ダン狂~くるみ(偽)とリリのダンジョン探検~   作:ヴィヴィオ

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デート・ア・ライブ 二週目

 

 

 

 

 崩壊したあの時の街とは違い、活気あふれるオラリオの街をママと手を繋いで歩きます。瓦礫や怪我人もおらず、とっても平和ですの。この平和がとても大切な物に思えてきました。

 

「ほら、美味しそうですわぁ」

「美味しそうって何を……そんな事を言っている暇はあり……ふぐっ!?」

「まあ、まあ、ジャガ丸くんでも食べてこれからの事を決めましょう。<刻々帝(ザフキエル)>を使える先達として言わせてもらえるなら、冷静に冷徹に理屈で効率を優先して動きなさい。焦っていては失敗しますわ」

「にゃるほど……」

 

 はふはふしながら熱々のジャガ丸くんを食べますの。塩加減がいい感じですわね。前よりも好きになっていそうですの。

 

「じゃあ、どうしますか?」

「そうですわね……とりあえず、あちらのお店で休憩しながら現状を整理しましょう。士道さんと行くのにいいかもしれませんし……」

 

 ママが指差したのは大きな木をくりぬいたようなお店ですわね。二階の外にテラスがあり、ある一定の種族の方々が集まっておりますの。

 

「ああ、あそこですか。エルフのお店ですの」

「エルフですか……本当に異世界ですのね。ところで猫は居ますの?」

「猫は居ませんね。少なくとも見ては居ませんわ。ただ、猫耳と猫尻尾を持つ人、猫人(キャットピープル)ならいますわね」

「猫の耳を持つ人ですか……微妙ですわね。ふむ……くーに猫耳をつけて……いえ、流石にありませんわね」

「当たり前ですの」

 

 わたくしの姿はロリ化した時崎狂三の姿ですの。ですから、流石に大人のわたくし(時崎狂三)も幼い自分と同じ姿に猫耳を装備させるのは躊躇しましたね。

 

「それよりも入りましょう」

「そうですわね」

 

 お店の中に入ると、いえ、近づくと視線が集まってきますわね。このお店は基本的にエルフ専用みたいなものですし、仕方がありませんの。でも、気にしませんの。

 

「いらっしゃいませ。このお店はエルフの方か、ご紹介が必要になり……」

「あら、いけませんの?」

 

 ママが先に入りましたので、店員さんが止めに入りますの。ですが、わたくしがママの後ろから顔を出して声をかけます。

 

「ヘスティア・ファミリアの団長クルミ・トキサキですわ。よろしいですわね?」

「は、はい! 貴女様のご紹介であれば問題ありません! それでキアラ様は……」

「下見に来ましたの。ちゃんと自分で確認しないと連れてこれませんから」

 

 エルフ専用ともいえるここは他種族であればそれなりに地位や身分が高い人でないといけません。それもわたくしの場合は王族に連なるキアラが所属している団長ですし、保護者みたいなものですので問題ありません。リヴェリアさんから保証されていますし、通達されていますから。王族の威光を自由にできますの。

 

「か、畏まりました! それでどのお席をお望みでしょうか?」

「二階のテラス席をお願いしますの」

「どうぞこちらへ」

 

 ママと一緒に二階にあるテラスへ移動します。木の中を進み、窓から外に出て用意されている席へと座りますの。

 

「ここには来た事がありますの?」

「ありませんわ。でも、知っています」

「そうですのね。でしたら、お任せしますわ」

 

 メニューを見てから直ぐに閉じてわたくしに任せてきました。さては読めなかった? いえ、わたくしの記憶を読んでいるのですから、知っているはずですが……まあ、いいですの。

 

「おすすめのケーキセットと紅茶でお願いしますの」

「畏まりました!」

 

 ママが呆れた表情をしてきますが、これが一番ですの。何故ならエルフにとって王族の血を引くリヴェリアさんとキアラの威光は絶大なので、最高級品を出してくれるでしょう。

 

