ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
「「「これはひどい」」」
ロキ・ファミリアのホームにある部屋で空中に投影された
「城に乗って登場か~派手だね~」
「これ、ルール違反じゃないの?」
「いや、彼女達がそんな初歩的なミスを犯すはずがない」
「うむ」
話している間にクルミが自分達から今回の事を伝えてきた。
『それではご質問もあるのでお答えしましょう。わたくし達、元ソーマ・ファミリアは前団長が主導で行った犯罪行為がございました。闇派閥の方とも繋がっていたようで、様々な犯罪をしていました。ですので、わたくしは彼を捕らえてギルドに引き渡しました。その後、しっかりとソーマ・ファミリア内部の掃除もし、犯罪行為を撲滅させていただきました。元団長様は観念したのか、牢屋でお亡くなりになりました。その事に関してはコメントを差し控えさせていただきます。さて、この時点でわたくし共としましては新しくまっとうに商売をさせていただきました。すると今度は闇派閥の残党か、それと繋がる方々から脅迫を受けました。犯罪行為を公開されたくなければ金や物資を融通しろと。もちろん、拒否しました。すると今度は実際にその事を公開して妨害してきました。こちらはしっかりと掃除して綺麗にしたのですが、大変残念ですがそれでも理解されずに色々と被害を受けました。そこでわたくし共は考えました。このままソーマ・ファミリアとして活動する必要はあるのか、と』
「そこは普通にあるんじゃないかな?」
「普通はそうよね?」
「ああ、そのはずだが……」
「わ、私が同じ立場ならしません」
「私も……」
「皆の考えが正しいね。うん。これは……」
「狂ってやがる」
皆の言葉通り、明らかに僕達の常識とはかけ離れている。それだけ神と眷属の絆は大事なものなのだ。
『我々はソーマさんに前団長が犯した責任を取ってもらい、ソーマ・ファミリアを解散する事に決めました。同時に改宗先の神様として、わたくし達と仲が良く、保護している子供から信頼も厚いヘスティアさんへと決めました。彼女はアポロン・ファミリアから襲撃を受け、眷属が一人しかいないのにその眷属を狙われて
「ええと、これはソーマ・ファミリアが全員、そっくりそのままヘスティア・ファミリアになったって事でいいんだよね?」
「そのはずだけど……これっていいの?」
「現在、彼女達は改宗して間違いなくヘスティア・ファミリアなのだろう。だったらルール違反にはならない」
「今回のルールはあくまでもアポロン・ファミリアとヘスティア・ファミリアの戦いだ。それに改宗は禁じられない」
アポロン側はおそらく、来てもレベル4が一人と想定していたのだろう。それに人数差でどうにでもなると思ったのかもしれない。だから改宗を禁じていなかった。いや、他の神々の手前、禁じる事は不可能だろう。それに
「そもそもファミリアを解散するなんてどうかしています!」
「それがそうとも言えない。一年に一度限りの手だが、相手の意表をついて逆転するには打って付けの手だ」
「連中が崇めてんのは神じゃねえ。酒のソーマだ。だから、連中にとってはソーマ・ファミリアである必要なんてねぇ。それにクルミの奴がソーマに堪忍袋の緒が切れたってのもあるんだろうよ」
「彼女、アルテミス様の事件の時にかなり怒ってたからね。まあ、せっかく根回しとか色々とやっていたのに主神に壊されたら怒るよね」
「ああ、その通りだ」
「それにこれで彼女達、ソーマ・ファミリアが飛躍するための枷が一つなくなった」
「枷ってあるんですか?」
「ステイタスの更新を神様がしてくれないんです。それよりも酒造りが大事だって。皆も酒の方がステイタスよりも大事だから、我慢している。でも、こまめに更新できるようになれば……」
「あ!?」
「そういう事だね。ソーマ・ファミリア……ヘスティア・ファミリアに移った人達はどんどん強くなっていく」
「今、オラリオは好景気だ。クルミ達がお金を稼いでは派手に使っているからね。ソーマで稼いだお金を鍛冶師達を動員した武器づくりや投資に使っている。それもかなりの額だ。大金が手に入った連中にクルミ達はソーマを売りつけてお金を回収する。回収できなかった分は色々なところを辿ってオラリオを回る。クルミ達が回収したお金は更なる投資と借金の返済に回されているんだろう」
こうなればギルドとて容易くクルミ達には手が出せなくなる。クルミは自らの力を使って大量で格安に素材を外に放出している。更にオラリオの経済を回しているし、冒険者の為に施設を作るのにギルドが文句を言う事はない。いや、言いたくてもいえない。それだけクルミ達は武力、金、コネクションの力を揃えた。僕達大手と同じくらいの権力を擁するようになったというわけだ。
「ヘスティア・ファミリア、一気に大きくなっちゃうね」
