ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
『俺は二度と魔剣は打ちません』
『そう。今はそれでもいいわ。でも大切な者を得た時、きっと貴方はその力を使えなかった事を後悔する。意地と仲間を秤にかけるのは止めなさい』
主神様からの伝言と渡された魔剣。俺にとってはかなりの大きな事だ。確かに魔剣が使えたら、あそこまで危ない目に遭う事もなかった。そもそも最初の時点で敵を一掃出来ていたかもしれねぇ。
「ちくしょう……」
「何をやっておるのだ?」
「あ? 団長か」
振り返ると、そこには俺達、ヘファイストス・ファミリアの団長である椿が居た。酒瓶を片手に持ち、酔ってはいるようだが、しっかりとした足取りで俺の横に座ってくる。
「ソイツが主神様からの届物か」
「ああ……魔剣だ」
「うむ。今回の件はお前達の甘さが招いた結果だ。使える手札を使わなかった。リリの奴も慢心しておったしな」
「俺がリリスケと同じかよ……」
「そうであろう。クロッゾの魔剣はイフリートの火力と引けを取らん」
「魔剣、魔剣……どいつもこいつも……」
「まあ、飲めっ!」
「ちょっ!」
無理矢理酒を飲ませられる。酒はかなり美味い。ソーマ・ファミリアが作っているだけはある。
「ヴェルフ。手前は一つ思った事がある」
「あ?」
「お前は使い手を置いて折れるから、魔剣は嫌だと言ったな」
「そうだ。そんなのは武器じゃない」
「なら、何故折れぬ魔剣を作らぬ?」
「は? できるわけないだろ!」
「うむ。できるわけがない。手前もイフリートを作るまではそう思っていた。後で聞いたら、クルミ曰く、我々の努力は無駄の極みだそうだ」
「どういう事だ? まさか、折れない魔剣を作れるのか?」
「うむ。おそらく、技術的に可能だ。確かに今のままならばできん。手前達は魔剣という事で剣の形に拘ってきた」
「当然だろう。剣なんだから……」
「剣とは、叩きつけて押し斬るための武器だ。何故それに炎を撃たせるのだと言われたわ」
「は? そんなのは……まさか……」
「構造的な欠陥だそうだ。魔剣は内部にため込んだ神秘の力を発現させる。発現する場所は剣の内部だ。故に内部から溢れ出るような力に剣自体が耐えきれるはずもない。自壊するのは当然、というわけだな」
ああ、そうか。確かにそう言われると納得はできる。
「そう言われて手前は二つ三つ、考えた。一つはまず魔剣の部分と剣の部分を別に作る」
「どういう事だ?」
「
団長が見せてくれたのは、片刃の剣が二つ、左右に置かれて中央に筒のような物が配置されている図だ。
「この真ん中に魔剣のコアを入れて放つ」
「いや、構造的にもろくなるだろ」
「うむ。故に実験は半分だな」
片方の剣を消し、筒が取り付けられた片刃の剣になった。
「剣と銃の合体か」
「うむ。ガンブレードだな。魔剣を剣の形に拘らせる必要はない。それこそ弾丸にしてしまえば持ち運びも便利であろう?」
「はっ、あはははは! こいつは参った。確かに俺は剣に拘っていたようだ。武器と魔剣を分けるのもありだな!」
「うむ。ありだ!」
それに剣に合わせなくても、魔剣……いや、魔弾を用意すれば懐に入れられるようなクルミが使っている携帯式の銃を用意すればやりやすいだろう。
「ヴェルフ、手前は実証実験を行う。手を貸せ」
「俺でいいのか?」
「クロッゾの魔剣を作り替えるからこそ、いいのだ。お前も今回の件で理解しただろう?」
「ああ、そうだな……わかった。やってやるよ。でも、失敗するだろうから、素材をかなり駄目にするぞ」
「その程度構わん。クルミに馬鹿みたいに金を貸し付けておるからな。素材を運んでくる。それに完成したら新しい主力製品の完成だ。主神様もお喜びになるだろう」
「なら、問題はないな」
「うむ。クルミからもっと知識を引き出し、面白い物を作るぞ!」
「ああ、ソイツはいいな!」
酒を飲みながら乾杯を幾度もして、設計図について意見を交わしていく。そこで銃の構造をもっと理解する必要がある事が判明した。だから、クルミから洗い浚い吐かせることになった。
◇◇◇
リューさんの説得が終わり、直ぐにリヴェリアさんに話をつけてキアラの護衛にリューさんもいれる事を伝えました。彼女の出身についても話さなければいけませんでしたが、アストレア・ファミリアのレベル4である事を伝えました。もちろん、彼女の事は黙っていてもらいます。
