とある魔術の禁書目録~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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妹達編、始まります。
個人的には、この話が一番好きです。



第Ⅲ章 妹達
第Ⅰ話~妹達出現~


現在時刻21:00。

良い子はもうオネンネしている時間だ。

俺は今、製薬会社の研究所に来ている。

理由は簡単だ。

絶対能力進化計画の阻止―――もとい、妹達の救出だ。

妹達は御神の姉に当たる。

これは救わない理由はないだろう。

 

この実験を知ったのは、美琴が俺に泣きついてきたから―――ではない。

路地裏などから血の匂いが微かにしたり、人間の皮膚が残っていたりしたので何かあるなと思った。

『アブソリュート』を動員して調べたところ、絶対能力進化計画が判明した。

 

研究所を破壊して、研究を食い止める。

というのは建前で、ただ単に暴れたいだけである。

最近ストレスが溜まりまくっている。

うちにいるメンバーに非はない。

俺にストレスを与えまくっているのは魔術師共だ。

インデックスを狙ってくる者はいなかったが、ステイルなどアレイスターに認められて学園都市に侵入している奴が絡んできてうっとおしかった。

殺すにしても人の目が多すぎるし……

戦闘はいつも不完全燃焼で終わってしまう。

まぁ俺を頼ませてくれる奴はそうそういないだろうけど(笑)

 

いつもは研究所を破壊して終了だが、今日はそうも簡単にいかなさそうだ。

AIM拡散力場の大きさがかなりのものだ。

これはおそらくレベル5の能力者だな。

それも二人。

その他は……そこまで脅威にならなさそうだ。

 

待ち伏せしているのか、それとも戦闘をしているのかわからないが俺はスキップをしながら進んでいく。

もちろんAIM拡散力場が強い方向に。

 

スキップスキップらんらんらん♪

スキップスキップらんらんらん♪

スキップスキップらんらんらん♪

 

と、こんな感じでウキウキしながら進んでいく。

だがそれは唐突に終わりを告げた。

 

天井が急に崩れたのだ。

いや、爆破されて崩されたという表現が正しいだろう。

そして今度は瓦礫が飛んできた。

それも爆破された。

 

……やってくれんじゃねぇか。

いいぜ、相手になってやる。

 

煙が晴れると奥に人影が一つあった。

中学生くらいだ。

キャップをかぶっていて、ボーイッシュな格好だが女の子のようだ。

 

近寄ろうとした瞬間、再び爆破が開始された。

今度は床だ。

女の子は後ろに吹き飛んで行った。

いや、電気を使って磁力を操作して後退したんだな。

だけど最後に機械に背中をぶつけて下に落ちたけど。

 

しゃーなし。

あの子は悪い子ではなさそうだし助けちゃおうか。

 

追撃が来る前に神速で女の子に近づく。

そして顔を見て多少驚きながらも声をかける。

 

 

「無事かい?美琴」

「なッ!?な、なんでアンタがここにいんのよ!!」

「それは多分美琴と同じ理由だと思うぞ?研究所潰して、ストレス発散して、妹達を助ける。そして御神も―――っとこれはいいか」

「そう……アンタも知ってるのね」

 

 

美琴は顔を下にうつむかせながら呟いた。

だがそんなことを気にしている暇はなさそうだ。

いつ床に張り巡らされた導火線が爆破させられるか分からないからな。

まぁ導火線の対処は簡単だ。

魔力を水に変換して床をぬらす。

こんな簡単な作業だけで対策になる。

 

と、ここで気配を感じた。

上の階に通じる階段の途中にいた。

そしてこちらを見下ろしている。

 

 

「美琴、ちょっと失礼するよ」

「ちょ、え、ま、まってぇぇぇぇぇ!!」

 

 

美琴の制止を無視して美琴を抱きかかえる。

まぁお姫様抱っこだな。

そしてそのまま跳ぶ。

一度の跳躍で敵まで近づく。

敵の顔が引きつったのがわかった。

敵は金髪の女の子だった。

しかも―――幼い。

幼女……なんだ……

だが関係ない!!

