とある魔術の禁書目録~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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第Ⅲ話~正体発覚~

「そこの三人……AIM拡散力場が感じ取れない。なぜ?」

 

 

滝壺がそう言った瞬間、俺は面倒事の予感しかしなかった。

AIM拡散力場のことを学園都市第四位、麦野沈利が知ったらどうなる?

グイグイ突っ込まれるに決まっているだろう。

 

 

「へぇ……まぁその件に関しては後回し。とりあえず―――」

 

 

『アイテム』の面々は、自分で持ってきた鮭弁当や、サバの缶詰などを食べ始めた。

今のうちに出て行こうか。

 

 

「当麻、インデックス。ここから出るぞ。厄介なことになる前にな」

「刃、あいつら何者なんだ?」

「……面倒な奴らだ。いいからでるぞ」

「あ、あぁ……インデックス。ここから出るぞ」

「むぐぅ?んぐ……うん、もうお腹いっぱいになったからいいんだよ」

 

 

俺が立ち上がると、続いて当麻とインデックスが立ち上がる。

無言でレシートを取り、レジまで歩いて―――いけなかった。

なぜなら、

 

 

「おい、ちょっと待とうか?」

 

 

麦野に肩を掴まれながら話しかけられたからだ。

 

 

「なんだよ?なんかようか?俺はもう帰りたいんだが」

「滝壺がアンタらのAIM拡散力場が感じられないって言っているんだ。―――これはどういう意味だい?」

「そうか……で?」

「ハァ?」

「で?それを知ってどうするの?いい加減に―――『離せ』」

「―――ッ!?」

 

 

《絶対命令権》を使い、麦野の手を肩から外す。

 

 

「じゃあね」

 

 

ハラハラと手を振り、先にレジへ向かった当麻とインデックスの下へ行く。

その時、背後から殺気が放たれたが無視をした。

いちいち相手にできるか。

 

レジに諭吉を十五人置いて、

 

 

「釣りは取っといていいよ」

「は、はぁ……」

 

 

唖然としている店員を横目にさっさと出ていく。

どうやら追っかけてくることはなさそうだ。

 

Joseph'sから出た俺たちはこれからどうするか話し合っていた。

 

 

「インデックス、お前はどうするんだ?当麻のところに戻るのか?」

 

 

インデックスは首を横に振った。

 

 

「いいよ。また魔術師が追ってくるだろうし、そしたらまた君たちに迷惑をかけちゃうもん」

「そしたらなおさら一人にできねぇじゃねぇか!!」

 

 

当麻の気持ちはよく分かる。

正直に言えば、俺の家に来れば万事解決なんだ。

魔術師からの追跡はおろか、滞空回線(アンダーライン)からの追跡も逃れられる。

滞空回線は俺の部屋があるビルには一切ない。

そのことはアレイスターは知らないだろう。

ダミーを見せているからな。

 

 

「インデックス、うちに来るか?うちなら魔術師からの追跡を逃れられるし」

「それでもいいんだよ。迷惑をかけることには変わりは―――」

「まぁ拒否権はないけど」

「え―――」

 

 

インデックスの首に手刀を落として意識を落とす。

気絶したインデックスを抱きかかえ、当麻に向き直る。

 

 

「当麻、インデックスはこっちで責任を持って保護する」

「わかった。刃なら安心して任せられるしな」

「それじゃあな。それと明日の朝飯は自分で用意してくれ」

「う……わかったよ。じゃあな」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「兄様、おかえり……な……さい」

「おう、ただいま。なんだ、先に寝てるのかと思ったぞ」

「―――兄様」

 

 

あ、あれ……?

メルの気配が黒くなった?

 

 

「やはり新しい女の子をひっかけていたんですか?しかも意識を失うほど激しくシたんですか?」

「違うわ!!こいつはインデックスって言ってな?ほら、『箱庭』で耀に渡した《禁書目録》っていうギフトがあっただろ?それ元のとなった人物だ」

「それのなにが関係あるんですか?」

 

 

なぜ察せないんだ?