次の日、私は滞っていた仕事をするためにボールスさんの下へと移動して雑務というか、物資の輸送を行っておきます。一応、ロキ・ファミリアの遠征前に余裕を見て数回分先渡ししておいたのでそこまで面倒ではありません。
「これで今回の取引は終わりだ」
「毎度ありがとうございます」
「こちらも儲けさせてもらってるからな」
「では、次にこちらについて話をしましょう」
「ああ。このリヴィラの改造計画だな」
「はい。どう考えても防衛力が貧弱ですからね」
物資の輸送がかなり自由になった事で、この街の強化計画を進めているところです。そのタイミングで誰かが扉を開けて入ってきました。
「ボールス! 大変だ! 馬鹿共がソーマ・ファミリアの関係者に手を出しやがった!」
「馬鹿野郎!」
ボールスさんは恐る恐るこちらを見ております。リューさんとの約束もあるので、無駄遣いはできませんが、これは必要経費です。喧嘩を売られたなら、買うのがわたくしですも。
「<
「お、おい! 俺達は関係ないからな!」
「ええ、ええ、わかっておりますわ。わたくし達、ちょっと塵を掃除してきてください」
「「「了解ですわ」」」
三人ほど、新しく呼び出してて向かわせます。
「では、続きをはじめましょう」
「お、おう……」
さて、目標の場所まで移動すると、なんということでしょう。ベルさんがお一人で戦っています。その周りを複数の冒険者が取り囲み、彼等の後ろからベルさん救助隊の方々が突撃していっておられます。
「まずは
「あらあら、覗き見をしている悪い方がおりますわね」
「撃ち殺してさしあげましょう」
神威霊装・
冒険者の方に放ったのはちゃんと命中して手足を撃ち抜きました。
「待ってくれ。俺達だ!」
「これ、仕掛けたのは貴方達ですか?」
一応、カマかけをしておきます。覗いているだけで助けにいかないなんておかしいですもの。
「いやいや、俺達じゃないよ」
「そうですか。では、さようなら」
銃撃を再開するフリをすると、慌てて止めてきました。しっかりとヘッドショットを狙った甲斐があります。
「悪かった。ちょっとベル君に人の悪意を知ってもらおうと思ってね」
「すいません」
「後で請求書をお持ちしますわ。慰謝料は覚悟しておいてくださいまし」
「わかったよ」
「ヘルメスさま~!」
「すまない」
あちらはどうなっているかというと、キアラとリューさんも一緒です。護衛の関係上、あまり離れられません。そのため、他の人達も押され気味です。
「数で押せ! 俺達の方が多い!」
その言葉でわたくしはとりあえず、三十人ほど呼び出して空から乱入してあげます。
「数には数で対抗してあげましょう」
皆で突撃して殴る蹴るなどボコボコにしていきます。レベル3のステイタスがありますし、鍛えていますので、普通にボコボコにできます。また、影を踏んで重くして彼等の時間も少しだけいただきます。人数が多いので新たに生み出した分は回収できました。
「ふぎゃっ!?」
「がはっ!?」
「「「きひっ! きひひっ!」」」
相手の攻撃を避けて丁度いい位置にある鳩尾に一発入れます。幼女のパンチですが、レベル差もあって相手は少し吹き飛びます。正面のわたくしの攻撃を運良く受け止めた方は、横合いから二人のわたくしに脇腹に拳を叩き込まれて吐き出します。
汚いので影に潜んで回避し、別のところに出て背後から飛びながら回し蹴りを頭部に叩き込んでやります。流石に最低でもレベル2の冒険者。非力なわたくしでは一撃とはいきません。ですので、反対側から別のわたくしが同じく蹴る事で衝撃を逃さず脳へと叩き込んで潰します。
武器は使わずに無手での制圧なので時間がかりますが、意外にこういう乱闘は楽しいですの。もちろん、殴られたりもしますが気にせず倍返し、三倍返しでお返しします。ええ、人数が三倍になって襲い掛かるだけなので間違いではありません。
「くそがぁっ! 小さすぎてやりにくい!」
「しかも何人いやがるんだ!」
「やめろ! 」
声が聞こえて、そちらに振り向くとリリさんに連れられたヘスティアさんが居ました。彼女の身体が光と、リボンが落ちて髪の毛が風もないのに揺れ動きます。
「止めるんだ。子供達、剣を引きなさい」
神々しい気配を漂わせながら、こちらに歩いてくる姿は明らかに人とは格が違う気配を漂わせています。故にタケミカヅチ・ファミリアの人達は跪いて臣下の礼を取ります。他の冒険者の方々も、すぐに左右に退いて道を開いていかれます。その姿はさながらモーゼの海割ともいえるかもしれません。
