ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
前の話の最後に敵側の加筆しております。本当はこの前に書いていたのですが、時系列が少し前になるため、前の話に載させていただきました。
地上でのリリ
◇◇◇リリルカ・アーデ
リリはベル様と一緒に豊穣の女主人にやってきております。なんでもクルミ様はちょっと本当に深層で忙しいから最低限の人材だけをこちらに置いておくと言って、リリの護衛を一人だけ配置するという事になさいました。ベル様の護衛も含めて二人だけらしいです。それも深層での戦いに力を割くとの事で、ほとんどの業務を後回しになさっています。
フレイヤ・ファミリアや鍛冶ファミリアを回っているので何かあったのでしょう。まあ、リリには関係ないといえば関係ないのでこちらに来ております。キアラは此花亭でダンジョンについてのお勉強をしております。これから連れていくのですからね。
「それでどうしたのですか?」
「うん。それがね……僕の二つ名がリトル・ルーキーに決まったって神様が……どう思う?」
ベル様が項垂れながら聞いてきたので、足をぶらぶらさせながら答えます。
「そうですね……普通?」
「だよね! 神様は普通でいいっていうんだけど!」
「まあ、リリの二つ名もリトル・ウィッチですからねえ」
「リリはいいじゃない。小さな魔女って意味なんだよね?」
「ええ、まあ……後は魔法少女という意味も隠れているみたいですが」
一応、二つ名はクルミ様が教えてくださいました。クルミ様の二つ名はリトル・ナイトメア。悪夢らしいですね。はい、クルミ様にあっています。一匹見つけたらたくさんいるアレみたいで。クルミ様に聞かれたら殺されますね。
「私は好きですよ、リトル・ルーキー」
「ランクアップおめでとうございます。クラネルさん、アーデさん」
「今日はたくさんお飲みになってくださいね。ベルさんとアーデさんの祝賀会ですから!」
やってきたのは料理と飲み物を持ってきた豊穣の女主人で働く二人の給仕さん。エルフとヒューマンの人です。どちらもリリは知っていて、エルフの人とは
「おい、まさかあいつ……」
「剣姫を抜いて最速でレベル2になった奴か」
酒場に居た冒険者の方々がベル様を見ます。リリの事はまだバレていないようです。まあ、ソーマ・ファミリアの内部でもまだ伝わってないですしね。今回の神会で発表するとは言っておられましたが、祝賀会はクルミ様と一緒にやる予定です。予算の都合もありますからね。
「もしかして、僕の事を言ってる?」
「ええ、名をあげた宿命みたいなものです。レベルアップすればするほど注目が集まりますよ」
「人気者になったと思えばいいんですよ」
そう言ってヒューマンの人が飲み物をそれぞれの席に置いて、ベル様の隣に座りました。リリの横にもエルフの人が座りました。ですから、思わず殺気を込めるような感じでジト目を向けます。だって、殺されかけましたし。
「アレ、お二人はここに居ていいんですかぁ? 仕事中ですよね?」
「私達を貸してやるから、存分に笑って飲めと、ミア母さんからの伝言です。後、金を使えと……」
「あははは」
リリとベル様はミア様の方を見ると、ソーマのボトルを磨いていたのを置いて、ニコニコと笑って手を振ってきました。
「なんですか、ソーマを注文しろとリリに言ってるんですか? 割引が普通に受けられるし、自前のを持っているんですけど」
もちろん、ここで売られているのと同レベルの奴です。完成品はリリでもなかなか飲めません。ほとんど神会で使ったようですしね。
