ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
「皆、無事なようだね」
「ああ、問題ないわい」
「そのようだ」
合流してきたフィンさん達はすぐにわたくし達を集めて無事を確認し、周りの
「一度休憩を取る。椿。全員の武器を整備してくれ」
「任せておけ。クルミ、手伝え」
「かしこまりましたわ」
椿さんと一緒にわたくし達は一緒に整備していきます。わたくし自身もヘファイストス・ファミリアでサポートのお仕事をしていますので慣れたものです。
「はい、どうぞですわ」
「うむ」
「次はこちらですわね」
椿さんが次の欲しがる工具を渡し、使っていた工具を回収して次に必要な補修資材を用意して渡していきます。
「すごく息が合ってるね~」
「すごい」
「はっはっはっ、毎日一緒に鍛冶をしておるからな」
椿さんの記憶を読ませていただいたわけではありませんが、それでも椿さんがどのように整備していくかは記憶しています。後は今までの統計データからどのようにすれば椿さんの仕事が捗るのかはわかります。
「ちゃんと整備できるならいいけどよ。その辺りはどうなんだ?」
「手前としても団長としても認めておるからまったく問題ない。まあ、裏技を使いおったがな」
「裏技だとぉ?」
「それは秘密ですわ。女の子の秘密を暴こうだなんて駄目ですわよ?」
裏技というのは記憶を読むという事です。ただ、先にも言った通り、椿さんの記憶は読んでいません。わたくしが読んだのは鍛冶場に宿っている記憶そのものですの。炉や槌など、様々な鍛冶道具の記憶です。故に使用者である椿さん達の事は良く把握しておりますの。
「それは駄目だね!」
「ベートさん……」
「俺が悪いのかよ? まあいい……腕は確かなんだろうな?」
「言ったであろう。手前が保証するとな」
「ならいい。さっさと終わらせろ」
「はいですわ」
リリさんの武器であるイフリートを作るためにも鍛冶技術はしっかりと覚えたので、整備も問題なくできます。手抜きなど一切なく、全力で取り込みます。
「どうでしょうか?」
「うむ……問題ない。手前とほぼ変わらぬ整備能力だ。鍛冶スキルがない身ではこの辺りが限度であろう」
「恐悦至極に存しますわ」
「後は実際に使って微調整であろう」
「じゃあ、やるね~!」
ティオナさんに試してもらってから、多少の微調整をして整備を終わらせました。その間にレフィーヤさんとラウルさんは謝罪と返事を繰り返して無限ループさせておりました。
「団長、どうしたんですか?」
座りながら次の階層へと続く地面にできている穴を睨むフィンさんにティオネさんが質問しました。わたくしも少し気になります。できればその手記とやらを見せて頂きたいですわ。
「ゼウス・ファミリアの手記によれば五十九階層から先は氷河の領域。と、記されていた」
「はい。至る所に氷河湖の水流があって進みづらく、極寒の冷気が身体の動きを鈍らせると……」
「そう聞いたので、人数分のサラマンダーウールを用意したっす。品物不足で予想以上に値段がしてしまったす」
「それはそこの二人のせいだろう」
「何の事やらわかりませんの」
「うむ。手前達はただサラマンダーウールを買って強化していただけだからな!」
当然のようにリリさんの変身服を作る上で失敗した物は数が多いです。そのサラマンダーウールも再利用して手袋などにリサイクルしているとはいえ、かなり買い占めました。お陰で値段が高騰したのでしょう。
「まあ、それはいい。それよりも僕が言いたいのはその極寒の冷気が僕達の下へと伝わって来ないか、という事だ」
「あっ! 確かにおかしいよね!」
「何かあるってのか……」
「わからんが、ゼウス・ファミリアの誇張とは考えにくい。ここまではあっていたからな」
「どちらにせよ、行くしかないんじゃありませんの? それともこのまま戻りますか?」
「それはできない。サラマンダーウールは装備せずに三分後、出発する。全員、準備を整えておいてくれ」
わたくしもしっかりと準備を整えておきましょう。バリスタの再装填や銃弾の作成など色々とやる事がございます。
◇◇◇
「まもなく、ロキ・ファミリアが五十九階層に足を踏み入れる」
