ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~   作:ヴィヴィオ

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繋ぎ回です。ええ、次回への繋ぎです。


新・ヘスティア・ファミリア歓迎会

 

 

 

 

「諸君! 集まってくれてありがとう! 今日は新しいヘスティア・ファミリアの発足式をかねた歓迎会だ!」

 

 此花亭の外に作られた桜に囲まれた大宴会場。そこに作られた壇上に立ちながら神様が宣言する。そんな神様のすぐ近くで僕やクルミ、リリ達も居る。もちろん、僕達以外にも元ソーマ・ファミリアやアポロン・ファミリアの人達も皆、居る。その数、一八〇人。そう、僕達のファミリアはこんな大所帯になっちゃった。なっちゃったのである。

 

「ソーマ・ファミリアとアポロン・ファミリアが合流した事で一気に人数が膨れ上がった。色々と問題は起こるとは思うけど、皆で解決していこうと思う。さて、ベル君」

「はい!」

「ごめん。ボクとしては君を団長にしたい!」

「む、無理です! 無理ですよ神様!?」

 

 ヘスティア・ファミリアは僕だけだったから、団長になっていた。でも、ソーマ・ファミリアとアストレア・ファミリア、アポロン・ファミリアが合流して人数が膨れ上がった今、僕なんかじゃとてもじゃないけど処理しきれない。

 

「だよね。ボクもそう思う。それにアポロン・ファミリアから移籍する子供達はともかく、ソーマ・ファミリアからの子達は認められないだろう」

「いえ、別に構いませんよ? わたくし達はちゃんと運営できるのであれば文句はありません」

「クルミ様がそう言うのならリリもありません」

「キアラも~」

「我々はお酒さえあればいい!」

「いや、皆わかってて言ってるだろう! ベル君にそんな力はまだない!」

「無理です! まだ……まだ?」

「何れベル君が団長になるにしても、しばらくは元ソーマ・ファミリアの団長であるクルミ君に務めてもらう。ぶっちゃけるとその方が効率的だしね!」

 

 神様の言葉に皆さんが頷く。まあ、ボクも見た事があるけれどソーマ・ファミリアでクルミがやっていた仕事量は本当に絶望的な量だった。ボクじゃ絶対に無理だ。

 

「まあ、団長でないと処理できない書類もありますから、ベルさんは確実にダンジョンに行けなくなりますね。フィンさんですらあまりダンジョンに行けない感じですし」

「全くもってその通りだね。お勧めはできない」

 

 少し離れた所でお手伝いしてもらったロキ・ファミリアの人達やヘファイストス・ファミリアなど様々なファミリアの人達が呼ばれている。

 

「それにぶっちゃけたら、信用の問題からしてもクルミたん以外できへんって。エインヘリヤルを握る事になるんやで? 絶対に他から突き上げくらうわ。うちも下手な事されたら怖いしそうするしな」

「なんだと! ボクのベル君じゃ無理だというのか!」

「私はオリオンの指示に従っても別にいいのだが……」

「アホか! それが問題やっちゅうねん! 感情で動かれて焼野原にされたらたまらんのじゃぼけぇ!」

「あははは……」

「はいはい。そこまでにしておきなさい。ファミリアの力関係的にもヘファイストス・ファミリアとしてもクルミの方がいいわ。それにベルがついたら彼が潰れる可能性もあるからね」

「わかってるよぉ……」

 

 僕が団長になってクルミの補佐を受けながらだとしても絶対に彼女と比べられる。そして色々と言われる事になるし、ダンジョンにも潜れなくなると思う。

 

「そんな訳で、団長はクルミ君! いいね!」

「「「はい!」」」

「副団長はベル君とリリ君! リュー君は……」

「私は辞退します。キアラ様の護衛ですし、豊穣の女主人でも働きますので……」

「雑務はクルミ様がやってくださいますので、リリ達は気にせずにダンジョンで稼いでくればいいだけです。簡単なお仕事です」

「そういう事なので皆さん。ダンジョンに向かう方はしっかりと冒険して魔石とドロップアイテムを回収してきてください。もちろん、わたくしの分身をつけますが……ボウケンシャーの方々にはしっかりとこちらが指定する訓練をクリアした人達だけにします。まず、徹底的に基礎鍛錬を施して簡単に死なないように鍛えあげますからそのつもりでいてください。それ以上に力が欲しい方は……ブートキャンプをします。こちらのブートキャンプは同盟の方々も参加費を頂ければ受けられるようにしますのでふるってご参加ください」