「大丈夫ですの?」

「ええ、この店が出せる最高級の物が出てくるでしょう。少しでもわたくし達の印象を良くするために」

「なるほど。それならいいですわ。問題は支払いですわね」

「わたくしが持ちますわ」

「流石に娘に出してもらうわけにはいきませんわ」

「ふむ……」

 

 ママとしては譲れませんわよね。なら、代価を頂くことにしましょう。

 

「それでしたら弾丸をくださいませ」

「弾丸ですの?」

「はい。ママであればわたくしが用意するよりも低コストで用意できますわよね?」

「この世界は霊力が豊富ですからね。消費する時間を回収する方法も豊富にありますし、構いませんわよ」

「では、それでお願いしますの。これからする相手は一筋縄ではいかないでしょうし……」

「少なくとも精霊の力を使える相手ですものね」

「はい。ママの姿と力を扱える相手ですの。それはもう精霊としか言えませんわ」

 

 ロキ・ファミリアから教えて頂いた情報から考えて、相手は七罪と同じか、似たような力を持っているのでしょうね。コピー系か変身系かはわかりませんが、厄介な事でしかありませんの。

 

「必ず殺しますわ」

「ええ、ぶっ殺してやりますの」

「わたくしの姿でやりたい放題してくれたことはキッチリと精算しませんとね?」

「……ひゃい……」

 

 向かいの席から指を伸ばして椅子に座っているわたくしの頬をぷにぷにと押してきます。わたくしは受け入れるしかありません。わたくしだってママの幼い姿と力を好き勝手に使っていますもの! 

 

「お待たせいたしました。こちらはケーキセットとエルフの里より取り寄せた世界樹の葉を使用した紅茶でございます」

 

 用意されたケーキはどれも手の込んだ物で、宝石のような果物が乗ったタルトやアップルパイなどがありますの。どれも小さく美味しそうですの。

 

「ん~良い匂いですわね」

 

 ママはカップを持ち上げて紅茶の匂いを楽しんでから飲みだしました。わたくしも同じように楽しんでから飲みますが、かなり美味しいですわね。ソーマの素材に使えるかもしれません。と、いうか世界樹の葉とか、いかにもなアイテムですの。あるかは知りませんが……

 

「これ、持ち帰りたいですわね」

「値段は……一ケース百万ヴァリスです」

「高すぎですわね」

「笑えますわね」

 

 紅茶が入った木箱は五センチ四方の小さな物です。これ一つで百万ヴァリスとか、笑えますわ。この紅茶だってたった一杯で数万でしょう。ポットだと数十万ヴァリスですわね。

 

「基本的に王族が飲まれる物ですので……こちらもリヴェリア様がいらっしゃるので、特別にエルフの里より取り寄せております」

「とりあえず三箱ほどいただけます?」

「畏まりました。ご用意いたします。それでは失礼いたします」

 

 店員のエルフさんが下がったので、食事をしながらお話をします。

 

「それでこれからどうしたらいいですの?」

「そうですわね……それならまずは推理小説になぞらえて考えていきましょう」

 

 ママは紅茶を飲んだカップを口元から外して手に持った受皿に置き、テーブルに降ろしました。それからわたくしの方を見詰めてきます。

 

「推理小説……?」

「Who had done it、How done it、Why done it」

「ああ、エルメロイの事件簿……」

「なんですのそれ?」

「いえ、なんでもありませんの。えっと……はうだにっとからですの?」

「Howdunit、どのように犯罪を成し遂げたのか。これから考えましょうか。では、クー。相手はどのようにしましたか?」

「それは簡単ですわ。精霊を反転させることでオラリオを壊滅させました」

「それでは少し足りませんね。反転した精霊はどちらも半端者で、あくまでも精霊の血を引いているか、精霊の力をその身に宿しているか、ですわね。十香さん達は判定していないようですしね」

 

 ママにとっては二人を半端者と判断したようで、少しもやっとしますの。

 