 

 

「あーやばー!!まずいわー!!」

 

 

女の子は素人丸出しの芝居をしている。

こちらを油断させるためなのか、それとも罠にはめるためなのか。

もう一度跳躍するために階段に茶駆使した瞬間に結果は分った。

どうやら後者だったようだ。

だがまぁ―――

 

 

「関係ないんだなこれが」

「「うそぉぉぉぉぉぉぉ!?」」

 

 

空中で跳躍する。

気体を足場に跳躍した、簡単な作業でした。

美琴と女の子は仲良く驚いていた。

この程度なら『アブソリュート』の人間はみんなできるし、もう少しで当麻もできそうだ。

 

 

「なにそれずっる!!」

 

 

女の子が改めて叫んだ。

そしてそのまま奥に逃げて行った。

流石にこれ以上長引くと仲間がやってきてしまいそうだな。

一気に蹴りをつけようか。

 

女の子のあとを追い、奥の部屋―――もといフロアに入る。

 

 

「まさか、ここまで追い込まれるとは思わなかったわぁ」

 

 

俺もここまで時間がかかるとは思わなかったな。

早く帰らないとメルに締め出されてしまうからさっさと片付けたいな。

それと女の子の顔、前にも見たな。

Joseph'sで相席した相手の一人だ。

 

と、ここで背後のシャッターが閉ざされた。

それはどうでもいいか。

転移すればいいだけだし。

 

相席した相手は暗部組織『アイテム』だった。

そして金髪のこと言えば、フレンダ=セイヴェルンしかいないだろう。

アレイスターから送られてきたメンバーのリストに載っていたしな。

 

俺がこんなことを考えている間にも美琴とフレンダは何か話していた。

 

 

「足下見てみなさいよ」

 

 

フレンダが言い、俺と美琴が舌を向く。

それと同時に天井が少しだけ爆破され、人形が落ちてきた。

これが爆弾か……

 

 

「退路は断たれ!!身を守る盾も無し!!この窮地、凌げるものなら凌いでみなさい!!」

 

 

同時に導火線に着火された。

だがただそれだけだ。

 

美琴が行動を起こそうとするがそれを手で制す。

 

 

「―――バルムンク」

 

 

爆破された瞬間にバルムンク突きだす。

もちろんフレンダを延長線上に入れないようにしてだ。

バルムンクから放たれた竜巻状の破壊の渦が爆風ごと空間を削っていった。

フレンダはもちろん、美琴も身を見開いて驚いていた。

ちなみに突き出した延長線上は何も残っていなかった。

外が見えるようになり、なおかつ換気もできたからちょうど良かっただろう。

 

フレンダの方を見ると、床にへたり込んでそして床が濡れて―――

ま、まさか……聖域を展開してしまったのか!?

聖水に満たされし領域、すなわち聖域。

分かる人にはわかるであろうこの言葉。

あまり深く考えないでおこう。

 

次のエリアに進もうとした時だった。

熱線が俺が開けた穴の方から発射された。

バルムンクを霧散させ、相棒を出現させる。

 

 

「―――赤龍帝の龍刀」

 

 

魔剣も凄まじいスペックだが、神滅具も負けていない。

いや、神滅具の方が上か?

まぁいいか。

 

刀を振るい、熱線を両断する。

美琴は俺の背後に隠しているので、両断した熱線が当たることはない。

しかしまぁ、美琴の消耗は尋常じゃないな。

肩で息をしているからな。

 

 

「あんまり静かだから。てっきりやられちゃったかと思ったけど危機一髪だったみたいね」

 

 

む、麦野でたぁぁぁ……

これはなかなかストレスの発散のしがいがあるやつが来てくれたもんだ。

 

 

「ん?アンタあの時の!!」

 

 

麦野が俺の顔を見て指さしながら叫んだ。

どうやらまだ覚えていたようだ。

なんかうれしいな。

 

 

「へぇ……侵入者ってのはアンタと―――その後ろにいる第三位かい?」

 

 

美琴のことも知っているようだ。

流石『アイテム』のリーダーだ。

ということは俺のことも知っていてもおかしくはないな。

俺がアレイスターに頼んだのは表の人間への正体発覚だけだもんな。

 

 

「そうだよ第四位。また会ったね、第四位」

「けっ、そういうアンタだっていい肩書きを持っているじゃない。なぁ―――第零位」

 

 

やはりバレていたようだ。

自分で調べたのかな?

それともアレイスターから知らされたのか?

