ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~ 作:ヴィヴィオ
此花亭に併設されたヘスティア・ファミリアの本拠地のある一室。そこには現在、ヘスティア・ファミリアの主だった面々とロキさん、
「さて、本日ご用意しましたのはこちら」
掌に乗せた高級感溢れるケースを持ち出します。純白のケースは表面に飾り彫りがされており、作られた水に黄緑色の樹脂を流し込んであるのでとても綺麗です。
「指輪ケースという事は完成したのね?」
「はい。琴里お姉様から提供していただいたデータを基礎として作り上げさせていただきました」
「綺麗なケースだね」
「確かにそうですね……」
「いったいいくらするんだろ……」
「ご説明いたします。こちらのケースは大理石を刳り貫き、作り上げました」
「待て」
「更に表面には
「け、ケースも魔道具なんか?」
「その通りでございます」
驚いているロキさん達を見ながら説明していきます。それが終われば蓋を開けて肝心の中身である指輪見せます。
「こちらがアイズさんに送られるエンゲージリングとなりますわ」
ケースの中には銀色のリングに大小のエメラルドグリーンの宝石が複数取り付けられた物です。こちらも
「リングの部分は
「綺麗やけど高いんやろ? 深層やリヴェリアの杖と同じ素材まで使われとるし……」
「間違いなく高そうだな……」
「ですわね」
「お値段を知るのはまだ早いですわ。こちらの効力はアイズさんが発する精霊の力を封印するだけではありません。封じた精霊の力を溜め込むことができるのです!」
「「「おぉ~!」」」
「貯蓄した力はエンゲージリングであるペアリンクされた二つの指輪を循環して力を増幅し、装着している方々に変換する事が可能ですの!」
「ふ、封印だけじゃなくてパワーアップアイテムかいな!」
「そうです! 封印だけなんて言いません。わたくしが三十人がかりで徹夜して作り上げたのは互いの力を蓄えて混ぜ合わせ、増幅して二人に還元するもの。正にこれこそ愛し合う二人が持つに相応しい壊れないエンゲージリングですわ! まあ、残念ながら、極東に伝わる陰と陽の概念を利用しているので男性と女性のペアでしか使えませんが……」
「いや、増幅までしている時点で明らかにやばいアイテムだからね?」
「胃が痛いレベルや」
「……円環を二つ合わせて無限という意味もあるのね。なるほど、いい仕事をしたようね。それに八舞姉妹の二人で一人という特性も利用しているんでしょう」
そう、これはパパだけではなく、八舞姉妹も参考にして作りました。だって風の精霊ですもの。それと微精霊も術式をちゃんと制御するために組み込んでいます。微精霊達は増幅される力を得て成長していけるのでウィンウィンな関係という奴ですわ。
「あ、あの、代金はいくらになるんでしょうか?」
「リリさん」
「はい。リリの方から代金を発表させてもらいます。素材と技術料、特急料金もかねてお値段はなんと!」
「な、なんと……?」
「一億九千万ヴァリスです!」
「「「一億九千万ヴァリス~~!」」」
無茶苦茶高いです。言ってしまえばヘスティア・ナイフと変わりません。でも、仕方がありません。だって、素材が素材ですし、リリさんが貰った<
「払えるのかい、ロキ……」
「ちょっと高すぎやで……」
「そんな貴女様にいまらななんと、特別価格の一億ヴァリスでご提供しますわ! 今だけのお買い得商品で一品物でございます! 買わなきゃ損ですわ!」
「なんで通販番組?」
「うむ。まごうことなき通販番組だな」
「これが通販番組というものなんですのね」
パパが発言した言葉に十香さんが答え、ママが楽しそうにこちらを見詰めてきます。ですので、張り切っていきましょう。
「い、一億ヴァリスか……それならアイズたんの為に出せる! 怒られそうやけどしゃあない」
「更にもう一声お願いします、クルミ様」
「はい。今回はわたくしの方も色々と実験もかねてやらせていただきましたし、有益なデータを琴里お姉様やパパ達から提供して頂けましたし、リリさんが耶倶矢さんから<
「マジで!?」
「マジですの」
「どうせ追加で条件があるんでしょう?」
「その通りです。これはペアリング。もう一人はわたくしの方から指定させていただきます」
