ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
「わわわわわっ!? なんだっ、なんだ!? 地震!?」
バベルの前に居ると、急激に地面が揺れて胸が痛いので押さえる。まるで下から突き上げるかのような連続する振動──
「いや、これは……ダンジョンが震えてるのか? まさか、どっかの馬鹿な神がダンジョンに入った!?」
「かもしれへんな。こないだもどっかの馬鹿神が二人も入ってえらい事になったしなぁ」
「ロキ!? どうしてここに……というか馬鹿神とはなんだい!」
「うっさい! 自分でも言っとるやん!」
「は、反論できない……」
ボクは実際に少し前、ベル君を助けるために
『──都市内に存在する全ファミリアに通達! ギルドは
「
「どうやら
「あ~クルミ君ならホームで必死にお仕事中だよ。何徹目だったかな?」
ここ一週間。ほとんど寝てないはずだ。
「分身が
「無いね。今回はガチで彼女も事務処理に全力を出してる。護衛も普通に高レベル冒険者をあてるぐらいだ。リリ君やキアラ君の護衛ですらだよ?」
「あ~そこまで人手不足っちゅう事は流石にありえへんか」
ボクとロキはギルドへと向かいながら話をしていく。
「ドチビの所は誰を出せる?」
「あ~ベル君とリリ君は
「……なあ、うちはもう一人被疑者になりえそうな子を見つけてもうてんけど……なんや、アポロンを送還するついでにクルミたんが何かしとったってグレイたんから聞いたで?」
「あははは、リリ君なら大丈夫……じゃないね。うん。だって、彼女が持ってる武器はクルミ君とヘファイストス達が作り上げた神造兵器で、そこにアポロンの
流石に
「「ありうる」」
ボクとロキの意見は残念ながら一致してしまった。これはボクの方からもメンバーを送った方がいい。
「ダフネ君!」
「はい。なんでしょうかヘスティア様」
「豊穣の女主人に居るリュー君をすぐに呼び出して完全武装でロキ・ファミリアと共に
「当然や。うちも全員を出す。ギルドの前に集合するよう言っておいてや」
「わかりました。すぐに伝えてきます」
ダフネ君が行ったので、これで大丈夫だろう。ボク達も一応、ギルドに詰めておこうかな。
「ロキ!」
「おお、フィンか。準備は……できてるみたいやな」
「一応、即応できる者達だけを集めてきた。僕達はこれから
「わからん」
「それは大丈夫だよ。でかいのが生まれてると思うから、盛大に暴れている場所に向えばそこに原因が居るはずだよ」
「了解した。総員、行くぞ!」
「一応、ボクのところからもレベル5を出す。
手を上げてから
「……キアラも行く……」
「駄目だよ。邪魔になるしね」
「……むぅ……」
「大人しくボクと一緒にギルドで待っていようか」
「ん」
「お菓子でも奢ったるから、あっちでのんびり待ってようか」
「ちょっと! どこなのよ、ここは!?」
「「ん?」」
声が聞こえてそちらを向くと、赤色の髪の毛を黒いリボンで結んでツインテールにした見た事がないような服装をした女の子が立っていた。
「いきなりわけのわからない場所に放りだされて……何が起こってるの!!」
「ん!」
「キアラ君?」
キアラ君がボク達からいきなり離れて彼女に突撃していった。
「ちょっ!? な、なんなの!?」
「……火の精霊、捕まえた……」
「は? 何を言って……」
「なんの事かしら?」
「嘘やな。はい、確保~!」
「っ!?」
「ちょっと事情を教えてくれるかな、精霊君。大丈夫、ひどい事はしないよ。話を聞くだけだ」
拡声器で呼び出されていたボクの眷属達も集まっていたので、ヒュアキントス君達にお願いして包囲する。
「あんた達が私をここに拉致した連中って事?」
「違うよ。ボク達はこの街を管理監督しているところから、依頼を受けて動いているんだ。今、ちょうど事件が起こっているんだ」
「そこに現れたキアラたん曰く、炎の精霊や。精霊なんてよっぽどの例外が起こらん限り、この世界にはほぼおらん。だから、事情を話してもらう。そっちも先の言葉を聞く限り、なんもわかってへんのやろ? 情報交換と行こうや」
「それから先は応相談って事でどうかな?」
「……いいでしょう。嘘じゃないのであれば手を組む事も考えるわ」
彼女をギルドへと連れて行って、事情を聞くと信じられない事が判明した。彼女は地球という場所からやってきたらしい。そこでは機械文明が発展しているなどといった差異が大きい。
「つまり、琴里たんは気が付けばここに居たんやな?」
「そうよ。それよりも琴里たんというのを止めてくれないかしら?」
「う~ん。なるほど、異世界の精霊が放つ力か。確かに
「せやな。琴里たんは嘘をついとらん。つまり、事実や」
「だからたんって言うな! いえ、それよりも聞いた限りだと、
「みたいや」
「それなら、もしかしたら私の仲間かもしれないわね」
「なら、その子達も保護してこっちに連れてこないとまずいね」
