仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編 作:風人Ⅱ
―高層ビル・屋上―
エターナル『ウオオオオッ!!』
―ザアァンッ!!ギイィンッ!!ズシャアァッ!!―
サイクロン『クッ…!!』
とあるビルの屋上にて、白と緑のライダーが凄まじい挌闘戦を繰り広げていた。
ナイフの形状をした武器、エターナルエッジで攻めるエターナルの猛攻に対し、メモリの特性を利用し疾風の如く動き回り、鋭い打撃を繰り出すサイクロンだが、総合的な能力ではエターナルの方が遥か上だった。
そもそもダブルの時……特にエクストリームの状態でも苦戦した強敵を相手に、その片割れである本体ではないサイクロン……フィリップの勝ち目は殆どないに等しかった。
―ガキイィィィィィィィィィィィィィィインッ!!―
サイクロン『ッ!不味いね……このままではっ……』
負ける……そう悟って半ば諦め掛けた、その時だった……
「おろ?何処や此処?」
いつの間にか一人の青年が、エターナルとサイクロンが戦っている屋上に現れたのだ。
サイクロン『?!君は……速く逃げるんだ!』
市街地の騒動から避難していた一般人が迷い込んだと思い、サイクロンが少年に向けて叫ぶ。しかし少年は……
「んー……たしかにワイは関係あらへんけど……」
目前で繰り広げられる戦いに臆せずそう呟くと、少年の腰に南京錠の様なベルトと右手に変わった形状の鍵が現れた。
「その白いライダーの心の闇は見逃せへん!」
不敵な笑みと共に、少年は右手の鍵を前に突き出して「変身!」と叫び、ベルトの中央部にある鍵穴に差し込んで180度に回していった。
『Change!unlock!』
ベルトから電子音声が響くと共に、少年はベルトから出現した鎖に包まれていき、鎖が消えると、少年の姿は全く別の姿へと変わっていく。
鍵穴だらけの体。
背中には巨大な鍵の剣。
エターナル『何だ……貴様は!?』
サイクロン『仮面、ライダー……?』
『ワイは……心の力を解き放つ者、キーロック!仮面ライダーキーロックや!!』
高らかにそう名乗ると共に、ライダーに変身した少年……『キーロック』は鍵を摸した剣を背中から抜き、エターナルに目掛けて走り出し剣を振り下ろした。
エターナル『食らうか!』
―ガギイィッ!!―
しかしエターナルはそれを難無くエターナルエッジで受け止めて弾き、距離を離すように後方へと跳んだ。だが……
キーロック『ワイの剣からは逃げられへんでっ!』
それを目にしたキーロックは直ぐさま左腰に掛けてある複数の鍵のうちの一つを取り、剣の鍵穴へと差し込んだ。
『POWER!unlock!』
再び電子音声が鳴り響き、キーロックは剣を握り直しエターナル目掛けて一気に飛び出すと、剣の刀身が淡く輝き光りを纏った。そうして……
キーロック『でぇやあああああああッ!!!』
―ブザアアアアアァッ!!!!―
エターナル『なっ?!ぬあああああああああああっっ!!?』
咆哮と共に真下から一気に振り上げたキーロックの剣がエターナルを捉え、エターナルが咄嗟にそれを受け止めようとしたエターナルエッジごと彼を力任せに吹っ飛ばしていったのだった。そして地面を滑るように吹き飛んでくエターナルを見据えながら、キーロックは再び鍵を取り出していく。
キーロック『お前を、心の闇から救ったる!』
ふらつきながら身体を起こしていくエターナルにそう言って、キーロックは取り出した鍵を腰のベルトの中央へと差し込んだ。
『SPIRAL!unlock!』
三度鳴り響いた電子音声と共に、キーロックは地面に剣を突き立てながら上空へと飛び、体をドリルのように高速回転させながらエターナルに目掛け跳び蹴りの構えを取った。そして……
キーロック『スパイラルブレイク!!でえりゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーッッ!!!!』
―バキャアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーッッ!!!!―
エターナル『ぐ……ぐああああああああああああああああああッッ!!!?』
キーロックの放った必殺技……スパイラルブレイクが見事に炸裂し、エターナルは悲痛な悲鳴と共に爆発を起こしたのだった。そして爆発を背にキーロックが悠然と着地すると、その背後で変身が解除された克己が膝を着きながらゆっくりと地面に沈んでいき、克己の腰から外れたドライバーとエターナルメモリが地面に落下して砕け散っていった。
サイクロン『す……凄い!ファングジョーカーの……いや、それ以上の回転でのキック……凄まじい攻撃力だ』
サイクロンも、自分達があれほど苦労して倒したエターナルを一瞬で撃退したキーロックに呆気に取られる中、キーロックは変身を解いて少年に戻り大きく伸びをした。
「んー……ふう……さてと、ワイの役目はお終いや。帰ろっ」
驚愕するサイクロンを尻目にそう呟くと、少年はそのまま背後から現れた歪みの壁に呑まれ何処かへと消えていってしまった。
サイクロン『消えた……彼は一体?』
サイクロンは変身を解除しフィリップに戻りながら、突然現れてライダーに変身し、エターナルを撃退して消えてしまった少年に疑問を抱くが、其処で何かを思い出したようにハッと顔を上げた。
フィリップ「そうだ…大道克己は?!」
キーロックに倒された克己のことを思い出して克己の姿を探し辺りを見渡すと、彼は地面を這い蹲りながら逃走しようとしており、彼の先には何かのスイッチのようなものが転がっていた。
克己(あれさえ……あのスイッチさえ押せば俺達の……勝ちだ!街一つ吹き飛ばす爆弾の、スイッチを!)
フィリップ「大道克己…!何をする気だっ?!」
その光景を見て克己が手にしようとしてるスイッチが直感で危険なものだと悟り、克己を止めようと慌てて走り出すフィリップ。だが……
『SKL!MAXIMUM DRIVE!』
―バシュウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!―
克己「ぐあああああああああああああっっ!!?」
突如、何処からか前触れもなく紫色の閃光が放たれ、克己の腹を貫いたのだった。そして、閃光を貫かれた克己は断末魔を上げながら全身から無数の粒子を放ち完全に消滅してしまった。
フィリップ「なっ……今のは!?」
克己を襲った閃光に驚愕しながらフィリップは慌てて周りを見渡していくが、誰かの姿を視界に捉える事はなかった。
それどころか、ここは街で一番高いビルの屋上。他のビルからこの場所を狙撃するのは不可能なのだ。
フィリップ「……ゴメン、マリアさん……また彼を救えなかった……」
何れにせよ、克己を救えなかったことに後悔しながら、フィリップは何処からか飛んできたエクストリームメモリの中に吸い込まれ、そのまま歪みの壁に呑まれ消えてしまった。
◇◆◇
そして、彼等が戦っていた高層ビルから少し離れた遥か上空で浮遊する黒いハードタービュラーに乗り、黒い銃を手に白い帽子を頭部に被った骸骨のような外見のライダーの姿があった。
『……まだ甘いな、フィリップ』
フィリップが消えたビルを見下ろしながら静かにそう呟き、骸骨のライダーは頭の帽子を被り直し背後から現れた歪みの壁に飲み込まれ何処かに消えたのだった。