始末屋キリカ~【推し】に人生を捧げるまでのお話し   作:☆エイラ★

32 / 32
伍斬 再会

「ア、アカメさん?」

 

 私は思わぬ再会にポカンっと固まってしまう。驚いて動けずにいるとアカメが詰め寄って来て、胸ぐらを掴んできた。

 

「どうして、どうして何も言わず居なくなったッ!?」

「っ! そ、それは………」

 

――ひぇ! ア、アカメさん、すっごい怒ってる。

 

「私やレオーネとした約束は?」

「もちろん覚えてます。ごめんなさい………」

「皆んながどれほど悲しんで、心配したか」

「………」

 

 皆で船旅をしたりレオーネと遊べたら楽しかったと思う。けれど、チェルシーの怯えを含んだ瞳は未だ脳裏に焼き付いている。化け物を前にした人間としての正常な反応………大切な仲間からそんな目で見られるのは辛くて、もう一度皆の前に姿を見せる勇気を持てなかった。

 

「あの時何があった?」

「レオーネさんやチェルシーさんから私の状態について聞いていないんですか?」

「いや、何も。お前がオネストを捕えてシコウテイザーを倒したとは聞いているが………」

「そう、ですか」

 

 二人はきっと私の名誉を守って醜態を誰にも言わないでいてくれたようだ。

 

「やはり理由があるんだな」

「ここではお伝えし辛いので、別の場所で」

「分かった………」

「なあ、アカメ。その人はもしかして同郷の知り合いなのか?」

 

 桜色の髪に澄み渡る水面のような碧眼を持つ少女が声を掛けてきた。

 

「ああ。前に居たところで共に戦った仲間で私の師匠だ」

「キリカと言います。初めまして」

「私はヒノワ………って、師匠!? じゃあ、アカメよりも強いんだな」

 

 碧眼の少女――ヒノワがワクワクした様子で尋ねてくる。

 

「今は、どうでしょう………」

 

 アカメをちらりと視れば生命力の流れに淀みがあり、位階_()程度まで実力が落ちている。原因は恐らく全身の至る所に浮かぶ入れ墨のような呪詛。未だに村雨の奥の手を使った代償が残り続けているようだ。

 

「俺はクメハチ、綺麗なおねぇさんは何人いても大歓迎!」

 

 軽い口調で話す鉢巻をした少年――クメハチ。

 

「ヒサメだ」

 

 仏頂面の青年――ヒサメ

 

「スズマルだよ、よろしくね」

 

 少女のように愛らしい童顔の少年――スズマル。

 

「俺はトバリ。なあ、後で手合わせしてくれよ」

 

 後ろに髪を纏めた男勝りな少女――トバリ。

 

「えっと、手合わせはご勘弁を。最近は刀もろくに握っていませんし」

「なんでだよ、ちょっとくらい良いだろ」

「これ、トバリ。無理を言うでない」

「へ~い」

「すまんな。皆、わしの弟子で武芸を教えこんでいるのだ」

 

 優しげな眼差しを子供たちに向ける仙人。

 

「へぇ、体幹を重点的に鍛えてるんですね。基礎がしっかりしています」

 

 視れば弟子達は皆丁寧な指導を受けているようだ。

 

「分かるか、流石じゃのう。ほれ、今月分の薬じゃ」

「いつもありがとうございます」

 

 薬を受け取った後、アカメを伴って家の裏手に移動する。

 

「話の続きを聞かせてくれ」

「えっと………」

 

 私は覚悟を決めて隠し事はせず宮殿バルコニーの顛末、オネスト食害事件を伝えた。

 

「前にも言ったが人間っぽくない奴らには慣れている。食の趣味が少し違う程度、私は気にしないから大丈夫だ」

「アカメ、さん………」

 

 さっぱりした物言いに何だか心が軽くなった気がする。

 

「あの後の事はどこまで知っている?」

「えっと、ナジェンダさんが復興の陣頭指揮をとってて、あとは皇帝が処刑されたり、オネストが市民から拷問されてたり、とか?」

「お前………ずっと隠れて見てたんだな」

 

