【本編完結】始末屋 キリカ   作:☆エイラ★

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なんと! いつの間にかお気に入り登録が300超えていて、びっくり。皆様、お付き合いありがとうございます。拙い作品に評価を入れて下さった方々にも感謝を。

さて、アカ斬るは命がとっても軽い世界。生き残るのは果たして………



拾玖斬 最強

「キリカ、一つ聞かせろ。お前は始めからナイトレイドだったのか?」

「ええ、そうですよ」

「そうか………結局はブドーが正しかった訳だな」

「………」

 

 エスデスの一挙一動を見逃さないよう観察していると、結晶のようなモノが幾つもついた白銀のネックレスとブレスレットが目に止まった。戦闘の邪魔になるであろうアクセサリー類を身に着ける性格とは思えず意図が読めない。

 

「残念だが嬉しくもある。不思議な気持ちだ………行くぞ、お前達!!」

 

 イェーガーズを鼓舞してサーベルを抜刀するエスデス。

 

「くそ! キリカさん………俺たちを騙しやがって。グランシャリオぉぉおおおっ!!!」

 

 怒りに震えながら剣を地面へ突き立て、漆黒の鎧を召喚。全身に纏い闘志を漲らせるウェイブ。

 

「おいで、お人形さん達………」

 

 ビスケットを囓りながら死者行軍・八房を掲げるクロメ。その足元に不気味な闇が広がっていき、ズルズルと6体の屍が這い出てくる。内一体の桁違いな存在感に私達全員の目が奪われた。体長22メートル程ある白骨の肉食恐竜、超級危険種──デスダグールがクロメを手に乗せて立ち上がり咆哮をあげる。

 

「なっ! デスダグールだと!?」

「なんて大きさ………」

 

 デスダグールは剥き出しの骨格と胸元に光る大きなコアで構成された超級危険種。全身凄まじい硬度を誇り、私の剣技を持ってしても簡単には斬れない強敵だ。なるほど、この怪物を暴れさせる為に不要な信者達を中庭から退避させていたのだろう。

 

「隙有りってな! 必殺………」

 

 到底届く筈の無い位置で大鎌を構えるホリマカ。

 

「っ!?」

 

 即座に逸れた意識を引き戻す。エスデス達との距離は18メートル程。ホリマカの大鎌からは力の流れが読み取れず遠距離武器なのだとしても不気味な感じがした。

 

「やばい!」

 

 第六感で何らかの異変を察知したのか、レオーネがブラートを突き飛ばす。

 

「………亜空切断!

 

 大鎌で虚空を薙ぎ払うホリマカ。すると、直前にブラートのいた空間へ亀裂が入り、庇ったレオーネの左腕が消失した。

 

「ぐっ、ぁぁあああああああ!!!」

「レオーネさんっ!!」

 

 あの大鎌は恐らく文献に記載の無い帝具。防御不能な空間攻撃はあまりにも危険過ぎる。

 

「私に構うな!」

 

 左腕付け根の筋肉を隆起させ、無理矢理止血してみせるレオーネ。

 

「これで終わってくれるなよ!」

 

 エスデスが私達のいる場所の左右へ逃げ道を塞ぐように無数の氷矢を放つ。そこへ止めとばかりにデスダグールが口腔より破壊光を発射。

 

「っ!!」

 

 正面上方から凄まじい熱線が迫り来る。私一人なら十分に回避は可能。けれど、仲間達全員を助ける手立てが思い浮かばず固まってしまう。

 

「奥の手だ!!」

 

 スサノオへ向け左手翳すナジェンダ。

 

勾玉顕現………八咫鏡

 

 スサノオの姿が神々しく変容。その背に光輪が浮かび、私達を守るように巨大な鏡を召喚。熱線が不可思議な鏡に吸い込まれていく。

 

「………」

 

──スーさん、凄い!