「いよいよか」
「見せてもらおう」
◇◇◇
洞窟を歩いて行きます。冷気など一切伝わってこず、むしろ蒸し暑い感じです。ドレスを着ているので、全身から汗が流れてきて、肌をしたたり落ちて胸の間などに入って少し気持ち悪いです。他の人はそうでもないようですが、低レベルのわたくしには結構な暑さに感じますわ。
「寒いどころか……」
「蒸し暑い、ですね……」
「クルミ、大丈夫?」
「大丈夫です。ですが、近づかないでくださいね」
「うん……でも、きつかったら言ってね?」
「ありがとうございます。その場合は影に避難させてもらいますわ」
アイズさんが心配して抱き着いてこようとしたので止めました。ここで抱き着かれたら死んでしまいます。
「フィン。やはりこれは……」
「ああ」
ティオナさんとベートさんがカンテラを持ちながら先頭を進んでいきます。しばらくすると、通路の先に太陽の光のような灯りが見えてきました。
「今から僕達が目にするのは、神々ですら目撃した事がない未知だ」
洞窟を抜けた先。そこにあったのは濃密な緑と土の臭い。降り注ぐ太陽の光に木々を微かに覆う雲。そこは完全に密林、ジャングルでした。遠くには無数の傘のような巨大な木々が存在し、天井には岩肌の大地が存在します。所々に太陽の光のような物が降り注いでいて、明るいです。
「視界いっぱい、密林ね」
「まるで二十四階層のプラントみたい……」
「同じだな。アレと……」
入口がある崖の上から見渡していると、何かが動いて木々が倒れるような音がしてきました。
「前進!」
フィンさんの指示に従ってわたくし達は隊列をしっかりと組んで移動します。最初はベートさんとティオネさん。次にアイズさんとラウルさん、ティオネさん。続いてレフィーヤさんとわたくし、椿さん。その次にリヴェリアさんとフィンさん。最後にガレスさんです。
しばらく警戒しながら密林の中を歩いていると、広場のようなところに出ました。そこでは巨大な植物型の
「何よあれ……」
「あれって宝玉が変化した
「寄生されているのは死体の王花、タイタン・アルムか」
「やべぇぞ……」
「魔石をあんなに……」
美味しそうにパクパクと食べているので通常のタイタン・アルムとは比べ物にならないぐらい強くなっているはずです。
「強化種か」
「うぁぁぁ……」
「あっ!?」
タイタン・アルムのお腹が膨れ上がり、罅割れていきます。そして、ひび割れた部分が崩れていくと、お腹の中から緑色をした女性の姿が現れます。同時に天候が変わり、紫色の気味が悪い空へと変化しました。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
生まれたての赤ん坊のように産声を上げます。その声は凄まじく、皆さんが思わず耳を押さえますが、わたくしの耳は鼓膜が破れて血が流れでてきます。
「ッ!?」
「ッッ!」
何を言っているのかわからないので、ポーションを使って治療します。すると聞こえてきたのはとても気味が悪い声でした。敵対しているのは変わらないので、気にせずに
「あぁ、アリア、クルミ……貴女達も一緒になりましょう。貴女達を食べさせて」
「アレが精霊だなんてっ!?」
「おとぎ話とはかけ離れているわね」
「全てはアレを成長させるための手段だったのか……」
「あの新種の
「面白ぇ……精霊の強化種かよ!」
「全然面白くはありませんわ……」
相手にとってわたくし達は食料ですか、そうですか。まあ、わたくしにとっても彼女は食料なんですけどね。
「アイズさん……」
「……」
「アリア、クルミ。待っていたわ。ずっと待っていたの。貴女達を早く食べさせて!」
その言葉と同時にわたくし達の背後に無数の植物が地面から突き出してきて、瞬く間に壁が作られていきます。
「道がっ!?」
「総員戦闘準備っ!」
「フィン! わしも前に出るぞ!」
「やる事はかわらねぇ……ぶっ殺す!」
「アイズ、やれるな?」
「うん。クルミ達は下がっていて」
「援護をしますわ」
「お願い」
わたくしとレフィーヤさん、リヴェリアさん。それに護衛としてラウルさんと椿さんを残して皆さんが突撃していきました。精霊の強化種の前には無数の