「半端物であればわたくしもそうですわよね?」

「ええ、そうですわね。ですが、貴女は現状()()していますから、大丈夫ですわ」

「安定?」

「ソレをくれた人に感謝することですわ」

 

 ママは対面の席からわたくしの胸の間を指差してきました。そこにある物が何かを少し考えてから理解できました。わたくしの中にある聖火の事を言っているのでしょう。そうなると半端者というのはある程度はわかりました。

 

「アイズさんやリリは力や感情が不安定なのですわね?」

「そうですわ。精霊の力を人の身体に宿すのですから、少し後押しされるだけで容易く反転してしまうのです。その身に宿る力を使いこなせていないせいですわね。心が未熟なのですわ」

「それって対策はあるんですの?」

「デートしてデレさせたらいいんじゃないですの?」

「対策が投げやりですの!」

「ようは心持ちでどうとでもなるんですもの。言い換えてしまえば心の芯がしっかりとしていればいい……支えがあればどうとでもできるというわけですわね。つまり、貴女は彼女にとってまだまだというわけですわね?」

「うぅ……」

 

 頬っぺたをツンツンとつかれながらママに弄ばれてしまいますの。リリとのスキンシップが足りなかったから、反転されてしまったのかもしれませんわ。

 

「Howdunitに関してはこれ以上、現状ではどうしようもありませんわ。次はWhydunit。なぜ犯行に至ったのかですわね。はい、クー」

「えっとオラリオを破壊する事が目的ですの?」

「もしくはわたくし達の抹殺でしょうね。最悪、愉快犯という線もありますわ」

「うわぁ……最悪ですわね」

「ええ、最悪ですわ。こちらも現状ではわかりません。犯人の正体が不明ですし、情報が不足していますからね」

「ではフーダニット、犯人は誰なのか、ですわよね?」

「そこから重点的に考えていくしかありませんわ」

 

 ママが紅茶を飲みだしたので、わたくしもアップルパイを食べます。うん、サクサクした後、しっとりとしたリンゴの感触と甘味で大変美味しいです。

 

「はふ~」

「口元についていますよ」

「あう」

 

 口元を拭ってもらった。恥ずかしくて顔が赤くなってしまいます。

 

「そ、それで犯人が誰かなんて心当たりはありますの?」

「この世界でなら神話を紐解いていけば自ずと敵はわかりそうですが……今回に限っては違うでしょう」

「え? どうしてそう思いますの?」

「犯人もしくはその関係者が最初にわたくし達の前に現れた時の姿をお忘れですの?」

「犯人が最初に……あ、ロキ・ファミリアの時ですわね」

「その通りです。ええ、わたくしの姿を取り、ロキ・ファミリアと戦闘を行った。これが現状で判明している明確な犯人の行動でしょう」

 

 確かにママの偽物がロキ・ファミリアと戦うことで士道さん達は苦労したそうですし、和解するのも大変だったようです。リリが居なければどうなっていたかわかりません。

 

「つまり、ロキ・ファミリアと対面する時の偽物が犯人の一身というわけですから、捕らえるか殺してしまえばいいのですわね?」

「ええ、()っちゃってくださいな。このわたくしの力と姿を奪うなんて、許しませんわ」

「はい、ママ! ()らせていただきます!」

「よろしい。混乱するでしょうから、わたくしは地上に居ます。そちらは任せますわ」

 

 コクコクと頷きますの。分身とはいえ、デート・ア・バレットで時崎狂三の姿と力を奪った響さんが許されたのは凄く運が良かったですわね。

 

「ところで、十二の弾(ユッド・ベート)の制限は覚えていますか?」

「確か、過去の自分と出会ってはいけないんでしたわよね?」

「過去の自分に姿を見られては駄目、という事ですわね。見られたら強制的に元の時間に戻されます」

「それ、少し実験してみたいですの」

「はい?」

「いえ、わたくしはくるみねっとわーくで全部共有しているわけですが……」

「ああ、それで個体の裏切り防止も兼ねているんでしたわね。よくやりますわ。普通は壊れて死にますわよ」

 