 

 勾玉顕現──使用者の寿命の三分の一を削って一時的に狂化状態となるスサノオの奥の手。体内のエネルギーが爆発的に膨れ上がり、力の本流を視る限りでは位階_()相当の戦闘力がある。また、発動中のみ使用可能な三つの宝具を備え、八咫鏡はその内の一つだ。

 

「最大の攻撃はお前達が味わうといい!」

 

 スサノオが鏡の角度を調整。イェーガーズへ向けて熱線を跳ね返した。

 

「反射だと!?」

 

 広範囲に巨大な氷壁を多重生成して陣営全員の防御をするエスデス。

 

「ブラートさん、私を投げて!」

 

 上方斜め四十五度を差しながら叫んだ。最も危険な敵を排除するタイミングは今しかない。

 

「おう!」

 

 意図を察し、私を空高く放り投げるブラート。

 

「………」

 

 抜刀術の構えを取り空中から氷壁の向こう側にいるホリマカを捕捉。

 

 我流・真奥抜刀術 白百合

 

 風刃を放ち、そのまま反動を利用して後方へ離脱する。

 

「な!? この俺がこんな………ごふっ────」

 

 胸元を切り裂かれたホリマカが唖然とした表情で倒れ伏す。

 

「良くやったキリカ。デスダグールはこちらで対処する!」

 

 ナジェンダを筆頭にアカメ、スサノオ、レオーネがクロメのいる左方向へ回り込む形で移動を開始。

 

「よくもホリマカさんをっ!」

 

 ウェイブが高く飛び上がり、私の着地点を狙い砲弾のように蹴り込んで来た。更にその後方から追従し、こちらへ向かって駆けるエスデス。

 

「まずっ!」

 

 私は未だ空中にいて大技を使った直後の為、体勢が不安定。帝具グランシャリオはインクルシオの後継機だ。鎧の硬度は恐らく同等以上。無理矢理、体勢を整えてウェイブを迎撃したとしても、エスデスと接敵するタイミングで大きな隙を晒してしまう。

 

「くらいやがれっ! グランフォール!!!」

「やらせねぇ!」

 

 ウェイブの右側面へブラートがタックルをかまし、二人共吹き飛んでいく。

 

──た、助かりました。

 

 無事、着地して双剣を構え直し、廻苦無を回転させる。

 

「待ち侘びたぞ、この時を!」

 

 大量の氷矢を放ちながらサーベルによる高速突きで攻めてくるエスデス。更には左手へ氷剣を生成。見事な剣撃を織り交ぜてきた。

 

「っ! 勝負です」

 

 突きと剣撃は双剣で迎え打ち、廻苦無と籠手、脛当てを活用しつつ氷矢の雨を弾いていく。力の流れに集中して廻苦無の回転半径は最小限に意識。あまり大きく振り回すとマフラー部分を狙われてしまう。

 

「ほう、器用な真似をする」

「………」

 

 エスデスの突き技は以前より遥かに洗練されている。氷剣による巧みなカバーも合わさって、前回と違い割り込む隙が全く無い。

 

──やっぱり実力を上げてきている。

 

 予想出来ていた事だが、既にエスデスの武術レベルは位階()。帝具込みの総合的な戦闘力は位階()相当と言ったところ。

 

「相変わらずフェイントには一切反応無しか。一体お前には何が視えている?」

 

 足元から氷杭を出現させるエスデス。

 

「………」

 

 それを蹴り砕き、付かず離れずの距離で交戦を続ける。力の流れが視える私にフェイントは通用しない。エスデスは前回の闘いで私の特異性に気づいたのか、初めの数撃以外は真っ向勝負を挑んできていた。

 現状、私が守りを主体とする限り互いの攻防は千日手。仲間達の戦況如何で趨勢が決まる。予定通りならそろそろマインとラバックの乗るエアマンタが大聖堂上空に到着する筈。私はエスデスに集中しつつも戦場全体の把握に努め、皆の戦いに意識を向けた。

 