「待てお前らっ!?」
ベルさんと戦っている人以外は全員が逃げていきました。その人もすぐに逃げていき、ベルさんは尻餅をつかれました。そこにヘスティアさんがダイブして、胸に顔を埋めてしまいます。わたくしはその姿を尻目に地面をペタペタと触りながら人海戦術で探していきます。
何してんだコイツという視線を無視して、指に触れた物をしっかりと回収します。ヘルメスさんとアスフィさんの方を見ると顔が少し青ざめております。
「壊れたハデスの兜、ゲットですわ」
「やりましたわね、わたくし」
「後はこれを解析して使えばわたくし達が好き勝手できますわ」
ちゃんとベルさんの方も見ていたので、相手が姿を消していることもわかっていました。というか、そこから時間が流れてくるのでわからないはずがありませんもの。
「これで一件落着ですね」
「そうだな」
そう言っている地震が起きました。いえ、ダンジョンそのものが震えております。
「これは……嫌な揺れだ……っ!」
「あっ」
「おいっ!」
リューさんが何かに気付いたようなので、空を見ると……なんという事でしょう、巨大な水晶の中に巨人の姿が見えるではありませんか。骸骨の頭を持つ黒い身体の巨人はそのまま落ちてきます。
「アァァ、アアァアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!! 」
巨人が地面に着地して雄叫びを上げると、大人しく休息していた
「あっ! 早く助けないと!」
「待ちなさい。本当に助けに行くつもりですか? このパーティーで?」
駆け出しかけたベルさんが、リューさんの言葉で止まり、わたくし達を見詰めてきます。明らかに落ちてきた巨人、黒いゴライアスはやばいです。わたくしとリリが殺したゴライアスの強化種でしょう。しかし、全員がやる気のようです。
「助けましょう」
「貴方はリーダー失格だ。だが、間違ってはいない」
そう言ってリューさんは駆け抜けていきました。その背中にわたくしは
「<
こちらの声が聞こえたようで、回避せずにそのまま受けてくれました。そして、更に加速していきました。
「千草さん、神様をお願いします。行こう、皆!」
「「「はい!」」」
キアラも神様と一緒に居てもらいましょう。
「キアラ、貴女はヘスティアさんと居てください。今の貴女ではストックはないでしょう?」
「ん。でも……」
「ヘスティアさんと千草さんを守ってくださいまし」
「ん!」
納得してくれたようで、ふと視線を感じて空を、黒いゴライアスが落ちてきた場所を見上げます。すると、目が遭いました。ソイツはまるで、コンニチハ! とでもいうかのように
「待ちなさい。待ちやがってくださいまし!」
「どうしたの?」
「リリさん! 貴女は残りなさい!」
「はい? リリはあいつとまともに戦える……」
わたくしが空を指差すと、リリさんもそれを見ました。そしてなんとも言えない表情になりました。
「うわぁ……マジですか。マジなんですか。リリ達、アレに好かれすぎでしょう」
「そうですわ。まだ何もやっていませんわよ!」
「
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■──―! 」
ソイツの頭が水晶から出てくると、盛大に産声がダンジョン全体から響きました。まるでダンジョンがわたくし達を殺そうとしているかのようです。いえ、確実に狙いはわたくしとリリさんなんでしょう。
「なんか、ナチュラルにリリを含めていません?」
「なんのことやら……」
「ねえ、アレってかなりまずいよね?」
「そうだね。あの黒いゴライアスはヘスティアを殺しに来たようだけど、あの
「やれやれ、
「そうですね。
「君達も大概、殺伐としているね」
「いやはや、アレに挑もうとはすごいね」
「やりたいわけではありませんよ!」
「やるしかないだけですもの! <
わたくしに短銃を向け、リリさんに小銃を向けて撃ちます。弾丸が響き、身体能力が増加したのでその場から駆け抜けます。
「ボールス! 今から攻城兵器を投下します! 好きなように使ってくださいまし!」
その状況でわたくし達と共に空を飛んで銃弾の雨を降らせてやります。当然、まったくもって効きません。相手はジャガーノートの強化種。故に装甲殻は
「まあ、わたくしには関係ありませんわ!」
魔法の反射? 物理攻撃です!