 

 戦闘技術を徹底的に教えてくれるみたい。僕はとりあえずブートキャンプをやってみようかな。レベル3にはなったけれど、ギリギリ勝てただけだ。ヒュアキントスさんが最初から僕に集中していたら負けていた。せっかくクルミが教えてくれるんだから、習おうと思う。アイズさんに体術とかは教えてもらったけれど、ナイフの戦い方はあくまでも我流だからね。

 

「それと商売に関してですが……元アポロン・ファミリアのホームを改造し、パーティーや宿泊ができる場所として提供します。幸い、アポロン・ファミリアの方々は顔がいいので従業員としても十分にできます。戦闘が嫌な方はこちらで働いてください。衣食住はこちらで持ちますし、給料も支払います。最低限、ファミリアとしての礼節は叩き込ませてもらいますが、給料は保証します。これらの事業の拡大に伴い……酒蔵を新しく二十ほど増やします」

「「増やしすぎだろ!?」」

「ヘルメス・ファミリアとの伝手が……こほん。商売の契約が有利に進められますので、ソーマを世界中にばら撒きます。その為に増やす訳ですね。まあ、こちらも人手不足になるので……酒蔵で働く方々はブートキャンプ強制参加です。最低でもレベル2。通常でレベル3になってもらいます。なに、レベル1ならソロでインファントドラゴンをぶち殺したらいいだけですわ」

「無理っす! 絶対に無理っす!」

「そうだそうだ! 無謀だ!」

「完成品のソーマ一本。レベルアップの祝いにつけます」

「「「っ!?」」」

「レベル3ならもう一本なんてケチな事はいいません。二本です」

「「「おっしゃあああああああああああああぁぁぁぁっ!!」」」

 

 さっきまで絶望的な表情になっていた彼等が一気に闘志を漲らせた。

 

「馬鹿だろ、こいつら」

「まったくです」

「……うん。ついていけない……」

 

 元アポロン・ファミリアの人達と同じで僕もついていけない。本当にお酒の事しか考えていないみたい。

 

「というわけで、ヴェルフさん。貴方がヘスティア・ファミリアの鍛冶師筆頭です。皆さんの武器についてよろしくお願いいたします」

「やれと言われたらやるけどよ……流石に一人じゃ無理だぜ?」

「わたくし達も手伝いますが、ヘファイストス・ファミリアと提携しておりますのでそちらにも仕事を振って構いません。いいですよね?」

「ええ、構わないわ。椿もいいわね?」

「うむ。クルミからの面白い依頼ならいくらでも受けるぞ」

「まあ、やる事は変わらんか」

「その通りだ。ヴェルフのファミリアが変わった程度で別になんの問題はない。ああ、ヘファイストス・ファミリアの名が使えなくなるのか? その辺り、どうするのだ?」

「別に構わないけれど、共同の作品は両方の印を入れるか、新しい印を作ろうかしら?」

「その辺りは任せます」

 

 色々と話されていくけど、簡単な事はクルミが団長でボクとリリが副団長になった。それと提携するファミリアも増えるみたい。

 

「歓迎会を始めようか。盛大に飲もう! 乾杯!」

「「「乾杯!」」」

 

 皆で楽しく話し合いながら食事をしていく。僕は神様の後ろに立ちながら、来られている神様達に挨拶していく。

 

「ふふん。どうだいロキ! これでボクも大手の仲間入りだぞ!」

「ほんま、ありえへんは……なんやねん! 眷属一人から一気に一八〇人って意味わからんわ! どこぞのシンデレラかいな!」

「まったくね。これから大変よ、ヘスティア」

「わかっているよ。でも、僕はやってみせるよ」

 

 神様がロキ様達と話していると、新しい人達がやってきた。その人達はフレイヤ・ファミリアの方々だ。フレイヤ様と護衛の人達がいる。

 

「挨拶に来たわ、ヘスティア」

「フレイヤ。わざわざ君が来るなんてね」

「だって、面白い余興だったもの。はい、これお祝いね」

「ありがとう」

 

 神様が受け取ったのをクルミが回収していく。その間にフレイヤ様が僕に近づいてきて頬を撫でてきた。

 

