ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
「それではそろそろアイズを助ける方法について教えてくれ」
「うむ。よろしく頼むぞ」
「そうです。アイズさんのために早く方法を教えてください!」
フィンさんの言葉でわたくし達はソファーに座っているフィンさんやリヴェリアさん達、ロキ・ファミリアの方を見ます。
「確かにそうね。士道もいいわね?」
「ああ、俺は構わないよ。皆も構わないよな?」
パパがわたくしや他の人達を見詰めてくるので皆さん頷きます。ベルさん達もアイズさんを救う方法を知りたいようですし、問題ないですね。
「えっと、今のアイズさんは反転しているんですよね?」
「そうね。リリルカさんの言う通り、アイズという人は聞いた限り、間違いなく反転しているわね。そうよね?」
「ああ、間違いないぞ」
「わたしも保証する」
精霊である十香さんと折紙さんが保証してくれたのなら、確かに彼女、アイズさんは反転してしまったようです。彼女もなぜか一部とはいえ精霊の力を持たれているようなので反転してしまったのでしょう。
「それじゃあ、言うわね」
「「「ごくり」」」
皆さんが唾を飲む中、机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持ってきた琴里さんはハッキリとアイズさんを助ける
「私達は以前、反転した十香や折紙を元に戻しているわ。相手が精霊なら任せてちょうだい。私達は精霊対応のエキスパートよ。相手が精霊ならすることは一つ。つまり──」
「「「つまり?」」」
「──デートして、デレさせろ!!」
「「「「──は?」」」」
ロキさん、ベートさん、レフィーヤさん、リヴェリアさん達が驚いた顔をしています。まあ、普通に考えてみるとありえませんよね。
「ここにいる士道には、霊力を……精霊の力を封印する力があるのよ。その条件が対象の精霊に心を開かせること。つまり、そのアイズって子を士道がデレさせる! そして最後は──」
「さ、最後は?」
「キスよ!!!! 」
「「え──ええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」
「どこをどうなったらそうなんだボケがァァ!?」
「──────────」
ベルさんとレフィーヤさんが悲鳴を上げ、ベートさんが叫び、リヴェリアさんは完全に固まりました。まあ、無理はありません。
「フィン、リヴェリアが思考を停止させおったぞ」
「あはははは……無理もないよ」
「あの、本当にそんな方法なんですか?」
「本当、みたいだね……」
「クルミ様……本当にデートすれば反転を解除できるんですか?」
「ええ、可能ですわ。間違いありません」
そうなんですよね。ありえない事ですが、本当の事なんですよ。反転を戻すには精霊の力を封印するしかありません。そうするには士道さんと粘膜接触、キスが必要なのです。
「とにかく、好感度を上げてキスをすれば全部解決するのよ! 士道はこれで精霊達を救ってきたんだから!」
「事実や」
「ということは……まさか、皆様も……」
「「「…………」」」
十香さん、耶倶矢さん、折紙さんが視線をそっぽに向かせました。
「……え、ええと……まあ……」
「わーお、ゼウスもびっくりだ」
「そうとなれば早速作戦を──」
「「そんなの許すかぁああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!」」
ロキさんとレフィーヤさん雄叫びをあげました。レフィーヤさんに至っては琴里さんの腕を掴んで離しません。精霊の力が封印されている琴里さんではレベル3であるレフィーヤさんの力に対抗できません。
「オーケー、落ち着きましょう。今必要なのは剣ではなく言葉よ。人は対話によってのみわかりあえるわ。力によって通した意志は、また力によって駆逐されるもの。自らの意見を通すのに暴力を用いるのは、この上なく愚かな行為じゃないかしら?」
「ぐふっ」
「クルミ様……?」
琴里さんの言葉はわたくしにクリティカルヒットです。結構、武力や経済力による脅しで通していますしね。これは少し、対話による方面も……でも、めんどくさいですし……悩みどころですね。
「少なくとも私は貴女達を理知的な人間と評価しているわ」
「つまり、君は何をいいたいのかな?」
「……この子を離してくれないかしら?」
「フーッ! フーッ!!」
レフィーヤさんがやばい感じのイッた眼で睨み付けています。流石にそんなヤバイ目をしているレフィーヤさんに腕を掴まれている状態は琴里さんも辛そうです。
「レフィーヤ、ステイ。ステイや。とりあえず話を聞いたろ……」
「あのレフィーヤという少女──」
「ん? どうした折紙?」
「どこか不思議なシンパシーを感じる」
「いや何にだよ!?」
「互いに好きな人に集中しているからじゃないですか?」
「確かに……って、それはそれとして、琴里。一体どうするっていうんだ?」
「一応考えがないわけじゃないわ。地上に居る時にヘスティア達から聞いたんだけど、この都市には凄腕の
「おるでー!
