とある魔術の禁書目録~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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吸血殺し編、始まります。


第Ⅱ章 吸血殺し
第Ⅰ話~天敵来訪~


今日もものすごく暑い。

学園都市はビルに囲まれているせいか余計に熱く感じる。

だが俺はそれでも外に行かなければならないのだ。

インデックスが外に行きたいというのだから。

 

当麻に押し付けてもよかったのだが、「参考書を買いに行く」などとほざきやがった。

確かに当麻の脳だと、参考書なしで夏季休業の課題をこなせるとは思わない。

それに参考書は以外と高い。

一冊三六〇〇円だとかなんとか。

それ一冊でどれだけゲーセンで遊べるか……

 

インデックスと二人だけというのも何なので、メル、操祈、ドリーを誘ったのだが全員に断られた。

 

メルは学園都市に嫌な気配がするとか何とかで、そちらの調査をするそうだ。

それに関しては俺も同感だ。

俺には害がなさそうだが、知っていた方がいいしな。

 

操祈とドリーは《発》の開発が忙しいとか。

今は波に乗っていてうまくいきそうなので、というわけらしい。

まぁそれなら仕方がない。

波に乗っているときにできるだけ進めておいた方がいい。

 

結局、俺はインデックスと二人でクソ暑い学園都市を練り歩くことになった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

インデックスと学園都市を練り歩いて数時間。

簡単に街の紹介などをしていた。

どこに食べ物屋があるか、などがほとんどだったが……

怖くてインデックスにはあまり金を持たせられないな。

全て食費に費やしそうだ。

 

そして現在、インデックスはアイスクリームが大きく描かれた看板の前で歩みを止めていた。

確かに熱いので、アイスの一つや二つぐらいは……

 

 

「―――インデックス」

「べ、べつに食べたいわけじゃないんだよ」

 

 

いや、明らかに食べたいときの反応だろそれ。

素直になれよ、素直に。

 

 

「そうか?まぁどのみち行くつもりだったし、俺の分だけ買うか」

「嘘なんだよ!!私も食べたいんだよ!!」

「最初から素直にそう言え」

 

 

コツン、と軽くインデックスの頭を小突き、再び歩みを進める。

幸い、アイスクリーム屋の場所はここからそう遠くない。

早くアイスが食べたいぜ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「おいしいんだよ!!」

「あー……冷たくてうめぇ……」

 

 

アイスを買った俺達は、近くにあった木陰の下のベンチに腰を掛けてアイスを食べていた。

 

インデックスはストロベリーとブルーベリーの二段。

俺はストロベリーチーズケーキだ。

サイズはもちろん全て一番大きいものだ。

 

気温が高いせいでアイスの解ける速度が尋常じゃない。

一気に喰らって―――うおぉぉぉぉ!?

あ、頭が……キーンて……

 

 

「ふぐぅ……あ、頭がキーンてするんだよ」

 

 

どうやらインデックスもアイスに頭をやられたらしい。

くそぅ、アイスめ……なかなかやるではないか。

 

アイスを食べ終えたので、再び散策をすることにしたのだが……

 

 

「刃!!これ見て!!」

 

 

そう言いながら木の根ものと置かれた段ボール箱を指さした。

近くに行き、中を確認するとそこには三毛猫の子猫がいた。

 

 

「捨て猫か……」

「刃~ねぇ~飼っていい~?」

 

 

そんな猫なで声で、なおかつ上目遣いで言わないでくれ。

断れないじゃないか。

だが捨て猫は病気を持っているかもしれないしな……

まぁそんなのは神様クオリティーの浄化をかければ解決なんだがな。

 

 

「うし、少し待ってろ」

 

 

インデックスに待てをして、三毛猫を浄化する。

段ボールごと浄化をかけたので、段ボールも三毛猫も綺麗になった。

病原菌など存在しないし、させない。

さらに神様クオリティの加護で、三毛猫に病原菌や害虫がつかないようにする。

これで完璧だ。

 

三毛猫を段ボール箱から抱え出して、インデックスに渡す。

インデックスは三毛猫をしっかりと受け取り、ニコッと笑った。

ぐはぁ!!

