ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
認識した瞬間。その修羅から放たれる憎しみと嫉み。強烈な殺気が重圧となって私を襲ってきます。それは進化したミノタウロスよりも更に怖く、私の身体を震わせます。
「
「
「ティオネ!」
わたくしの手に短銃を、影の中に居る護衛の手に小銃を召喚し、両方に装填して偏差射撃を修羅に向けて放とうとした瞬間。私の腕をいつの間にかフィンさんが叫びながら掴んで止めていました。時を操る私が見えなかったのです。それに万力のような力でビクとも動かす事ができません。
「ティオナ、ティオネを拘束してリヴェリアの所へ連れていってくれるかな?」
「団長っ!?」
「ガレスも頼む」
「わかったわい。ほら行くぞ」
強制的に修羅の人が連れ出されたので、私は身体から力を抜きます。同時に足で指示して影の
「すまなかったね。こちらは危害を加えるつもりはない。だから、それを仕舞ってくれないかな?」
「クルミ様?」
「……わかりましたわ」
装填した弾を外して保管しておきます。
「その方が良い。流石に護衛とはいえレベル6に天変地異が起こってもかなわん」
後ろをチラリと見れば武器に手をかけずにリリさんの肩を掴んで押さえていたイネスさんが居ました。彼は動くつもりがなかったようですね。報酬を減額してやりましょうか? いえ、仕方ない事ですね。
「で、どういう事ですか?」
「あ~ティオネはフィンにゾッコンなんや。同じ小人族で美少女なクルミたんにフィンを取られると思ったんやろうな。それで殺気を出してしまったんやろ。まあ、動く前にフィンが止めとった。でも──」
「その前に私が反応したんですわね」
「そうや。悪かった。この通りや。追加で迷惑料も支払ったる。武器庫にあるティオネの場所からゾルアスを一本持っていき」
「いいのかい?」
「ああ、ええ。今回はこっちの不手際やしな。クルミたんたちが求めてるのは武器や。罰としてティオネの予備武器を一本、渡したるで! 一級品の武器や。これで勘弁したって」
「……いいでしょう」
「それがクルミたんの魔法なんやね。詠唱しているようにはみえへんかったな」
「確かにそうだね」
「お教えするつもりはありませんわ。弱点をみすみす曝すほど甘くはありませんの」
「それもそうやな」
「それとゾルアスとはどんな武器ですか?」
「ククリナイフだよ。飛竜の牙で作られた物で値段は五千八百万ヴァリスだったはずだよ」
「なるほど。それなら確かにありがたいですわ」
「せやろ? だから、これからもお酒の供給を頼むで。後、クエスト発注してくれてもええ。代わりにちょっと手伝ってもらうけど」
「……まあいいでしょう。ただ、手伝うかは内容によりますわね」
「何、僕達の遠征についてきてくれるだけでいい」
彼等、ロキ・ファミリアの目的はなんでしょうか? 彼等に見せたのはあくまでも時喰みの城と効果がわからない魔法。この中で彼等にとって価値ある物はお酒でしょう。けれどもそれ以外となると……ああ、遠征という言葉から先程見せた時喰みの城が狙いというわけですわね。断定はできませんが、おそらくそうなのでしょう。遠征というのなら、遠くに出向くのですから物資は大量に運ばないといけません。軍事行動と同じで補給は大切という奴ですわね。
「報酬次第ですわね」
「お金なら支払うで?」
「お金よりも魔石が欲しいですわ」
「魔石かいな?」
「はい。わたくしの銃は魔石を使いますので」
神様に嘘は効きませんが、真実でない事でもどうにかなります。例えば今回の事なら、魔石から時間を吸い取れるので、魔石を使うという事では間違いではありません。
「フィン、どうや?」
「遠征に連れて行くのなら、レベル1では危険すぎる」