 ママがちょっと引き気味に言ってきました。ママでもやらない事ですから仕方がありませんの。

 

「そういう事であればわかりましたわ。実際に試すしかないでしょうし、予備の十二の弾(ユッド・ベート)を……」

「必要ありませんわ。全てを共有するのですから、わたくしが消えたとしても別のわたくしが引き継いでくれますから」

「疑似的な書き換えではありませんの、ソレ……」

「裏技ですわね。まあ、このままだと消えそうなのでちゃちゃっとステイタスを更新して上書きしてきますわ」

「それがいいでしょう。その前にネットワークに情報を流して出会わないようにする実験もした方がいいですわね。弾丸は提供しますからやってみなさいな」

「了解ですわ」

 

 まずはくるみねっとわーくに接続して、この時代の中枢個体に全情報を流してやります。さて、これでどうなるか……

 

『て~へんですわ!』

『わ~! わ~!』

『オラリオは滅亡しますわ!』

『きゃ~!』

 

 わたくし達が一斉に伝えられた情報でわちゃくちゃしだしておりますが、無視ですわ。身体を見ると少し薄くなっていますね。

 

「消えはしませんが、少ししたら弾かれそうですわね」

「簡易的に歴史を変えておりますもの。仕方がありませんわ」

「では、次の実験に行ってきます」

「ええ、いってらっしゃい」

 

 お金が入った袋を置いてヘスティア・ファミリアへと走ります。当然、ネットワークにわたくしの居場所と目的地を知らせてこちらに来ないように伝えておきます。

 

「ん~」

「居ましたわ!」

「わっ!?」

 

 ダフネさんとカサンドラさんの二人と買い食いしているヘスティアさんを見つけました。思わず抱きついてしまいました。

 

「クルミ君か、どうしたんだい? 随分と震え……いや、これは……何があった。教えてくれ。君が泣くなんて余程の事だろう」

「すいませんが、時間がありませんの。すぐにわたくしのステイタスを更新してくださいまし」

「わかった。でも、場所は……」

「そこの路地で構いませんわ。カサンドラさんとダフネさんは盾になってくださいまし」

「それほどなの!?」

「あ、もしかして……うん、ダフネ、言う通りにして」

「わかったわよ……」

 

 路地に移動し、二人に通路を封鎖してもらってその間で上の部分を脱いで背中を露出させます。すぐにヘスティアさんがステイタスを更新してくださいます。

 更新されると、わたくし達はこの世界の存在として定着しました。ええ、定着してしまいました。おそらく、ステイタスを更新する事で、この世界の者として確立されてしまったのでしょう。つまり、戻る事はできなくなりました。ですが、これでこの世界のクルミちゃんは倍増しましたわ。どう考えてもバグ技ですの。世界がバグりますわ! 

 

「ステイタスを紙に移すことはできないけど、やっぱりこれって……」

「ありがとうございますわ」

「クルミ君、それで何があった?」

「時間がありませんので詳しくは言えません。ですので、こちらの場所に居る大人のわたくし(時崎狂三)にあってくださいまし」

「大人の君?」

「ママですわ」

「そう。わかった。新しいスキルだけ伝えるね。スキル名は炉神の聖火(ファケル・ウェスタ)。想いが続く限り、あらゆる不浄の力は焼き払われ、勇気を与える希望の灯となる。君の……あちらのボクの想いが続く限り、この聖火は消えないだろうね。つまり、永遠だ」

「ヘスティアさん……気付いて……」

「他ならぬボクの力だよ。気付かないほど鈍くはないよ! 失礼だね!」

「ごめんなさい」

「おや、素直だね。まあ、いいや。いいかい、クルミ君。君がボクの大事な子供である事に変わりない。だから、言えない事や言いたくない事は聞かない。君は君の望む通りに行動しておくれ。だけど、これだけは言っておく。死ぬな! 必ず元気に()でボクの所に帰ってくるんだ。いいね?」