「またアスフィさんの心労が増える……あ、でもクルミも作れるよね?」
「そうだね。クルミ君も作れるよ。特に精霊の力関係ならクルミ君の方がいいと思う」
「本当? それなら士道の力をトレースした道具を作ってくれない? 対象の霊力、精霊の力を封印する装置を、ね」
「確かに作れますわよ。たぶん」
「そんな事が可能なのか?」
「そりゃ、やってみないとわからないでしょうね。話を聞く限り、作れるんじゃない? 何故か知らないけれど、イフリートだったかしら? <
「<
どうやらヘスティアさん達から情報が漏れたみたい。いや、まあ聞いた限りではリリさんが使ったのでそちらからかもしれません。
「それに今回の目標は、私達の知る精霊とは違って、この世界の力を帯びた疑似精霊……いえ、精霊と人の混血なんでしょう? それならむしろそっちの方が相性はいいんじゃないかしら? まあ、もちろん、誰かがデートして、そのアイズの心を開かせないといけないのは同じだけど」
「……話を聞く限り、僕達の専門分野ではないというか、とにかくデートとやらは君達に一任した方がよさそうだ。代わりに僕達は万が一の事態に備えさせてもらおう」
「万が一ですか?」
「ああ。アイズを討つための準備だ」
「「なっ……!?」」
「君達の作戦の成否にかかわらず、アイズがオラリオに被害を出す確率は高い。この認識は間違っているかい?」
「……いいえ、間違っていないわ。もちろん最善は尽くすつもりだけど、イレギュラーはいくらでも起きるでしょうね。今、彼女は恐らく隣界にいる。いつ、どこに現れるかは私達にもわからない。空間震が起こるのかさえもわからないわ」
「僕達がその災害に対処できるかはわからないが、手をつくさない理由はない。アイズの出現に幅広く対応するため、都市中、および
まあ、ファミリアの団長としては当然の判断ですわね。いくらアイズさんがロキ・ファミリアにとって大切でも、他の人達には関係ありませんし。
「フィンさん!?」
「っ」
「止めるなよ、リヴェリア。止める事は許さない」
「わかっている。わかっているさ、フィン」
「リヴェリア様……」
「待って、ちょっと待ってください! いくらなんでもそんな……!?」
「若造、状況を見ろ。今の盤面を見下ろせ。儂等はもう、その時に片足を突っ込んでおる」
「!?」
「なんだよ、それ……なに言ってるんだ!? あんた達はそれでいいのかっ!? 大事な仲間なんだろ! それを──っ!」
「原因を作ったてめえ等が何をほざいてやがる!」
「っ!?」
パパが虐められています。パパ達に原因はありません。普通に考えて襲われて反撃しただけなので正当防衛です。また、誰が異世界転移した先でその力を使ったら駄目だと思いますか? ありえません。
「君のその優しさは素直に嬉しい。だが、感情と理性は切り離すべきだ。単純な話なんだ。アイズが
「僕達がそんな事をするはずがありません! そうだよね!」
「それは……」
「リリ?」
「きっちりと討ちますわね」
「クルミ!?」
「たとえアタランテさんが拒否したとしても、強制的に始末させますわ」
「なんで!?」
「ギルドから正式な依頼が来るからだ。先も言ったが、アイズの命とオラリオの……いや、空間震の規模を聞いた限りではこの世界の危機になりうるだろう。アンタレスと同じだ。ギルドは神造兵器や
「そんなっ!?」
「ベルさん。申し訳ございませんが、わたくしはわたくし自身はもちろん、ファミリアを預かる団長として他の団員も含めて彼等の命と財産を守る義務があります。ですから、その時がくれば容赦はしません」
「組織の長はどんな時も最悪を想定して動くべきよ」
「まあ、僕はその保険が必要になるとは思っていないけれどね」
「あら、そうなの?」
「ああ。こちらには切り札が居るからね。そもそも君達の計画が成功すればいいだけだ。
これは巻き返せと言われておりますわね。まあ、やるんですけど。ええ、やりますとも。アイズさんを殺すなんてとんでもありません。ただ、わたくし一人だと問題があるんですわよね。
「それじゃあ、団員を配備するために僕達はもう動く。ここからは別行動だ」
「ドチビ。そっちは任せたわ。うちはフィン達についてく。こっちはこっちでケアせなあかん子が多そうやからな」
「君達の作戦の成功を願っている」
「……っ。貴女達さえ、現れなければ……」
「あ──」
十香さんが何かを言う前にロキ・ファミリアの方々は出ていきました。残ったのは士道さん達とわたくし達とヘスティア・ファミリアだけです。
「何さ、言いたい放題言ってくれちゃって。私達だって好きでこの世界に来たわけじゃないのに。謝らせてさえくれないってわけ?」