なんて威力だ。

 

 

「スフィンクスよかったね~」

 

 

スフィンクスって名づけたのか……

正直その名前はどうかと思うぞ。

 

 

「あれ?何だろう……近くで魔力の流れが束ねられてる。属性は土、色彩は緑。この式はルーン?」

 

 

そう言いながらインデックスは駆けだしてしまった。

 

 

「誰かが魔法陣を仕掛けてるっぽい。当麻は先に帰ってて」

 

 

多分魔法陣はフェイクだろう。

本命はルーンだ。

そしてルーンを使う魔術師は俺が知る中ではステイルとやらだけだ。

ということは―――

 

 

「ルーン魔術か……」

「さすが、としか言いようがないね」

 

 

面倒事か……

 

声のする方を向くと、そこにはやはり赤髪長身で咥えタバコ。

そして耳には無駄に多いピアス、極め付けには右目の下にあるバーコードのタトゥー。

 

ステイル=マグヌス。

イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会』所属の魔術師で、インデックスの元同僚だっけか?

どちらにせよ面倒なことには変わりない。

 

 

「久しぶりだね、神浄刃」

「あぁ……当麻の寮でボコボコにして以来だな」

 

 

そう言いかえすと、ステイルは顔をひきつらせた。

まぁ苦い思い出なのだろうから仕方がないか。

 

 

「それで?一体魔術師が何の用だ?」

「……………」

 

 

俺がニヤニヤしながら問うと、ステイルは無言でルーンの描かれたカードを懐から取り―――出せるわけがないだろ。

俺が取り出そうとした腕を掴んでいるからな。

 

 

「それで?何の用だ魔術師。こちらとて忙しいんだ。用件がないんなら帰らせてもらうけど」

「……………」

 

 

ステイルは無言で懐から書類を取り出した。

 

そこからステイルの説明が始まった。

三沢塾に女の子が監禁されているらしい。

今の三沢塾は科学崇拝を軸としたエセ宗教と化しているらしい。

教えについてはそれほど問題ではないのだが、三沢塾が乗っ取られたところに問題があるらしい。

三沢塾を乗っ取った人物は、正真正銘の魔術師―――正確にはチューリッヒ学派の錬金術師らしい。

錬金術師の名はアウレオルス=イザードといい、三年前から行方不明だったらしい。

それがいきなりひょっこり出てきたらしい。

 

その理由とは何か?

重要なのはそこだ。

そしてその理由と言うのが、三沢塾に捕らわれていた吸血殺し(ディープブラッド)らしい。

その吸血殺しは、吸血鬼を殺すための能力らしい。

 

やべぇ……俺、あった瞬間吸血殺しの女の子殺しちゃうかも。

だってレティシアを殺す―――苦しめるかもしれない存在だろ?

さっさと消した方がいいんじゃないか?

 

結局何が言いたいかと言うと、ステイルは三沢塾に特攻を仕掛けて吸血殺しを連れ出さないとマズイ状況にあるらしい。

そしてそれに俺を巻き込むらしい。

 

え……?

俺、巻き込まれるの?

 

どうやら拒否権はないらしい。

従わなければ、インデックスは回収と言う方向になるらしい。

『必要悪の教会』が俺にくだした役は、インデックスを裏切らせないようにするための足枷らしい。

 

俺がインデックスの足枷だと?

 

 

「笑わせんなよ魔術師。俺がインデックスの足枷だと?―――俺がそんなに貧弱に見えるか?」

「くっ……」

 

 

殺気を浴びせながら言い放つ。

 

インデックスの足枷。

それは俺が『必要悪の教会』からしてみれば全く脅威にならないことを示している。

インデックスが裏切りそうになったら俺を人質に取る、という意味の足枷なのだろうから。

 

それはありえないだろう。

 

俺は全世界の魔術師が力を合わせて俺に攻撃してきても、全て防いでなおかつ反撃するくらいには強い。

世界を削っていいのなら、全員殺すことだって可能だ。

 

その俺をインデックスの足枷だと?