「そうですよね。ですので、アーデさんにはこちらです。私が作ったカクテルです。味見をお願いします」
「そういう事ならいいですよ」
「えっと、リリも納得したみたいだし、遠慮なく……乾杯」
「「「かんぱ~い!」」」
注文した商品を食べ、お酒を飲みながらお話をしていきます。まあ、冒険者であるリリ達の話はダンジョンについてになります。
「では、クラネルさん達はこれから中層に向かわれるのですね」
「はい。まあ、もちろん調子を見ながらですけれど」
「そうですか。差し出がましいようですが、十三階層より下は二人で潜るのはまだ止めておいた方がいい」
「は?」
「え?」
「なんですか。ベル様とリリでは中層に太刀打ちできないというんですか!?」
「そこまで言うつもりはありません。ですが、上層と中層は違う。
「それなら、丁度いいです。実は……」
「ははぁっ! パーティーの事でお困りかぁ! リトル・ルーキー!」
「へ?」
「俺達のパーティーに入れてやろうか? 俺達はレベル2だ。中層にもいけるぜ。でも、その代わり……このえれぇ別嬪の嬢ちゃんたちを貸してくれよ。仲間なら分かち合うべきだろ? なぁ?」
そう言って複数の男性がこちらにやってきます。狙いはエルフとヒューマンの人ですか、そうですか。リリの事は無視ですか。よし、決めました。
「あの!?」
「失せなさい。貴方たちは……むぐっ!?」
リリは立ち上がってエルフさんの口を塞ぎます。すぐに離しましたが、こちらを睨まれました。でも、気にしません。
「そこの人達。リリ達をパーティーに入れてくれるんですよねぇ?」
「ああ、そうだぜ。なあ?」
「ああ、そうだ」
「リリ?」
「でしたらぁ、リリと勝負をしましょう。リリ達をパーティーに入れる力があるか、判断してあげます。リリが負ければそちらの要望を飲んであげます。でも、リリが勝てば貴方達の全財産、置いていってもらいましょうか」
「アーデさん?」
立ち上がろうとするエルフさんの肩に手を置いて押さえつけます。それですぐに気づいてくれたようです。
「わかりました。いいでしょう」
「リュー?」
「ど、どうしたんですか!」
「マジかよ! リトル・ルーキーじゃなくて、そっちのお嬢ちゃんの方が相手か。いいぜ」
「ああ、ハンデとして三人の内、一人でも勝てばいいですよ」
「そいつはいいな。勝負方法は?」
「腕相撲です」
「リリ! どうしたの!」
「大丈夫ですよ、ベル様。リリは負けません。ええ、絶対に」
「面白れぇ。やってやる!」
さあ、リリを無視したことを後悔させてやります。舐めるなよ、ヒューマン共。
そういうわけで、店の中央にテーブルを一つ貸し切って、腕相撲です。
「はい、皆さん! これからリリとこちらの三人と腕相撲をします! どちらが勝つか賭けをしましょう! リリが勝つ方はリリの側に、あちらが勝つという方はあちら側に。それぞれ、こちらの袋にお金を入れてください! アーニャ様、クロエ様!」
「よし、ニャーに任せるにゃ!」
「賭けにゃ! さあさあ、どっちが勝つにゃ!」
すぐに乗ってきてくれた二人のおかげでお金がいっぱい集まります。当然、リリはリリが勝つ方にかけます。
「ほら、ベル様もリリが勝つ方に賭けてください」
「う、うん……」
賭けを締め切ってから、相手をします。
「まずは俺からだ」
「よーい、スタートにゃ!」
即座に相手の腕をテーブルに叩きつけてやります。レベル2で怪力スキルを持つリリの相手をするなど無謀です。確かに重量装備は足にしかつけていませんが、それでもリリの体重の二倍はあります。アダマンタイトのグリーブを付けていますからね!