「そうですね。まあ、あの子の事もあるのでそれはそれでいいんですけど……ベルのファミリアになったのが、ちょっと複雑です」
「護衛には申し分ない戦力だ。だが、それよりも……手伝わされたアレはそういう事か」
「手伝ったのかい?」
「エルフの一部が踊らされてやらかしてくれた。ガネーシャ神の執り成しがあったので事なきを得たが、かわりに労働力を提供した。私もエルフの王族として力を少し……いや、かなり貸した」
「大丈夫な奴なんだよね?」
「大丈夫だ。見ていろ。歴史が変わるぞ」
「それは楽しみだ」
鉄で出来た城に動きがあった。防壁の上にせり上がってきた巨大な筒のような物。それをアポロン・ファミリアが籠る城へと向けていた。
「なんだかわからないけど、ワクワクするね! グレイ教えてよ! アレはなに!」
「主砲です」
「主砲?」
「大規模殲滅攻撃を行います。使われているのは
グレイの言う通り、クルミが砲身の上に立ちながら指示をしだした。それに伴い、砲塔が動いていく。そして、号令と共に轟音が響いて主砲とやらの後ろから大きな筒状の物が排出されてきた。発射されたであろう弾は逸れてアポロン・ファミリアの城ではなく、その背後に着弾した。着弾する寸前にその弾であろう物から放たれたのは見覚えがある魔法だった。
「アレ、リヴェリア様の魔法ですよ!」
「本当だ。覚えがある」
「どういう事じゃ?」
「簡単だガレス。アレには私の魔法が閉じ込めてある。リボルバーとかいうシステムで六連発できるそうだ」
「恐ろしいの……」
「まったくだ」
次々と放たれるリヴェリアの魔法はアポロン・ファミリアの城に着弾はしなかった。その周りを前方以外、包囲するかのように燃え続けているだけだ。
「これ、わざと外してるね」
「ふん。テストと言っていたから、先に潰すのは困るんだろうよ」
ベートの言う通り、彼女達にとったらこれは実弾練習なのだろう。他の兵器の機能テストが終わるまではそう簡単に潰しはしない。
「今のは魔法を閉じ込めて撃つ実験です。次はただ普通に放ちます。私達は天の火と呼んでいます」
今度のは魔力を収束させて放つ普通の攻撃のようだ。砲塔とその前の空間に無数の青い魔法陣が展開され、回転していくと同時に砲塔に
「
「違う。これは純粋な魔法技術の産物だ」
放たれた一条の光はアポロン・ファミリアの城をかすめて、防壁を文字通りに消し飛ばしてその遥か後ろにある地面に激突して巨大なクレーターを発生させた。そこからは水が溢れ出している。
「オリオンの矢を解析して作られた術式が刻まれています。ですから、火力はとびっきりです。これならウダイオスだって一撃なのです」
「階層主を相手取る予定なら、確かにこれぐらいの火力は必要か」
この城の性能は恐ろしい。コレを僕達に向けられたらかなり厄介だが、色々と難点はありそうだ。それに問題は城よりも、魔法を封じ込めて何時でも放つ事ができる技術にある。詠唱という縛りがなくなる事を意味しているのだから、これから魔法使いは同じ系列の武器を使うようになるかもしれない。
「リヴェリア、ガレス。予算をかなり使うだろうが……手持ちサイズの魔法が込められる銃を注文する。保険も兼ねてリヴェリアの魔法を込めた攻撃手段は用意しておこう」
「それがいいな」
「それなんだが……私の魔法はいれられないだろう。どうしても手持ちできるサイズにはならなかった。技術の問題だ。まだ同じ容量を持つ弾はそこまで小型化できないと聞いている」
「そればかりは仕方がないか。ただ、色々と試してみるのはいいかもしれない。どちらにしろ一つは購入して試そう。クルミ達への祝いも兼ねてね」
「それがいいだろう」
リヴェリアの魔法は込められなくても、それなりの魔法が込められるのならいいだろう。それこそディアンケヒト・ファミリアにお願いしてアミッドの回復魔法をもらうだけでも大きい。クルミのでもいいが、彼女のはかなり高いだろうし。
「ねえねえ、あのお城はなんて名前なの?」
「アイギスです」
「アテナ様が持たれている盾かな?」
「そうです。ちなみに主砲は八〇センチ砲です」
「それはよくわかりませんが、火力が高すぎるような……」
「防御力も高いです。皆さん、いっぱい楽しんで作ったようですから。頭が悪い兵器もいっぱいありましたけれど」
グレイが紅茶を飲みながら告げてきた内容からしてアポロン・ファミリアの受難はまだまだ続くようだ。
この後、再チャージまでの時間がクルミから大々的に先程と同じ方法で提示された。どうやら一日、回復が必要なようだ。それはつまり、後二回は撃てるという事を意味している。その間にアポロン・ファミリアは攻め込むしかない。
アストレア・レコードの改変について
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改変有り
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改変無し