 先ずは本殿南東側。

 ブラートとウェイブ、同系統の帝具を纏う者同士が激突。拳と蹴り、軍隊格闘技の応酬を繰り返している。ウェイブの力量は大凡位階_()。戦闘経験や技術、全てにおいて上回るブラートがウェイブに有効打を何発も浴びせている。

 

「つ、強ぇ………けど!」

 

 拳を肩に受けながら、蹴り返すウェイブ。二人の間に数歩の距離が空く。

 ひたすらに耐え忍び僅かな隙を狙っての堅実な反撃。ウェイブは明らかに格上相手の戦いを想定した訓練を積んでいる。

 

「やるな!」

 

 落ち着いた様子で構え直すブラート。

 

「あんた、百人斬りのブラートだろう?」

「だったらどうした?」

「なんであんた程の男が殺し屋なんかやってんだよ?」

「単に腐りきった帝国に嫌気がさしたってだけだ」

「この国がおかしいのは分かる。でも内側から変えるやり方だってあるはずだろ」

「ねぇよ、そんなもん。正しい考えの奴から消されていく。誰かが腐らせてる元凶を断たなきゃならないんだ」

「善良な人間の命を奪ってでもか?」

「っ!」

「お前らが殺したボルスさんは本当に良い人だったんだ。優しくて、気配り出来て、奥さんと娘さんを大事にしてて………俺は認めない。お前達を絶対に認めない!!!」

 

 激昂、闘気を漲らせブラートへ迫るウェイブ。

 

「別に認めて貰うとは思ってねぇよ。正義を気取るつもりもないしな」

 

 真っ直ぐな気迫に当てられたように正々堂々迎え打つブラート。

 グランシャリオの硬さとウェイブの打たれ強さは中々のモノ。ブラートが透明化を温存している事もありしばらくは決着がつきそうにない。

 

 次に本殿北西側。

 クロメを排除しようと動くナジェンダ、スサノオ、アカメ、レオーネ。その4人を一掃せんと、デスダグールが長い尻尾を鞭のようにしならせ、広範囲を薙ぎ払う。

 

「お前達、止まるな!」

 

 両足を地面へ打ち込み自身を固定するスサノオ。そのまま尾を受け止め、手前へ引っ張った。すると、バランスを崩したデスダグールがよろめいて尻餅をつく。

 

「大人しく寝ていろ!」

 

 尾を引き続けて起き上がろうとするデスダグールを食い止めるスサノオ。

 

「なんて馬鹿力………まだ一人も死んで無いなんて、流石は悪名高いナイトレイドだね」

 

 クロメはデスダグールが倒れる直前に飛び降りて迎撃体勢を整えていた。彼女の周りには虚な目をして動く屍が5体。

 2丁拳銃を使うカウボーイ風の女。

 薙刀使いの覆面男。

 身なりの良い鞭使いの男。

 暗器使いの仮面の男。

 ゴリラのような特級危険種、エイプマン。

 文献によれば帝具 八房は合計8体の屍を操る事が可能。デスダグールを合わせも2体足りない。残りは温存しているか、別の場所で使っているのか。はたまたボリックの警護に割り当てている可能性もある。

 

「クロメ! 今日こそお前を救ってやる」

 

 アカメが縮地を用いて一気に加速。クロメへ斬りかかり、流れるような連撃で攻め立てる。

 

「っ!? 速い! いつの間にこんな………」

「良い師に巡り会えたからな」

「おねぇちゃん、私達を裏切ってそんな奴らと。ナタラ、ドーヤ!」

 

 クロメの実力もウェイブ同様に位階()相当。一人ではアカメを抑えきれないと判断したらしく、2丁拳銃使い(ドーヤ)薙刀使い(ナタラ)の援護を受けながら斬り結ぶ。

 

「クロメさえ倒せば全ての屍が消える」

「分かってる!」

 

 デスダグールの前を横切り、アカメとクロメの交戦地点へ近づこうとするナジェンダとレオーネ。その行く手を阻むように鞭使いと暗器使い、エイプマンが立ち塞がった。

 