「はいっ!」

「よし、行っておいで」

 

 ヘスティアさんに見送られながら、わたくしは走っていきます。目指すはダンジョン、十八階層。そこが現状では犯人と接触できる唯一のポイント、つまりターニングポイントですの。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「行かせてしまってよろしかったのですか?」

「行かせるしかないよ。だって、ボクには止められない。未来のボクが全てを賭して繋いだ希望だからね」

 

 たとえそれが、これからのクルミ君を終わらせるものであってもだ。もはや彼女は止まらない。行き着く先は決まってしまった。ほかならぬボクが決定してしまった。確かに皆を助ける為には必要な事だったんだろうけれど、怨むよ、未来のボク。

 

「未来、ですか?」

「気にしなくていいよ」

「あ、あのヘスティア様……」

「どうしたの、カサンドラ君」

「い、今、思い出したんですが……夢が……」

「また夢? 貴女の夢は……」

「クルミ君からどんなに疑わしくても必ず聞いてそれが起こるものとして行動しろって言われてるね。話してみて」

「はい」

「よし、なら準備をしようか。ヘスティア・ファミリアの全メンバーを緊急招集……いや、連絡してカサンドラ君が必要だと思う物資を全部集めて。各ファミリアへの協力体制への連絡もしようかな。何処が必要だい?」

「ヘファイストス・ファミリアとヘルメス・ファミリア、フレイヤ・ファミリアです。ロキ・ファミリアは巻き込まれますから、大丈夫?」

「ヘファイストスはともかく、フレイヤにヘルメスか……まあ、愛しい子供達のためだ。す───ごく嫌だけどやるか。とりあえずダフネ君はボクをギルドに送ったら、緊急連絡としてヘファイストスとヘルメス、フレイヤにギルドへ来るように言ってきて。ボクがギルドにアタランテの全力解放を求めたと言えば事態はわかるだろう」

「それほど、ですか?」

「それほどだね」

「はい。夢ではオラリオが崩壊しました」

「嘘でしょ!?」

「事実なんだろうね。ボクも信じたくはないけれど……」

 

 ボクが子供達を残して神界へ強制送還も辞さずに全力の神の力(アルカナム)を使ってクルミ君の中に聖火を残した。それが意味する事は簡単だ。ヘスティア・ファミリアが崩壊し、オラリオが致命的な事になったということだろう。

 あちらのボクもボクなのだから、認めたくないだろうけれどベル君は死んだのだろう。クルミ君の様子からしてリリ君もかな。ヴェルフ君はわからないけど、相当数の子達が亡くなっただろう。そうでもないとボクがクルミ君の人生を決定するような事はしない。

 はぁ……絶対にヘファイストスとかに怒られるよな……ボクがやったわけじゃないけど、ボクがやったとしか言えないし、神会(デナトゥス)案件間違いなしだ。でも、やるしかない。今なら根回しができるし、やってやる。可愛い子供のためだ。新たなる精霊の誕生を祝おうじゃないか! 

 しかし、時間と炉心を扱う精霊ってことになるのかな。じっくりことこと何時如何なる時だろうと見守る存在……意外に悪くない? あ、そういえばアポロンの力も抽出して取り込んでたっけ? あれ、一気にやばくない? 大丈夫だよね? 大丈夫だ。問題ない! 

 時間を操る太陽の炉心……時間を操作して瞬間的に太陽の力を使う炉心を地上に顕現させる……うん、駄目だ。これは駄目だ。どう考えても破壊神とかそんなのだ。

 

「よし、ヘファイストスに泣きつこう!」

「何言ってるんですか」

「これからのクルミ君への教育方針だよ」

「あ~無理じゃないですかね」

「頑張る。為せば成る、何事もってね!」

「どうぞ頑張ってください。手伝いませんから」

「薄情だよ!」

「無理な物は無理です」

「あはは……」

 

 そんな二人と一緒にギルドへと向かう。到着したらボクは直ぐにウラノスの下へと向かう。キルド長が困るとか言ってきたけれど、無視する。

 