 ジト目で睨んでくるアカメ。

 

「うぅ………」

「刀を握っていないと言っていたが、キリカはこの地で何をしているんだ?」

「もちろん推しかッ………」

「おし?」

「と、特に何も。一般人として普通に生きてるだけです」

 

 アカメに【推し活】などと言っても首を傾げられるだけである。

 

「始末屋、辞められたんだな」

「ええ、地獄に落ちるまで続ける覚悟だったんですけど、殺せない身体になってしまったので………」

 

 端的に私自身の状態を話す。

 

「そうか。もう十分戦ったんだ。ゆっくり休んでくれ」

「そうさせてもらいますね。アカメさんがワコクに来たのは村雨の副作用を治療する為ですか?」

「ああ、帝国の技術では治せなくてな」

「正しい判断だと思います。私の視たてでは少なからず寿命も削られているようですから」

「やはり、か」

「痛みますか?」

「いや、今は全身が鉛のように重い感じるだけだ」

「仙人には診て貰ったのですよね。何か仰ってました?」

「呪いに心当たりがあるそうで、調べて貰っている」

「なら治療の可能性はあるんですね、良かった。それで、その肝心の村雨は何処に?」

 

 丸腰のアカメを見て首を傾げる。あんな危険物を何処かに放置するとは思えないが………。

 

「小舟で西の海を渡っている途中で巨大な危険種に襲われて………村雨はその時に失くしてしまったんだ」

「あの海域を小舟で!? いくら何でも無謀が過ぎます。ワコクの西海は神話級の異形、超級危険種がワラワラ生息してますよ」

 

 アカメは知らなかったのだろうが、ワコクと大陸間の航路は比較的安全な南海ルートが基本だったりする。

 

「流石にもう駄目かと覚悟したが、運良く村外れの浜辺に流れ着いてヒノワに助けられた」

「幸運っていうか、もう奇跡ですね」

「そうだな………」

 

 感慨深そうに頷くアカメ。

 

「………」

 

 あくまで推測に過ぎないが………危険種(異形)達がアカメを喰らわなかったのはその身体に染みつく呪毒を嫌ったせいかもしれない。

 そのまましばし互いの近況を報告し合う。

 アカメは助けられた恩返しにヒノワ達を鍛えていること。

 私の方は義姉の世話になっており、村の北側に住んでいることなど。

 

「お互い同じ村にいるんだ。気軽に声を掛けてくれ」

「こちらこそ。そうだ! 今度、近海を船で遊覧しませんか。操舵の出来る知り合いが出来たので」

「それは是非誘ってくれ」

 

 笑顔でアカメと別れて帰路に着く。

 

 ◇

 

 10日後、私は再びシズクに連れられ渚城を訪れていた。天守閣の広間にはソテツ王と柔らかく微笑むリンズ姫の二人が座している。

 

「………」

 

――はわわッ、リンズ様! 今日もなんてお美しい。

 

「ソテツ様、妹を連れて参りました」

「ご苦労。キリカと言ったな。リンズの傍付きをやりてぇんだって?」

「はい。誠心誠意お仕え致します。是非、私をお側に置いてください」

「いくら、シズクの身内とは言え大事な娘の世話を任せるには信頼が足りねぇ………お前、リンズの為に死ねるか?」

「当然です!」

 

 即答。信奉者として推しに命を懸けるのは当たり前のことだ。ウナト先輩も推しの為なら死ねると言っていた。

 