黒いジャガーノートは落ちると同時にこちらに突撃してきます。その速度は不可視のような高速で、わたくしの一人が咥えられて持っていかれました。
地面を削りながら停止し、こちらに振り向きます。口にはわたくしの身体があります。即座に停滞状態の
「速過ぎますわね。致し方ありませんわ。<
「クルミ様、追いつきました。リリにもお願いします」
「ええ、やりますわ」
リリさんにも
「行きます!
リリさんが地面を砕いて突撃します。相手側も突撃してきて互いに馬鹿みたいな速度で駆け抜け、中央で激突します。巨大な爪、破爪が迫りますが、リリさんはイフリートで破爪を弾きます。リリさんの身体から血が噴き出します。
相手は待ってくれず、もう片方の破爪で攻撃してきます。それをわたくし達が
リリさんとわたくし達が吹き飛ばされ、即座に別のわたくし達が後退します。全員、
十人でも地面を削りながら数メートルは離れさせられます。ですが、すぐに別のわたくし達がカバーに入り、相手の破爪と尻尾を受け止めます。
少しでも掠ればこちらの防御なんて関係なく、切り裂かれて殺されます。一撃一撃が致命傷です。
相手の攻撃の余波で傷を負い、自らの限界を超えた身体の酷使で傷を負います。
「後衛部隊は受け止めた者には即座に
「「「了解ですわ!」」」
前衛で剣や大剣を使って戦って、命を賭しているわたくし達に時間を巻き戻す
「残り時間が少ない子は命を使いなさい」
「了解ですわ!」
相手の攻撃を全て弾いたタイミングで指示を出します。後方から
「ランサー!」
「任されましたわ、ルーラー!
あらゆる時代の、あらゆる英雄の中で、最も迅いというアキレウスの伝説が宝具となった奴です。適当に言っているだけでFateの真似事ですわね。ですが、やってることはえげつないです。
停滞させた世界で上がった身体能力を使った全力移動をして、その分質量を増加させて放つ
「死にさらしなさい!」
衝撃波を撒き散らかしながら、生命の全てを捧げた一撃。余すところなく、短いとはいえ人生で得た記憶と知識、技術を生かして放つ最初で最後の一撃です。
黒いジャガーノートは両手をクロスさせて受け止めます。槍の矛先が両手を貫いて砕き、その先の胴体へと突き刺さり、止まりました。放ったわたくしも身体が消し飛び、そこには槍があるだけです。そして、肝心の黒いジャガーノートは再生していきます。
「「「「ざけんなぁっ!」」」」
「あの、クルミ様、ジャガーノートは魔石がないんですよ? それで再生持ちとか、無理じゃないですか?」
「無理ですわ。なんですか、このジャガーノートを殺すためには一撃で跡形もなく滅ぼせとおっしゃいますの?」
「クルミ様、クルミ様」
「なんですか?」
リリさんが袖を引っ張ってくるので、耳を傾けると、面白い事を教えてくださいました。
「ああ、確かにできたら可能ですわね。やってしまいましょうか」
「ええ、やってしまいましょう。それとクルミ様。イフリートだけでは足りません。アレも貸してください」
「リリさん。いくらリリさんでも無理ですわよ?」
「後、三発、いえ……五発ほどください。それでなんとかしてみせます」
「……いいでしょう。どうせ生きるか死ぬかです。
リリさんに渡す間にも何人かのわたくしが殺されました。やはり、わたくしの力では大型
「いきます」
「ええ、やっちゃってください、リリさん!」
「はい!
