてあげる」
「なんでや!」
「子供達にとって劇物だからさ。まあ、自分達の責任で持ち出すのならそれはそれでいいけれど、うちらは責任を取らないからね。それにファミリアで保管が困難なところもあるだろうし、こっちで保管しておくということだ」
「そういうことならええか。ようは守り切れる自信があるなら、持って帰ってもええってことやし」
「襲われるかもしれんな!」
「そうね。私は持って帰るわ。アレン達を呼んだらいいでしょうし」
「うちは遠征中やし無理やな」
「宣伝になるけれど、此花亭にもバーを用意しているわ。そこでより美味しい飲み方とかも紹介しているから、ここで飲むことをお勧めするわ」
「よし、それなら今はとりあえず乾杯や!」
「「「おうよ!」」」
「乾杯!」
「「「乾杯!」」」
皆で飲みだしたら普通に止まらなかった。僕はなんとか二本を残したけれど、ほとんどの神々が飲み切ってしまっていた。そこにクルミ君が今度は普通に販売をしだしたので、お金があるファミリアは飛びついていく。驚いたことにフレイヤはすごく悩んでから、結局買わずに3ランクほど下のお酒を大量に契約していた。どうやら、子供達に与えるものみたいだ。ちょっと見直した。
ロキ? ロキは買ってから顔を青くしていた。ママからの雷が落ちるとかどうの言ってたけど、自業自得だし気にしない。
「ヘファイストスとデメテルは買わないの?」
「私達はもらえるもの」
「資金提供の利息としてね」
「ああ、そっか。クルミ君にかなり貸してるんだっけ」
「すぐに返せる額だから不安はないわ」
「そうね。新技術だけでも充分なお釣りがくるわ」
「ベル君の武器に搭載は……」
「無理よ。大型の重量武器じゃないと搭載はまだ無理ね。そもそも素材がないわ。それこそ、クルミがまた何かをやらかさないとね」
「ヘファイストスさん、椿様から許可をいただきましたので、こちらの設計図をお渡ししておきます。素材の準備と値段の見積もりをお願いしますわ」
「言ってる傍から面白い物を……」
図面を見てもよくわからないけれど、名前はわかった。ジャッカルという銃みたいだ。使われている素材もアダマンタイトとか、すごく高い物になりそうだね。クルミ君いわく、魔法が無効化された時の対策として物理攻撃手段として欲しいみたいだ。彼女の攻撃はあくまでも魔法ありきだから、必要なんだろう。
キアラ:ハイエルフ版のゆるふわウェーブの金髪ゾディアック。世界樹の迷宮Ⅲの子ですね。紫の子も好きですが、今回は金髪の方です。天使はメタトロンを予定。
彼女が星空に見ていたのは精霊。精霊ったら精霊です。星空の下でしか魔力が回復しないのでダンジョンでは泊まり込みがしんどいデメリットを想定。マジックポーションで回復しないといけません。もしかはカードリッジのような魔力タンクを装備することです。
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このまま|刻々帝《ザフキエル》のみ