「リリの勝ちにゃ!」
「ば。馬鹿な……なんだその力!」
「レベル2だろう! 不正じゃないのか!」
「いいえ、不正はしておりませんよ。それと、リリはレベル2だなんて一言も言っていません」
「は? こないだレベル2だって張り出されていたはず……」
「リリはぁ……いまぁ~」
「「「今?」」」
「れべるさ~ん~なんですよね~」
にっこにこで告げてあげます。目の前の男達や、後ろに控えていた彼等に賭けた人達が絶望した表情になりました。いい気味です。
「う、嘘だ! こないだ上がったばかりだろ!」
「本当ですよ」
「すごいよ! リリ! もしかして、こないだの戦い?」
「そうですそうです。ちょっとレベル5の人と殺し合いをしました。負けましたけれど、あと少しのところまで追い詰めたんですが、惜しかったです。ええ、もうちょっとであのムカつく
「り、リリ……?」
「おっと、散々ボコボコにされたのを思い出していました。今はそうじゃないですね。さあ、残り二人です」
「マテ! レベル3が相手なんて聞いてねえぞ!」
「そうだそうだ! 反則だ!」
「勝手に勘違いしたのはそっちです。ちゃんと情報は確認しましょう。勉強になりましたね! リリを無視した報いです! 精々反省しやがるといいです!」
「ちくしょう!」
当然、残りの人達を瞬殺してあげました。賭けはほぼリリの一人勝ちなので、そのお金をミア様に渡します。
「リリとベル様のランクアップ祝いです! このお金でここに居る皆さんにソーマ・ファミリアのお酒をふるまってください!」
「「「おおおおおおおおおぉぉぉぉっ!」」」
ソーマ・ファミリアに限定することで、リリが支払ったお金はリリ達ソーマ・ファミリアの利益になって返ってきます。ミア様は食事が売れるのであちらも儲けになります。それに味を覚えれば病み付きになりますからね。
「冒険者達のヘイトを稼いでから彼等に利益を還元することでお二人への嫉妬を減らしましたか」
「それも元手はあいつらのお金と支払った冒険者達の物にゃ。それにしっかり自分のファミリアの宣伝もしているのにゃ」
「恐ろしいにゃ。やっぱりソーマ・ファミリアの副団長様なだけあるにゃ」
「アレ、お二人はお酒要らないんですか」
「「要るにゃ! リリは最高ですにゃ!」」
「むふん。よろしい」
改めて席に戻ってお酒と料理を楽しみます。もちろん、ベル様もお二人もです。
「えっと……」
「ベル様は気にしなくていいですよ。嫉妬を散らしただけですから」
「先程の言葉は訂正します。レベル3と2の二人であれば中層は厳しいでしょうが、なんとかなるでしょう。それにアーデさんの言葉が正しく、レベル5と戦えるのであれば普通に行動できるはずです」
「まあ、リリのは炎を身に纏う装備ありきでした。
そういうと、何故かエルフの人が持っていたコップから手をすべらせました。すぐにリリは彼女のコップを掴んで受け止めたので、零れることはありませんでした。
「炎を纏う? それに
「え? え? どうしたんですか?」
「リュー、落ち着いて」
「あの、リューさん!」
「
「いや、誰ですかそれ! リリは知りませんよ! ただ、渡されたリリ専用の試作武器にそういう始動キーが設定されていたんです」
「そ、そうか……彼女の事を知っている者なら、それをやってもおかしくはない。不謹慎だが……」
「あ、でもクルミ様が確か、リヴィアの近くの森で拾った武器の持ち主を参考にしたって……」
「……」
ガタッと、彼女が立ち上がり、すごく怖い表情でリリの方を見てきました。
「クルミは今、何処に居る?」
「えっと、今は深層ですね。深層でトラブルがあったらしく、リリ達の方にはほとんど意識を割いていません」
「……そうか。なら、彼女に暇が出来たら……いや、今やっているそのことが終わり次第、こちらに来るように伝えてくれ。その拾った武器について、話があると。いいな?」
「わ、わかりました……」
「それとその武器を見せてくれ」
「まあ、貴女なら盗みはしないでしょうから見せるのは構いませんが、触るのは無しです。リリと製作者の方以外が触ると燃やされるので」
「わかりました。見せて頂くだけで構いません」
「でしたらソーマ・ファミリアに来てください」
「仕事が終われば伺います。いえ、今からちょっと相談してきます」
そう言ってミア様の方へ行かれました。どうやら、リリはやらかしたみたいです。でも、リリは詳しい説明なんて受けていません。ですから、仕方ないですよね?