「わたくし、何時でもレベルアップ可能ですわね。今、基礎アビリティを上げるためにしていないだけです」
「マジで?」
「ええ、誰かさん達のお蔭で死闘を繰り広げましたの」
「あ~そっか。ミノタウロスと戦ってたもんな~」
「そういう事ですわ。ただ、もう一度やれと言われましても拒否しますが」
「了解や。とりあえず、ソーマの代金分で鍛えてやってくれ。それとフィンが直々に指導するのは無しやで」
「そう、だね。残念だけど」
「当然です。先程の様なことは困りますもの。いえ、その度にゾルアスというのを貰えるのであればその限りではありませんわね」
「そうですね。確かに殺気を浴びるだけで五千八百万ヴァリスは美味しいとリリも思います」
「ね~」
リリさんと一緒に笑顔で言うと、フィンさんが引きつりました。危険がなく怖い思いをするだけでそれなら、普通に誰だって受けると思います。
「笑えんわ」
「それで誰をつけるんだい?」
「せやな……何から習いたいんや?」
「適正もありますが、剣と大剣、斧や槌は習いたいですわね。他にも色々と」
「……ほんまにやる気なん?」
「もちろんですわ」
「なら、とりあえずアキに頼むか」
「なるほど、彼女なら問題ないだろう。ロキ、案内を頼むよ。僕はアキに頼んで来る」
「まかしとき!」
リリさんとイネスさんを引き連れてロキさんの後をついていきます。
◇◇◇
ロキ・ファミリアの武器庫には色々とありました。使われていないというだけで結構な業物が置かれています。引退した人が残していった物らしいですわね。
「この中から好きなもんを選んでええで」
「ありがとうございます。リリさん、大型武器をみますわよ」
「本当にやるんですか?」
「ええ、やりますわ。でも、その前にイネスさん。選定をお願いします」
「わかった」
イネスさんが見ていく中、少し見て回りますが……どれも私達には大きな武器ですわね。でも、それぞれ使い勝手が良さそうで歴史を歩んで……ん? 歴史を、歩んで……?
「きひっ、きひひひっ」
「ど、どうしたんや? 笑い方が怖いで!」
「ロキさん。
「確かに教えるのはできるけど、使えんと思うで?」
「構いません」
「まあ、うちのファミリアに所属してたんやなくて、遺品を拾って手に入れただけなんやけどあるで。ティオナの武器の元になった奴や」
案内された一番奥深くにソレはありました。余りに巨大で何を考えているのか訳が分からない品物です。全長二メートルを超える巨大武器。片刃の剣でどう見ても普通の人が扱えるものではありません。使われている金属も普通の金属ではありません。
「コレ、どこの大英雄が使っていたんですの」
「ゼウス・ファミリアのギガントマキアって奴が使ってた武器や。レベル6やったはずや」
「これ、くださいな」
「いや、絶対に使えんやろ」
「リリさん」
「いや、無理ですからね!」
「ものは試しです」
「えぇ……無理です……」
「頑張ってください!」
「無茶振りやな」
リリさんが超巨大武器を小さな手で持ち上げようとしますが、当然上がりません。
「ロキさん。これ、ロキ・ファミリアに使える人は居るんですか?」
「誰もおらんで。かといって素材にもできひんしな。そもそもダンジョン産のネイチャーウエポン。ダンジョンのボスが使ってた奴を改造していたらしいし」
「なるほど。では賭けをしませんか?」
「賭けかいな?」
「わたくしが持ち運べたら、これを無料でください。駄目ならソーマを差し上げます」
「……ええやろ! やってみい! レベル5でも使えん奴や。持てるはずない」
「では……時喰みの城」
台座の上にあるその
「……なるほど、馬鹿みたいな重量は持ち運べるんやな。で、どう使うつもりや?」
「そんなの、上から落とすに決まっておりますの。まあ、リリさんには使えるように訓練してもらいますが」
