ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~   作:ヴィヴィオ

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リリとクルミのその後

 なんとかダンジョンから逃げだしたリリはすぐにギルドに助けをお願いしました。それから必死に願いながら待っていました。でも、帰ってきたのは物言わぬ躯となったくるみ様。

 

「か、確認してください……」

「……確かにリリのファミリアの……くるみ様です……本当に死んでいるんですか? だって、だって、綺麗なんですよ!」

 

 彼女の身体は傷がありますが、血は流れていません。今にも動き出しそうな感じなんです。だから、一縷の望みを託して、ロキ・ファミリアの人が呼んでくれたディアンケヒト・ファミリアの聖女様に聞きます。

 

「残念ながら心臓が止まっています。エリクサーでも魔法でも治せません。そもそも魔法が効いていません。傷だって治りませんし、血が流れるはずなのに流れていません。この状態では死んでいると判断するしかありません」

「そんな……リリは、これからどうすれば……」

 

 このまま帰ったら、リリは、リリは絶対に殺されます。彼女は主神のお気に入りで、そんな彼女を囮にして生き残ったと知られたら……団長だって黙っていません。団長は彼女でお金を稼ぐつもりのようでしたし……リリに待っているのは絶望だけです。もういっそ死んだ方が楽になれるかもしれません。

 絶望に覆われたまま、フラフラと歩いてその場から離れていきます。誰の声も聞こえません。もう、楽になりたいです。そう思ったら、無理矢理こちらを向かされて──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ばぁっ!」

「ひっ!?」

 

 舌を出してこちらをからかってくるクルミ様が居ました。

 

「え? えぇ?」

「キヒヒヒヒヒッ! 良い反応ですわね、()()()()

 

 周りを見たら驚いているギルドの人達がクルミ様を見ています。特にディアンケヒト・ファミリアの聖女様は唖然としておられます。

 

「なんで生きてるんですか! 心臓が止まっていたんですよ!」

「実際に止まっていたんですから、当然ですわね♪」

「意味が分からないです……」

「リリさん。絶対的な防御とはなんだと思いますか?」

「え? わかりませんが……」

「では、宿題ですわね。どちらにせよ、私はこうして無事ですので問題ありません。ミノタウロスから生き残れました。めでたしめでたし。それでいいですわね」

「良い訳ないですよ!」

「ええ、まったくその通りです。まずは治療からです」

「「あっ」」

 

 クルミ様の身体は動き出したと同時に傷口から血液が流れ出ています。つまり、大怪我をした状態というわけですね。

 

「あらあら、まずはこちらからですわね。この軟弱な身体には困りますわ。刻々帝(ザフキエル)四の弾(ダレット)

 

 自らの頭に短銃を押し当てて躊躇なく引き金を引いたクルミ様。そんな彼女にギルドに居た皆が騒然となりましたが、次の瞬間には綺麗に傷がなくなっていました。

 

「さて、帰りますよリリさん」

「わ、わかりました」

 

 良かった。本当に良かった。リリはこれからも生きていけます。でも、それだけじゃなくて、彼女が無事で本当に良かったです。友達が居なくなるのは嫌です。リリが勝手にそう思っているだけかもしれませんが。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 さて、リリさんはこれで大丈夫でしょう。他の人達もとりあえず、無視します。主神を通してお話しないといけませんし、今回の原因の調査を依頼してもらいましょう。低階層でミノタウロスとか止めて欲しいですしね。

 そういうことで、一度帰らせてもらいました。帰ると死んだという連絡は届いていたらしくかなり驚かれましたが、こちらも無視で大丈夫ですわね。有象無象などどうとでもできますし。

 

「帰ったか」

「ええ、ただいま戻りました。ソーマ様」

「……魂の割合が変化しているな。近付いたか」

「はい。改めて理解しました。わたくしはわたくしであると同時にまだわたくしではありません」

 

 あのような場面で命乞いなど、時崎狂三は断じてしません。いえ、幼い時はわかりません。ですが、私の理想ではないのは確実ですわ。

 だからこそ、時崎狂三が通ってきた道筋を通り、精霊となります。刻々帝(ザフキエル)の力を使う度に精霊に浸食され、刻々帝(ザフキエル)に、時崎狂三へと変化していくのでしょう。ですが、それがどうかしましたか? わたくしはわたくしである。そうでしょう、わたくし(時崎狂三)