「と、とりあえずリリがレベル3なら問題ないんだよね?」
「みたいです」
「そういえば、何か言いかけてましたよね?」
「あ、そうでした。ベル様。リリのファミリアの都合で申し訳ないんですが、一人パーティーに追加させてください」
「いいけど、どうしたの?」
「訳ありでリリ達が面倒をみないといけない子なんです。冒険者登録したばかりの子ですけど、魔法はすでに覚えています」
「僕は別にかまわないよ」
「ありがとうございます。これで三人から四人になりますので、中層も比較的安全に探索できるかもしれません。一応、ベル様も心当たりがあればよろしくお願いいたします」
「うん」
「あ、ベルさん。これ、どうですか?」
「ありがとうございます」
ベル様がヒューマンの人にお世話されてデレデレしている姿を見つつ、エルフの人が持ってきていた野菜スティックを見ます。
「貴方の刻印(きず)は私のもの。私の刻印(きず)は私のも。シンダー・エラ」
「リリ?」
キアラの姿に変えて野菜スティックを食べます。美味しいです。
「ベル様。連れていくのはこの容姿の子です。間違えないでくださいね」
「エルフの女の子?」
「はい」
まあ、実際はハーフなんですが、ハイエルフの血が強く出ちゃっているんですよね。
「お待たせ……しました……は?」
「お帰りなさい」
「リリが姿を変えているだけです。野菜スティックはこっちの方が美味しいですから」
「そ、そうですか。なるほど、偶然ですね」
「それで仕事が終わったらいくの?」
「いえ、今日はこれで終わりにしてもらいました。ですので、着替えてまいりました」
確かに彼女は着替えていました。私服も可愛らしいです。
「そうだ。リリ、明日はお休みでいいかな? 明日は壊れた防具の代わりを買いにいくから」
「構いませんよ」
「でしたら、私と模擬戦をしましょう。
「まあ、構いませんけど」
「ありがとうございます」
二人でベル様達を見ながら、食事を終えてソーマ・ファミリアに移動します。帰るとキアラが抱き着いてきたので、エルフの人に紹介します。
「やはり、あの方に似ておられる……」
「キアラ、クルミ様は?」
「まだ忙しいって。構ってくれないからお星様みてたの」
「そうですか。では、これからリリと一緒に遊びましょう。良い物を見せてあげます」
「本当!?」
「はい、本当です。こちらへどうぞ」
「ああ」
イフリートを持ってきて、カードリッジに魔石の魔力を移しておきます。それから、エルフの人に見せます。
「これが……この気配は……」
「行きます。セットアップ」
変身シーンを見せて、恥ずかしい言葉は無理矢理叫んで別の言葉に塗り替えます。エルフの人はすごく微妙な感じで見ていました。
「それは……」
「言わないでください。クルミ様の趣味らしいです」
「貴女も苦労しているんですね」
「……はい……」
「良い物みせて~」
「わかりました。カードリッジロード・
炎を身に纏うと、キアラは楽しそうに笑い出し、エルフの人は……泣き出しました。どうしたのかわかりません。
「大丈夫?」
「ああ、大丈夫。ありがとう。ちょっと亡くなった友人を思い出しただけだ」
「そうなのですか?」
「その炎は間違いない。彼女の、アリーゼ・ローヴェルの物だ」
エルフの人がフラフラとイフリートに触ってこようとします。慌てて引き離そうとしますが、その前に炎が勝手に出てエルフの人を包みます。
「だ、大丈夫ですか!?」
「ああ、大丈夫だ。何故かなんともない。それに彼女の声が聞こえた気がした……」
「気のせいだと思いますが、よかった」
「ああ。アーデさん。彼女……武器は大切か?」
「大切です。クルミ様が馬鹿みたいなお金をかけてリリのためだけに作ってくれたんですから」
「そうか。だったら、その炎の使い方を私が教えよう」
「え?」
「その炎のモデルになったのは私の友人だ。共に戦った戦友だから、その戦い方はわかる。彼女の技術を出来る限り、継承してもらいたい」
「えっと、それはいいんですか?」
「ああ、むしろ頼む。彼女達が残せなかった生きた証が受け継がれていくんだ。私にとっても、彼女達にとっても幸いだろう」
「わかりました。お願いします」
「任せろ。っと、先に改めて名乗ろう。私はリュー・リオン。リューでいい」
「リリはリリルカ・アーデです。リリでいいですよ」
「キアラ。よろしくリュー?」
「よろしく、リリ、キアラ」
「はい」
「さて、早速明日から修業しよう。ただ、私は何時もやり過ぎてしまう」
「え”」
もしかして、リリはとんでもない人に目をつけられたかもしれません。実際に次の日は控え目に言って地獄でした。何がアリーゼなら出来たですか! リリは知りませんよ! 炎の使い方は大変参考になりましたけれど!
リューさんはとりあえず、クルミとお話をしてから決めてくれます。やったね!
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