舐め過ぎだろう。

 

 

「き、君だけじゃない……上条当麻だって足枷の一人さ」

 

 

ステイルがうめくように声を上げる。

 

 

「そうか……お前達は当麻の強さを知らなかったな。―――当麻はもう聖人程度なら相手取れるぞ?」

「なんだと……?」

 

 

実際問題、気を十分に扱えるようになった当麻は最早対魔術師専門の戦闘員だといっても過言ではない。

気で身体を強化して、気弾で弾幕を張り、その気弾に紛れながら相手に右手で一撃を入れる。

相手が放ってきた魔術は右手で打ち消す。

止めには気で強化した右アッパーでも決まれば、もう勝ちだ。

 

 

「まぁそう言うわけでインデックスの足枷にはならないな。まぁ気が向いたら着いて行ってやるよ。じゃな」

 

 

ハラハラと手を振りながら自宅に転移をする。

あ、途中でインデックスを回収しないとな。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

家に帰った俺達を待っていたのはメルだった。

インデックスはさっさと部屋の奥に行ってしまった。

俺もそれに便乗しようとしたのだが、メルが目で「話があります」と訴えてきたので、俺は大人しくメルの後をついてい行くことにした。

 

 

「兄様、気配の正体がわかりました」

「吸血殺し、か?」

「……既にお分かりでしたか」

「んにゃ、さっき知ったばかりだ」

 

 

俺はメルと吸血殺しの対策を話し合った。

 

一つ目、吸血殺しを保有する女の子を殺す。

二つ目、吸血殺しを保有する女の子を保護して、その力を無効化、または封印する。

三つ目、面倒なので三沢塾ごと消しとばす。

 

まず一つ目はできればなしにしたい。

女の子を殺すのは、大切な者を傷つけられただけでいい。

三つ目はビルを消しとばしたらアレイスターにドヤされそうだからあまりよろしくない。

後始末が面倒ということだ。

したがって一番の有力候補は、二つ目だ。

吸血殺しの力を無効化、または封印する。

これが一番気分も悪くならず、なおかつ後始末をしなくて済む。

 

メルはその決断に文句はないらしい。

だが、「吸血殺しをどうやって探すのですか?」と聞かれてしまった。

それに関してはすでに知っているというと、「さすが兄様!!」と褒めてくれた。

少し、いや、かなりうれしかったり。

 

確かステイルは今夜、三沢塾に特攻すると言っていたような気がする。

多分だが、俺に断られたので当麻の方にも行っているだろう。

当麻は即OK出しそうだしなぁ……

まぁそれはそれでいいんだけど。

 

当麻とステイルとは別行動だな。

そっちの方が手早く済みそうでいいんだけど。

当麻といると当麻がギャーギャー騒いでなかなか前に進めなさそうだもの。

 

とりあえず、夕方にもう一度集まり、そして俺達も三沢塾に特攻することになった。

まだ昼を少し過ぎ辺りだ。

時間は少しある。

インデックスには黙っておこう。

操祈とドリーにはインデックスの監視兼ボディーガードを頼もう。

学園都市のレベル5がいれば十分だろうしな。

 

あぁそうだ、今のうちに着替えを済ませておこうか。

 

そして着替えが終わり、三時のおやつを食べ終えた俺とメルは、ソファでぐだー、としていた。

準備をするものは特にないので、このありさまになっている。

 

だが悪くはない。

久しぶりにメルと二人っきりになれた。

メルは俺の左腕に抱き着きながら、こくりこくりと船をこいでいる。

どうやら眠くなってしまったようだ。

 

 

「メル、出撃まで寝ていていいよ」

「すいません……」

 

 

すぐに、すぅすぅ、と規則正しい寝息が聞こえてきた。

くくく、可愛い奴め。

メルの頭を優しくなでながら、久しぶりの休息を楽しむとしようか。

 

 

 

☆☆☆

 

 

「メル、起きてくれ。もうそろそろ行くよ」

「ふぁぁ……はい、兄様」

 

 

目をごしごしと擦りながら返事をするメル。

可愛いなぁ……

 

メルが完全に目を覚ましたのを確認して、俺はメルと一緒に転移した。

場所はもちろん―――三沢塾だ。

 




この吸血殺し編は三話程度で終わる可能性が大ですね。
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