「待ってください! 無理です! 絶対にリリには無理です!」
「できます。むしろ、させます」
リリさんの持つスキル、
「というわけで、訓練用の装備一式と通常装備一式をもらいましょうか。イネスさん」
「わかった」
「手加減してな……」
「うぅ……リリはリリはどうなるんですか……?」
リリには持てる限界の大剣を選び、私は普通にショートソードという名のほぼ私にとってのロングソードを選びました。
「ロキ、来たけど……」
「アキ、この子……だけでええの?」
「はい。私が鍛えてもらいます。それからリリさんに教えますので、大丈夫です。そこまでロキ・ファミリアに迷惑はかけられませんので」
「こっちは代金もらっとるからええけどな」
「正直、リリさんは先に肉体改造が必要ですからね」
「そっか。頑張るんやで!」
「た、助けては……」
「無理やな」
「くっ……神様も冒険者様もリリは大っ嫌いです!」
そんなリリを置いて、アキさんと呼ばれた人と自己紹介をする。彼女はアナキティ・オータム。長剣使いのレベル4で、
「あの、アナキティさん」
「何かな?」
「耳と尻尾触っていいですか!」
「ほほう……それを頼んでくるのね。いいわよ。代わりに撫でたり抱きしめたりしていい?」
「交渉成立ですわね」
「ええ」
「ずるい! うちも交ぜてや!」
「男性はちょっと……」
「「「ぷっ」」」
「うちは女や!」
上から下まで見ます。もう一度見ます。
「ダウト?」
「嘘やない! 触ってみい!」
「では……硬いです」
「くぅぅぅぅっ! 下触ったらわかるやろ!」
「流石にそこを触るのは……男でしたら触りたくもないですし」
「アレ、もしかして自分……男駄目なん?」
「駄目ですわ」
「赤ロリ黒髪ツインテールオッドアイ美少女の百合やとっ!?」
ロキさんが床に血を吐くようなまねをして倒れたので、アナキティさんをみます。
「ちなみに本当にロキは女だから。こんなのでも」
「こんなのでも……」
「というか、クルミ様と同類ですよね?」
「……リリさん」
「ご、ごめんなさい!」
「可愛いは大正義なのですわ」
「え”」
「たとえ女性でも容姿が男性なら駄目です。ただし、男性で容姿が女性なら……まあ、ある程度の接触は許しましょう。男の娘ですし。でも、男装の麗人は駄目です。ごめんなさい」
「うわぁぁぁぁぁぁぁんっ! アキ慰めてぇっ!」
「いやよ」
ルパンダイブのようなジャンプをして、アナキティさんに抱き着こうとしたロキさんは避けられて床をゴロゴロと転がっていきました。
「では、師匠。訓練をお願いいたします。明日の朝からでよろしいでしょうか?」
「……そうね。明日の朝からでいいわよ。お金は貰ってるらしいし、クエストならキッチリとこなすわ。それでノーマルとハードがあるけれど、どちらがいいかしら?」
「ルナティックで」
「え?」
「ルナティック……こちらの事など考えずに壊すつもりで徹底的に最短コースでお願いしますの」
「本気?」
「回復ポーションの代金も十分にあるはずです。ロキさん、ソーマのボトルを一本預けるので、お金を借りたりできますか? 正確にはポーションが大量に欲しいのですが」
「ええで。オークションに出したら回収できるやろしな。うちが纏めて買っとるさかい、そこから渡したる」
「ありがとうございます。という訳でお願いしますね」
「……わかったわ。厳しくいくから覚悟なさい」
「はい。殺しさえしなければ構いませんわ」
「良い覚悟ね。カリキュラムを徹底的に組みましょう」
「ああ、泊まり込みで構いませんからね」
「了解よ」
さて、話は終わったのでポーションとお金、装備を受け取って帰りましょう。私の装備は影に収納して普通にリリさんには短剣や防具など良い物を装備させておきます。手を出してくれませんか?