「ウラノス!」

「なんだ? と、いうか、ロキに似てきているぞ」

「ぐはぁっ!? ごめん、気を付けるよ。って、それどころじゃないんだ。クルミ君が()()()()()

「そうか。それほどの事態か」

「ああ、そうだろうね。ボクが神の力(アルカナム)を彼女に託して消えるほどの事態だ。だから、ボクはアルテミス、アタランテの全力解放を要求する」

「許可する。ロイマン、オラリオの全域に緊急事態宣言を発令しろ。一般市民はオラリオの外に避難させる。デメテルとガネーシャにも支援要請を出せ」

「よろしいのですか!?」

魔物(モンスター)達が溢れるのだろう?」

「溢れると思うよ。クルミ君はステイタスを更新したら即座にダンジョンへと向かったからね。詳しい事はわからないけれど、ボクはこれから事情を知っているらしい人の所に行ってくるよ」

「誰だ?」

「クルミ君のママらしいね」

「そうか。そちらは任せる。こちらは冒険者達と迎撃の準備を始める」

「頼むよ。よし、じゃあ行ってくる」

「ああ」

 

 ウラノスの方はこれでいいだろうし、クルミ君のママに会いに行こうじゃないか。護衛は誰にしようかな。そう考えながらギルドの一階に戻ると、クルミ君が柱にもたれかかって短銃をクルクルさせていた。

 

「クルミ君」

「あ、終わりましたの? ママに会いに行くのでしたら、わたくしが護衛いたしますわ」

「どっちのクルミ君だい?」

「全部、統合されましたのでどちらとも言えませんわね。一応、集団は別れて行動する事になっておりますので、元から居た方ですわね。精鋭となった彼女達は犯人へ襲撃に向かいましたから」

「そうか。それなら護衛を頼むよ」

「かしこまりましたわ。わたくし達、行きますわよ」

「わ、ビップ対応だね」

 

 ボクの周りに四人の彼女達がそれぞれついてくれた。それも武装した状態でだ。

 

「わたくし達はヘスティアさんを見直しましたわ。駄目駄目な神様ではありませんでしたわね」

「ぐはぁっ!? いや、確かにベル君や君達におんぶ抱っこだけども! ヘファイストスのところから追い出されたけど!」

「ですから、見直しました。と、申し上げたではありませんか。貴女は少なくともわたくし達の主神として恥じない行動をなさいました」

「ですから、わたくし達も認めますわ。怠惰にならない限り」

「あははは……うん、頑張るよ。でも、ボクは死ぬ気も送還される気もないからね」

「ええ、当たり前ですわ。ただ、これだけは言わせてもらいましょう」

 

 クルミ君達がボクの前に並んで頭を下げてきた。

 

「「「「ありがとうございました」」」」

「いいんだよ。それにボクだけどボクがやった事じゃないからね。それにボクがやった事は取り返しのつかない事でもあるんだから……」

「何を言っているのかわかりませんが……霊結晶(セフィラ)の成長に関して言えば、わたくし達は大歓迎ですわ。わたくし達は大人のわたくし(時崎狂三)に近づいた事になるんですもの」

「そうなんだ……まあ、わかったよ。でも、君達が気にしなくてもボクは気にするから何か考えるよ」

「お好きになさってくださいまし。わたくし達も好きにしますから」

「うん。好きにしよう」

 

 なんとしても彼女達を幸せにしないと。何れこの世界から弾かれるとしてもだ。今は、まだ人としていられるのだから、出来るだけ長い時間をこの世界で過ごせるように……それはそれとして、ベル君は大丈夫かな? 心配だな~

 

 

 

 

|太陽の魔導書《ブック・オブ・ヘリオス》は誰の手に?

  • ヘスティア・ファミリア
  • ロキ・ファミリア
  • フレイヤ・ファミリア
  • 豊穣の女主人
  • その他(タケ、此花亭)
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