とある魔術の禁書目録~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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刃くん。
仲間集めを始めます。


第Ⅲ話~心理掌握~

さて、今日から早速仲間を集めていこうと思うのだが……

誰から誘っていった方がいいのだろうか?

 

……LEVEL5、行きますか。

 

確か、今のこの時期なら研究所にいるはずだ。

そうと決まれば早速……と行きたい所なのだが。

侵入して攻撃されたら厄介だ。

ここで役に立つのが、アレイスター。

 

携帯端末を取り出し、アレイスターにかける。

 

 

『何かようかい?』

「食蜂操祈とコンタクトを取りたい。研究所の座標と、許可をくれ」

『そんなもの君なら簡単だろうに』

「面倒事は嫌いなんだ。だからお前に頼んでいるのだ」

『そう言うことなら引き受けよう。研究所の座標はメールで送ろう。許可は合言葉でいいかい?』

 

 

合言葉ねぇ……

下の方まで伝えてくれるならそれでもいいが、万が一知らずに侵入者扱いされたらたまったもんじゃない。

 

 

「まぁいいだろう」

『そうか。合言葉は「753951468250」だ』

「了解した」

 

 

そして通話を終了する。

数秒後、アレイスターからメールが送信されてきた。

内容は研究所の座標だ。

 

よし、これで準備は万端だ。

行きますか。

 

研究所の座標を魔法陣に染み込ませ、そのまま転移をする。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「止まれ!!貴様、何者だ!!」

 

 

転移して、研究所に着いた瞬間に、警備員に捕まった。

 

 

「753951468250」

「し、失礼しました!!ようこそ、王(キング)よ。どうかゆっくりしていってください」

「あ、あぁ……」

 

 

アレイスターよ。

なぜ王ということになっているのだ……

まぁ悪い気はしないが。

 

 

「すまない、一ついいか?」

「何でしょう?」

「食蜂操祈とドリーのいる部屋は分るか?」

「すいません、私は研究に関しては何も……」

「そうか、すまなかった」

 

 

その場を離れる。

なるほど、警備員は本当に警備しかやらせていないわけか。

 

辺りを見回すと、研究所の入口らしき場所が見つかった。

そこまで一瞬で移動し、自動扉を開け、研究所内に入る。

 

 

「どちら様でしょうか?」

 

 

受付の女が訝しげに訊いてきた。

それもそうか。

見た目小学生の男がたった一人でこんなところに来るわけがない。

 

 

「753951468250」

「し、失礼いたしました!!ようこそお越しくださいました、王」

 

 

どうやら合言葉は本当に浸透しているようだ。

同時に王ということも……

 

 

「ほ、本日はどのような御用で」

「食蜂操祈とドリーに会いに来た」

「か、かしこまりました!!こちらです」

 

 

そう言い、受付の女が立ち上げる。

どうやら案内してくれるようだ。

というよりもいいのか?

受付がここを抜けても。

 

女に案内されるがままにしばらく歩くと、見るからに頑丈な扉の前へと誘導された。

 

 

「こちらに食蜂操祈とドリーがいます」

「すまない。助かった」

「いえ、では私はこれで」

 

 

それだけ言い、女は戻っていってしまった。

 

さて、行くか。

 

分厚い扉を開ける。

すると、薬品の匂いが鼻に入る。

少しキツいな……

 

研究員は数名いた。

だがそれのほとんどが頭に何か機械のようなものを被っていた。

 

気持ち悪い。

センスないな。

 

 

「坊や、こんなところに何の用だい?」

 

 

少し小ばかにした様子で、研究員が話しかけてきた。

性別は体系から見るに、女のようだ。

 

 

「753951468250」

「こ、これは失礼いたしました。まさか王だったとは……」

 

 

どうやら王の容姿は伝わっていないらしい。

 

 

「食蜂操祈とドリーはいるか?」

「はい、あちらに」

 

 

そう言って、女が指さした。

その先に目をやると、三角座りで蹲っているドリーと、壁に寄りかかりながら立っている操祈がいた。

 

早速話しかけよう。

 

 

「よう」

「「!?!?」」

 

 

二人とも同時にビクッ、と肩を震わせた。

そんなに怖かったか?