「フィンには排除もありうると言ってしまっとる。伝令に誰か行かすか」
「リュー君に伝えるように頼んだらいい。その子達の名前を教えてくれるかな?」
「ええ、かまわないわ」
彼女から教えられた名前を記してからリュー君に渡し、ロキ・ファミリアを追ってもらう。彼女が間に合えばばいいのだが、最悪死んでいなければクルミ君がどうにかしてくれるだろう。
「ところで、クルミたんを使った方がええやろ」
「そうだね。彼女にも伝えたのかな?」
「それがその……居ないんです。どうやら街に遊びに出たみたいで……」
「タイミング悪いね」
「探せ。あの子の力が居る!」
「了解です。ギルド員も使って探します!」
「あの、さっきからクルミって言ってるけれど……もしかして、時崎狂三?」
「そうだよ。クルミ・トキサキ」
「あのナイトメアが居るの? もしかして、そいつが黒幕なんじゃ……」
「どういう事?」
そこで聞いた彼女達の世界に居るクルミ君とこちらの世界に居るクルミ君。二人の容姿、能力、話し方は非常によく似ていた。これは彼女に色々と聞かなければいけない事が増えてしまったみたいだね。まあ、今はベル君達が無事に帰ってきてくれる事を祈ろう。
◇◇◇
「リリ、気のせいかな……ゴライアスが武器を持っているんだけど……」
「気のせいじゃありませんよベル様」
「やっぱりそうだよね……」
そして、黒いゴライアスは……黒いジャガーノートの上に乗っていました。そう、乗っていたのです。はい、騎乗しておられますね。だから黒いゴライアスは手に馬上槍と盾を持たれているんですね。わ~い、リリ納得しました~!
「「ふざけんな──っっ!! 」」
思わずベル様と一緒に叫んでしまいましたが、仕方がありません。ネイチャーウエポンのようですが、巨大で強力な武器には変わりありません。
「なあ、あの
「理不尽なぐらいですよ」
「そうか。で、あれば相手にとって不足はないな」
「任せて。士道の敵は私が排除する」
「かかか! 我等に任せよ。あの程度の相手、軽く蹴散らしてくれるわ!」
「うむ。参るぞ!」
皆さん、やる気満々のようです。まあ、先程の戦いを見る限りでは大丈夫だとは思いますが、少し不安です。
「まず先手は我が貰い受ける!
耶倶矢様が金属質の右翼と右手甲から暴風を呼び出して空を駆けて行かれます。耶倶矢様の手には身の丈を有に超える巨大な突撃槍が握られており、まるで矢のようです。
「ゴァアァッ!!」「──■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!」
対する相手も馬上槍を構えて黒いジャガーノートが耶倶矢様と同じようなかき消えるような馬鹿みたいな速度で互いに駆け抜け、その中心で互いの槍を交わします。
流石は黒いジャガーノートと黒いゴライアス。力は耶倶矢様より上のようで、彼女が吹き飛ばされました。
「ぬわぁぁぁぁっ!」
しかし、悲鳴を上げながらも暴風を操作して風の足場を作って直後に背後から強襲していきます。黒いゴライアスは盾を背後に回す事で耶倶矢様の攻撃を弾かれました。
「
折紙様が分離させたパーツを遠隔操作で縦横無尽に動かし、各先端部分より強力な光線を発射して黒いゴライアスの身体を無数に貫いていきます。同時に黒いジャガーノートの方にも攻撃されておりますが、そちらは反射されました。
「乗り物は反射してくる。面倒」
「ならば下は私に任せるのだ! ハッ!」
十香様は大剣を振るって斬撃を飛ばします。黒いジャガーノートはそれをジャンプして回避しようとしましたが、複数の放たれた斬撃によって足の部分に命中して切断されました。外れたものも背後にある木々を切断してしばらくして消えましたね。
「■■■ッ!!」
黒いジャガーノートは口から光線を吐き出してきました。それを十香様はなんでもないかのように大剣で切断して分断しました。黒いジャガーノートは即座にその場から飛びのきます。何故ならその場所に光の柱が降ってきました。黒いゴライアスが盾を構えて避けきれなかった一部を防ぎますが、盾ごと周りが融けました。もちろん、
「避けられた。残念」
「トドメは貰った!」
暴風を纏った耶倶矢様が馬鹿みたいに動き回って加速し、周りが風で色々な物が吹き飛んで風に流されていきます。そんな暴風を纏いながら一条の矢となった耶倶矢様の一撃に対して、再生中の黒いゴライアスは動けず、黒いジャガーノートが対応します。
破爪で迎え撃つのですが、耶倶矢様の
「ぬぁあああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!」
耶倶矢様も吹き飛んでいきました。リリ達も同じです。出鱈目な、出鱈目すぎる風によって纏めて吹き飛ばされたのです。
「士道!」
「シドー!」
「ベル様!」
「皆!」
そのままリリ達は離れ離れになり、森の中に落ちていきました。落下の途中で体勢を変化させて着地の瞬間に
