ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~   作:ヴィヴィオ

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デート・ア・ライブ 士道と狂三1

 

 

 

 

 

「すいません。この本をいただけますか?」

 

 見つけた本屋さんに入り、本を幾つか読んでから目的の物を見つけてカウンターにもっていきます。

 

「構わないよ。お金は……」

「こちらで……」

「これは使えんよ」

「と、そうでしたわね。これは困りました。この本は欲しいので……そうですわ。若返りでいかがでしょうか?」

 

 わたくしはこの世界のお金をまだ持っていません。ですので、売れる物を売りましょう。

 

「ほう、若返りじゃと?」

「ええ、いかがでしょうか?」

「悩みどころじゃが……やはり現金がよいのう」

「でしたら、この建物を新築に戻すというのはどうですか?」

「それが本当じゃったら、それでよいぞ。リフォームする予定じゃからな」

「では、それでいきましょう。<刻々帝(ザフキエル)>、四の弾(ダレット)

 

 銃弾を壁に撃ち込んでお店の時間を巻き戻して差し上げます。これで新築と同じになりました。汚れも全てなくなり、匂いも変わります。

 

「おお、これはたまげた……」

「では、約束通りこの本は頂いていきますわね」

「本以外にもお金が必要じゃろう。リフォーム代金じゃ」

「あら、ありがとうございます。では、こちらはサービスですわ」

「ほ?」

 

 店主さんを四の弾(ダレット)の銃弾で撃ち、彼の身体も若返らせてさしあげます。

 

「確かに若返えったようじゃ!」

「それでは代金を頂いていきますわ」

「うむ。ありがとう」

「いえいえ」

 

 この世界は霊力に満ちあふれています。ですから、数年程度なら容易いですわ。ですが、この世界の時間を巻き戻したところで、わたくしが目的としている十五年前の世界に行っても無駄ですしね。

 

「さて、お勉強しましょうか」

 

 噴水がある広場でベンチに座りながら本を読みます。しばらく本を読んでいると、影が覆ってきたので顔をあげると、そこには真剣な表情をした彼が居ました。

 

「狂三。話がある」

「ええ、わたくしもありますわ、士道さん。隣、どうぞ」

「ああ」

 

 少し横に退いて士道さんを座らせてあげます。

 

「狂三。もう一度聞くが、彼女は本当に俺達の子供なんだな?」

「それについて話してもいいですが、邪魔な人達が居ますわね」

「ちょっ!?」

 

 士道さんにもたれかかるようにして抱きつき、彼の耳に挟まれているイヤホン型通信機を取り外してあげます。

 

「そちらに誰が居るのかは知りませんが、無粋なことは止めてくださいまし。邪魔をするというのであればそれ相応の覚悟をしてくださいませ」

 

 そう言ってから電源を切ってからポケットにしまいます。返してはあげません。

 

「これはしばらく預かってあげますわ。それと必要ならこの周りの人を排除させていただきましょうか」

「おい」

「わたくしたち。周りを囲んで邪魔な方々を排除してくださいまし」

「「「かしこまりましたわ」」」

「他の人に被害を出させるなよ」

「それは十香さん達次第ですわ」

 

 士道さんが緊張した表情でこちらを見詰めてこられます。

 

「とりあえず、身体を離してくれ……」

「あら、わたくしはこのままでも構いませんのよ」

「いや、大事な話をするんだろう?」

「それもそうですわね」

 

 さて、わたくしは隣に座る士道さんの腕を掴んで抱え込みます。胸に挟んであげると、うろたえてくれてとても楽しいですわ。

 

「さて、小さなわたくしについてですわね。それとあの子の事についてですが、詳しい事を教えますが、あの子には教えないでくださいまし。いえ、士道さんが判断するのであれば構いませんが……」

「わかった。それで本当に俺達の子供なのか?」

「ええ、わたくし達の子供ですわ。本当にわたくしが産んだようですわね」

「マジで!?」

「はい。士道さんのDNA……血液が付着していた物を使ったようですわね」

「え!? クローンか何か!? というか入手先は!?」

「一緒に襲撃をかけたじゃないですか。その時でしょうか? 十香さんが反転した時に空間とか割っていましたし、その辺りからわたくしの分身が落ちたようですわね。もしくは未来のわたくしか……その辺りはわかりませんでしたわ」

「あ~狂三なら時間軸を移動したりできるもんな」

「はい。そもそもあくまでも記憶を読んだのは小さいわたくしですもの。記憶を読んだのはわたくしではありませんからね」

 

 そう、読んだ記憶にあるのはあの子の身体が用意された時からですわ。彼女が作られた作成理由です。

 

「そうか。それだけか?」

「もちろん違いますわ。士道さん、あの子の記憶を読むような事をさせませんでしたか?」

「やった。失敗したけどな」

「まあ、やりますわよね。それは絶対に駄目ですわ。彼女、死にますわよ」

「え”!?」

「正確には精神の死です」

 

 わたくしは立ち上がり、士道さんの前に移動して彼の頬を両手で挟み込んで額と額をくっつけます。顔を赤らめて驚いている士道さんに至近距離から告げます。

 