俺の声。

 

 

「あ、あなた誰?」

 

 

最初に問いてきたのは、ドリーだ。

 

 

「俺は神浄刃。学園都市では王と呼ばれている。よろしく」

 

 

簡単に自己紹介をして、ドリーの前に右手を差し出す。

ドリーは何回か手を出しては引っ込めて、最終的にはしっかりと握手をしてくれた。

 

その様子を、操祈は少し警戒しながら見ていた。

 

 

「お前たちの名は?」

「わたしはドリー。よろしくね、やいばくん」

「あぁ、よろしくドリー」

 

 

どうやらドリーは素直な子らしい。

 

 

「それで、君は?」

「……食蜂操祈」

「そうか、よろしく」

「……ん」

 

 

警戒しながらだが握手に応じてくれた。

 

ファーストコンタクトはこのくらいでいいだろう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

操祈とドリーとコンタクトを取ってから、一週間が経った。

あれから毎日研究所に通っている。

 

研究所では、いろいろなことをやっている。

好奇心のままに遊んでいる、というのが正しい。

 

さて、今日もこの研究所に来たのだが。

扉の前で操祈と会ってしまったのだ。

向こうは警戒はしなくなったが、何かおどおどしていた。

何か知られたくないことでもあるのだろうか?

 

 

「入ろうぜ」

「うん……」

 

 

まぁこんな感じで、普通に会話はできている。

 

コンコン、と扉をノックして部屋に入る。

すると、ドリーはすぐにこっちに近づいてくる。

 

 

「きょうもきれくれたんだ!!みーちゃん、それとやーくん」

 

 

やーくんとは俺の愛称だ。

刃のや、からだろう。

まぁ別に嫌ではないからそのままにしている。

 

部屋に入った俺たちは様々なことで遊ぶ。

 

一番初めは、シャボン玉だ。

ドリーがシャボン玉セットで、シャボン玉を作っているのだが……

途中から使い方が変わってしまった。

シャボン液の中にストローみたいなものを入れ、そして一気に息を吐き出したのだ。

もちろん、もの凄い勢いでシャボン玉―――泡が出来上がり、それが宙に浮いていく。

 

 

「わぷっ?むぁ?」

 

 

ドリーはこんな感じで手を振って泡を振り払っていた。

それを見た操祈は、

 

 

「ふふっふふふ……あははははっ☆」

 

 

と、笑だして一言。

 

 

「アナタ本当に中学生ぇ?」

 

 

……え?

ドリーって中学生だったんだ。

俺、初めて知ったかも。

 

 

「むーそーだよ!!センセーにもそーいわれてるもん!!」

 

 

タオルで頭を吹きながらドリーが続ける。

 

 

「ま、ガッコウってとこはいったことないんだけどね」

 

 

そのまま俺と操祈を見ながら、

 

 

「やーくんとみーちゃんはたのしい?ガッコウ」

「さぁ……?どうかしらねぇ。私の能力は疎まれやすいしぃ」

「ウトマレル?」

「まぁ嫌われるみたいなことかしらぁ?」

「えー?」

 

 

ドリーはいまいち理解していないらしい。

 

 

「わたしはみーちゃんのノウリョクだいすきだけどなぁー」

 

 

どうやら違ったらしい。

能力のせいで嫌われているところについて、疑問に思っていたらしい。

 

確かに、心を操れる能力は凄いがな。

まぁ俺には一切効果ないし。

メルにも効果はないだろうし。

 

正直言うと、そこまで恐ろしい能力ではない。

操られていても、《絶対命令権》で簡単に支配できるからだ。

 

 

「ね」

 

 

ドリはそう言いながら水と思わしきものが入った瓶のようなものを操祈に差し出す。

 

 

「……ダメよぉ、能力の使用は控えるようにいわれてるんだからぁ」

「え~~~」

 

 

そこでドリーの言葉が止まる。

瓶を見つめたまま。

正確にはその中に入っている水か。

 

 

「けんきゅーじょのそとってどんなところなのかな?ウミっていうのみてみたいなぁ……」

 

 

ドリーが呟いた。

海が見てみたいか。

学園都市の外に出なければならないがどうにかなるだろう。

 

 

「残念だけど学園都市に海はないんだゾ。チェックが厳しくて簡単には外からでられないしぃ。……まぁでもぉ外出許可が取れたら海に連れてってあげてもいいわよぉ」

「わーーーありがとうみーちゃん!!」

「わぁっ」

 

 

一ついいだろうか。

完全に俺は空気ではないか?