「本当に加減というものを理解して欲しいです」
それから周りを確認すると誰もいません。それに先程、折紙様がやらかした大破壊でまた
それらの対処をしながら皆様を探していきます。流石にジャガーノートは生まれてきていないようなので良かったです。
数十分、探索していると声が聞こえてきました。
「速かったし、手強かった……まさか避けられるなんて予想外。それに反射も厄介だった。どうやら倒せたみたいだけど……」
いらっしゃるのは折紙様のようなので、リリは早速合流いたします。
「折紙様ー!」
「あなたは……よかった。怪我はない?」
折紙様の周りにはたくさんの魔石が転がっております。やはり、折紙様も狙われていたようですが……はい、怪我もないようで何よりです。
「ええ、まぁ……というか、折紙様たちが凄すぎて、リリ達は逃げ回るだけでしたが……」
戦いに参加できませんでした。なんですかあの高速戦闘。クルミ様が居ない状況では絶対に戦えません。リリが死んでしまいます。あの時だってクルミ様の
「と、とにかく、折紙様も無事でなによりです。ベル様や士道様は?」
「わからない……けど、大丈夫。士道のもとには十香がいる」
「いがみ合っているように見えましたけど、信頼なさってるんですね」
「私達も色々とあったから」
「そうなんですね。ところで、折紙様」
「なに?」
「
「そうなの?」
「はい。ですから、もうちょっと手加減をしてください」
「難しいけれどわかった。これからは気を付ける」
「お願いします」
これでもうジャガーノートと戦う事はないでしょう。クルミ様がおられれば戦ってもいいんですが……流石にジャガーノートを相手するにはリリではまだ力が不足しています。耐久力と力は自信がありますが、攻撃をあてられませんからね。
「あ、いたー! じゃなかったっ、くくく! ようやく見つけたぞ、我が半身よ!」
「あーっ! もうどこまで行ってたんですか!? リリをほっぽって!」
「しょ、しょうがないじゃん! 私だってあの巨人を倒す時に吹き飛ばされちゃったんだからー!」
「あれは自業自得。それに皆が吹き飛んだのは耶倶矢のせい」
「だいたい人にこんな恥ずかしい恰好までさせてるんだからちゃんと守って下さいっ! もーっ!!」
クルミ様が居ないので怪我をしたくありません。カートリッジの予備も持ち込んだ分はあまりありませんし、彼女達が精霊なのでステイタスの低下はありませんが……やっぱり不安です。何時も、影には居てくださるのが居ないのですから。ですので、耶倶矢様がリリに求めていることはリリが耶倶矢様に求めることと等価です。
「恥ずかしいとはなんじゃこらー!」
「え……?」
こちらに向かって走ってこられる人達が居ます。
「今度は逃がさないわよ」
「光る服……さっきの人とは違いますけど、間違いありません……」
「ちっ、あのくそ女……どこに行きやがった」
「ろ、ロキ・ファミリア……?」
やってきたのベート様にレフィーヤ様。それにティオネ様です。それ以外にも後ろからロキ・ファミリアの団員の方々が沢山きております。
「リリルカか……おい、どけ。そいつらは潰す」
「は……? えっ? ちょっ、ちょっと待ってください! この人達はリリ達を守ってくれて……!」
「うるせぇ。邪魔すんなら、てめぇも容赦しねぇ」
「なっ!?」
「ふたりか……さっきのお仲間よりは楽しませろ」
「お、お仲間? まさか……士道と十香!?」
「……っ! <
「ハッ、上等だ……」
「待てって言ってんでしょうがぁっ! イフリートォォォォッ!」
全力起動でイフリートを発動させ地面を吹き飛ばしてやります。ロキ・ファミリアの方々はもちろん、耶倶矢様や折紙様も飛び退いてリリから距離を取りました。
「ちょ、これってしゃれになってない威力じゃない?」
「そういえばキアラちゃんがリリルカさんの炎はヤバイって言ってました……」
「こいつ、
アポロン様の力をたっぷりと吸ったイフリートは新たな段階に進んでいます。リリも同じく、アポロン様の力を体内に入っているらしい
「これは琴里と同じ力?」
「うむ。流石は我が半身よ!」
「お二人もちょっと黙っていてくださいね。それで、ロキ・ファミリアの皆さんは……ヘスティア・ファミリアと戦争をするって事でいいんですか?」
「あ? やるっていうんなら買ってやるぞリリルカ。こないだみたいにボコボコにしてやる」
「はっ、装備がないリリと戦っただけで良い気にならないでください。リリは装備があった方が何倍も強いんですからね」
「これ、装備に頼ってるように聞こえるが……」
「実際にリリは格闘戦はあくまでも超近接距離に入られた時の保険と戦いの流れを構築するための手段として格闘を使っているだけです。リリの専門は
「面白れぇ……」
「って、そっちこそ待ってください! これはギルドから正式に発令された
「は? え?