◇◇◇
ロキ・ファミリアからの帰りに必要な物を色々と買っておきました。市場調査もある程度終わったようなのでソーマの値段もだいたいわかりました。もちろん、それ以外にも調べてもらったので買物はスムーズでした。後、鍛冶師に必要な物を発注したりもしました。
そんな訳で、ソーマ・ファミリアに戻って参りました。イネスさんには報酬のお酒を渡す前にもう少しお願いする事があるので、庭まできました。他の人達がリリさんの変わった装備に目の色を変えていますが、気にしません。
「では、イネスさん。お願いします」
「わかった。言われた通りに組み立てておく」
「お願いします。リリさん、着替えますよ」
「はい」
部屋に戻り購入した運動着に着替えます。まあ、シャツとズボンですね。着替え終えたらリリさんが着替えている間にアサシンにゾルアスとショートソードを渡してダンジョンに行ってもらいます。
「しばらく帰ってこないで籠って狩ってください」
「ええ、畏まりましたわ私」
「セイバーは朝まで荷物の護衛をお願いしますね。盗んだら捕らえて尋問します。そうですわね……十年から三十年ほど時間をいただきましょう。それから解放してください。それと侵入者が来た時点で知らせてください。修行を中断して影に隠れます。それ以外は休息してください。明日、荷物は全てロキ・ファミリアに持ち込むので荷造りもしておいてください」
「わかりましたわ、わたくし。そちらも修行を頑張ってくださいな」
「ええ、かしこまりました。頑張って鍛えましょう」
リリさんが着替え終わったようなので、影を伝って移動してもらってアサシンにはダンジョンへ出稼ぎに行ってもらいます。私はリリさんと合流してソーマ・ファミリアの庭にある一角へと移動しました。
「あの、ここで何をするんですか?」
「運動です。まずは筋力を鍛えましょう」
「あの、なんで手枷をするんですか?」
「必要だからです」
無茶苦茶重い鉄の塊を両手につけてから、両足につけて足の方を鉄の棒に固定します。それをイネスさんに持ち上げてもらって逆さ吊りの状態でY字にして地面に固定してある棒にセットします。これでリリさんは吊るされました。
「では、イネスさん。こちらを」
「うむ」
お酒を用意して、リリさんが吊るされている下で火を焚きます。
「ちょ!?」
「火から逃れるには常に身体を上下に揺らすしかありません。それで出来る限り腹筋と背筋を鍛えます。ポーションも大量にあるので大丈夫です」
「大丈夫じゃないです!」
「私もやりますので。これは最強の弟子を作り上げるための訓練メニューです。大丈夫、凡人でも天才に対抗できるほど育つ事が出来たのです。神々の恩恵を頂いた私達ができないはずがありませんわ。この辛い訓練を乗り越えたら、リリさんも立派なボウケンシャーになり、今まで見下してきた連中をボッコボコに粉砕できるようになります。連中が憎くはありませんか? 殺してやると思った事は?」
「ありますけれど……」
「思いだすのです。彼等のようなゴミ共に好き勝手にされたままでいいんですの? 限界を突破し、連中を粉砕してやりましょう。彼等も、小人族を笑う連中も、私達を馬鹿にする連中全て、蹴散らしてやりましょう。私と一緒に頑張ってみませんか? どうしても嫌だというのなら構いませんわ。わたくしは一人でもやりますから」
「……わかりました。リリも、リリもアイツ等は許せません! やってやります!」
「では、一緒に頑張りましょう。イネスさん、お願いします」
「心得た」
さあ、史上最強の弟子くるみ・ときさきとリリルカ・アーデ計画始動ですわ。もっとも、師匠も居ませんし、うろ覚えの訓練を実行するので彼のようになれるとは限りませんが、こちらには神々の恩恵とポーションがあります。それに壊れたら時間を戻せばいいのです。試行錯誤は何事においても基本です!
二人で吊るされて火から逃れるために必死に筋トレを頑張りますが、少しでダウンしました。まず最初に関節を柔らかくする所からやらないと駄目でした。ですので、一度ぶっ壊してからポーションで治します。二人で交互にやってから、先程と同じ修行をします。
「「ひぃぃぃぃぃっ!!」」
とりあえず千回できるようになるまで四時間かかりました。ポーションを飲んでから腹筋と背筋を休ませるために次は腕立て伏せです。背中に鉄の塊を載せてやります。この日はこれで終わりです。
次の日は発注しておいた回転車を持ってきて、それを設置しました。もちろん、細く短い針を複数用意して走る速度が遅くなったらそこにぶつかるようにしてあります。痛い思いをしたくなければひたすら走るのみですわ!
「死にます! 死にますぅぅぅっ!」
「人はそう簡単に死ななっ、痛っ、痛っ!」
ただひたすら筋肉を虐め抜いて
この間にセイバーはアナキティさんよりロキ・ファミリアに住み込みで徹底的に型の訓練と斬り合いをしています。寝てるタイミングでも襲われるので良い訓練になりますわね。三日後にはアサシンが現在進行形で溜めている戦闘経験値のお蔭で複数人での戦いにも発展して、三日後には剣姫と呼ばれる人とみんなで戦いだしたようですわ。あちらも地獄ですわね!