いつものメルならすぐに察するはずなんだが……

 

 

「魔術師に命を狙われている。だから保護した」

「なるほど、そう言うわけですか」

 

 

そう言った瞬間、メルからの黒い気配が引いていった。

はぁ……冷や汗かいたぜ。

 

インデックスを俺の部屋のソファに寝かせる。

そして、部屋にある円卓に腰を掛けてメル、操祈、ドリーを待つ。

しばらくすると、三人が部屋に入ってきて、席に腰を掛けた。

 

 

「どーしたの?こんな夜中に……先に寝ていていいっていたのは、やーくんでしょー?」

「すなまいドリー。緊急だから許してくれ」

「緊急?」

「そうだ操祈。今回俺が連れて帰ってきたインデックス―――あの女の子の警護だ」

 

 

その言葉に、操祈とドリーが目を見開く。

 

 

「なんで?あの女の子がそんなに重要なの?」

「そうだ。最重要だ。あの子一人で世界が変わるからな」

「そ、そんなに?」

「まずは魔術師のことから説明しよう。魔術しのことを知らないと重要度がわからないからな。魔術師とは―――」

 

 

そこから、操祈とドリーに魔術師のことを説明した。

非科学的な手段で超常現象を発生させる技術・理論の総称だということ。

超能力との最大の違いは、どのような系統・効果の魔術を習得するかが術者によって選択可能なこと。

数に制限なく複数の種類を使えることであり、自分の目的に沿った魔術を自在にセッティング出来るため、超能力と比べて非常に自由度・万能性が高いことなどをお大雑把に、簡単に説明した。

 

もちろん、二人は驚いた。

メルはもともと知っていたのでもちろん驚いていない。

 

 

「魔術っていうのは便利なんだねー」

「そうねぇ……でも私たち超能力者が使えないっていうのは少し不便ねぇ」

 

 

それは仕方がないと思う。

超能力者が魔術を使えたら、簡単に魔術師共は倒されてしまう。

なんせ、魔術の発動は判断できても超能力の発動は判断できない。

操祈の《心理掌握》なんて魔術師殺しだろ。

まったく操られている自覚がないんだし。

 

 

「結論な、結論。インデックスを守るという簡単なお仕事です」

「「「えぇ……」」」

「ただ魔術師からの攻撃があるだけだ。その魔術師も炎を使う奴と、世界でも二〇人ほどしかいない聖人の一人だけだ。余裕だろ?」

「「「………………」」」

 

 

三人ともジト目で俺を見るなよ。

本当に余裕だろ?

だって―――

 

《念》を完全に習得したし、そのうち二人はレベル5だぞ?

まぁメルはレベル6すら余裕で超えているだろうけど。

 

 

「それだけだから。じゃあおやすみ」

「「「おやすみ」」」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

翌日、朝ごはんを作っている最中に事件は起きた。

メルが俺の部屋のキッチンで朝食を作っている間、俺、操祈、ドリーの三人はソファに座ってテレビを見ていた。

インデックスは未だ目を覚ましていない。

少し強かったか……?

そんなことを考えているときだった。

ぐぅ~、とお腹の鳴る音と同時にインデックスが目を覚ました。

 

 

「ん……んん……ふぁ~……」

 

 

キョロキョロと辺りを見回しているインデックス。

だがそれはとある一点で止まることになる。

キッチンだ。

そこから香ってくるいい匂いに反応したのだろう。

と、次の瞬間―――

 

 

「がるるるるるるる!!」

 

 

そう叫びながらインデックスがキッチンへ特攻したのだ。

もちろん、それを許す俺ではない。

すぐにインデックスの身体の時間を止めて特攻を阻止する。

そしてそのままソファに座らせ、能力を解除する。

 

 

「わわっ!?」

 

 

座らせたと説明したが、背もたれの方にインデックスの正面を向けたのだ。

そのまま勢いが殺しきれずに、ソファから転落した。

 

 

「いたたたた……あ、あれ?ここどこなんだよ?」

「目を覚ましたか?」

「や、刃?」

 

 

