とある魔術の禁書目録~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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第Ⅴ話~早期解決~

今夜の夜中の十二時。

それがインデックスの記憶を消去しなければならない時刻だ。

まぁ記憶を消すわけないんだけどね。

俺がアレイスターに与えられた部屋で首輪を破壊してもいいんだけど、《聖ジョージの聖域》の余波でビルごと倒壊させられたらたまらない。

直すのは時間を巻き戻すだけだから簡単だけど、あまりにも目立ちすぎる。

河川敷などが最適かな……

周りには障害物が少ないし。

 

まぁとりあえずは当麻に連絡だな。

スマホを取り出して当麻へコール。

 

 

「もしもし、当麻か?」

『あ、あぁそうだけど。珍しいな、刃からかけてくるなんて』

「そうか?まぁそんな事よりも頼みがある」

『なんだ?さらに珍しいな。刃から頼みなんて』

 

 

確かにそう思えばそうだな。

いつもは当麻からの頼みごとが多いしな。

金を貸したり、飯を用意したり……

 

 

「インデックスを助けるためにその右手を貸せ」

『詳しく聞かせろ』

 

 

即答ですか。

 

そこからは簡単に当麻に現状を説明した。

インデックスは同僚―――イギリス清教はインデックスに首輪を付けた。

そのせいでインデックスは一年周期で記憶を消さなければならない。

そして今夜の夜中の十二時に、インデックスの首輪は起動してインデックスを殺す。

それを防ぐために当麻の右手―――幻想殺し(イマジンブレイカー)の力を借りたい。

 

簡単に説明したが、このことを聞いた当麻は、

 

 

『協力するぜ!!いや―――させてくれ!!』

「おまえならそう言うと思ったぜ。今すぐお前の部屋に転移する」

『了解!!さっさとこいよ!!』

 

 

ここで当麻との通信を切り、転移を開始する。

 

 

 

☆☆☆

 

 

「なるほどな……なかなか魔術師ってのも複雑だな」

「まぁな。まだまだこの程度は序の口だ。これからお前は―――いや、なんでもない」

「なんだよ、気になるじゃねぇか」

「まだお前には早い」

 

 

当麻を四〇階にの客間兼応接室に案内し、更に詳しい事情を説明する。

現在夕方の一〇時ジャスト。

リミットまで残り二時間。

でも二時間たつと十二時になって手遅れなので、余裕を持って一時間だ。

だがこれと言って準備をする必要はない。

 

当麻が首を破壊して、発動した『聖ジョージの聖域』を俺が防ぎつつ当麻が追い打ちをかける。

 

ただそれだけのことだ。

だが攻撃が終わった後の光の羽は危険なので、俺がすぐに重力の膜を張らなければならない。

俺は別に触れても問題ないが、当麻はそうはいかない。

右手―――幻想殺しなら問題ないだろうが、それ以外部位はまずい。

 

 

「兄様!!インデックスさんが!!」

 

 

部屋を行き来する転移魔法陣がある方向から切羽詰まった声が聞こえてきた。

声のする方を向くと、そこにはメルがいた。

 

インデックスの身体が結構キツくなってきたか……

これはさっさと首輪を破壊した方がよさそうだな。

 

 

「―――当麻」

「わかってる。さっさとやっちまおうぜ刃!!」

 

 

見ると、当麻も肩を回しながら立ち上がっていた。

準備万端、やる気十分。

最高の状態だ。

 

当麻を連れて、インデックスがいるであろう四九階の俺の部屋へ転移する。

ここで不便なのが、当麻が部屋に備えうけられている転移魔法陣が使えないことだ。

仕方がないので、俺が当麻を転移させる羽目になった。

 

部屋につき、ソファのある場所へ歩く。

そこには、苦しそうに呼吸をしているインデックスが横になっていた。

これはもう少し早く首輪の破壊を試みた方がよかったな。

 

 

「インデックス、首輪を破壊するからな。もう少しの辛抱だ」

「う……ん……」

 

 

インデックスの頭を優しくなでながら言う。

インデックスは苦しそうに返事をした。

 

 

「よし、当麻。首輪の破壊は河川敷で行う。転移するぞ」

「了解だ!!」

 

 

俺、当麻、インデックスを転移させようとした時だった。

 

 

「兄様!!私も行きます!!」

 

 

メルがそんなことを言いだした。

よくよく考えると、メルの能力は応用が利くからな……

ここは連れて行かない理由がないな。

 

 

「よし、メルにも来てもらおう。戦力は多い方がいいからな」

「ありがとうございます!!」

 

 

今度こそ俺たちは河川敷に転移した。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

河川敷に到着した俺達は、各々準備を開始した。

当麻は気を高め、メルはインデックスに寄り添って励ましている。

俺はというと、インデックスを座らせるための椅子を創造してどこに配置をするか悩んでいた。

下手な位置に配置して、被害がでたらアレイスターにぐちぐち言われてしまう。

まぁいいか、どうでも。

結論。

適当な位置に配置しました☆

 

 

「メル、インデックスをこの椅子へ」

「はい、兄様」

 

 

メルがインデックスを空気に乗せて運んできた。

そしてそのまま椅子に座らせる。

 

 

「じゃあ始めるぞ。当麻、首輪は口の中―――のどの辺りにあるはずだ。手を突っ込め。その際、噛まれるかもしれないから気で手を強化しておけよ」

「お、おぅ……」

 

 

少し顔を引きつらせる当麻。

だがすぐに表情を引き締めて、気で手を強化してインデックスの口の中に右手を突っ込む。

そしてしばらくすると、ピシィ!!とガラスの砕けるような音が辺りに鳴り響いた。

当麻はそれと同時にこちらに後退してきた。

 