アサシンはダンジョンでひたすら殺し合いです。こちらは食料を影の異空間を通して渡しているので問題ありません。寝る時は影の異空間で寝ればいいですしね。ちなみにアサシンの方はアナキティさんから教えられた剣術と体術を活かしながら、暗殺術の方を自己流で頑張ってもらっています。こちらも漫画などを参考にしております。怪我はポーションで回復し、本当にやばい怪我は時間を戻す
どちらにしろ、順調にステイタスは上昇しております。ほぼ休まず訓練と戦闘をしているので当然ですわね。筋力などは本体しか意味がありませんが、戦闘経験と技術はありがたく更新しております。
こんな風にお祭りも無視して修行の毎日を過ごしていると一週間目でイベントが起きましたの。なんと、わたくしとリリさんが一週間頑張ったご褒美に豊穣の女主人でお高いメニューを食べようと出かけたら──
「嬢ちゃん達、随分と良い装備してるじゃねえか……ちょっと俺達にも分けてくれよ」
「そうそう。嬢ちゃん達はここで大人しくしているといいぜ。俺達が有効活用してやるからよ」
「ぐへへ、楽しみだなぁ……」
「おまえ、ロリコンか」
……襲撃を受けたのでした。裏路地を通ったかいがありました。相手は三人。二十代と三十代ですから、平均寿命が六十としても四十年と三十年というボーナスタイムでしてよ!
「リリさん、リリさん、どうしましょう♪ 強盗ですわよ!」
「嬉しそうですね……」
「待ちに待ったイベントですもの!」
「あ? まあいい。寄越してもらおうか」
手を振り上げて時喰みの城を発動しようとすると、誰かが私達の前に立ち塞がりました。乱入してきたのは何処の何方でしょうか?
「女の子に寄ってたかって何をしているの!」
白い男の子が乱入してきたのでした。正直、邪魔ですわ。退いてくださいませんか? ソイツ等を殺せませんの。
「クルミ様、凄く怖い顔をしています」
「……はぁ……」
白い男の子は見た感じ、それなりにやりそうではありますが……相手の方が強そうですね。ここはさっさと蹴散らしましょうか。
「王子様気取りか?」
「僕は王子様なんかじゃないよ。ただ、女の子を助けるのは当たり前のことで……」
「そうかよ!」
「やっちまえ!」
相手が剣を抜いてきたので、男の子が短剣で受け止めていきます。そうしている間にリリさんが袖を引っ張ってきました。
「もう行きませんか? もう目的を果たせませんよ?」
「いえ、まだいけます。リリさんは左を。私は右をやります」
「……わかりました」
互いに男の子の左右から攻撃を仕掛けようとした男の脇腹に攻撃を仕掛けます。リリさんは拳を、私は貫き手をやりました。リリさんの拳で相手は吹き飛び、私の相手は脇腹が少し斬り裂かれました。相手は即座に剣を振り下ろしてきたので、掌で弾いてから首筋を掴んで時喰みの城を極小に展開して時間を吸い取ってあげます。
「なっ!?」
「くそっ、聞いてた話と違う! だが……」
男の子と斬り合っていた男がそう言って、男の子の短剣を弾いて懐から何かを取り出そうとしましたが、その前にまた乱入者です。
「そこまでにしておけ。これ以上の狼藉は覚悟してもらおう」
「ちっ、引くぞ!」
「覚えてろよ!」
「くそがぁっ!」
エルフの人が現れたので、ここはもう大丈夫でしょう。
「リリさん。少し離れます。後で合流しましょう」
「わかりました」
私は影に溶けて連中を追います。気になる事を言っていましたもの。
「雑魚の小人族が高価な装備を持ってるから奪うって話じゃなかったのかよ!」
「何処が雑魚だよ……おい、大丈夫か?」
「あぁ、あぁ、身体がフラフラして……」
しばらくした所で、アジトみたいな場所に入ったので、私もお邪魔しました。ちゃんとノックはしましょう。ですが、残念ながら気付いてくれなかったです。他にも四人ほど居るようですわね。
「お前達、大丈夫か?」
「ああ、なんとか……」
「まさか、毒か?」
「いいえ、老衰ですわ」
「「「っ!?」」」
