ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~   作:ヴィヴィオ

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精霊と空間震についての説明もいれておきました。精霊が危険視されている理由です。この辺りはあまり変わっていません。本格的に変わるのはロキ・ファミリア側が終わってからになります。
短いですが、ごめんなさい。


デート・ア・ライブ リリ達と士道の出会い2

 

 

 

 

「……ドー! シドー」

「ん、んん……」

「シドー! しっかりしろ、シドー!」

 

 十香の焦ったような声が聞こえて慌てて閉じていた瞼を開けると、目の前に広がっていたのは視界一面に広がっている水晶からもたらされる幻想的な光景だった。ある程度は非常識な事に慣れている俺からしても明らかに異常な光景だ。

 

「え……?」

「シドー! おお、目覚めたのか!? 良かった!」

 

 紫色の目と宵闇色の長髪をポニーテールに結い上げている綺麗な美少女。俺が初めてデートして力を封印した精霊*1だ。

 何故かわからないが、俺には彼女達の力を心を開かせて身体接触をする事で封印する事ができる。これは俺が失った記憶に何か関係があるのかもしれない。

 どちらにせよ、空間震*2が起こる場所に彼女達、精霊が現れるので向かって封印している。

 今回も精霊に関する事だと思う。というか、それ以外に原因が思いつかない。もしかしたら、妹の琴里に無理矢理拉致されて精霊が居るであろう場所に連れてこられたのかもしれないが……いや、説明くらいはあるか。

 

「と、十香……? ここはいったい……?」

 

 頭を押さえながら立ち上がり、周りを見るとそこは深い森だった。さっきの光景は木々の間から見えていたようだ。

 

「私にもわからん……まるで見たことのない景色だ。だが、今は大事がなかったことを喜ぼう。シドーが無事で何よりだ」

「お、おお。よくわからないけれど、心配かけたみたいだな……すまん」

「──私の方が心配していた」

「うぉっ!? お、折紙もいたのか!」

 

 やってきたのは俺のクラスメイトである折紙だった。彼女は色々と凄い。うん、色々と凄い。

 

「そう」

「そ、そうか……とりあえず全員、怪我はなさそうだな。良かった」

「油断しては駄目。目に見えない場所を負傷している可能性がある。放置していては危険。早急に調べるべき」

 

 そう言って俺に近づいてくる折紙。どことなく嫌な感じがする。

 

「へ? 調べるって、どうやって……」

「さしあたって、服を脱いでもらう」

「ちょっ……!? 折紙、大丈夫だから! なんともないから!?」

 

 こちらに接近してくる折紙の視線がかなりやばい。いや、ある意味では普段通りの行動だ。

 

「こ、こら折紙! シドーになにをする!?」

「邪魔をしないで。士道に何かあったらどうするの?」

「な、なんだと……?」

「素人が判断しては危険。何かがあってからでは遅い。十香も協力して」

「むぅ……それは困るぞ。一体何をすればよいのだ?」

「まず服を脱がせる」

「な、なるほど……」

「騙されるな十香ぁぁぁぁっ!」

 

 顔を赤らめながら寄ってくる十香に必死に声をかける。助けを求めるために視線を周りにやると、森の中にぼぉっと立っている一人の少女を見つけた。

 

「…………」

 

 彼女は水銀のような色の瞳をしていて、髪を後頭部で結い上げている。右手首と右足首に引き千切られた鎖の付いた錠を付けていて、お腹や肩を丸出しにして短いズボンを穿いている。

 

「ん? あれは……耶倶矢(かぐや)!?」

 

 何か違和感があるが、耶倶矢で間違いない。

 

「私は……あれ?」

「耶倶矢! お前も来ていたのか!」

 

 心配なのもあったが、これ幸いと折紙と十香から逃れるのも兼ねて彼女の下へと走る。

 

「……士道? どうして私、こんなところに……え? あれ? 夕弦……は? え、えっ!? 夕弦っ、夕弦!? なんで、どうしていないの!? なんで私ひとりだけ……!? 何が起こっているの!? 夕弦ー!?」

 

 耶倶矢は自分の分身である夕弦が居なくて取り乱しだした。これは仕方が無い事だ。彼女は双子の精霊……いや、厳密には双子ではなく同一人物だ。元々は八舞という1人の精霊だったが、何度目かの現界、こちらの世界に来る際に二人に分裂し、現在のような状態になった。どちらが吸収されて真の八舞として残るかを決めるため幾度も争っているが、実際は互いが互いを大事に想っており、相手を残すためにそれまでの勝負でも実はわざと負けようとしては失敗していた。そこを俺が封印してどうにか納得させて二人で双子の精霊として過ごす事になった。それからは常に彼女達は一緒に居る。

 