ようやく理性を取り戻してくれたようだ。

ここから話を進めて行ってもいいのだが、

 

 

「兄様、朝食の準備が済みました」

「わかった。インデックス、とりあえず朝食を食べようか。腹減っているだろ?」

「う、うん。わかったんだよ」

 

 

朝食はインデックスが冷蔵庫の中身の九割を食い尽くすという事態以外は、滞りなく進んだ。

デザートにインデックスがパフェを食べたのには少し驚いた。

操祈とドリーはそんなインデックスを見て、顔をしかめていた。

メルは『箱庭』で耀の食べっぷりを見ていたので、特に何も思っていないようだ。

 

さて、これからどうしようか?

魔術師共にインデックスを渡すのは論外として、魔術師共を殺すのもなしだ。

バックにいる奴らが流れ込んで来たら、地図から国がいくつか消えてしまうかもしれないからな。

戦闘の余波でだけど。

 

マジでどうしよう……

説明するのもいいけど、俺の言葉を信じそうにない。

神の名を出せば信じるだろうが、それだとさすがにアレイスターに感ずかれる。

というよりも、全世界の魔術師どもに感ずかれるだろう。

やっぱりアレだな。

力でねじ伏せるのが一番いい案かもしれない。

そうすれば、ある程度話も聞いてくれるだろう。

 

すぐには行動しなくていいだろう。

あれからこのビルの近くには魔術師の気配がない。

さすがに、当麻の住んでいる寮みたいにするわけにはいかないしな。

 

 

「インデックス、何かしたいことはあるか?」

「うーん……特にないんだよ。ご飯もお腹いっぱい食べたし。あ、教会に行きたいんだよ」

「駄目だ。あそこもイギリス清教の奴らがいる」

「むぅ……」

 

 

ジト目をするなよ……

しょうがないじゃないか、そういうものなんだから。

 

 

「しゃーない。街でも案内してやる。途中で何か買ってやるから」

「むぅ……わかった、それでいいんだよ」

 

 

少しだけ表情が柔らかくなった。

なかなか可愛いな。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

街の案内が終わり、家に帰る途中に異変に気づいた。

周りに誰もいないのだ。

すぐそばを歩いていたインデックスすら。

 

すぐさま《円》で辺りの気配を探る。

そして一人だけ感知した。

ソレは徐々にこちらに近づいてきて、やがて目の前に現れた。

 

 

「―――ルーン」

 

 

背後から女の声がした。

 

 

「人払いのルーンを刻んでいるだけですよ」

 

 

俺を安心させようとでも思っているのか?

そんな必要はないのだがな。

振り向かず今度はこちらから声をかける。

 

 

「俺に何の用だ―――聖人」

「―――ッ!?私を、ご存じで?」

 

 

恐る恐るといった様子で訊きかえしてきた。

 

聖人。

それは生まれながらにして神の力の一端、《天使の力(テレズマ)》を宿した人間のことだ。

偶像崇拝の理論によって、神の子に似た身体的特徴や魔術的記号(聖痕)を持つ事で発現する先天的体質で、身に宿す力を引き出すことで超人的な力を使うことができ、素手で建造物を破壊する程の怪力、音速以上で動くことができる高速運動、その他反射神経・耐久力・精神力等も異常に高いなど圧倒的な身体能力を持っている。

また卓越した魔術の技能も有し、平常時でも幸運などの加護が付加されるというすばらしく運の良い人間のことだ。

 

今こうして聖人に出会ったが、確信した。

聖人は俺の神力のおこぼれをもらった存在だと。

なので―――

 

 

「―――ッ!?」

「どうした聖人。この程度の力に何を怯えている?」

 

 

少しばかり神力を開放するだけで、圧倒的な力の差を感じ取ってしまうのだ。

俺は振り向きながら言い放つ。

 

 

「もう一度問おう。俺に何の用だ聖人」

 




お久しぶりです。
季節外れのインフルエンザに苦しめられていた眠らずの夜想曲です。
まだまだ本調子ではないので毎日更新はキツそうです。
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