「迷いのねぇ目をしてやがる。蒼海に来たばかりのくせにどうしてそこまでリンズに入れ込む?」

「恐れながら申し上げます。私はこれまで大陸の各地を旅してきたのですが、リンズ様ほど素晴らしく素敵な歌姫はおりませんでした。では、リンズ様が美しく輝いてみえるのは何故でしょうか? 生来の容姿もありましょうが、それ以上に相応の努力をなさっているからです。所作一つ、微笑み一つとっても弛まね修錬の賜物でしょう。それが私たちに毎日の力、生きる希望を与える事へ繋がり、リンズ様の歌と踊りは、日常を忘れるほど奇跡のような時間を与えてくださいます。更には民一人一人の顔と名前を覚えておられ親身に寄り添い心の支えになる。相手に合わせた深い気遣いが込められたお言葉の数々。会話の引き出しや知識も豊富でそんなところにもリンズ様の勤勉さが見え隠れしております。蒼海の至宝という言葉すら姫様の尊さを表すには足りず、そんな姫様を育んだソテツ王様やこの国が素敵なことは言うまでもありません。さて、姫様の凄いところは他にもまだまだあって周りの雰囲気や感情に合わせて歌声の波長を変えておられるところ。その技量は凄まじく感服するばかりでこの前、砂州へ表敬訪問に来られた際などは………」

「キリカ、キリカ、その辺でっ」

「ぁ………失礼しました」

 

 いけない、推しポイントを語り出したら思わず熱くなってしまった。ソテツ王とリンズ姫が目を丸くしている。

 

「はっはっはっ! 面白れぇ奴ではあるな。リンズはどうしたい?」

「私は………この方に仕えて頂きたいと思います」

「リ、リンズさまぁ」

「まっ、リンズの努力に理解を示してる点は気に入った。シズクの話じゃ腕っぷしもたつんだろう?」

「それなりには」

「だが、殺しには忌避感があって出来ねぇとも聞いた。襲ってくる相手を殺せずにどうやってリンズを守る?」

「殺せずともに大抵の賊は制圧できると思います。お疑いでしたら、蒼海の武将を相手にお試しいただいても構いません」

「武将相手にとは大きく出たな。なら俺が試してやる。立ちな」

 

 起立するとソテツが正面にやって来て拳を構えた。その腕は太く鍛え抜かれているが、実力は位階_弐程度。

 

「一撃だ。その場から動かずに俺の一撃を受けるか、捌いてみろ」

「分かりました。いつでもどうぞ」

 

 自然体で佇んだまま攻撃を促した。

 

「いくぞ!」

 

 ズンズン歩み寄って来て正拳突きを放つソテツ。

 

「………」

 

 リンズ姫を育んでくれた偉大な父君には感謝しかない。太く逞しい腕を壊れ物のようにそっと受け止め、返す衝撃で肩こりを解してさし上げた。

 

 ぶるるるッ

 

「お、おおう!? き、気持ちいいだと!?」

 

 いきなりの快感に戸惑うソテツ王。

 

「キリカ、今何やった?」

「打撃の力を反転させて疲労箇所にお流ししました」

「すげぇな? 一発って言った手間悪ぃがもう数発頼めるか?」

「どうぞ、いくらでも」

「うぉりゃぁ!!! お、お、お、あっ! そ、そこ、そこ強めにッ」

 

 ソテツが連続で拳を撃ち込みながら心地よさに悶えている。

 

「と、父様………」

「ソテツ様の変なお声とか、勘弁してください」

 

 居た堪れない反応のリンズ姫とシズク。

 

「はっはっは!!! 流石はシズクの妹、大した実力だ。いっそ武将になる気はねぇか?」

 

 軽く汗を掻くまで私との組手を行い満足した様子で笑うソテツ。

 

「申し訳ありません。人を殺そうとすると震えが止まらなくなるのです」

「冗談だ。殺せねぇ理由もシズクから聞いた。お前の母親はさぞ無念だったろう」

「………」

 

 シズクはソテツ王に私が母を無残に殺されたトラウマで命を奪えなくなったと嘘の説明してくれている。

 

「自分で殺さなきゃ、目の前で死んでも問題はねぇんだろ?」

「それなら大丈夫です」

「良し、決まりだ。リンズの侍女を任せるぜ!」

 

「キリカ、これからお願いしますね」

 

 リンズ姫が私の前へ来て両手を握ってくる。

 

「ひゃい! こ、こちらこそ」

 

――手、柔らか………なんか良い匂いがするし。

 