「士道さんは自分の身体が無数に切り刻まれて体内に別の生命体の異物を入れられ、様々な薬品を投与されて拒絶反応などで苦しみながら助けを求めても助けてもらえず、その果てに世界など全てを憎んで死に絶えた子達の記憶を体験しても耐えられますか?」

「なんだよ、それ……」

「まあ、士道さんなら耐えられるかもしれませんわね。なんせ何度も絶望を体験しながらも十香さんや折紙さん達を助けていきましたしね」

「いやいや、いくら俺でも……」

「実際、何度も死んでますから本当に可能でしょう?」

「無理だって。それでそんな事か?」

「ええ、そうですわ。それも複数人の記憶が再生されるはずですわ」

「じゃあ、彼女が無意識に拒否していたのは……」

「死を理解しているのか、わたくしの残留思念が残っていて、彼女が助けてくれているのかもしれません」

 

 魔導書の時にはわたくしと出会ったようですし、その可能性は十分にありますわ。

 

「どちらにしろ、彼女はその……複数の人が素材にされているのか?」

「それも子供達、ですわね」

「まさか、狂三は……ありえないか」

「いくらわたくしでもそんなことはしません。そもそも無駄です。生半可な方法でどうやって拒絶反応を抑えるんですの?」

「あ~でも、もう一人の狂三はやったんだろ?」

「あの子がやったのはそこに漂っていた子や生き残っていた子供を基準にして用意されていた魔法陣や魔道具、その場に居た微精霊や精霊の残滓を利用し、自らの肉体を依り代にして新たに子供を自らの胎に宿す事で拒絶反応が起こらないようにしました。そもそもわたくしの身体自体が精霊ですしね」

「だが、それだと精霊の力に耐えきれるはずが……」

「ここに精霊の力を封印し、順次解放することで物にしているお方がおりますわね?」

「それで俺か!?」

「はい。士道さんの持つ精霊を封印する力。それを以て彼女の力を封印し、耐えられるようになった時に順次解放していっているのですわ。幸いにしてここには神の恩恵(ファルナ)なんてものもあって器の強化には持ってこいですもの」

「……彼女はどうしてこんなことを?」

「どうせ消えていく命なら次に繋げるつもりだったようですわね。それと士道さんとわたくしの反応をあの子を通して愉しんでいるのでしょう」

「俺達がこの世界に来ることを知っていたのか?」

「そこはわかりません。ただ、知っていたようですわね」

 

 その辺りは知らせるわけがありません。だって、彼女は……いえ、彼はわたくし達の事を全て知っているんですもの。

 

「で、どうしますか士道さん?」

「何がだ?」

「ですから、子供についてです。士道さんがどうしても嫌がるのでしたら、わたくしだけが育てますわ。わたくしがやらかしたことでもありますからね」

「……俺も育てる。ここで拒否したら俺が育児放棄したみたいになるだろ!」

「まあ、そうですわね。ちなみにあの子はこの世界では大手のファミリアの団長……つまり、大会社の社長みたいですわね」

「うわぁ……」

「権力も資金も施設も持っています。正直、このままではわたくし達が養ってもらう方になりますわね」

「それは流石に……」

「ですわよね。そこでこれです」

「えっと、そういえば何の本を……子供の躾方で、こっちは子供との接し方?」

 

 そう、わたくしが買った本は子育てに関する本ですわ。せっかく、わたくしがわたくしと士道さんのために用意してくださったプレゼントですもの。利用しないわけにはいきませんわ。

 

「確かに必要だよな……どう接していいかなんて一切わからんし……」

「ですわね。まさか子持ちになるなんて予想外ですものね」

「ところで狂三」

「なんですの?」

「そろそろ離れてくれないか?」

「ところで彼女はわたくし達の子供ですわよね?」

「そ、そうだな……」

「でしたら、わたくしと士道さんは夫婦になりますわね?」

「ちょっと待て! お願いだから待って!」

「あら、士道さんは両親が離婚していても大丈夫ですか?」

「え? いや、それは……そういうことになるのか?」

「そうなりますわ。ですから、士道さんはわたくしの夫ですわね」

「そう、なのか? そう、なのだろうか……」

「それに士道さんは釣った魚に餌を与えないんですの……? わたくしを救ってくださるんですわよね?」

「うっ……わかった」

 

 本当にナイスな采配ですわよ、わたくし。これで他の方々に抜きんでて士道さんを手に入れられます。わたくしの目的にも近づきますしね。

 

「というわけで士道さん。デートをしましょう」

「で、デート?」

「はい、デートですわ。子供に送るプレゼントを買わないといけません。幸い、お金が手に入りましたので、子供のお金で買うなんていう失態は犯しません。士道さんも父親として何かを贈った方がいいですわよ?」

「確かにそうだな。わかった。それじゃあデートをしようか」

「とっても楽しみですわね」

 

 士道さんの前から立ち上がり、手を差し出しますと士道さんが掴んで立ち上がらせます。そんな士道さんの腕に抱き着いて一緒に買い物を楽しんでいきます。

 

 

 

 

 

|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?

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