「でも、それって士道って子じゃないと駄目やないん?」
「いえ、士道の力を再現したキスの代わりの指輪があるのなら、士道に拘る必要はないわ。むしろ、こちらの世界の住人が望ましいわね。誰かアイズって子と親しい人はいないの? 彼氏とか旦那とか」
「いるわけないやろ!」
琴里お姉様の言葉にロキさんが即座に否定されました。その言葉を聞いて我らが主神であるヘスティアさんは舌打ちをし、副団長であるベルさんはほっとしたようです。
「だったら、アイズって子が心を開く可能性がある子がいいわ。そんな子はいる?」
「男性となるとベルさんですわね」
「ベル様ですね。それ以外となると、アイズ様に好意を抱いている方はいらっしゃいますが、アイズさんの方は思っておられませんし……」
「待つんだ! ベル君はボクのだ!」
「アイズたんはうちのや!」
「それにベル君よりもカッコイイ人はいっぱい居るだろう! フィン君とか!」
「神様ぁ~っ!?」
ヘスティアさんの攻撃によってベルさんに大ダメージです。まあ、私もベルさんはカッコイイよりもカワイイという感じだと思います。
「私が見た感じ、彼女は年下の可愛い男の子にお姉さんぶりたい感じ。年上のしっかりしたカッコイイ見た目よりもそっちの方が確率は高い」
折紙さんが断言しました。確かにアイズさんはベルさんと仲良くされております。色々と世話を焼きたいような感じですので間違ってはいないと思います。というか、こちらもベルさん用に調整しているのでベルさん以外は使えないんですけどね!
「じゃあ、ベルより可愛い男の子は居る?」
「居るわけないだろ! ベル君が一番可愛いんだ!」
「神様っ! 何を言っているんですか! 僕は可愛くなんてないです!」
「いや、僕はベル君が可愛いと断言できる! 神様の生を賭けてもいいね!」
「そんな……」
「じゃあ、アイズって子のお相手はベルに決定ね。これならヘスティア・ファミリアが半分を出すのもいいでしょう」
「待つんだ! だからベル君は僕のだと……」
「ヘスティア・ファミリアからベルさんが、ロキ・ファミリアからアイズさんが出るとなればバランスはとれますわね。レベル差は大きいですが、まあそこはわたくしがどうにかしますので問題ありません」
「……うちのアイズたんと釣り合うもんをくれるっていうんか?」
わたくしの言葉にロキさんが少し神威を出しながら威圧してきますが、わたくしには効きません。
「指輪の代金を全てわたくしが負担しますし、今回の件でかかるわたくしが支払う費用を全て無料とさせていただきますわ」
「それだけの価値があるっていうんやろうな? 数億ヴァリスじゃアイズたんはやれんぞ」
「数十億ヴァリスの価値はございますし、そもそも所属はそのままで構いません。ただ、お二人が本当に愛し合うことになれば認めてくださるだけで構いませんわ」
巻き戻しの代金も含めてなので、数十億ヴァリスで済むかどうかもわかりません。お金がまた溶けていきます。ですが、アイズさんを救う為ならば惜しくはありません。
「僕は認めないからなぁぁぁっ!」
「だ、そうですのでこのままではベルさんはロキ・ファミリアに改宗ですわね」
「なっ!?」
「それは……アリ、やな」
「ロキ!?」
「アイズたんを取られるんは業腹やけど、アイズたんの幸せのためやったらうちは涙を呑んで認めてやる! やけど、ちゃんと愛し合っているならやで!」
「それで十分です。で、ヘスティアさんはどうするのですか?」
「ぐぐぐ……」
「それに妻が一人だけとは限りませんし、いいんじゃないですか? そもそもベルさんってハーレムを目指してこちらにこられたんですし……」
「なるほど……それも考えに値するか。断腸の思いだけど……」
ベルさんに女性陣の視線が集まってきますが、間違いではありません。お爺さんに誘導されたようですが、別にいいと思います。わたくしは参加するつもりはございませんし、ゆりゆりなハーレムを作りたいとは思っていますし!
|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?
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