とある魔術の禁書目録~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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吸血殺し編、最終話です。


第Ⅲ話~状況打破~

インデックスの件を報告した瞬間、当麻とステイルが走り出した。

それをメルが二人の足元の気体を操作して転ばせた。

まったく、何の対策もせずに特攻しても返り討ちにされるだけだろうに。

 

だがメルは足止めだけでやめる気はなかったようで……

 

 

 

「「ぉ……ぉ……ぉぉ」」

 

 

二人の周りの酸素を失くしたらしい。

 

 

「メル!!さすがにそれは死ぬからやめてあげてくれ」

「………兄様がそう言うのでしたら」

 

 

俺が言わなかったらそのままだったのか……?

二人とも三沢塾に特攻する前にゲームオーバーだったのか……?

それはさすがにねぇ……

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

特に対策もしないまま三沢塾に戻ってきてしまった。

俺とメルは対策をしなくても大丈夫だが、当麻とステイルは分らない。

当麻は、右手をうまく使えれば対策は可能だ。

ステイルに関しては……まぁ頑張ってくれとしか言いようがない。

 

ビルの廊下を歩いている途中でステイルが色々と説明をした。

ステイルはどうやら無駄にビルを散策していたわけではないようだ。

魔術の核はすでに判明しているようだ。

俺はビルに着いた瞬間に分かったけど。

そして一番重要なインデックスの件は心配ないそうだ。

すぐに危害は加えられないらしい。

だがそのことに気づいた瞬間、ステイルがタバコを廊下に投げ捨て、舌打ちをした。

何かに気づいたようだ。

 

しばらく歩くと、核らしき部屋の扉の前まできた。

 

 

「ここだ」

 

 

ステイルが一言いい、扉に手を掛けたところで俺がストップを入れる。

何か言いたそうな顔だったが、俺のイイ顔を見て顔をひきつらせながら後ろに下がった。

俺が何をするかが予想できたらしい。

 

ここは『箱庭』で十六夜が披露してくれた扉の開け方を実践しようと思う。

右足を引き絞り、軸足なる左足に体重をかける。

そして―――

 

 

「邪魔するぜ!!」

 

 

叫びながら右足を振りぬく。

扉は吹き飛ぶと思ったのだが、粉々になってしまった。

俺が理想としていたのは、扉がぶっ飛んびなおかつ中にいるであろう男に当たることだ。

 

粉々になってしまったのなら仕方がない。

あきらめて堂々と部屋に入っていこうじゃないか。

 

俺が部屋に入ると、それに続いてメル、当麻、ステイルという順番で着いてきた。

そして俺は部屋の中で横になっている人物を見て一言。

 

 

「インデックスみーつけた」

 

 

インデックスは魔術かなにかで気絶させられているようだ。

 

 

「残念だが、君に目的を成し遂げることはできないよ」

 

 

ステイルが声を発した。

男の目的とはなんだ……?

 

 

「ふん。今更ながら我が真意に気づいたか。ならばその大成を前に、斧が無力を嘆き、嫉妬に身を焦がすが良い」

「うまくいくなら焦がしがいもあるんだがねぇ……繰り返すが、君に彼女を救うことはできない。―――インデックスを救うことはね」

 

 

なるほどね……

あの男は多分インデックスの前のパートナーか何かだろう。

そしてやはり記憶を消すときがあり、分かれた。

それから救い出そうとあの男は……

だがもう無駄ですな。

インデックスは当麻によって記憶を消す原因―――首輪を破壊された。

あの男のしてきたことは全て無駄だったわけだ。

 

男が語りだしたので、耳を傾ける。

そう言えばあの男の名前はアウレオルス=イザードと言うらしい。

ステイルが当麻に説明しているときに聞こえてきた。

 

吸血鬼。

それが今回のキーマンだ。

アウレオルスが知る吸血鬼とは、無限の命を持つ者らしい。

無限の記憶を人と同じ脳に蓄え続ける。

吸血鬼はどれだけ大きな記憶を取り入れ続けても決して自我を見失わない術があるらしい。

それを吸血鬼から教えてもらおうというわけだ。

そしてそれがうまくいかなければ吸血鬼にしてしまおうというわけだ。

 

馬鹿じゃね?