「誇り高き戦士よ、森の射手隊よ」
皆さんにとって精霊の強化種以外は相手ではありません。次々と倒していかれます。ですが、それはあくまでも数匹の場合です。数十匹が壁となり、精霊の強化種への道を封鎖します。
「フィン! 纏めて焼き払うぞ!」
「待て! 親指の疼きが止まらない。何か来るぞ!」
「地ヨ、唸レ──」
精霊の強化種の下に紫色の巨大な魔法陣が展開されました。嫌な予感しかしませんので、わたくし達の一部をここから急速に離脱させておきます。
「詠唱!?」
「来タレ来タレ来タレ大地ノ殻ヨ黒鉄ノ宝閃ヨ星ノ鉄槌ヨ開闢ノ契約ヲモッテ反転セヨ」
「
「超長文詠唱だとっ!?」
「っ!? リヴェリア! 結界を張れ! ラウル! レフィーヤ! 椿! クルミ! 敵の詠唱を止めろ!」
「はっ、ハイっす!」
「舞い踊れ大気の精よ、光の主よ。森の守り手と契を結び──」
「ヒュゼレイド・ファラーリカ!」
ラウルさんと椿さんが魔剣を使って精霊の強化種を攻撃しました。レフィーヤさんも広域攻撃魔法でまとめて攻撃していきます。
「わたくし達!」
こちらも全てのバリスタを動員して後の事など気にせずに全て発射します。しかし、相手は花弁を閉じることによって防御力を上げて耐えました。
「嘘……」
「怯むなっ! 攻撃を続けろ!」
私達が連続で攻撃していきますが、相手は気にもせずに詠唱を再開しました。レフィーヤさんの魔法は花弁を閉じて対応したくせにわたくし達と椿さん、ラウルさんの魔剣による攻撃は一切効いていないようです。
「空ヲ焼ケ地ヲ砕ケ橋ヲ架ケ天地ト為レ降リソソグ天空ノ斧破壊ノ厄災──」
「大地の歌をもって我等を包め」
激しく雨のようにこちら攻撃を続けます。わたくし達も神威霊装・
「フィンさん! わたくしも魔法を!」
「まだだ! 嫌な予感がするからクルミはまだ使うな! リヴェリアを、僕達を信じろ!」
「っ!? 畏まりましたわ!」
一時的な時間停止を行う
「代行者ノ名ニオイテ命ジル与エラレシ我ガ名ハ地精霊大地ノ化身、大地ノ女王──」
「我等を囲え大いなる森光の障壁となって我等を守れ──我が名はアールヴ」
「全員! リヴェリアの結界まで下がれぇぇっ!!」
「メテオ・スウォーム!」
「ヴィア・シルヘイム!」
なんとか皆さんが結界まで入ると、その直後に空から無数の炎を纏った塊が落ちてきます。まさにメテオ・スウォーム! わたくしが愛してやまない魔法の一つ! 是非とも欲しい魔法ですわ!
結界に隕石が直撃すると爆発を起こして結界が震えていきます。
「くっ!」
「結界がっ!」
「耐えろリヴェリア!」
「わかっている!」
メテオ・スウォームは敵味方関係なく破壊の嵐をまき散らし、正に災厄と呼べるだけの魔法です。噴煙が晴れると、そこにはクレーターだらけで結界に守られたわたくし達と放った本人である精霊の強化種だけは残されておりました。
「止んだ、の……?」
「これが精霊の力……」
「調子に乗りやがって……今度はこっちから仕掛けてやる!」
「待てベート! まだ何かある」
「なぁっ!?」
フィンさんの言葉で全員が精霊の強化種を見つめます。すると精霊の強化種は更なる詠唱を行っていました。
「火ヨ、来タレ──」
「連続詠唱っ!?」
「猛ヨ猛ヨ猛ヨ炎ノ渦ヨ紅蓮ノ壁ヨ業火ノ咆哮ヨ突風ノ力ヲ借リ世界ヲ閉ザセ」
「早い!」
「もう来るのか」
「アレだけの物を放っておきながらこれか!」
レフィーヤさん、椿さん、ガレスさんの言葉にわたくしはフィンさんを見ます。
「燃エル空燃エル大地燃エル海燃エル泉燃エル山燃エル命全テヲ焦土ト変エ怒リト嘆キノ号砲ヲ我ガ愛セシ英雄ノ命ノ代償ヲ──」
「クルミ! 結界の時間停止!」
「っ!? <
「代行者ノ名ニオイテ命ジル与エラレシ我ガ名ハ火精霊炎ノ化身炎ノ女王──」
「来るぞ!」
「
「ファイアーストーム!」
馬鹿みたいな炎の嵐がわたくし達を襲います。地面以外の視界全てが炎に包まれます。レフィーヤさんはアイズさんに押し倒され、皆さんが伏せております。自分では結界の時間停止など思い付きませんでしたが、フィンさんの言葉通り、無事に結界は耐えております。