 推しとの距離が近過ぎて、あっという間に限界化しそうだ。因みに限界化とは推しへの想いが昂り過ぎた結果、正常な思考や感情のコントロールができなくなる状態の事である。この大変危険な状態の事もウナト先輩に教えてもらった。

 

――も、もう一生手を洗いたくないかも。

 

 けれど、不衛生な手で姫様に仕える訳にはいかない。煩悩と理性の狭間で沸き起こる葛藤。

 

「ふふっ、緊張なさっているのですか? 面白い方………」

「………」

 

 私は姫様を守り抜く決意と同時に手を洗う苦渋の決断をした。

 

「シズク、狼共の群れがまた噛みつこうとしてきやがる。どうも、今回はいつもの小競り合いで済みそうにねぇ」

「承知しております。各方面への通達と焔玉の材料確保が必要ですね」

「ああ、悪ぃがまた黒潮国への遣いを頼めるか?」

「はっ!」

「………」

 

 焔玉とは異形の血と骨を使った爆弾の事だ。より殺傷力の高いモノを作る為に必要な異形の生息地が黒潮にあるのだろう。しばし、ソテツ王とシズクの軍議が行われお開きとなった。また、私の仕事始めは明後日からに決まり一旦八重波村へ帰る事にする。

 

「あたいは明日から任務でしばらく居ないけど、くれぐれも姫様が好き過ぎて襲ったりはするなよ」

「推しは愛でるモノですから、当然です!」

「めで? なんだって?」

「愛でるとは即ち決して見返りを求めず、姫様がおられる事を純粋に尊び、心の中でのみ愛しく大切に味わうこと!」

 

――ですよね、ウナト先輩。

 

「そ、そうか」

「あと、私は別に同性愛者じゃありませんし。リンズ様への想いは、なんて言うか憧憬に近いものでしょうか」

 

 そもそも、人外の私には人間相手の性欲というモノ自体存在しない。

 

「まあ、接する際の節度を守ってくれれば良いさ」

「あぁ〜〜姫様との日々が楽しみです」

 

 翌朝、任務に赴くシズクを見送った私は早速荷支度を始めた。流石に、山のような姫様関連品を持ち出すのは諦める。本人の目に止まったらどん引かれてしまう可能性が高いし、リンズ様の側に居られるなら関連品で気を紛らわせる必要はない筈。週一日ある休みの日に家で堪能出来れば十分だ。

 アカメに一言声を掛けて、殆ど城住まいになる旨を伝えておく。

 

「気軽に会えなくなるのは残念だが、良い仕事が見つかって良かったな」

 

 と、素直に祝福してくれた。

 午前の内に粗方、生活に必要な物だけ持って登城。午後からは二人いる姫様付きの先輩侍女との顔合わせや仕事内容の説明を受けて一日が終わる。そして次の日以降、本格的にリンズ姫の侍女として働き始めた。侍女の役割には当然着付けやお髪の整えが含まれており、私にとっては凄まじく危険な仕事である。何せ、リンズニウムの過剰摂取で常に限界化待ったなしの状態。姫様の肌は珠のように白く、艶やかな髪は天女の如き美しさ。たまに鼻歌を口ずさんでくれるのも最高過ぎる。

 

「凄く手際が良いのですね。気づけば着替えが終わっていて不思議な感覚です」

「恐れ入ります」

 

 【流源の瞳】を用いて力の流れを完璧に見切ったうえで、リンズ姫の動作を一切妨げないよう身支度を手伝っている。自画自賛になるが、速度、精度、快適さにおいて、私以上にお世話を完璧に出来る者などいないだろう。天職を得た満足感に浸りつつ、姫の髪を丁寧に梳いていく。

 

「ところでキリカ、あなたっていつも私の慰問先に来てくれましたよね」

「え゛? どどど、どうしてそう思われるのですか?」

 