普通に魔術でインデックスの脳の容量を上げようとは考えなかったのかね。

それができなかったとしても、首輪の存在などを疑わなかったのかね。

首輪が存在することがわかればある程度なら対策を練れたはずだ。

まぁ俺には全く思いつかないけど。

 

アウレオルスの説明が終わると、ステイルが当麻に言葉を促した。

 

 

「ほら言ってやれよ今代のパートナー。致命的な欠陥を抱えた目の前の錬金術師に」

 

 

それは俺も入っているのだろうか?

当麻が口を開く。

 

 

「お前、一体いつの話をしてんだよ」

「何?」

 

 

当麻の言葉にアウレオルスは虚を突かれたように声を上げた。

それに構わず当麻は続けた。

そしてアウレオルスは知った。

インデックスは当麻によって救われていたことを。

今代のパートナーによって救われていたことを。

ステイルはそれに乗っかり、アウレオルスのやってきたことは無駄だと言った。

それは俺も同意だ。

 

アウレオルスも悲惨だな。

三年間地下に潜ってようやく上手くいくかもしれない方法を考えたのに、たかが高校生の右手一本で全て解決されてしまった。

それもたった数時間で。

 

その事実を知った―――知らされたアウレオルスは狂ったように笑った。

そして―――

 

 

「倒れ伏せ、侵入者ども」

 

 

バタン!!と音を立てて当麻とステイルが床に倒れ伏せた。

かなり痛そうだった。

メルは俺の方に視線を向けて、「倒れ伏せた方がいいでですか?」と、目で訊いてきた。

俺は苦笑いをしながら首を横に振った。

 

 

「我が想いを踏みにじり、我が殊勲をあざ笑い―――よかろう。この屈辱、貴様らの死であながってもらう!!」

「待って!!」

 

 

アウレオルスが首に針を刺し、錬金術を繰り出そうとした時だった。

巫女装束に身を包んだ女の子―――確か姫神秋沙だったな。

姫神がアウレオルスに待ったをかけた。

両手を広げて当麻とステイルをかばっているように見える。

 

ちなみに、俺とメルは当麻とステイルが倒れ伏した瞬間、ステルスをかけて部屋の隅で大人しくしていた。

 

当麻がうめくように姫神に忠告するが、それを受け取らずに姫神はアウレオルスに声をかけ続けていた。

しかも同情するかのように。

ここでその言葉のかけ方はいけない。

余計に相手を怒らせるだけだ。

 

そしてアウレオルスはもう姫神を必要としていない。

インデックスが救われているのだから。

 

アウレオルスは針をふたたび首に指した。

そして―――

 

 

「死ね」

 

 

一言……言った。

姫神は後ろに倒れる。

目から光が失われている。

 

当麻も復活していないようなので、俺が助けに行くか。

ステルスを解除して、姫神の下へ瞬間移動する。

そして姫神を抱きかかえ、状態を確認。

まだ死に切っていないようだ。

魂は肉体に残っている。

それなら神滅具の《幽世の聖杯(セフィロト・グラール)》で一発だろ。

 

《幽世の聖杯》とは神滅具であり、聖遺物の1つである聖杯のことだ。

生命に関する能力を持ち、生物を強化したり、肉体が滅んだ者を残っている魂から再生することや、滅んだ者の肉体の欠片からレプリカだが能力の情報を抽出して作成することができる。

乱用すると精神が汚染され、既に死んだ亡者が見えるようになる。

 

とりあえず、姫神生命活動を再生させて肉体を強化する。

ついでに吸血殺しもオン・オフの切り替えができるようにした。

さらに吸血殺しの情報もいただいた。

 

 

「―――はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

姫神は呼吸を再開した。

どうやらうまくいったようだ。

 

 

「ば、馬鹿な!?我が《黄金錬成(アルス=マグナ)》を打ち消しただと!?ありえん……確かに姫神秋沙の死は確定した。貴様……一体何を―――」

 

 

アウレオルスはそこで言葉を止めた。

俺の顔を確認したからだろう。

 

 

「貴様……いつの間に」

「よぅアウレオルス。何をしたかだったか?ただ生命の操作をしただけだが?」

 

 