リリさんはイフリートを地面に叩きつけて
わたくしは後方から指示をしながらリリさんに
「うりゃああああああああぁぁぁぁっ! 」
イフリートを移動手段として、空中で回転しながら剣斧を振り下ろします。ジャガーノートは破爪を振るってきますが、それはこちらで弾いてなんとか道を作りだします。怪力スキルなどの重量による超強化を受けたリリさんの一撃は黒いジャガーノートの頭部を砕き、胴体のところで止まります。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■──―! 」
「まだです!」
そこに重ねるようにしてイフリートを上から体内に叩きつけます。剣斧とイフリート、二本の武器を体内に納めた黒いジャガーノートに対してまだリリのターンです。
「ロードカードリッジ・
体内が盛大に業火が放たれ、黒いジャガーノートは炎の柱に包まれていきます。別のわたくし達がイフリートから使い終わったカードリッジを抜き、別の新しいカードリッジに交換します。
当然、相手も攻撃してきますが、刀を持ったサムライが抜刀術を
「
そして、
「ミラー・ミラー!」
そこに分身で倍に膨れ上がります。
「「
大規模な視界一面が炎の柱に包まれ、周りに居たわたく達も焼失していきます。リリさんの身体も何度も焼けてはわたくし達の
大爆発が起こり、最後に
「やりましたか!?」
「それ、フラグですわ」
視線を黒いジャガーノートにやると、奴はバラバラになって焼けた一部から再生していってます。
「魔法が効かないので爆発と熱による融解を狙ったんですけど……」
「駄目ですわね」
「どうしますか?」
「愚問ですわ。時間を稼ぎます。リリはここで諦めますか?」
「まさか。お付き合いしますよ。これぐらい平気へっちゃらです」
「では、わたくし達の
「はい!」
絶望なんてほど遠いです。無限に再生するのなら、何度も殺してやればいいのです。再生する暇も与えず攻撃を続けてどちらの限界が来るかの勝負です!
「
わたくし達が駆け抜け、爆発で飛ばされた
再生が早過ぎるところは……あれ? これ、チャンスでは?
「予定変更! 尻尾と破爪は順番に再生させて叩き斬りになさい! パーツを確保したわたくしは順次撤退して地上に輸送! 各拠点に配置して上級冒険者に監視要請!」
「クルミ様、それって!?」
「無限に再生するならば! それはドロップアイテム無限生成装置と同じですわ! つまり、資材、資源、お金! 今やらないで何時やるんですの! 今でしょ!」
「クルミ様の馬鹿! そんな事言われたら、気が抜けちゃうじゃないですか!」
「モチベーションが上がるの間違いでしょう!」
実際、わたくし達は黒いジャガーノートをくるみねっとわーくの演算能力を使って弱い箇所や脆い箇所をみつけ、行動パターンや再生パターンを算出して的確にダメージを与えます。それにダメージを与えられるように技術を高めていきます。こっちには
ちょっと調整が必要になってきたら、別の武器に変えて、地上に戻して鍛冶師の方々に超特急で修理してもらってこちらに再度輸送します。
「さあ、リリさん。ここからは黒いジャガーノートが消滅するか、わたくし達が飽きて失敗するかだけですわ!」
「ひ、疲労は?」
「そんなもの、
「リリは可哀想になってくるん、ですけどぉっ!」
「じゃあ、止めますか?」
「いえ、リリとクルミ様のために死んでください! いえ、ドロップ寄越しやがれです!」
「その意気ですわ!」
四時間ぐらい戦っていると、歓声が上がりました。どうやら、あちらの巨人さんは討伐されたみたいです。ですが、こちらはまだまだ元気のようです。
「お待たせしました。助けに参りました」
振り向くと、キアラを除く皆さんがこちらにやってこられました。満身創痍でボロボロです。そんな状況で助けにきて頂いたのはありがたいのですが、未来予知も使っているので相手が行動する前に潰せるんですよね。時間の消費こそ半端ではないぐらい減っていますが、それでもロキ・ファミリアの方々に稼いでいただいたので、収支はプラスですし。
「お前ら、攻撃準備を……」
「あ、お構いなく」
「は?」
「いえ、練習相手と素材稼ぎに利用しているので、皆さんは休憩してください」
「意味がわからないよ」
「あははは、本当にな。事実だし」
神様たちがまるでどこぞの詐欺師マスコットみたいな事を言ってますが、気にしません。
「あの! リリは休みたいんですけど!」
「リリさんは無理です! 休んだら攻撃力が足りませんから!」
「ベル様の一撃は……魔法でしたね!」
「そもそも、この速度は彼女以外では入れないでしょう」
「ですね。私が少し援護します」