インデックスの身体の周りに、黒いオーラが纏わりついている。

椅子に座っていたが、のそりと立ち上がり―――

 

 

「俺の後ろに着け!!ATフィールド全開!!」

 

 

瞬時に俺の言葉に反応し、メルと当麻が俺の背後に着く。

それと同時にインデックスがこちらに向かって突っ込んでくる。

インデックスが俺とぶつかるまえに、ATフィールドにその身を阻まれている。

 

 

「警告、第三章第二節、第一から第三までの全結界の貫通を確認。再生準備―――失敗。自動再生は不可能。現状一〇万三〇〇〇冊の魔導書の保護の為、侵入者の迎撃を優先します。書庫内の一〇万三〇〇〇冊により、結界を貫通した魔術の術式を逆算―――失敗。該当する魔術は発見できず、術式の構成を暴き、対侵入者用のローカルウェポンを組み上げます。侵入者個人の為、最も有効な魔術の組み合わせに成功しました―――」

 

 

シュイィン、と風を切るような音が鳴り響く。

そして紅色の魔法陣が展開された。

 

 

「これより特定魔術、《聖ジョージの聖域》を発動。侵入者を破壊します」

 

 

で、でたぁぁぁ!!

《聖ジョージの聖域》だぁぁぁ!!

 

インデックスの両目の間を中心として、そこから黒い稲妻のようなものが外側に向かって展開されている。

そしてインデックスの目が見開かれた瞬間、青白い閃光発せられた。

それは次第に収束していき、一本のレーザーになった。

《竜王の殺息(ドラゴンブレス)》だ。

伝説のドラゴンが繰り出す攻撃と同義であるといわれているが……

まぁ余裕でしょ。

伝説のドラゴンならいままでいくらでも相手取ってきた。

龍神との痴話喧嘩はいつでも命懸けだった。

一撃で空間ごとごっそり削れていく。

かすっただけで肉体はミンチになって吹き飛んで行ったな……

今では懐かしい思い出だ。

 

《竜王の殺息》はATフィールドで防ぎきっている。

 

 

「《聖ジョージの聖域》は侵入者に対して効果が見られません。他の術式へ切り替え、侵入者の破壊を継続します」

 

 

インデックスが言いきった瞬間、レーザーの威力が増した。

これは拙いな……

 

 

「メル!!気体を制御してインデックスを空に向かせろ!!」

「わかりました!!」 

 

 

瞬間、メルが手を掲げたと思ったらインデックス仰向けに倒れ、空に向かってレーザーを放つ。

すると、上空から光の羽が降ってくる。

それを重力を操って宙にとどめる。

 

 

「当麻!!」

「わかってる!!」

 

 

当麻がインデックスの下へ走る。

気を使って脚力を強化しているせいか、かなりの速度だ。

 

 

「警告、第十章第十三節。新たな敵兵を確認。戦闘思考を変更―――戦場の検索を開始―――完了。現状もっとも難易度の高い敵兵、上条当麻の排除を最優先します」

 

 

レーザーの勢いが増し、ATフィールドでの防御にも限界が―――来るわけないだろ。

だがこのままではじり貧なので、重力を操ってブラックホールを創り、そこにレーザーを吸い込ませる。

これで多少は楽になる。

 

 

「《聖ジョージの聖域》を第二段階へ移行―――」

 

 

これ以上は面倒だ。

 

 

「当麻!!さっさと右手を当てろ!!」

「わかってる!!」

 

 

そしてその時は来た。

当麻が地面にクレーターができるほど踏込み、一気にインデックスの頭に右手を当てた。

ピシィ!!とガラスの砕ける音が辺りに鳴り響き、《聖ジョージの聖域》が破壊される。

もちろん、光の羽は宙に浮いている。

だがこのままでは危険なので、全てブラックホールに吸い込ませる。

 

 

「警……告……最終……章……第……〇……首輪……致命的な……破壊……再生……不可―――」

 

 

そこでインデックス―――《自動書記(ヨハネのペン)》の声は途絶えて、地面に倒れ伏した。

あれ?

俺ってATフィールドで《竜王の殺息》を防いで、重力操って光の羽を防いだだけ?

まぁいいか。

 

 

 

☆☆☆

 

 

「おかわりなんだよ!!」

「落ち着け、まぁ落ち着け」

 

 

昨夜、気絶しているインデックスをうちに運び込みベットに横にさせたまではよかった。

今朝インデックスが目を覚ますと、第一声が「お腹すいたんだよ、刃」、だった。

とりあえずメルに飯を作らせながら、俺は緑茶をすすっていた。

飯が運び込まれると、それを一心不乱に食べ始めるインデックス。

途中で冷蔵庫の食材が尽きてしまい、俺が創造する羽目になった。

 

 

「ふぅ……ごちそうさまなんだよ」

「はいはい……まったく……」

 

 

どんだけ食うんだこいつは。

インデックスの胃袋はブラックホールかよ。

 

 

「インデックスはこれからうちで保護―――っていうか住んでもらうことになるけどいいか?」

「別にいいんだよ。こんなにおいしいご飯が毎日食べられるんだもん♪」

 

 

当麻のところでは、セキュリティが甘いのと、食費が……と言う理由でなしになった。

正直いうと、それは好都合だった。

だって無駄に監視する範囲を広げなくていいんだもん。

 

まぁ何はともあれインデックスの件は解決した。

面倒事が増えるような予感しかしないが、それはそれでおもしろそうだ。




刃くんの戦闘は次章からになりそうですね。
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