この言葉にアウレオルスが目を見開く。

さも当然のように言ったからだろうな。

 

さて、そろそろ決着をつけようか。

メルの機嫌も悪くなってきた。

早く済ませないと俺がメルに半殺しにされてしまう。

 

アウレオルスが唖然としているうちに、当麻に近づき右手を無理やり動かして自身に触れさせる。

同時に拘束が解け当麻が立ち上がる。

当麻はそのままステイルに近づいていき、ステイルの拘束も解いた。

 

これで全員戦闘できる。

だが―――

 

 

「メル、当麻、ステイル。こいつは俺が殺る」

「刃!!俺も―――」

「お前のせいでストレスがたまってるんだ当麻。たまには暴れさせろよ」

「お、おぅ……」

 

 

当麻も納得してくれたようだ。

これで心置きなくできる。

 

瞬殺だ。

それ以外は認めない。

 

 

「赤龍帝の龍刀―――極限倍化(オーバー・ブースト)」

 

 

通常の刀の姿から、太刀に変化する。

服装は、侍のような格好になる。

袴は漆黒で上着は紅色だ。

そして―――

 

 

『square』

 

 

極度倍化モードの能力は倍化ではない。

二乗だ。

なので倍化よりも早く力が溜まる。

 

 

『square』

 

 

ここまでで、四の二乗の倍化計算で行くと十六倍だ。

たった二回でここまで力の倍増はすさまじい。

 

 

「さて、アウレオルス。メルが飽きてきてしまったのと、俺の憂さ晴らしをさせてくれ。―――行くぞ」

 

『square』

 

 

ここでさらに二乗が入る。

十六の二乗で―――二五六倍だ。

ここまでくればもう十分と言ってもいい。

 

 

『explosion』

 

 

力を開放すると、床にクレーターができてしまった。

空間も歪み始めて、多大な被害が出そうだ。

 

なのでさっさと決める。

 

アウレオルスを殺るのはいたって簡単だ。

近づいて一太刀いれるだけだ。

アウレオルスは近接戦闘ができるとは考えにくい。

《黄金錬成》によって言葉一つである程度攻撃できるからな。

近接戦闘は想定していないだろう。

 

実行に移そう。

神速でアウレオルスに近づき、そのまま一太刀―――というよりも斬撃を滅多クソ入れた。

 

もちろんアウレオルスは吹き飛んで―――いかなかった。

いや、もっとひどかった。

空間ごと斬ってしまったのか、アウレオルスは消え去ってしまった。

 

俺はみんなの方に振り返り一言。

 

 

「あっけなくね?」

「「お前……鬼畜すぎだろ……」

「さすが兄様です!!」

 

 

当麻とステイルは顔をひきつらせながら、メルは目をかかやがせながら言った。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

三沢塾から帰った俺は―――いや、俺、メル、姫神は円卓に座っていた。

他にも、操祈とドリーが座っている。

 

 

「いい感じにメンバーも集まってきたな」

「そうですね兄様」

「なんで女の子ばっかりなのかが気になるけどね☆」

「まぁやーくんはカッコイイからしかたないよねー」

 

 

好き勝手に言ってくれるな。

きちんと能力で判断しているっての。

 

姫神は俺が率いる暗部組織―――『アブソリュート』のメンバーに入ってもらうことにした。

それと同時に魔術を習得してもらうことにした。

魔術というよりも、陰陽術だ。

もともと、姫神は陰陽術の適正があったのでそれに乗っかることにした。

さらに、《念》も習得してもらおうと思っている。

そうすれば最低でも自らの身は自分で守れるだろう。

 

姫神を『アブソリュート』に入れたせいでさらに面倒事が増えそうだがまぁ仕方がないか。

そう言えばインデックスはどうしようか。

『アブソリュート』に入れるべきか、入れないでおくか。

悩みますな。

インデックスが入ってくれればもの凄い戦力強化になる。

それに俺達が協力すれば、インデックスは一〇万三〇〇〇冊の魔導書を使いこなせるようになるはずだ。

走すれば魔神に至る可能性もある。

どちらにせよ、問題は山積みか……




吸血殺し編、終了です。
刃くんを相手に取るには、近接戦闘ができないと話になりませんね(笑)
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