ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~   作:ヴィヴィオ

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原作はだいたいこの辺りで一時停止です。次からはBriah(創造)のお時間です。語られなかった時崎狂三がどんなことをしていたか。そして、一週目の終わりの始まりです。わ~い、たいへんだ~!


デート・ア・ライブ 精霊達とロキ・ファミリア3

 

 

 

 

 

 

「はぁっ……はぁっ!」

 

 暴風に吹き飛ばされ、落下する時に木々に身体をぶつけた。枝をへし折り、身体中に傷が出来たけれど、どれもかすり傷程度で、あの二匹を相手にしては軽い怪我だ。

 

「大丈夫か、ベル……」

「う、うん……なんとか……それよりも……十香さん達だけで、あの黒いゴライアスとジャガーノートと互角以上……ううん、圧倒して倒しちゃうなんて……リューさんやクルミ達より凄い……よ……」

 

 士道の方を見ると、彼の服は所々破れていた。だけど……()()()()()()()()()()()。それがどれだけ異常な事なのか、僕でもわかる。そう思っていると、近くの茂みから音が聞こえてきて振り向く。

 

「シドー! 大丈夫だったか!?」

 

 どうやら、やってきたのは十香さんだけみたいで、他に人の姿が見えない。僕よりリリの方が強いけれど、心配なのは心配だ。

 

「ああ、助かったよ十香」

「うむ。なかなか手強かったが、皆が無事でよかったぞ!」

 

 あのレベルが手強かったで済むなんて、本当に強すぎですよこの人達。

 

「しかし、なんだったのだ、あの黒い巨人と骨の恐竜は……明らかに私達を狙っていたぞ?」

「わからない、ですけど……今は、はぐれた人達と合流しないと……」

「ああ。折紙に耶倶矢。それにリリルカも……戦っている間、その間にバラバラになっちまった」

 

 最後のはやりすぎだと思いますけど、こちらに来て手加減が出来なかったというのなら納得できます。

 

「む。そうだったな! よし、早く折紙たちのもとへ──」

「──見つけた」

「え?」

「ア……アイズさん!?」

 

 こちらにやってきたアイズさんは剣を抜いていて、僕達……士道達へと斬りかかった。アイズさんの剣が

 士道の身体に到達する前に十香さんが割り込んでアイズさんの剣を大剣で弾く。アイズさんは一切気にせず連撃を叩き込んでいき、それを十香さんが捌いていく。どちらの剣筋は僕には見えない。

 

「くっ……! なんなのだ、いきなり!」

「……!」

 

 どんどん激しさを増していく剣戟に声を振り上げて止めに入る。二人が戦うところなんて見たくない! 

 

「アイズさん!? 待ってください! どうして士道や十香さんに攻撃をするんですか!?」

「彼女達は危険。その答えが、出た」

「彼女達……?」

「──そして私も、()()()の存在を認めることができない」

 

 少し距離を取って話してくれたアイズさんはそれだけ伝えると、また十香さんに向って行って攻撃していく。何度も銀の閃きが交差し、互いの間で衝突する金属の音が響いてくる。

 一撃、二撃、三撃とどんどん激しさを増していく。アイズさんの表情は少し厳しくなっている。受ける側の十香さんは逆に困惑している。

 

「ぐぅっ……!?」

「貴女達は魔物(モンスター)と一緒なの? それとも、もっと悪い()()?」

「何を言っている……! 意味がわからんぞ……!」

「……覚えてる。迷宮(ダンジョン)がざわつく、この感じ。この後、とてもよくないことが起きることも……だから! 

 

 アイズさんがより力を入れて攻撃してくる。だから、僕は二人を止めるために前に出る。

 

「十香!」

「アイズさん! 十香さん! くっ!!」

 

 だけど、その前に新たに現れた他の人によって阻まれてしまう。その人達は冒険者でエルフやヒューマンの人達だ。

 

「ロキ・ファミリア!? これじゃあ、十香さんのところに……!!」

「くそっ、なんでこんなことに……!」

「待ってください、アイズさん! 話を聞いてください! 十香さんは、その人達は悪い存在なんかじゃない!」

 

 ロキ・ファミリアの人達に止められているので、動けない。アイズさんは聞こえていないのか、無視されているのか、激しい攻撃を続けている。それに十香さんも対応している。二人の戦いは激しくも美しいようにすら感じてくる。