「ロクゴウ将軍………」

 

 鞭使い──ロクゴウの事を悲しげに見つめるナジェンダ。どうやら旧知の間柄のようだ。

 ロクゴウの操る鞭が変幻自在にナジェンダへ襲いかかる。

 

「あなたの技は稽古で骨身にしみています」

 

 卓越した鞭捌きの全てを先読みして回避するナジェンダ。間髪入れず、リール付きの義手を射出してロクゴウへ直撃させた。

 実力的にはロクゴウ将軍の方が高いものの、屍は生前の動作をなぞるだけ。手の内を知り尽くすナジェンダは余裕で対処している。そして、直ぐ近くでエイプマンと交戦するレオーネ。右腕一本でエイプマンの拳や掴み掛かりをいなし、カウンター気味に何発も打撃を叩き込んでいた。

 

「特級ごときにやられるか!」

 

 隻腕でありながら完全にエイプマンを圧倒している。

 レオーネ、ナジェンダ共に現在交戦している敵は一対一なら十分勝てる相手だ。問題は屍を倒す方法。既に死んでいる以上、急所にどれだけ攻撃しても意味がなく、倒す手段は原型を留めないくらいに破壊する事。しかし、二人が全力で攻撃しようとする度、仮面の暗器使いがぬらりっとしたトリッキーな動きで妨害していた。

 ナイトレイド対イェーガーズ。南東側、北西側共に戦況はどちらが有利とも言えず、未だマインとラバックの援護は来ない。

 

──マインさん達、何かあったのでしょうか?

 

 ナジェンダの作戦通り、消極的な戦いを続けるべきか否か。今この瞬間にも誰かやられてしまうのではないかという不安が頭を過ぎる。

 

「周りが気になるようだな」

 

 緩急を付けて後ろへ下がり、特大の氷塊を落下させるエスデス。

 

「あなたこそ!」

 

 仲間達へ攻撃する暇を与えないよう、氷塊を切り刻んで接近。得意な間合いを維持つつプレッシャーを掛ける。

 どうするべきか迷っていると、クロメの持つ八房の刀身が視界に映り、掛かる力の流れが一点に集中している事に気がついた。アカメは斬り結ぶ度、八房の同じ箇所へ正確に打ち込んでいるようだ。

 

──あれは、もう少しで………。

 

 ピキンッ

 

 甲高い音を立てて八房がひび割れ、呆気なく砕け散る。

 

「ぁ」

 

 何処か気の抜けたような表情で小さく呟くクロメ。

 

「クロメ、私もいずれそっちへ行く。待っていろ」

 

 村雨の刃が容赦なくクロメを袈裟懸けに斬り裂いた。

 

「うん。待ってる、ね………」

 

 クロメの身体に呪いが這いずり、瞬く間にその命を奪う。途端に全ての屍が唯の死体へ戻り、動かなくなった。

 一体どんな思いで妹を斬ったのか。互いに納得しての結末だったのかは当人達にしか分からない。

 

──アカメさん、あなたの覚悟は無駄にしません。

 

 状況が一気に動き出す。

 クロメの死に動揺したウェイブの顎下へブラートのアッパーが直撃。ウェイブの気絶を見届けると、インクルシオのサブ兵装(長槍ノインテーター)を召喚して即座に透明化するブラート。

 

「スサノオ! 今だ!!」

天叢雲………八尺瓊勾玉

 

 ナジェンダの指示を受けてスサノオが第二、第三の宝具を同時に使用。その手に絶大な破壊力を持つ長大な神剣、天叢雲を召喚。更に背中の光輪を輝かせながら凄まじい加速を実現する八尺瓊勾玉を発動させた。

 

「ちっ」

 

 劣勢に陥り、囲まれる前に後退しようとするエスデス。

 

「行かせません」

 

 軽く飛び上がり二刀を頭上へ掲げ、斬りつけると見せかけて両掌を開き刀を空中へ置く。そして地を這うようにエスデスへ肉薄。

 