「しっかりしろ、耶倶矢!」

「そうだぞ、耶倶矢! 落ち着くのだ!」

「そう。息を吸って。ゆっくり吐いて。それでも駄目なら士道の胸に顔を埋めて、深呼吸するといい」

「何を言っているんですかねぇ折紙サン!?」

「……! ごめんなさい。無神経だった」

「い、いや、わかってもらえれば……」

 

 意外にあっさりと理解してくれた折紙にちょと違和感を感じる。

 

「それをしていいのは私だけということ?」

「やっぱりわかっていなかったな!?」

「みんな……ごめん、取り乱して。変な場所にいて、夕弦もいなくて、私……」

「いや、耶倶矢たちは双子の精霊だからな。取り乱すのもしょうがない。不安だろうけれど、まずは状況を把握するのに力を貸してくれ。俺達もここがどこなのか、何なのか、どうしてここに居るのかもわかっていないんだ」

「う、うん……ごめん、士道……」

 

 耶倶矢も落ち着いてくれたようなので、改めて周りの森を確かめてみる。他に誰か来ているかもしれない。それこそ、夕弦や四糸乃、琴里だって来ている可能性がある。

 

「どうやら、ここにいるのはこれで全員……みたいだな」

 

 軽く探してみたが、俺達以外には誰も居なかった。

 

「おそらく。少なくとも、周囲から霊力は感じない」

「霊力……あ。そういえばみんなのその格好は……霊装だよな? 一体なんで……」

 

 封印されているから、ストレスで感情が高まったりしない限りは霊装を身に纏う事はない。だというのに十香は紫を基調色としたドレスアーマーを身に纏い、折紙は頭部を囲う浮遊するリングから流れるベールと白いドレスとスカートでウェディングドレスのような恰好をしている。耶倶矢は全身に張り巡らされたベルトと片手足首の錠、南京錠に鎖付きの首輪と、ボンデージに近い衣装になっていた。

 

「うむ。先程から力がみなぎっている感じだ」

「そういえば、士道に力を封印される前みたい……」

 

 十香と耶倶矢の言葉を受けて俺の身体に流れる霊力の経路を確認してみるが、異常はない感じだ。

 

「俺の方はなんともないけど……」

「おそらく、士道が原因とは違う」

「え?」

「うむ。なんというか……シドーから力が逆流しているのとは違う感覚だ。この場所そのものに力が満ちているというか……ここに居ると力が溢れる感じだ!」

「霊力みたいな力がここには充満しているってことか……? いや、でも、そんなこと……」

 

 あり得るのか? 今までこんな事はなかったし、琴里達からも聞いたことがない。

 

「腑に落ちないのは私も同じ。けど、何もわからない今の状況において、霊力があるのは心強い」

「……そうだな。とりあえず、ここがどこなのか手がかりを……」

「──■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」

 

 いきなり咆哮が聞こえてそちらを見ると、目が赤く光っている巨大な熊や巨大なカマキリといった明らかに異常な生物が森の奥から俺達を目指してどんどんこっちにやって来ているのが見えた。

 

「っ!? な、なんだアレ……!?」

「巨大な熊……いや、本当に熊なのか? それに昆虫の化物もいるぞ」

 

 緑色をした巨大なムカデやクワガタのような生物が金属のような音をハサミから鳴らしている。十香が言っている通り、色んな巨大生物が捕食者のような目で向かってきている。

 

「……明らかに異様な生物。私達が知る生態系ではないことは確か」

「ちょっと、どーなってんの!? 本当にここ、どこなのよー!」

「っ! 来るぞ!!」

 

 そう思った瞬間。風切り音が聞こえて俺達に迫ってくる怪物達を何か銀色の物が貫いた。貫かれた怪物は黒い霧となって消えて、何かを落としていく。それが立て続けにおきた。

 

「ファイアボルトォォォォッ!」

 

 更に声が聞こえて炎の塊が飛んできて怪物の集団を纏めて焼き払ってしまった。そこに白い髪をした同じ年齢であろう少年が俺達の前に飛び込んできて、化物に向かってナイフを構えた。

 

「大丈夫ですか!?」

「あ、ああ……無事、だけど……」

「──■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」

 

 答えている間にも奥からどんどん溢れてくる。白髪の少年がナイフを持ちながら動き回って怪物を倒していく。そんな中、大きな熊が走ってきてジャンプした。その熊は明らかに有り得ない距離と高さを飛び、こちらに迫ってくる。

 

「シドー」

「大丈夫」

 

 十香が声を上げたけど、それを折紙が止めた。その瞬間、空から炎が降ってきた。いや、文字通り炎だった。

 回転する炎は熊を上から強襲してあっさりと切断して地面に激突。火柱を作り出して周りに居た怪物達を焼き払う。

 

「うわぁ、火力増えすぎですよ……」

 