全員がこちらに振り返ったので、もう一度扉をノックしておきましょう。同時に時喰みの城を展開して周りを覆っておきますの。
「お邪魔しておりますわ」
「つけられてんじゃねえかっ!」
「すいませんボス」
「まあまあ、争うのは後でしていただけませんか? それよりも先程、面白い事を言われておりましたね? 雑魚の小人族が高価な装備を持ってるから奪うと。わたくし、それに興味がありますので誰に私達の事を聞いたのか、答えて頂ければ殺しはしませんわ」
「やられるのは嬢ちゃんの方だぜ」
「そうだな。どうやら一人のようだし……なっ!」
襲い掛かってきた男性はレイピアを抜いて刺突を放ってきます。それを回避して片手を振り抜きます。貫き手にした状態で身体を回転させながら遠心力も合わせて放った一撃は首を切り裂きました。血飛沫が噴き出し、わたくしのドレスを真っ赤に染めます。
唇についた血をペロリと舐め取ってから次の人に目を向けると、その人は剣を振り上げていました。ですので、影から剣を取り出して低姿勢で突撃して相手の攻撃より先に懐に入って一閃します。もちろん、身体の回転もしっかりとして全身で振ったのでそれなりの威力がでました。
「まずは二人ですわね」
二人を時喰みの城の効果で時間を全て吸い取ります。すると老人のようになっていきました。とっても美味しいです。
「後五人もいらっしゃるのね。食べきれるかしら?」
「何をしやがった!?」
「それをお教えする馬鹿は居ませんわ」
震脚*2を使って一気に接近しながら武器の弓を構えだした相手に投げます。その間に二人が槍を手に取って突いて来るので、上に飛び上がって天井を蹴ってお二人の間に入り、小さな手で頭に触れて時間を吸い取ります。
「あらあら、毛根が死んでしまいましたわね」
真っ白になった髪の毛が全て落ちていく死体となった彼等は更に
「化け物めっ!」
「こんな可愛らしい女の子を捕まえて化け物だなんて、酷いお方ですわね。後四人ですわよ? そろそろ答えていただけますか?」
「っ!」
矢が放たれたので、横に身体を倒して回避。ツインテールの片方に命中して髪の毛が数本飛びました。こちらが体勢を崩したと思ったのか、即座に残りの三人が突撃してきます。わたくしはそのまま倒れて影に入り、彼等の背後に回って蹴り、時喰みの城の異空間へと叩き落します。
「さて、残りはお一人ですわね」
「ひっ!? わっ、わかった! 話すから命だけは助けてくれっ!」
「ええ、構いませんわよ。わたくしは約束を守りますもの」
剣を拾って残った弓兵さんに近付きます。彼はガタガタと震えながら、私を絶望に染まったかのような表情で見てきます。訓練を追加で言ったリリさんの方がとても可愛らしくてゾクゾクします。でも、これはあんまりですわね。
「で? 誰から聞いたんですの?」
「アンタとこのファミリアだ!」
「どこのファミリアか正確に言っていただけます?」
「ソーマ・ファミリアのカヌゥ・ベルウェイだ! アイツに言われて襲ったんだよ! ソーマを売って大金を持ってるから山分けにしようって! ただ絶対に殺すなとは言われた。痛い目にあわすだけにしろって……」
「なるほどなるほど。良くわかりましたわ」
「あっ、ああ……それじゃあ、俺達は……」
「ええ、わたくしは殺しませんわ」
短銃を取り出して自らの
「
三発ほど撃って新しいわたくしを三人生み出します。彼女達はわたくしからブレるように生まれて、それぞれが勝手に行動しだします。その内の一人が男を掴んで時間を吸い取っていきます。
「な、なんで、助けて……くれるって……」
「ええ、わたくしは助けました。でも、別のわたくしが助けるとは言っておりませんもの」
「詐欺、じゃ……か……」
動かなくなったので、家探しを参りましょう。彼等が必要なくなった物は全てもらいます。テーブルとイスも使い道はあるので回収です。七人から三〇年、三〇年、五〇年、一〇年、二〇年、四〇年、四年の一八四年分を貰えました。ここから三人を生み出したので二四〇〇日と三六五日。約八年消費です。残り一七六年。一三〇年を使って時喰みの城を一五〇メートル四方まで強化します。残り二六年。こちらは緊急時に残しておきましょう。