 

「なっ……」

「剣の精霊である十香と互角……?」

「なんなの……あの剣士……」

 

 声が聞こえてそちらを見ると、リリと折紙さん、耶倶矢さんが居た。その後ろからロキ・ファミリアのベートさんやレフィーヤさん、ティオネさんも来ている。

 

「け、剣姫様と斬り合えるなんて……十香様、すごい……」

「<鏖殺公(サンダルフォン)>の力は使っていないみたいだけれど、それでも凄い」

 

 二人はしばらく剣を交わしてから中央で鍔迫り合いになる。

 

「待つのだ! 話を聞かせろ! なぜ私たちを襲う! お前は<AST*1>と一緒なのか!? 私達が起こす空間震を恐れているのか!?」

「……言っている意味がわからない」

「私は確かに! 確かに世界を恨んでいた! 私を否定する世界に疲れて、破壊を振りまいていたこともあった! だが私はシドーのおかげで変わることができたのだ! 私はシドーが好きだ! きなこパンが好きだ! ともに喜び、ともに泣いてくれる、あの世界が好きになれた! 異世界などという場所に来てしまったが、ベルやリリルカという良き者達に出会えた! 私はこの世界も、愛せると思う!」

「……何を言っているの。意味がわからない」

「剣を収めてくれ! お前は私のことを知らない! 私もお前のことを知らない! だから! このまま殺し合うのは、きっと間違っている!」

「私は……」

 

 アイズさんが答える前に迷宮(ダンジョン)が揺れます。

 

「この揺れは……! まさか、私達の力に反応しているのか……!?」

「やっぱりできない」

「っ!」

「貴女達は迷宮(ダンジョン)を狂わせる。貴女達はまた悲劇*2を呼び起こすかもしれない。私みたいな人をもう増やすわけにはいかない──目覚めよ(テンペスト)

「っ!? まさか……<天使>?」

「誰かが悲しむのなら。誰かが泣くのなら……私は魔物(モンスター)を、貴女達は──殺す!」

 

 アイズさんが風を纏っていく。それでも十香さんは対応していく。どうやら十香さんの力はまだまだ上がるみたいで、アイズさんの剣にもすぐに適応していっている。

 

「到達、です」

「アイズ達以外は戦っていないようだが……リヴェリア、ガレス」

「ああ。風を纏ったアイズと互角か、それ以上だな。信じられん」

「まだ互いに余力を残しておるようじゃが……次で決まるな」

「ん」

 

 ロキ・ファミリアの人達がやってきた。彼等はアイズさんの方を見詰めている。

 

吹き荒れろ(テンペスト)!」

 

 アイズさんが本気の攻撃を仕掛けて、辺り一帯に暴風を巻き散らかされていく。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

「ぐぅ~~~~~~~~っ!!」

 

 加減は……無理だ。できぬ。必殺(あれ)の前では私もやられる。私が倒れればシドーも殺される! こうなればやるしかない。

 

「<鏖殺公(サンダルフォン)>!」

 

 大剣と共に召喚された玉座を細分化されて大剣に一体化させる。これにより、全てを破壊する最後の剣へと変化する。

 

最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)

 

 アイズと言ったか。彼女の攻撃のみを破壊する! 

 

「十香様の剣が、どんどん巨大に……!」

「それより、この風……っ!?」

「近づけない……! 誰も!」

「く……っ! 目を開けていられない……!」

「ぐぅうううううううう……!? ……? 今のは──」

「──リル・ラファーガ! はああああああぁぁぁぁぁぁっ──!」

「おおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ──!」

 

 大規模な爆発が私と相手の力によって巻き起こった。

 

 

 

「無秩序に死と破壊を撒き散らす──凶悪で、醜悪、残酷な──倒さないといけない……滅ぼさないといけない……そんな──憎いものは、すべて──」

 

 

 

 

「ベル、大丈夫か?」

「し、士道……? うん、なんとか……っ! 十香さんは? アイズさんは!」

 

 空が赤色に染まり、爆発が収まると相手は禍々しい装いに変化している。これではまるで私が反転した時と同じだ。

 

「おまえ……その姿は……」

 

 彼女の身体から圧倒的な霊力が溢れ出している。

 