「なに!?」

 

 状況の変化に加えて空中の刀にも注意を奪われ、反応が遅れるエスデス。躱せないと判断したのだろう。胴体部分を分厚い氷で包み防御体勢をとっている。

 

「はぁああああ!!」

 

 私は構わず両腕を突き出し発勁。

 

 我流・操身術 剛掌砕破 双撃

 

「ぐぅ」

 

 エスデスは絶妙なタイミングで自ら後ろへ飛んで衝撃を和らげたものの、大きく体勢を崩した。そこへ強襲を掛けるブラートとスサノオの二人。

 

「終わりにしましょう」

 

 私は3歩下がって落ちてきた二刀を回収。くるりと回って廻苦無2本を正面と右側に分けて飛ばし、エスデスの首元を狙う。

 透明化中のブラートは背後からエスデスへ迫り、長槍を突き出した。

 狂化中のスサノオは宝具──八尺瓊勾玉の力で急加速。エスデスの左側より接近、10メートル程離れた位置から天叢雲を振り下ろす。

 隙を突いた多方向からの同時攻撃。全メンバーでの包囲こそ叶わなかったが、考え得る最良の攻め手。私でもこの状況からの生還は不可能だ。

 

魔神顕現………」

 

 絶対絶命にも関わらず口元を歪めるエスデス。次の瞬間、彼女の身につけていたネックレスとブレスレットが砕け散り、膨大な冷気が溢れ出す。更にエスデスの瞳が白銀に変化して動作の全てが倍加。あり得ない速度で体勢を立て直すと、マフラー部分を切断して廻苦無を無力化。続けて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。首を蹴り砕きながら槍を奪い取り、スサノオへ向けて投擲。天叢雲の刀身を潜り抜けて私との間合いを詰めてきた。

 この間、僅か0.5秒未満。

 

「は?」

 

 有り得ない。理解が追いつかない。私の目を持ってしても動きを追うのが精一杯。力の流れを感じる能力がなければそれさえ難しいだろう。

 スサノオは胸元へ風穴が空き核が消失。全身がグズグズに崩壊していく。ブラートの方は変身の解けた状態で首が有らぬ方向へ曲がり、血泡を吐いていた。二人の生存は絶望的。だが、悲観に暮れている暇は無い。気づけば眼前に迫るエスデスの姿。

 

──まず!?

 

 思わず退けぞり、両腕の籠手を構えて防御する。

 

「私に奥の手を使わせたんだ。お前も魅せてみろ」

 

 埒外の威力と速度の掌底を繰り出すエスデス。

 

「あぐぅっ!?」

 

 桁違いの衝撃。バキリっと両方の籠手が砕け散り、大きく吹き飛ばされた。咄嗟に鬼神顕現を発動しようとするも、異業の血は相変わらず反応が無い。

 

「ふははははッ………どうしたキリカ? お前の全力はそんなものじゃないだろう?」

 

 エスデスが吹き飛んでいる最中の私に追いつき、サーベルによる突きのラッシュを放ってくる。

 

「このっ!」

 

 バク転しつつ、強引に右足を接地。力の流れを把握する事に全神経を集中。双剣と左の脛当てを用いて迎撃を試みるが、急所を守るので精一杯。身体のあちこちが切り裂かれ血塗れになっていく。

 この強さ………エスデスの全身に満ちる膨大な力の奔流は間違いなく位階()の領域。下手をしたら鬼神顕現状態の私を上回っており、他のメンバーでは束になっても瞬殺されてしまう。私がどうにかしない限り全滅は必至。

 

「あの時、お前の発した殺気は素晴らしかったぞ。私に明確な死をイメージさせる程の圧倒的な力。それを上回る為にこの奥の手を編み出したんだ」

「どうやって、これ程の力を?」

「力の貯金と破壊衝動の解放、その合わせ技だな」

「………」

 

──力の貯金、という事は………。

 

 力のストックを使い切るまでの時限強化。そもそも、こんな無茶苦茶な動きをそう長く続けられる訳が無い。エスデスの奥の手──魔神顕現には鬼神顕現と同様に使用後の弱体化等、デメリットのある可能性が高い。でなければ温存せずに戦闘開始の時点で使ってきた筈だ。

 

 バキリッ

 

 猛攻に耐えきれず左の脛当てが砕け散る。

 

──今は少しでも時間を稼いで、反撃の機会を!