放った三人が荷物を回収してきてくれたので、それを選別します。あまり良い物はありませんでした。それと捕まっている女性も居たので、そちらはガネーシャ・ファミリアに……いえ、先にディアンケヒト・ファミリアに届けるべきですわね。
「お待ちなさい、オリジナル。ディアンケヒト・ファミリアに届けるよりもわたくし達で使った方がいいですわ」
「時を吸うのはなしですわよ、わたくし」
「もちろんですわ。彼等から奪った時間で彼女を回復して選択肢を選んでもらいましょう。ソーマや他の物を販売するにしても、手の者が必要ですわ。全てをわたくし達がやるわけにはいきませんもの」
「その意見を採用しましょう。
彼女に時間を巻き戻す弾丸を打ち込んで叩き起こして事情を聞くと二ヵ月前に攫われていたらしい。そこで身体を綺麗にしたり、精神的なダメージも少しは治したりできると話すと、是非にと頼まれました。彼女の家の事を聞くと普通の一般家庭らしいですわ。娘と一緒に誘拐されて娘は売られていったそうです。やはり殺して正解でした。
「お姉さん。娘さんも助けられたら助けて欲しいですか?」
「当たり前です!」
「でしたら、わたくし達と契約しませんか?」
「け、契約ですか?」
「はい。わたくし達の一人を娘として扱い、家と衣食住を提供してください。わたくし達はそこを拠点として娘さんを探します。つまり、拠点が欲しいのです。ギルドにもファミリアにも知られない拠点がです。これから内偵するにしても、何処に敵が居るかわかりませんから」
「わかりました。夫と相談させてください……」
「はい。じゃあ、そこのわたくし。貴女は彼女について行ってください。その後、契約できたら姿を変えてそのまま居つくように。名前をもらっておくのも忘れないように」
「かしこまりましたわ。変装はツインテールを解いて服装を変えればいいですわね。後は瞳ですが……左目は隠さないといけません。眼帯でもしますか? コンタクトは怖いですし……」
「中二病みたいでいやです。包帯で隠すか、髪の毛でお願いします。いえ、この際です。目隠しで生活して心眼を開いてください」
「無茶苦茶言いますわね、わたくし!」
「気配察知は必要な技能です。よろしくお願いいたします」
「……かしこまりました。その命令、拝命いたしましょう」
残り二人は内偵です。娼館を探してもらいます。ですが、もっと数が欲しいですわね。ここはやはり、最大効率の
やはり、追加で六人作成し、キラーアント狩りをさせましょう。七階層、八階層、九階層があるので各階層に二人ずつ配置します。残り二人はローテーションの交代要員として常に狩り続ければ効率は上がるはずです。それに前に作った二人よりも、今作った六人の方が強いです。こればかりはどうしようも……いえ、良い方法がありますわね。ひょっとしたら、前の私でも強化できるかもしれません。ソーマ様には面倒をかけますが、わたくし達にもファルナがあるのですから、ステイタスを更新してしまえば理論上は昔のわたくしを更新できるはずです。元は同じなのですから。実験も兼ねてお願いしてみましょう。
オリジナル:リリとひたすら訓練
セイバー:ロキ・ファミリアでアキと訓練中
アサシン:ダンジョンでキラーアント狩り
アーチャー:ダンジョンでキラーアント狩り
くるみ六人:ダンジョンでキラーアント狩り
くるみ二人:娼館など情報収集
くるみ(娘):民家で娘として目隠し状態で生活
くるみの寿命:三〇年。分身の寿命一年
十三人の刺客ならぬ、十三人のくるみが存在。
刹那に生きてる……一年以内にある程度、体勢を整えないと終わりだと思ってる生き方です。
リリ:最強の弟子計画により全体的に成長中。才能が無い? 人はやればできるのです(おめめぐるぐる
続く? 続かない?
-
続く
-
続かない
-
そんなことより狂三が可愛いから書け
-
リリを曇らせて虐めたい
-
狂三だらけの狂三ハーレム