 

「まずはステイタスを更新するか。来なさい」

「はい」

 

 ソーマ様の部屋でステイタスを更新してもらいます。

 

「ランクアップは可能だ。スキルは発現していない」

「すぐにランクアップする必要はありますか?」

「アビリティを鍛えてからの方がいいな」

「では、しません。このままで構いませんわ」

「そうか。しかし、心臓が止まっていたと聞いたが大丈夫なのか?」

「自分で止めたのですから大丈夫ですわ」

「自分でか?」

「はい。七の弾(ザイン)。対象の時間を一時的に完全に停止します。これにより、私は時間という法則から逃れて無敵状態となりました。つまり、絶対防御と言えます」

 

 空間ごと絶たれたらどうしようもありませんし、コストも重いのでやろうとは思いません。そして、人間としての私では発動は無理でした。ですが、精霊としてのわたくしなら可能でした。人の私が死ぬ事で、精霊としてのわたくしが強くなるという事ですわね。

 そう、私はまだくるみ。これから狂って狂三になるのです。雛鳥は飛び立ち、成長して狂三へと至る。これがわたくしがわたくしの力を発現した理由。

 

「そうか。無事で良かった」

「ソーマ様、そんなに心配してくださったのですか?」

「当たり前だ。お前が居なくなれば酒を造るのが辛くなる」

「はい?」

「お前の時を進める魔法は酒を造る上で強力な武器になる。発酵を速める事が可能なのだぞ? これほど酒造りに関して適している能力はない」

「……それもそうですわね。ですが、まだお預けですわ。私、今回の件でかなり時間を使ってしまいましたし、補給せねばなりませんの」

「そうか……わかった」

「では、次はリリさんも更新してくださいな」

「いいだろう」

 

 リリさんを呼びに部屋を出ると、扉の外で不安そうにしながら待っていました。

 

「あの、クルミ様……」

「明日から忙しくなりますよ。私とリリさんで今回の件を起こした連中から大金を頂きますわよ」

「え?」

「それで武器を揃えます。今回の件でわかりました。私達には圧倒的に火力が、装備が足りません」

「数じゃなくてですか?」

「数はどうにかできます。それともう魔物(モンスター)を引き寄せるお香を使うのは無しです。懲り懲りですの」

「それはリリも同じです。というか、死に掛けたのにまだ潜るんですか?」

「当然です。私は時間を集めないといけません。リリさんには教えますが、私の魔法は寿命を、時間を消費します。今回の件でストックしていた分も含めて十年は無くなりました。ですから、なんとしても回収しなくてはいけません」

「寿命が魔法の代価……確かにそんなに強力な魔法なら……もしかして、時間を操るからコストが時間なのですか? だとしたらクルミ様が助かったのは……」

「リリさん。次はキラーアントを狙います」

「待ってください! さっき魔物(モンスター)を引き寄せるのは止めるっていいましたよね!」

「ええ、魔物(モンスター)を引き寄せるお香を使うのは止めます。他の魔物(モンスター)を引き寄越せたら危険ですしね。でも、キラーアントは問題ありませんわ。何せ、彼等だけが集まるのですから」

「……こんな人を少しでも友達だと思ったリリが間違っていました……」

「あら、私はリリさんの事を友達だと思っていますわ。だからこそ、彼も助けて差し上げたんですもの」

「彼?」

「こちらの話です。それよりもステイタスを更新してアビリティを二人で最大値まであげますわよ!」

「リリも付き合わされるんですか!?」

「友達で私のお世話係ですもの。当然です」

「拒否権はないんですか!」

「拒否しても構いませんわ。悲しいですけれど……拒否します?」

 

 手を差し出して聞いてみます。

 

「拒否しませんよ! リリは前より今の生活の方がいいですから! ええ、そうですとも!」

 

 リリさんが握り返してきてくれたのでホッとしました。

 

「さあ、リリさん。わたくしと楽しい迷宮探索(デート)をしましょう。ダンジョンに出会い(時間)を求めるのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く? 続かない?

  • 続く
  • 続かない
  • そんなことより狂三が可愛いから書け
  • リリを曇らせて虐めたい
  • 狂三だらけの狂三ハーレム
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