どちらにせよ正体がバレたことには変わりないか。

能力に関してはアレイスターも知らないだろうから問題はない。

まぁここでバラして他の暗部組織への釘がさしてもいいな。

 

 

「ちょ、ちょっとアンタ第零位ってどういうことよ!!」

 

 

やはり反応してしまったか美琴ちゃんよ。

まぁここは自己紹介ついでにある程度能力(笑)に関しても教えちゃうか。

慢心からくるかもしれない。

後悔するかもしれないけどいい。

今が良ければそれでいい。

いや、いいわけないんだけどとりあえずはね。

 

 

「どういうことといわれても事実としか言いようがない。この学園都市最強は第一位の一方通行だ。そして第零位である俺はこの学園都市で無敵だ。第零位が表す意味は、無敵。ただそれだけだ」

「「「「「―――――ッ!?」」」」」

 

 

ここに居る俺以外の全員が息を呑んだのがわかった。

最強―――第一位にすら敵わないのだからしょうがない事か。

 

 

「情報は善意一〇〇パーセントでプレゼントしてやったんだ。ほら、さっさと殺り合おうぜ!!」

 

 

そう言いながら刀を振るう。

 

 

「デタラメすぎだろ!!」

 

 

麦野が叫びながら回避をする。

ただ斬撃を飛ばしただけなんだがな。

次いでさらに斬撃を五つほど飛ばす。

すると今度は避けずに熱線で防いだようだ。

こちらにも熱線が飛んできた。

美琴はまだ背後にいる。

 

よし、今度は身体能力だけで相手してみよう。

 

刀を霧散させ、手刀で熱線を引き裂く。

それを見た『アイテム』のメンツが目を見開く。

だがそんなことは気にしない。

 

 

「結。美琴、そこで大人しくしていてくれ。巻き込んだら悪いからな」

「え、え?ちょ、ちょっと―――」

 

 

美琴が結界をガンガン拳で叩いたり電撃を放って破ろうとしているが無視をする。その程度で破れるわけがない。

 

麦野の姿を補足する。

それと同時に駆け出す。

腕はだらりと脱力したままだ。

麦野まで残り五メートルのところでその勢いを殺さずに蹴りを放つ。

それは衝撃波となって床を深くえぐりながら麦野へ進んでいく。

麦野は横っ飛びでそれを避けるが、すでにその場には俺がいるぞ!!

 

 

「はい、俺の勝ちね」

「は、放せこの変態がぁぁぁ!!」

 

 

電子を身体から解放して俺に攻撃を加えてくる。

麦野を羽交い絞めにしていた俺はもちろんもろにそれを受ける。

勝った!!

そう思ったのか、麦野の口角がつりあがった。

 

 

「甘いぜ麦野。その程度じゃ俺には傷つけられない」

「なッ!?化物かテメェ!!」

「否定できねぇな……」

 

 

否定しようにもどう否定すればいいかわからない。

と、悩んでいるとうまく麦野に逃げだされてしまった。

そしていつの間にか『アイテム』のメンツが退避していったようだ。

 

行動が早いな……

まぁ気楽にいこうか。

ストレス発散もかねているんだからな。

 

 

「美琴、外に出る……ぞ……うぉぅ!?」

 

 

結界を解き、美琴がこちらに歩いてきたのだが……

一つ、問題があった。

 

 

「兄様……遅いと思って兄様の気配を追って転移して見ればなんですかこれは」

 

 

メルがいたのだ。

それも瞳のハイライトを亡くしてだ。

 

 

「あとこの者たちは一体なんですか?突然レーザーのようなものが飛んできたので少しやりすぎてしまいましたが……」

 

 

そういって差し出してきたのは、『アイテム』の面々だった。

全員そろって気絶している。

酸素か……酸素を薄くしたのか……

 

ふと美琴の方を見る。

美琴はガタガタと震えていた。

それもそのはずだ。

メルの殺気が美琴に注がれているのだから。

 

と、とりあえずは……

 

 

「全員家に連れて行こうか。それで、そいつらが目を覚ましたら詳しいことを話すよ」

「絶対……ですからね?」

 

 

カクン、と首を真横に倒しながらメルが言う。

怖いよ!!

どこのヤンデレだよおい!!

 

 

「美琴。そう言うわけだからうちまで来てもらえるか?」

「ひぃ!?あ、う、うん」

 

 

そこまで怯えなくても……

というよりもなんで俺に怯えているんだ?

俺は特に何かしたわけではないのだけれど……

 

 

 

 




詰め込み過ぎた感がありますがお許しを。
滅茶苦茶になっているところもあるかもしれないので、気づいたことがあったら書き込んでください。

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