「わかりました。リューさん、魔法効かないので武器でお願いします。その辺に転がってる武器は
「な、なんだよ?」
「取ったらわかっていますわよね?」
「わかった、わかった。お前ら、見学だけして手を出すなよ!」
「へい!」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■──―!」
黒いジャガーノートがどこか悲鳴のような声を上げますが、気にしません。さらに八時間、戦闘を行って素材狩りと経験値稼ぎに勤しんでいると、時間がきました。
「リリさん、リリさん」
「なん、ですかぁっ! クルミ様のために死にさらせぇぇぇぇっ!」
いい感じにハイになって無駄な力が抜けて血飛沫を飛ばしながら剣斧とイフリートを振り回し、黒いジャガーノートを的確に切断していっているリリさん。
「時間ですけど、後一日ぐらいやります?」
「嫌です! もう寝たいです! 帰りたいです! 休みたいです! でももっとぶち殺したいです!」
「矛盾してますね~」
「あの、ボク達も帰りたいから、終わらせられるなら終わらしてあげてよ」
「そうだね。流石にこれ以上、ダンジョンに居るのはまずい」
「頼むよ、クルミ君!」
「やれやれ、神様に頼まれては仕方がありません。じゃあ、ちょっと殺しますか。リリさん、下がってくださいまし」
「了解です!」
リリさんが下がった瞬間、顔だけになった黒いジャガーノートがリリさんに噛みつこうとしたので、わたくしが受け止めて、そのまま
◇◇◇
「さて、ジャガーノートさん。お別れの時間です。安らかに炎に焼かれて死んでください」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■──―! 」
「お待たせしました。キアラさん。やってしまってください」
「天明らかにして星来たれ! フォーマルハウトの星は召臨を厭わず。月天は心を帰せたり来々、くとぅぐぁ! ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!」
空から炎の塊が降ってきます。それが入った瞬間、わたくしの目の前に巨大な炎の鳥が顕現しました。即座に
黒いジャガーノートも同じで、フォーマルハウトの星から直接力を受けたクトゥグアの力は絶大であり、跡形もなく食べられてしまいました。
◇◇◇
おのれおのれおのれおのれぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇっ!!!
◇◇◇
「「いぇーい」」
リリさんとハイタッチを交わしてから、二人で、数十人で地面に倒れて寝ます。身体はともかく、精神の限界ですからね。一部の人達からはすごく怖がられていますが、まあ構いません。
「わたくし達の勝ちです!」
「はい! リリ達の勝ちです!」
どんなに死のうが、どんなに泥臭い戦いだろうが、勝てば官軍負ければ賊軍。勝利こそ時崎狂三に求められる絶対的な真理なのです。だって、基本的に負けたら巻き戻しますもの。例外は時崎狂三が心から動かされた時ぐらいでしょう。
「そういえば、ジャガーノートの骨っていい出汁が出るんでしょうか?」
「それは止めてください。本当に止めてください。フリじゃないですからね!」
「冗談ですよ」
リリさんと手を繋いで笑いながら眠りにつきます。久しぶりに全員、眠りましょう。
クルミとリリはダンジョン怒りのジャガーノートは殺せません。そこまで火力がありません。でも、ガチものの精霊は別です。フォーマルハウトの星が近づくまで待つ必要がありました。なのでひたすたら遅滞戦闘です。
ダンジョンはクルミが精霊である事も、神に似た力を使う事も時を操ったり、神威霊装を使ってわかっているので、ヘスティアの神威を受けて纏めて殺そうと黒いゴライアスと黒いジャガーノートを投入。
そりゃ、今までダンジョンをあんだけ怖し続けてたら殺しにかかりますわ。ジャガーノート君も激おこぷんぷん。
リザルト
ロキ・ファミリアの深層での狩り及び報酬417年
消費時間496年
クルミ 22人死亡
バリスタ*7台破損 修理費600万ヴァリス
矢代300万ヴァリス
黒いジャガーノートの全身パーツ五体分
経験値 いっぱい
称号 やべー幼女。鬼畜幼女、怪力幼女、巨大幼女、化物幼女、二人は魔法少女
アストレア・レコードの改変について
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改変有り
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改変無し