「ガレス! リヴェリアの前に出て盾を構えろ! リヴェリア! クルミの時間停止が解除されたら結界が解除される! ガレスの後ろに伏せながら全力の攻撃魔法を詠唱しろ! レフィーヤは今すぐにリヴェリアの結界魔法を詠唱! 三発目が来る前に叩き込め! 前衛部隊はその直後に走れ!」
フィンさんが次々に指示を飛ばしていきます。そして、わたくしの方へ見ました。
「クルミ。結界を解除したらリヴェリアに加速の弾を間髪入れずに叩き込め。いいか、タイムラグなしだ。それで詠唱を早くできる。それ以外は今すぐ頼む」
「畏まりましたわ。わたくし達」
「レフィーヤ、大丈夫。私達が守るから」
「そうだよ。大丈夫! 私達が勝つよ」
「そうね。こんなところで死ねないわ。だって、団長の子供だってまだ生んでないもの」
「ティオネさん……」
「大丈夫だ。レフィーヤ。お前ならできる。私の一番弟子なのだから、私の魔法を使いこなせる。なに、ほんの少しだけ時間を稼げばいい。その時間だってガレス達が手伝ってくれる」
「それにちょうどいい機会ではないですか。皆で冒険しましょう!」
「はい。わかりました! 確かにあの人にも負けていられません! 行きます! ウィーシェの名のもとに願う。森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪。どうか──力を貸し与えてほしい」
加速されたレフィーヤさんが一気に詠唱していきます。
「クルミ」
「なんですか?」
「悪いが、死んでくれ。埋め合わせはする」
「高いですわよ。文字通り、命を賭けるのですから」
「あの精霊のドロップを全てやる。それでどうだ?」
「きひっ! いいですわね! 乗ってやりますわ!」
くるみねっとわーくを通して残り時間の少ない者から、十人を選びます。その十人の皆さんは快く快諾していただきました。わたくし達の目的は同じであり、ともにこんなところで死ぬつもりはありません。自分達の記憶も感情も全てがくるみねっとわーくによって共有され、自分達が分身であり、オリジナルでもあるという状況になっています。故に死を厭いません。最終的にだれか一人でも生きていればそちらにわたくしの
「もうまもなく解除されますわ!」
「舞い踊れ大気の精よ、光の主よ。森の守り手と契を結び、大地の歌をもって我等を包め。我等を囲え大いなる森光の障壁となって我等を守れ──我が名はアールヴ!」
時間停止が終わり、結界が破壊されます。その瞬間、炎がわたくし達を襲いますが、ガレスさんがしっかりと防いでくださいます。
「ヴィア・シルヘイム!」
レフィーヤさんによる結界魔法が発動しますが、流石にリヴェリアさんよりも脆いのです、即座に
「う、後ろに……」
「嘘……」
後ろには大量のイモムシ型の
「ぁぁ、そんな……」
「くそっ……」
絶望的な状況です。後方にはイモムシが数えるのも億劫になるほど存在し、広域魔法を連射してくる精霊の強化種までいます。前方にも先程攻撃をしてきた精霊の強化種です。皆さんの中に諦めのような物が漂ってきます。
「何を恐れている。僕達がやることは一つだ。あの
「ちっ、雑魚やアイツに負けてられるかぁっ!」
「上等じゃない。私達も冒険しないとね」
「ベル・クラネル……」
「手前も弟子に冒険させておいて、師匠である手前が冒険せぬなど、許せぬな」
全員の瞳に生気が宿りました。これがロキ・ファミリアの団長。目指すべき姿ですか。勉強になりますわ。
「クルミが道を作る。リヴェリアはその道を通して本体に攻撃しろ。そこにベートとティオナ、ティオネは突撃。アイズは僕と一緒にその後だ。次にレフィーヤ、君も付いてこい。ガレスと椿、ラウルは背後を押さえろ。前方を全力で殺してから背後に転進する。それまで耐えろ」
「言ってくれるな……」
「無茶苦茶だな」
「お前達にはできないのか? ならばそこでうずくまっていろ」
「誰にものを言っている」
「まったくだわい。逆にぶち殺してやるわ!」
「それでこそだ。クルミ!」
「きひっ! デートの始まりですわね! 盛大に開始の花火をあげましょう! わたくし達!」
わたくし達が一斉に突撃してから詠唱します。更に人数を増やしてですわ。
「「「「「時よ、止まりなさい!