 

ほら、ドリーなんて操祈に抱き着いてまま髪の匂いをスンスンと嗅いでいますよ。

 

そのあとも、二人は仲良く人形で遊んだりしていた。

 

まぁそのあとの人生の遊戯は俺も参加できたけど。

それをやるまではずっと作曲していた。

 

 

「あっがりー!!わーーーいまたわたしのかちーーー♡」

「くッ、あそこから巻き返されるなんてぇ」

「運が良すぎる……」

 

 

結果はドリー―が圧倒的な差からまさかのどんでん返しをして、一位だ。

 

 

「ニヒヒ」

 

 

そう言いながら、ペットボトルのキャップを開けて、中を飲み干していくドリー。

空になったそれを、部屋の隅にあるごみ箱に投げる。

普通なら入らないだろうが、それは見事な放物線を描き、ごみ箱の中に吸い込まれていった。

 

 

「やたっ」

「コレ!!お行儀悪いゾ」

 

 

これはまた二人の世界に入る前兆だ。

 

操祈がベラベラと常識みたいなことを言っていたがドリーの、

 

 

「はいらないの?」

 

 

の一言により、それは一変した。

 

 

「はァーッ?はァーーーーーッ!?誰が入らないって!?こんなもの楽勝だモン!!」

「ホントにー?」

「いいわよぉ見てなさいッ」

 

 

そう言い、操祈が一気にペットボトルの中身を飲み干す。

そして、

 

 

「えいっ!!」

 

 

と、元気よく投げたペットボトルはもちろん入るはずもなかった。

それからも何回も挑戦するが、結局近づいて入れていた。

そして、操祈がゴミ箱に入れた時だった。

 

ドリーが倒れたのだ。

 

 

「ちょ……っ、ちょっと!?誰かッ!!」

 

 

そう操祈が叫んだ瞬間、扉が開け放たれる。

外では研究員がないかを話しているようだった。

十中八九ドリーについてだろう。

 

 

「しっかりしなさいよぉ……だってこんな……」

 

 

操折は声を震わせながら声を発す。

そこでドリーが何か呟いているのに気づく。

耳を寄せ、一生懸命聞こうとしていた。

 

そして、

 

 

「操祈……食蜂操祈よぉ」

 

 

横になっているドリーの手を握りながら、言った。

 

そしてドリーはカプセルに入れられ、どこかへ連れて行かれた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「だっ……大丈夫なのよね?」

 

 

私は研究員に訊く。

 

 

「すぐに元気になって戻ってくるんでしょぉ?」

 

 

期待を込めて、声が震えようと構わずに訊いた。

だが帰ってきた返答は私が望んだものではなかった。

 

 

「いいや、ドリーとはこれでお別れだ」

 

「詳しくは教えられない。そもそも我々も全てを知っているわけではないが……」

 

「ドリーの身体はとっくの昔に限界を超えていたのだ」

 

「学園都市の科学力をもってしてもこれ以上の延命は不可能だったんだよ」

 

「すべては予定通り、ドリー自身もきっとわかっていたんじゃないかな」

 

 

そんな……ッ!!

嘘だ、嘘だ!!

そうなわけがない!!

 

どうにかして、どうにしてドリーを助けたい!!

 

誰か……誰か助けてよ!!

 

お願い……やっとできた友達なの!!

初めての……友達なの……

 

泣くことしかできなかった私の前に、一人の男の子がやってきた。

 

神浄刃だ。

学園都市の王と呼ばれていた子だ。

この子には私の能力が全く効果がない。

これは何度も試したことだから分かりきっている。

 

でも何をしに来たんだろう?

泣いている私を、友達を救えなかった私を笑いに来たのだろうか?

 

 

「どうした?」

 

 

彼はやさしい声音で訊いてきた。

 

 

「ドリーが……どりーが……いなくなっちゃう……」

「操祈はどうしたい?」

「え……?」

 

 

私は戸惑った。

 

どうしたい?

 

そう訊かれてしまった。

もちろんドリーを助けたい。

だけど私にはそんな力はない。

 

でもこれでだけは絶対に言う!!

 

 

「助けたい!!ドリーを助けたい!!」

「よく言った。さぁ、助けに行くぞ」

 

 

そう言って、彼は右手を差し出してきた。

私はそれをしっかりととり、立ち上がる。

そして―――

 

 

「うん!!」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

俺は泣きじゃくっている操祈の元に歩み寄った。

 

 

「どうした?」

 

 

できるだけやさしい声音で訊く。

 

 

「ドリーが……どりーが……いなくなっちゃう……」

「操祈はどうしたい?」

「え……?」

 

 

俺の返答に、操祈が固まる。

こう返されることを予想していなかったのだろう。

 

操祈は決心したような目つきで俺にこう言ってきた。

 

 

「助けたい!!ドリーを助けたい!!」

 

 

この返答は満点だ。

この決心は本物だ。

だから手助けするのは、当たり前だ。

 

 

「よく言った。さぁ、助けに行くぞ」

 

 

俺は操祈に右手を差し出す。

それを操祈は取り、立ち上がる。

そして一言、言ってきた。

 

 

「うん!!」

 

 

まずはドリーの気を探る。

かなり弱っているがすぐに発見できた。

 