 火柱の中に何処か見覚えがあるような白い衣装を身に纏い、これまた何処か見た事があるような巨大な戦斧を持った小さな女の子がそこに居た。

 

「「「琴里……?」」」

「はい?」

 

 戦斧が振るわれて炎が吹き飛ばされ、そこに居た女の子の姿が見えた。それは妹の琴里とは違う女の子だった。だが、装備と服装は同じデザインだと思える。文字が刻まれていたりといった細部は違うけれど、限りなく似ている。炎を扱うところもそっくりだ。

 

「リリ! そっちは任せていい?」

「はい。こちらはお任せくださいベル様。貴方達はまだまだ魔物(モンスター)が来ますので下がってください!」

 

 白髪のベルと呼ばれた少年は怪物達を殺しながら、奥へと進んでいく。リリと呼ばれた琴里と同じ装備をした女の子は俺達に近づいてきた怪物を瞬殺していく。

 

「も、魔物(モンスター)……?」

「おお……あやつ、強いな! とても素早いぞ。まるでテレビで観た兎のようだ!」

「それよりも、炎を放出している……? 見たところ精霊ではない。魔術師(ウィザード)でも……彼は一体……」

「こっちの琴里みたいのは私達と似た力だな。あの武器から強い精霊の気配と彼女自身からは弱い精霊の気配を感じるぞ」

「確かに人の気配がほとんどだけど、微かに精霊の気配もする」

 

 琴里が俺達をここに送り込んだというのなら、今回の相手はリリと呼ばれた彼女になるのかもしれない。

 

「もぅ駄目、私、頭パンクしそう……あぁ夕弦~……」

 

 耶倶矢がだいぶ限界みたいだ。それでも戦っている二人の邪魔になるような事はせず、大人しく下がってくれている。

 十香と折紙は何時でも助けに入れるように準備をしてくれているし、危険はないだろう。二人がその気になったらすぐに殲滅できるからな。精霊の力を使えるみたいだし、警戒はして見学をしよう。出来れば二人からここが何処なのか教えて欲しいし。

 

 

 

 

 

*1
俺達の世界とは異なる隣界に存在する謎の生命体。その発生原因や存在理由は謎に包まれているが、絶大な戦闘能力を有する上、こちらの世界に現れる際に空間震という大爆発を引き起こすため、人類からは特殊災害指定生命体とされ、天敵として恐れられている。地上での実体は存在し食事も普通に出来たり、流血をする描写から身体の構造は人と大差はない模様。個体によってその姿は様々だが、共通点として強大な戦闘能力を持つ、若い女性の姿をしていることなどが上げられる。そしてその身を護る絶対の盾・霊装を身に纏い、それに対を成す最強の矛たる武装・「天使」を有している。「天使」は“形を持った奇跡”とも呼ばれ、旧約聖書、生命の樹の10大構成要素セフィラの守護者に由来した名を持つ。霊力で編まれた鎧である霊装は堅牢な防御力を誇り、物理攻撃はおろか顕現装置による攻撃でもほとんどダメージを与えることは出来ない。天使の形や能力は個体によって異なる。人類が精霊に対抗する手段は武力による倒滅か(士道による)対話のみであるが、両方とも非常に困難を極める。

*2
発生するとその爆心地に存在する建物や地面などは巨大なクレーターを残して跡形も無く消滅し、その周辺は爆発によって甚大な被害が生じる。爆発の規模は精霊によって大きく異なる。30年前、ユーラシア大陸の中央(当時のソ連・中国・モンゴルを含む一帯)が一夜にして消失し1億5000万人の死傷者を出した〈ユーラシア大空災〉を皮切りに世界各地で小規模の空間震が頻発した(地球上の全大陸・北極・海上、さらには小さな島々でも確認された)が、その6カ月後に東京都南部から神奈川県北部にかけての一帯で起こった〈南関東大空災〉を最後に一時は途絶えていたものの、5年前から士道達の住む天宮市周辺で再び発生し始めた。しかし、なぜか狂三だけは空間震が途絶えていた頃にも関わらず7年も前からこの世界に現界していた。空間の地震の名の通り、爆発する直前に“余震”が起こる。精霊の存在を知らない一般人にはその発生原因は知らされていないが、〈ラタトスク〉やASTなど精霊の存在を知る者たちは隣界に存在する精霊が、こちらの世界に現界する際に発生する空間の揺らぎによって発生する大爆発とそれによる被害と認識していたが、空間震を発生させずに精霊が現界(静粛現界)することもあるため、その発生原因は謎に包まれている。なお、精霊の中には自分の意思で空間震を発生させる者も存在するが、同規模の空間震を同時にぶつけると相殺することが出来る。

|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?

  • ヘスティア・ファミリア
  • ロキ・ファミリア
  • フレイヤ・ファミリア
  • 豊穣の女主人
  • その他(タケ、此花亭)
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