仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編 作:風人Ⅱ
―〇〇〇の世界・雑木林―
――とある町の郊外に存在する寂れた雑木林。其処は昼夜問わず幽鬼の類が出て来ても可笑しくないような不気味な雰囲気が漂う場所な故、付近の住民の誰もがその森に足を踏み入れる事は皆無に等しい。だが……
―ザザザザザァッ!!―
「はぁ、はぁ、はぁっ……!!」
「早くっ!早くっ!!」
そんな人気のない筈の場所で、必死に木々の間を駆け抜ける数人の少年少女達の姿があった。
彼等が背中に背負っているリュック、その服装や頭に被ってるキャンピング用の帽子などの格好から、恐らく学校行事の遠足かキャンプの為にこんな場所に来ていたのだろう。
だが、彼等のその表情はまるで幽鬼でも目にしたかのような恐怖に染まった顔を浮かべており、その彼等が逃げてきた方向からは……
『グルァアアアアアアアアアアアァッ!!!!』
『シャアァァァァァァァァァァアッ!!!!』
有象無象の幽鬼達……否、グロンギやオルフェノク、アンデッドやゾディアーツなどの多種多様の怪人達が奇声や雄叫びを上げながら彼等を追って来る姿があり、少年少女達はその怪人達に追われて逃げていたのである。しかし……
―ガッ!―
「あっ?!」
―ドシャァッ!―
「ッ?!かおりっ!」
少女の一人が雑木の根に足を引っ掛けてしまい、そのまま転んで倒れてしまったのだった。それを見た他の少年少女が慌てて少女へと駆け寄って彼女を抱き起こしていくが、これを機にと怪人達が一気に子供達へと迫って飛び掛かり、もうダメだと子供達が思わず顔を背けた。次の瞬間……
―ブゥオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーオオォンッ!!!!―
『?!―ドグオォッ!!―ヌエァッ?!』
『ギャッ?!』
「……え?」
「な、なに……?」
一体の怪人の爪が子供達に目掛けて振り下ろされようとしたその時、突如轟音のようなバイク音と共に一台のマシンが子供達の頭上を飛び越えて現れ、怪人達に突撃し跳ね飛ばしていったのだった。そして怪人達を跳ね飛ばしたマシンはそのまま呆然と固まる子供達の前で停止すると、マシンに乗った青年……黒月零はヘルメットをかなぐり捨てて子供達に叫んだ。
零「おい、何してるッ?!とっとと逃げろッ!」
「ッ……!は、はいっ!」
「あ、ありがとうございますっ!」
零に呼び掛けられ漸く正気に返り、子供達は零にお礼を言いながら倒れた仲間を支えて森の外へと逃げていく。そして零もそれを最後まで見送ることなく自分のマシン……ディケイダーから降りて怪人達と対峙していくと、森の奥から続々と現れる怪人達の数に思わず舌打ちしながら、コートの下にあらかじめ巻いていたディケイドライバーを露出させ左腰のライドブッカーからカードを取り出した。
零「此処もかっ。クソッ、どうなってるんだこの世界はっ……変身ッ!」
『KAMENRIDE:DECADE!』
そう毒づきながらバックルにカードをセットしてスライドさせると電子音が鳴り響き、零はディケイドへと変身して両手を叩くように払いながら怪人の大群へと勢いよく駆け出していくのであった。
『仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神
戦国バトルロワイヤル!』
◇◆◇
――どうしてこんな事態になってしまっているのか、その経緯は数時間前にまで遡る。
自分達の世界を救う為に、様々な仮面ライダーの世界を巡ってその世界で起きる滅びの現象を阻止し解決してきた零達一行が次に辿り着いたのは、学校の歴史の教科書に載っているような大昔の日本の城や武士達、そしてマシンに乗った様々な仮面ライダー達が戦場を駆け抜けるという謎の絵が描かれた背景ロールの世界だったのだ。
そんな不可解な絵に零達も最初は困惑しながらも、とにかくこの世界を調べれば何か分かるだろうと何時も通りに探索を開始しようと写真館の外に出て、零達は真っ先に視界に飛び込んできた光景に絶句して言葉を失ってしまった。何故なら……
――写真館の外に広がっていたのは、阿鼻叫喚が絶え間なく響き渡る地獄絵図の光景……。
数えるのも馬鹿らしくなるほど無数の怪人達が無差別に人々を襲い、町を焼き、無慈悲に命という命を食い散らかす地獄のような世界だったのだ。
そんな光景を不意打ちで見せられ呆気に取られるのも束の間、人々を襲っていた怪人達は驚愕する零達を次の標的にして襲い掛かり、零達もすぐさま応戦し人々を救う為に駆り出した。
写真館の防衛をヴィヴィオとナンバーズが勤め、それ以外のライダーである零、なのは、優矢、姫、アズサ、魚見、映紀の七人はそれぞれ街中に散らばって怪人達を撃退し、逃げ惑う人々をスバル達が安全な場所にまで誘導して避難させる。
そうしてスバル達が避難させた住民から話を聞いた所、どうやらあの無数の怪人達は突然前触れもなく何処からか現れ町を襲ってきたらしく、その原因は誰にも分からないらしい。