「胸が……苦しいな……なんだか……ギュっとする……」
「十香……あんまり気に病むな。おまえが悪いわけじゃない」
「む……うむ、だが……」
「彼は部隊を切り分けた。私達に仲間を任せたくない。それは彼等の何よりの本音。けれど、彼は私達との内紛の方を危ぶんだ。互いが障害となって作戦に支障を来す……最悪の可能性を排除した。だからこそ……彼はその時が来たら、本当にやる」
「ええ、切れるわねあの金髪。とても残酷で合理的。私情を挟まない鋼の精神。最高の
「琴里!」
「でも……現実なんてものをぶっ壊して理想を掴むのが、本当の
「「!」」
「バッドエンドなんか要らない! 誰も死なせてやるもんですか! それが私達、ラタトスクのやり方よ!」
「……そうだな。そうだよな!」
「私が原因であの者が変わってしまったというのなら……私こそ命を賭けなければならん!」
「私と士道が力を合わせれば不可能はない。愛は全てを救う」
「なんであんたと士道だけなのよ! 私達も入れろし!」
「あははっ! ば、ボクも目指すんだったら断然こっちだな」
「その通りです! ベル様、クルミ様! 剣姫様を救いましょう!」
「うん!」
「ですわね」
「さぁ──私達の
「「「おう!」」」
皆さんで一致団結してヘスティア・ファミリアはアイズさんを救うために動きます。ですので、最大効率で趣味と実益を兼ねてやらせていただきます。
「じゃあ、まずその一手としてやらねばならないことがあります。琴里お姉ちゃん、よろしいでしょうか!」
「何かしら?」
「お姉ちゃんの記憶……くださいな♪」
「は!?」
<
「どういうことか、説明してくれるかしら?」
「もちろんですわ。まず、わたくしの仕事として、超特急でパパの力を模倣した魔導具を作成しなくてはなりません」
「そうね。それがないと話にならないわ」
「確かにそうだな」
「で、士道さんや皆さんのデートを詳しく記憶しているのはこの中で誰でしょうか?」
「それは……琴里か?」
「そうですわ。司令官であるお姉ちゃんならば確実に知っています。パパの事はもちろん、精霊の封印される前のデータから封印された後のデータまで余すところなく、きっちりとはっきりと記憶なさっています。司令官ともあろう方が彼女達のデータを見ないことなどありえませんわ」
「私が普通に提供するっていうのは……」
「忘れている可能性があります。でしたら、強制的にわたくしが見た方が魔導具を作成する最短距離です」
「……貴女の狙いはそれだけじゃないでしょ。知りたいのは<
「さぁ、なんのことかわかりませんわ」
「嘘だね。彼女は嘘をついた。明らかに君達のデータも狙っているよ~」
「ヘスティアさん?」
「おっと、口が滑った」
「……まあ、別にいいけど。他人には……他の人には一切漏らさないでちょうだい。それが約束できるのなら、認めてあげるわ」
「あら、意外に素直ですわね」
「必要な事なら、私は戸惑わないわ。ハッピーエンドにしてくれるんでしょう?」
「約束しますわ。アイズさんを救い、わたくし達が思うハッピーエンドにします」
「よろしい。なら持っていきなさい。あ、痛くはしないでね」
琴里さんを撃ち、皆さんに関する情報を貰います。これでより精巧に短時間で作る事ができます。
「ありがとうございます。十二時間もあれば作れますわ」
「そう。それなら恥ずかしい記憶を見られたかいはあったわね」
「琴里、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ。家族みたいなものになるんだし、これぐらいなんてことないわ。ええ、なんてことも……」
「では、次にパパ」
「な、なんだ?」
「ママを見つけたので情報を収集してきてくださいまし」
「え? 俺?」
「パパじゃないと無理です。いいですか、パパ。なんとしてもママを味方に引き込んでください。そうじゃないとハッピーエンドを迎える事は不可能です。ですから、ママをデレさせて骨抜きにしちゃってください」
「なるほどね。確かに時崎狂三の力は必要ね」
「でも、彼女は敵」
「だからこそ、デレさせるんじゃない。士道、狂三とデートしなさい」
「わかった。デートはともかく、事情を聞かないといけないしな。それにくーの言う通り、狂三が居ると居ないとでは全然違う。今から行ってくる」
「一応、持ってきていた小型通信機があるから、それをつけていってきて」
「了解! 案内してくれ」
「こちらですわ」
|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?
-
ヘスティア・ファミリア
-
ロキ・ファミリア
-
フレイヤ・ファミリア
-
豊穣の女主人
-
その他(タケ、此花亭)