 最近、姫様の歌を聴いていた時の格好を思い出して冷や汗が吹き出た。

 【リンズ愛】鉢巻き

 【リンズ命】半被

 【リンリンズ】応援旗

 【綸】の一文字が刻まれた仮面………

 などなど姫様商品の完全装備状態だった気がする。いや、でも丸笠と仮面を着けてたから顔は見られていないはず。

 

「私を応援してくださる声で直ぐに分かりました」

「こ、声ですか?」

 

 確かにいつもリンズ姫の歌が終わった後、ウナト先輩や信奉者達に混じって姫様最高!って叫んではいたが………。

 

「はい。私、音を聴き分けるのは得意なんです。一度庭園で直接会話もしていますし」

「ひ、ヒトチガイ、じゃないでしょうか」

「いいえ。間違いありません。私を慕ってくださる方々と一緒に楽しげな格好をしていましたね」

「ぁ、ぁ、ぁぅ」

 

 どうしよう、完全に信奉者(変態)だとバレている。推しに嫌われたらもう生きていけない、潔く死のう。

 

「そんな不安そうにしないでください。お礼を伝えたかっただけですから。熱心に応援してくださってありがとうございます」

「も、勿体無いお言葉」

 

――なんてお心の広い………。

 

 感動のあまり熱い涙が溢れ落ちる。

 

「キリカ、あなたは私の事を良く知ったうえで、たくさん褒めてくれましたね。とても嬉しかったですよ。これから頼りにさせてくださいね」

「はい!」

「それにしても、キリカほど歌を幸せそうに聴いてくれて人は始めてで、なんだか私まで幸せな気持ちになってしまいます」

「私は、リンズ様のお声を聴いている時だけ救われているのです。きっとあなた様の尊い生き様が歌声の中に現れているのだと」

 

――あなたの存在は生きる糧そのものです。

 

「私は何不自由無く蝶よ花よと育てられた箱入り娘に過ぎません。大した人間ではないのですよ」

「いいえ。人々の幸せを願って止まないリンズ様のお心は本当に素晴らしいです!」

 

 歌声や歌詞に込められた想い。人々に向ける眼差しや言葉は絶えず慈愛に満ち溢れている。

 

「まあ! 幻滅されないように頑張らないとですね」

「ご無理はせず、ありのままのリンズ様でいてください………」

 

 リンズ姫と言の葉を交わし合う夢のような時間。

 

――この世にこんな幸せがあるなんて。

 

 我が人生に一片の悔いなし。

 最推しと暮らせる喜びに満たされ瞬く間に刻が流れていく。信頼と実績を重ねた私はリンズ姫の母君である綾子様の推薦を受け、半年という異例の速さで侍女頭に就任。渚城における姫様専属お世話係の人事権までもを手に入れ、職権乱用の末に勤務日は24時間リンズ姫の世話役係に私自身を配置した。

 

「丸一日、休憩を取らなくて良いのですか?」

「私にとってはリンズ様のお側にいる事が何よりの癒しでございます」

「まあ、でも無理はしないでくださいね」

「御心配には及びません。週に一日はお休みを頂いておりますので」

 

 流石に週1休みを削るのはアカメと遊んだり、姫様関連品の手入れが出来なくなってしまう為に断念。

 

「今日の衣装は少しだけ華やかな感じでお願いします」

「かしこまりました」

 

 最速最短かつ繊細な手捌きで着付けを済ませる。リンズ姫の要望に沿えるよう橙色の衣をメインにしつつ朱色の飾りも添えてみた。

 

「では、参りましょうか」

「………」

 

 リンズ姫に付き従い天守閣の大広間へ入場。そこにはソテツ王を筆頭に蒼海の重鎮5名が集まっている。リンズ姫がソテツ王の近くに座り、更に3人加わったところで軍議が始まった。

 私の役割はリンズ姫を守ること。怪しい挙動をする者がいないかは常に確認している。ただ、重鎮達の名前や会話は殆ど頭に入ってこない。皆、何やら険しい顔で会議をしているが、私にとってはリンズ姫の素敵な後ろ姿を眺めながら可愛らしい心音を聴く事の方が重要である。

 

「天狼の大部隊が不知火砦に………大丈夫でしょうか?」

「………っ!」

 

 不安そうなリンズ姫の声で我に帰る。

 

――天狼国のせいでリンズ様のご尊顔が曇ってる!?