「貴方の戦い、とてもよかったわ。これからも頑張りなさい」

「はっ、はい!」

「こら! ボクのベル君だぞ! おさわり禁止だ!」

「残念ね。まあ、いいわ。クルミ。ブートキャンプだったかしら、それに私の子供達も参加させてくれないかしら?」

「高位冒険者を貸してくださるなら構いませんよ」

「あら、どこでやるつもりなのかしら?」

「十八階層と五十階層です。そこでならギルドにとやかく言われませんしね。それに城を設置する時にダンジョン側からの介入があるかもしれません」

「いいわ。オッタルかアレン。それにガリバー兄弟もつけましょう。いいかしら?」

「十分です」

「うちの所も参加するわ」

「ロキのところも来るの?」

「なんやねんドチビ。うちのところを外すつもりか?」

「いや、二大ファミリアと一緒になると合同遠征じゃない?」

「おもろそうやな」

「そうね。ギルドに根回しをしておきましょう」

 

 神様達が話している間にまた新しい馬車が来て、降りてくる。そこには僕とリューさんが招待した人達だ。

 

「ベルさんにリューおめでとうございます!」

「ありがとうございます、シルさん」

「ありがとうございます」

「ただ酒を飲みに来たにゃー」

「おめでとうございます。こちらミア母さんと私達からのお祝いの品です」

「ありがとうございますルノアさん」

「美味しそうな匂いがいっぱいにゃー……」

「おい。馬鹿者。まずは挨拶をしろ」

「ひぃっ! な、なんでいるにゃ!」

「フレイヤ様の護衛だ。愚妹」

「アレンが居るなんて聞いてないにゃー!」

 

 なんだか複雑な事情があるみたい。とりあえず、皆さんに食事と飲み物を配っていく。他の人や此花亭の人達と協力しながらやっていくと、少し離れた所で物凄い殺気がぶつかり合った。

 

「前の決着をつけさせていただく」

「面白い。来るがいい」

 

 オッタルさんがアタランテ様に戦おうとしていた。アタランテ様は弓を構え、オッタルさんは大剣を持ち、互いに打ち合う。そう、打ち合う。アタランテ様が大剣を弓で防いでいる。二人の余波だけで桜吹雪が起きてしまっている。

 

「「やめなさい!」」

 

 神様とフレイヤ様が即座に止めたおかげで被害はなかったけれど、地面は足の跡にえぐれていた。最高クラスの冒険者は強い。

 

「深層の感覚で始めないでください。やるならもっと郊外でやってください。被害がどれだけ出ると思っているんですか?」

「すまない……」

「失礼した」

「アタランテはともかく、オッタルも随分とアレだね?」

「挑むべき壁が現れて張り切ってるのよ。昔みたいでとてもいいの」

「そうなんだね~」

「オッタルさん、アタランテさん。勝負をしたいのならコレでやりましょう」

「「む?」」

 

 クルミが樽でお酒を取り出した。二人は見つめあった後、樽のお酒を飲む準備をしだした。そこでロキ・ファミリアのガレスさんやヘスティア・ファミリアになったチャンドラさん達も食いついてきた。

 

「どうせなら大飲み大会でも開きましょうか。勝者には豪華景品をプレゼントします。景品は炎系の魔法が発現する事間違いなしだと思われる魔導書です! ちなみにアタランテさんにはガチの完成ソーマです。これじゃないと酔わないですし」

 

 クルミが取り出した魔導書にはアポロン・ファミリアのマークが刻まれている赤い魔導書だった。

 

「オッタル、アレン。いえ、誰でもいいわ。勝ちなさい」

「「「はっ!」」」

「こっちもや! ガレス!」

「おう!」

「ボクも負けてられない! 皆、勝つんだ!」

「「「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!」」」

 

 皆がお酒を飲む大会に参加しだして、どんどん飲んでいく。神様達も飲みながらそれを見て楽しんでいる。アーニャさん達も参加している。

 

「私も飲んでいい……かな?」

「駄目です。アイズさんは飲んじゃ駄目ですからね。こっちでキアラ様達とジュースを飲んでいましょう」

 

 皆さん、本当に楽しんでいて笑顔が溢れている。こういうのもやっぱりいいと思う。それに仲間が沢山増えたのが嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「何をしている?」