早く言った方がいいか。

 

操祈ごと、俺はドリーのいるであろう部屋に転移をする。

 

 

「わわっ、何!?テレポート!?」

「後で説明する。今はドリーが先だ」

 

 

幸い、ドリーの入っているカプセルはすぐに見つかった。

それをメルのいる住居空間に放り込む。

 

 

「ちょっと失礼」

「え、えぇぇぇ!?」

 

 

操祈をお姫様抱っこする。

 

 

「イイものを見せてやる」

「いいもの……?」

「あぁ―――すごくイイものだ」

 

 

俺は研究所の外に転移する。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

研究所の外に出た俺たちは、そのまま研究所の上空にいる。

これからイイことをする。

 

イイこととは?

 

研究所の殲滅だ。

地球上から研究所を消しとばす。

 

左腕で操祈をかかえる。

その状態のまま、

 

 

「ATフィールド展開、モード天災」

 

 

背中から、三対六枚の紅色の翼が出現する。

紅い渦は、研究所の横に縦に配置する。

 

もうあとは分るだろう?

 

 

「どうだ?すごいだろ」

「確かにすごい……」

 

 

紅色の渦に研究所が呑まれていくのだ。

渦が徐々に移動し、そのまま研究所を飲み込んでいく。

通った後には何も残っていない。

 

インパクト―――リセットの結果だ。

 

やがて、研究所を飲み込んだ渦は、役目を果たしたので霧散していく。

もちろん、俺の背中の翼も一緒にだ。

 

 

「さて、イイものも見れたものだし、帰ろうか」

「……私、帰る場所ない」

「うちに来い」

「いいの……?」

「あぁ」

「ありがとっ!!」

 

 

操祈がデレてくれた。

それだけで俺の達成感はものすごい。

あとはドリーか。

 

 

☆☆☆

 

 

 

「メル、どうだ?」

「はい兄様。一応、生命活動は続いています。ただ―――かなり危険です」

「そうか……」

 

 

住居空間に転移した俺と操祈は早速ドリーの状況を確認する。

 

 

「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

 

 

操祈が心配そうに訊いてくる。

まったく、俺を誰だと思っていやがる。

 

 

「まかせろ」

 

 

ドリーの肉体状況を確認する。

ふむ、ホントにボロボロだ。

 

とりあえず、《フェニックスの涙”極”》を注射器でドリーの身体に直接打つ。

これ身体は細胞単位で復元されていく。

ついでに胸にある機械を排除する。

もちろん、その部分にすぐに《フェニックスの涙”極”》をかけて足りない肉体を補う。

 

よし、これでOKだ。

思ったより簡単に言ったな。

 

 

「ん……んんーーー」

 

 

治りきった瞬間、死んだように眠っていたドリーが目を覚ました。

 

 

「ドリー!!」

「うおっ!?」

 

 

操祈は俺を押しのけ、ドリーに抱き着いた。

 

 

「ドリー……どりー……よかったよぉ」

 

 

泣きながら、ドリーに抱き着いている。

そのままドリーの胸元に顔をうずめている。

そんな操祈をドリーは優しくなでていた。

 

 

「さて、少し離れていようか。メル」

「はい、兄様」

 

 

俺とメルは、この部屋を後にした。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「落ち着いたか?」

「うん」

「うん!!」

 

 

操祈とドリーが元気よく返事をした。

 

それは何よりで。

 

 

「お前達には一つ、頼みたいことがあるんだ」

「何でも言って!!」

「わたしをたすけてくれたから、きいてあげる」

 

 

二人とも機嫌よすぎる。

まぁ好都合だがな。

 

 

「俺のチームに入ってくれないか?」

「「チーム?」」

「そうだ。暗部なんだが……」

 

 

二人は少しの間考え込むようなしぐさをするがすぐに、

 

 

「いいわよ」「いいよ」

 

 

と、元気よく答えてくれた。

 

 

「本当にいいのか?」

「いいのよぉ。だって私のお願いもきいてもらったしぃ」

「わたしも、やーくんにたすけてもらったいのちだからね」

 

 

よし、これで二人増えた。

 

 

「暗部―――といっても、お前達には表には出てもらわない。おもに情報収集してもらいたい」

「まぁ、私は能力でいくらでも人の記憶みれるからねぇ」

「わたしは―――わからない……」

 

 

ドリーがしょぼんと、落ち込んでしまった。

そんな姿も可愛いぜ。

 

 

「ドリー、大丈夫だ。これから力をつけていけば」

「ホントー?」

「あぁ本当だとも」

「わたしがんばる!!」

 

 

まぁ何はともあれ、これで仲間が二人増えた。

 

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