 

 即座に軸足を切り替え、蹴り技を放つ。

 

 我流・操身術 鋭刃烈脚 

 

「ぬるいな」

 

 私に合わせ氷を纏った蹴りを放つエスデス。

 

バキンッ──右足の脛当てまでもが砕け散り、一方的に蹴り負けて地面へ叩きつけられる。

 

──そん、な………。

 

「闘技場の礼だ」

 

 エスデスが一回転。バウンドする私を更に蹴り付けた。

 

──っっ!!!

 

 あまりの衝撃に声を発する間もなく数10メートル吹き飛ばされて外壁へ激突。視界が明滅する。

 

「がはっ! げぶッ」

 

 大量の血反吐を吐き、地面へ落下。受けたダメージが大き過ぎて、呼吸すらままならない。

 

──つよ、すぎる………。

 

「これで終わりなのか………」

 

 うつ伏せに倒れピクリとも動けない私にエスデスが近づいて来る。

 

「………」

 

──みん、な………どうか、にげ、て。

 

 きっと、この場にいる誰一人逃げられない。生き残れるとすれば別行動のマインやラバック、チェルシーだけだろう。

 私達に報いの時、絶望の足音が迫っていた。




解説。
 ホリマカについて。原作だと「必殺!」と叫んで鎌を構えたものの、何かする前にアカメに瞬殺されてしまい、大鎌の帝具は能力が不明なまま本編終了。その為、当作品では独自解釈して「必殺」の叫びが文字通りの一撃必殺だったらと考え、空間を切断する能力としました。ジョジョの億泰とかに近いやつ。因みに始めブラートを狙ったのはエスデスの指示。エスデス的にはナジェンダは捕えて尋問したいですし、キリちゃんとの決着も付けたい。そんな訳で百人斬りの異名を持ち戦闘力の高そうなブラートを先に排除しておこう、と言った感じに。

エスデスについて。
 原作だとタツミを逃したくないという理由でザ・ワールド時よ止まれ!! 空間凍結で時間を止めるという原理がよく分からない奥の手を自分で開発していました。つまり、エスデスの奥の手は彼女の目的次第でいくらでも変わるものと考えました。
 当作品オリジナル奥の手『魔神顕現』は帝具デモンズエキスの二つ名をそのまま採用。キリちゃんに秘められた力の鱗片を感じとったエスデスが対抗する為に編み出しました。

エスデスの奥の手『魔神顕現』
 自身を氷の魔神そのものとする狂化技。
 ・力の貯金。
 これは原作にもある設定です。原作最終決戦において数日かけて作った氷騎兵を自らの力に還元していました。今作では一ヶ月以上をかけてブレスレットとネックレスに力の貯金をしていた訳です。
 ・破壊衝動の開放。
 デモンズエキスは使用者を発狂させるほどの破壊衝動を内包する帝具です。原作においてエスデスはそれを精神力で屈服させていました。独自解釈ですが、私はこれをデモンズエキスの力を制限していると解釈しました。
 デモンズエキスの破壊衝動を開放してもエスデスは飲まれる事無く完全に制御下に置いています。
 エスデスはどれだけ盛っても良いチートキャラだと思ってます。

姿の見えないイェーガーズの他戦力について
 クロメの屍、ウォールとカイザーフロッグ(カエル)はボリックの警護役。ランは原作と同じく航空戦力としてマイン&ラバックとつぶし合いって感じです。
 
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