全員が詠唱し、世界の時間を停止させます。しかし、完全詠唱ではないのですぐに緩やかに動きだしていきます。時間が停滞した世界。その状態で前後に向かって五人ずつ、計二回の合計二十人による連続射撃を行います。
「いいタイミングだ。行くぞ!」
「「「「おおおおおおおおおおぉぉぉっ!」」」」
二十人のわたくし達が逝きました。ですが、その死は無駄にはなりません。即座にリヴェリアさんが追撃を放ちます。
「レア・ラーヴァテイン! 行けっ!」
全方位に無数の巨大な炎の柱を突き出す広範囲殲滅魔法が放たれ、フィンさん達の進路を妨害しようとした
「地ヨ、唸レ──来タレ来タレ来タレ大地ノ殻ヨ黒鉄ノ宝閃ヨ星ノ鉄槌ヨ開闢ノ契約ヲモッテ反転セ」
「ヘル・フィネガス! おらぁぁぁっ!」
詠唱を開始していた前方の強化種に狂暴化したフィンさんが槍を投擲します。相手はそれに気付いて即座に花弁を閉じて防御にかかります。ですが、その前に槍が到達して相手の顔が消し飛んで詠唱が止まりました。
「ナイスだフィン!」
「団長に続くわよ!」
「お~!」
フィンさんの影に居るわたくしが新しい槍を投擲すると、すぐに掴んで戦闘を継続します。阻んでくる蔦を切り落としていきます。その間に精霊の顔が再生して詠唱をしだします。
「突キ進メ雷鳴ノ槍代行者タル我ガ名ハ雷精霊雷ノ化身雷ノ女王──サンダー・レイ!」
「しゃらくせぇっ!」
放たれる雷をベートさんが風を纏った足で蹴り飛ばし、自らも吹き飛ばされて地面をバウンドしていきます。見れば足がなくなっていますので、影に潜んだわたくしが
「おりゃぁぁぁっ!」
「ふんっ!」
ティオナさんとティオネさんが怪我も気にせずに閉じようとしていた壁に自ら入り込んで無理矢理止めます。そこをアイズさんとレフィーヤさん、フィンさんが入って精霊の強化種に肉薄しました。
「誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ。帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢。 雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え」
フィンさんは命中すれば身体を貫く無数の蔦を紙一重で回避し、できない物は切り落としてまるで踊るようにしながら槍を交差せて突き刺して一気に左右へと広げて切り裂きます。
「レフィーヤ! ベル・クラネルと同じようにしろ!」
「はい!」
フィンさんが飛びのいた場所にレフィーヤさんが入り込んで、両手を引き裂いた体内に入れます。しかし、相手もただでやられるわけもなく、蔦を放ってきますが、新しい槍を渡したフィンさんが投擲して蔦を串刺しにします。
「ヒュゼレイド・ファラーリカ!」
ゼロ距離の体内から放たれた広域攻撃魔法により、全身が炎に包まれます。その状態でも体内から蔦を生やしてレフィーヤさんの腕を切り落として魔法を中断させました。
「
「ヒュゼレイド・ファラーリカぁぁぁぁぁぁっ!」
「クッ!」
たまらずに精霊の強化種がレフィーヤさんに口を向けます。その中に魔法陣が見えたので
「アイズさんっ!!」
「リル・ラファーガ!」
身に纏った風と
「アリアァァァァァァッ!」
「私はアリアじゃない!」
突撃したアイズさんは精霊の強化種を貫き、体内に入った剣から風を解放します。体内で炎と風が混ざり合ってさながら先程のファイアストームのようです。精霊の強化種はバラバラに粉砕されて残ったのは何もありません。ドロップアイテムすらありませんが、しっかりとその力は吸収させていただきました。
「全員転進! 次は後方を討つ!」
ロキによる発現する天使
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このまま|刻々帝《ザフキエル》のみ