 

 おのれ、鬼神の力を解放出来るなら即刻叩き潰してやりたいところ。

 

「あそこは地形的にも難攻不落。マルゲ将軍と軍師のシオン殿がおりますれば、いつも通り心配はありませんぞ」

 

 明るい声で答える重鎮の一人。

 

「はっはっは、前と同じで狼どもは尻尾を巻いて逃げ出すだろうな」

 

 パンッと膝を叩いて言うソテツ王。

 

「父上、皆さま、私も出向き兵を労いたいと思います」

「おう! くれぐれも気をつけてな。キリカ、リンズを頼むぜ」

「はっ!」

 

 リンズ様の向かう場所にどんな危険があろうとも………

 

――絶対に掠り傷一つ負わせたりしません!




人物紹介
 ヒノワ
  元々の名前はヒナタといい、ヒノワは本編前に戦死した母親の名前を受け継ぐ形で名乗っている。人を引き付けるカリスマ性を持ったとても面倒見の良い少女で原作の主人公。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

無口で無表情(作者:マツユキソウ)(原作:アカメが斬る!)

絶大な富と権力を持った始皇帝が帝国を築き上げて約千年。▼その帝国が今、終わりを向かえようとしていた。▼度重なる重税により民は苦しみ、富裕層や重役達により理不尽に殺される。▼「誰かが変えなければいけない」▼誰が言ったのかはわからない。▼その思いは次第に広がっていき遂には革命軍なるものまで結成された。▼勢力を拡大していった革命軍は帝国に侵攻するべく様々な策を巡ら…


総合評価:3944/評価:7.93/連載:16話/更新日時:2024年01月20日(土) 00:18 小説情報

Re:TS白黒ストライプバニー老害によるナツキ・スバルの悲喜劇観賞会(作者:F・M・T (フランチェスカ、マジ年増))(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

「アハハハハッ!始まり、始まりぃー♪パンフレット買った?ポップコーン持った?早くしないと世紀の戦いを見逃しちゃうよ?」▼ Fakeのあのキャラに転生したオリ主が、スバル君の奮闘を眺めてケラケラ笑いながら観賞をする話。▼「……あれれー?もしかして、このスバル君。放っておいたら正史から簡単に外れちゃうぅ?」


総合評価:6930/評価:8.81/連載:7話/更新日時:2026年09月05日(土) 21:00 小説情報

ギターヒーロー in よう実(作者:右から左へ)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

よう実世界でぼっちちゃんに転生したTS転生者の話▼基本的に演奏する表現はキンクリします▼


総合評価:11379/評価:8.86/連載:9話/更新日時:2026年05月07日(木) 11:57 小説情報

落第騎士の英雄譚 意識低い系風味(作者:成間饅頭(旧なりまんじゅう))(原作:落第騎士の英雄譚)

いかなる分野においても、上に立つ者は強靭な意思を持ち、血の滲むような努力を重ねている。▼―――そんなものは幻想だ。▼真の天才には努力など必要ない。▼


総合評価:98285/評価:9.5/連載:40話/更新日時:2026年09月07日(月) 02:47 小説情報

普通に人体錬成しちゃった錬金術師(作者:ヤキブタアゴニスト)(原作:鋼の錬金術師)

母を蘇らせようとして、身体を失ったエドワードとアルフォンス。▼そんな二人の前に現れたのは、平然と人体錬成を成功させる国家錬金術師だった。▼「いいかい。真理だなんだがなくても、医学の知識がしっかりあれば人体くらい錬成できるんだよ」▼これは、賢者の石にも禁忌にも大してこだわらず、エルリック兄弟が人体錬成を勉強して家族を取り戻すまでの物語。▼数年前に途中まで書いて…


総合評価:21292/評価:8.7/完結:9話/更新日時:2026年08月28日(金) 16:56 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>