「……そういえばそうよね。ずっと
教えてもらった内容は納得できるものでした。ただし、殲滅という事には否です。
「わかりました」
「リリ?」
「我が半身よ、まさか……」
「彼女達はヘスティア・ファミリアが保護します。先に接触して友誼を結んだのはリリ達です。依頼を受けているのが、ロキ・ファミリアと共にヘスティア・ファミリアという事であれば、リリ達にも彼女達に関する権限はあります」
「正気か、てめぇ?」
「これはヘスティア・ファミリアの副団長としての正式な通達です。彼女達から手を引いてください」
前までならそうはいきませんでしたが、今のヘスティア・ファミリアは零細ファミリアではありません。レベル5が一人とレベル4が二人と六十人以上。レベル2が沢山。そして何よりエインヘリャルであるアタランテ様がいらっしゃいます。武力ではロキ・ファミリアに多少は引けを取るかもしれませんが、それ以外の部分では取りません。
「至極真っ当な事です。そちらは交戦した。リリ達はしていない。なら、それぞれ対処が変わるのは当然です」
「ど、どうしますか、ティオネさん……」
「リリルカの言っている事は団長の命令に背く。だから、やりたくない。でも、ヘスティア・ファミリアには……クルミには団長との仲を取り持ってくれている借りがある。それに団長からもヘスティア・ファミリアとは争わず出来る限り仲良くするように言われているし……」
「ですね。私もキアラ様と争うのは無理です。じゃあ……」
「うん。これは団長に報告して丸投げよ!」
「それが一番ですね!」
当然、そうなります。ヘスティア・ファミリアとロキ・ファミリアは結構な蜜月ですしね。やるとなったら互いに容赦はしませんが、被害が尋常じゃないレベルで出るのがわかりきっています。お互いに内部情報がある程度筒抜けです。あちらにはグレイ様がいらっしゃいますし、こちらはキアラ様やリリ達、クルミ様の情報が持たれています。
「という事でベート、ストップよ。流石に副団長として要請されたらこっちも団長か、同じ副団長であるリヴェリアかガレス辺りじゃないと無理よ」
「ちっ」
「という事で、ついてきてはもらうわよ」
「こちらもベル様と他に保護している方がいらっしゃるので、そちらとの合流が先ですが、構いませんよ」
「オッケー。それでいいわ。ただ、そこの二人は戦闘禁止。リリルカのソレは抑えてね。
「了解です。お二人もいいですね? 悪いようにはしませんから」
イフリートを全力稼働から通常モードに戻し、何時でも戦えるように手に握っておきます。その状態でお二人を見ます。
「……士道達の安全も保証される?」
「もちろんです。リリが手出しさせません」
「なら、私は文句ない」
「うむ。我が半身に任せるぞ!」
「ありがとうございます。それで、そちらは何があったんですか?」
「あ、歩きながら説明しますね。えっとですね……」
歩きながら横に並んだレフィーヤ様に色々と教えて頂きます。どうやら、別の方と遭遇して戦闘になったようです。その方が皆さんを食料として襲い掛かってきたことでロキ・ファミリアは排除する方向で動いたようですね。詳しく教えていただきましょう。
原作ではここでかち合っていますが、リリがかなり強く、かつヘスティア・ファミリアも巨大化しているので普通に交渉が可能です。先に彼女達と出会って接触しているのがヘスティア・ファミリアなので。それにレベルは下とはいえ、権限から考えると幹部とはいえ副団長であるリリの要請を団長達に通さずに断る事はできません。
|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?
-
ヘスティア・ファミリア
-
ロキ・ファミリア
-
フレイヤ・ファミリア
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豊穣の女主人
-
その他(タケ、此花亭)