「……アイズ?」

「なんじゃ、あの禍々しい魔力は……」

「……まさか、反転したのか……? グレイ!」

「反転したのは間違いありません」

「馬鹿な! アイズが反転するなどありえん!」

「普通はありえません。ですが、実際にありえました」

「まさか、奴等が原因か!」

「影響はあるはずです。ですが……これは……気のせいなはずです」

 

 まさか、これは私のせいなのだろうか? そう思っていると、彼女は憎いという言葉を残して消えてしまった。これは絶対に私のせいだ。どうしよう。

 

「どうするのだ?」

「全員を拘束しろ。絶対に逃がすな」

「おっと、それはさせませんよ。この人達はリリ達ヘスティア・ファミリアが保護していますからね」

「リリルカ・アーデ。それは本気か?」

「本気です。これはヘスティア・ファミリアの総意と考えてもらっていいです。ヘスティア様も納得していただけるでしょう。何より、彼女達は精霊です。クルミ様が保護しないわけありません」

「……了解した。殲滅命令は解除する。正し、僕達にも協力してもらうよ。アイズを助けないといけない。クルミの説得は任せる」

「はい。ベル様もそれでいいですか?」

「もちろんです! アイズさんはなんとしても助けましょう!」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

「と、いう事がありまして……地上に戻ったらクルミ様が派手に戦っているじゃないですか」

「それも僕達が戦った相手だそうだ。そこでみんなで駆けつけたんだが……親子なのかい?」

「親子みたいですね」

「そうか。それじゃあ、被害の請求は君にすればいいかな?」

「それなんですが、色々と違和感があるんですよね……」

「違和感?」

「はい。ですので、請求は全てが終わってからでお願いしますわ。今、支払ったら協力する理由はありませんしね」

「……なるほど。こちらとしてもアイズが助かるのなら構わない。そのために前みたいに協力してもらうよ」

「構いませんわ。どうやら、今回の件も無関係ではいられないようですし、わたくしも色々と気になりますからね。とりあえず……ママを探すとしましょう。全てを握っているのはママである時崎狂三です」

「……ややこしいね」

「ややこしいですね」

「ではここはパパにお願いしましょう。わたくしの呼び名でも愛称でもどちらでもいいです」

「クルミ・トキサキで登録してあるし、なれてるならくーちゃんとか?」

「くーちゃんはアレを連想しますが、まあそれでいいです。ではしばらくわたくしはくーちゃんでお願いしますわね」

「了解した」

「わかりました」

「おっけ~!」

 

 さてさてさ~て、お母様であるママ、時崎狂三を見つけ出して色々と聞きだしましょう。ベートさんと出会った時の言葉も気になりますし、グレイの記憶を確認して違和感を感じました。

 そもそも……なんで、ベートさんは避けられるんですの? なんで。七の弾(ザイン)があたらないんですの? 時崎狂三が外すなどありえるのでしょうか? それも簡単に腕を切り落とされる? 馬鹿も休み休み言いなさい。

 断言します。ありえません。そんなものは未来を見て回避しています。一の弾(アレフ)だけしか使ってない時点でおかしいのです。五の弾(ヘー)で未来予知をして、七の弾(ザイン)二の弾(ベート)を叩き込むのが基本です。更に言ってしまえば何故むざむざリヴェリアさんの魔法を受けたのですか? その前に三の弾(ギメル)を叩き込んで時間を加速させてヴェルフさんのように爆発させるか、四の弾(ダレット)で巻き戻してもいいですし、それこそ七の弾(ザイン)で停止させるべきです。

 結論から言って、遊びがすぎます。お母様にしては温過ぎます。甘々です。以上の事から、ロキ・ファミリアを襲撃した人は……七罪(ナツミ)さんかまったく別の方という可能性があります。まあ、単純にお母様が舐めプをしただけかもしれません。真那さん相手にはよくやって遊んでいますしね。あれ、こう考えると普通……いえ、異世界に来てやることじゃありませんわね。

 

 

 

 

*1
AST(Anti Spirit Team)とは空間震を伴い、あたりに甚大な被害を齎し、強大な戦闘能力を有する謎の特殊災害指定生命体『精霊』を武力でもって討滅するために人類が極秘に結成した特殊部隊の総称。

*2
アイズの両親が迷宮(ダンジョン)で死亡したことなど

|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?

  • ヘスティア・ファミリア
  • ロキ・ファミリア
  • フレイヤ・ファミリア
  • 豊穣の女主人
  • その他(タケ、此花亭)
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