「何ってペットの様子見よ」

「地上に送り込むのか?」

「そのつもりよ。でも、まだまだ弱いわ」

「コイツが弱い、か」

「とりあえず地上に放ってみましょう。面白いでしょう?」

「好きにしろ」

「それじゃあ、そうしようかしら」

 

 いっぱいいっぱい作ったけれど、実戦テストはしていない。だからこそ、お祝いにプレゼントしてあげましょう。

 

「行ってきなさい。ヴァルガング・アルティメットドラゴン。装備もろくにしていない愚か者たちを粉砕してくるの!」

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「「「は?」」」

 

 空間が歪み、空に変な穴が現れた。ボク達は全員がクルミ君を見る。そこから十メートルを超える巨大な三つの首が存在するドラゴンの顔が覗かせてきた。

 

「わたくしじゃありませんわ」

砲竜(ヴァルガングドラゴン)の頭部が三つか」

「フレイヤ様。お下がりを……」

「武器なんてないが、どうする?」

「決まっていますわ。アタランテ、神の力(アルカナム)を解放してやってしまいなさい。この場にいる神々も同意してくださいますわね?」

「もちろんだ」

「そうね。あんなのが地上で暴れたらやばいわ」

「頼む」

「よ~し、やっちゃえアタランテ~!」

 

 アタランテさんが弓を含めた装備を召喚し、矢を番えて空へと向けます。彼女の周りに青い光球が無数に現れ、弓の前には魔法陣が複数現れた。

 

天穹の弓(タウロポロス)。オリオンの矢……穿て」

 

 鉤爪の手によって引かれたオリオンの矢は万力のような力で引き絞られた天穹の弓(タウロポロス)から放たれ、一条の光となって音を置き去りして現れたドラゴンを跡形も無く消し飛ばし、そのまま空へと上がって何かを粉砕する音が響いた後、雲を吹き飛ばして遥か彼方へと飛んでいきました。当然、その後にくる衝撃波によって僕達は吹き飛んだ。

 

「とりあえず、迎撃はしたが……なんだったのだ?」

「ドラゴンでしたよ! ドラゴン!」

「三つも首があったねぇ……」

「それよりもコレ、どうするのよ……」

「引き絞れば引き絞るほどにその威力を増す天穹の弓(タウロポロス)を神の肉体と神の力(アルカナム)、エインヘリヤルの身体で使えばそらそうなりますわよねぇ……」

「す、すまない……やりすぎてしまった……」

「お酒が入っていたから仕方がないね!」

「じゃあ、飲み直しますか。一応、ギルドには報告を上げておきますが……」

「え!?」

 

 吹き飛んだ場所を巻き戻して本当に飲み直し始めたクルミ達に僕達は……うん、ちょっと引いた。結局、宴を再開した。それにしても、ドラゴンってあんな簡単に倒せるんだ。そうアタランテ様を褒めると、耳と尻尾が動いて大変可愛かった。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

「プレゼントが何もできずに死んだ! 何故ですの!」

「早過ぎたんだろう。しかし、これでハッキリとした。地上に手を出すのはもっと戦力を溜めてからだ」

「せっかく酔っぱらったタイミングを見ていたんですが……残念ですね」

「ところで、何かが破壊される音も聞こえたが、大丈夫なのか?」

「空間が破壊されただけです。勝手に修復されますから放置しておけば構いません。それに……いえ、これは置いておきましょう。どちらにしても黒のわたくしが対処するでしょう。わたくしはし~らない」

「いいのか?」

「はい。だって、あちらがやらかした事ですもの。わたくしに責任は少ししかありません。でしたら、無視しますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ソーマで酔っぱらって放ったオリオンの矢により、空間が壊れました。空間が壊れたのです。ええ、空間が壊れてしまったのです。大事な事なので三回です。
ヴァルガング・アルティメットドラゴン君はブルーアイズ・アルティメットドラゴンの赤いバージョン。強さ? 砲竜(ヴァルガングドラゴン)の三倍です。三匹を空間を歪ませて融合させただけですからね。砲撃も三連射は当たり前で、三つの首を同時に倒さなければ再生します。アタランテが居なければレベルアップできたかもしれませんね。しょせんは踏み台(アタランテにとって)じゃけんのう。

次回「ベルとリリのクエスト!」

アストレア・レコードの改変について

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