故に謎ばかりが深まるが、それでもみすみすこの世界の住民達が見殺しにされるのを見過ごす訳にはいかないと、零達は住民の救出を続けながら怪人大量発生の原因究明に動いていたのだが……
―ガギイィィッ!!―
『グゥアァッ?!』
『ガアァァァァァッ!!』
ディケイド『ッ!次から次へとっ……!一体何処から沸いて来るんだコイツ等っ?!』
原因究明に動いてから休む間もなく戦い続けて、既に数時間が経とうとしているのに、怪人達は未だその数を減らす事なく増え続けている。その事実に連戦続きのディケイドも流石に疲労を隠せずにいるが、それでも負けじとライドブッカーSモードを振るって怪人達を次々と斬り捨てていき、ライドブッカーからカードを一枚取り出してバックルに投げ入れた。
『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』
ディケイド『ハアァァァァァァァァァアッ!!』
―ガギイィィィィィィィィィィィィィィインッ!!!―
『グッ?!が、ウゥアアアアアアアアアアアアアアアッ?!!』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―
電子音声と共に怪人の大群に向けて出現したディメンジョンフィールドを一気に駆け抜け、ライドブッカーによる一閃で残った怪人を纏めて斬り裂き爆散させるディケイド。そして怪人の全滅を確認したディケイドは大きく息を吐くと、くたびれたように近くの木に背もたれ掛かった。
ディケイド『ッ……これで一体何戦目だ……いい加減に奴らの出所を見付けないと、これ以上はっ……』
怪人の大群と戦闘し、すぐにまたバイクで別の場所に移動して逃げ遅れた住民の救出と避難、怪人達の大量発生の原因の探索。これを既に休む間もなく数時間も繰り返し体力の限界が近いのだが、それでも泣き言を言ってる隙はないと、ディケイドは別の場所に向かう為に雑木から背中を離した。その時……
―ズガガガガガガガガガガガガアァンッ!!!―
ディケイド『?!グッ?!何だッ?!』
突如ディケイドに目掛けて何処からか無数の銃弾が放たれて襲い掛かり、それに反応したディケイドは咄嗟にライドブッカーで銃弾を防ぎながら身を屈めて残りの銃弾を回避したのだった。そしてディケイドも突然の不意打ちに困惑しながらも銃弾が放たれてきた方に視線を向けると、其処には……
―ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……―
『…………』
雑木林の奥から、草を踏み鳴らして静かに歩み寄って来る一人の人物……。灰色のマントを纏って全身を隠し、赤い銃のような武器の銃口をディケイドに向けながら近づいてくる謎の戦士の姿が其処にあったのだった。
ディケイド『ッ……!お前は……?』
『……フン……』
―ギュィィィィィィィィィィィィッ……!―
突然現れた謎の戦士にディケイドが怪訝な様子でそう問い掛けるが、謎の戦士は鼻を鳴らすだけで何も答えず、代わりに何かの能力なのか自身の足元の影をディケイドの周囲へと伸ばしていき、其処から無数の怪人達が出現しあっという間にディケイドを包囲していったのだった。
『グルァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!』
ディケイド『ッ!……成る程……お前か?こいつ等の発生源である元凶って奴は……』
『……ハアァッ!』
警戒心を強めて問い掛けるディケイドの質問にやはり答えようとせず、謎の戦士は銃のような武器を剣形態に切り替えながら問答無用でディケイドに斬り掛かっていき、それに対しディケイドも咄嗟にライドブッカーで謎の戦士の剣を弾いて初撃を退けそのまま鍔ぜり合いになるが、謎の戦士が持つ剣を目にしてその表情が驚愕の色に変わった。
ディケイド『赤い、ライドブッカーだと……?お前は……?!』
『フッ……ゼエェァッ!!』
―ズシャアァッガギイィィンッ!!ガギャアァンッ!!―
ディケイド『グウゥッ?!グァッ!!』
そう、ディケイドのライドブッカーと刃を交わし拮抗する謎の戦士の武器とは、ディケイドのと同じライドブッカーSモードを全体的に赤く染め上げたような剣だったのだ。ディケイドも自身の武器と酷似した武器に驚愕を隠せないでいるが、謎の戦士は構わずにディケイドのライドブッカーを切り払いながら素早く斬撃を叩き込み、後ろ回し蹴りを放ってディケイドを吹っ飛ばしてしまう。
ディケイド『クッ!クソッ……!思うように身体が動かんっ……!』
此処に来るまで連戦続きで体力を消耗している上に、疲労で満足に身体が動かせない。しかしそんな事は向こうからすれば好機でしかなく、謎の戦士が左腕を掲げると共に無数の怪人達が一斉に動き出し、ダメージと疲労で動きが鈍くなっているディケイドに向かって一気に飛び掛かっていく。が、その時……
『ATTACKRIDE:BLAST!』
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガアァンッ!!!!―
『ッ?!ギャアァッ!!』
『ヌゥアァッ?!』
『……!』
ディケイド『ッ!今の攻撃は……』
ディケイドに飛び掛かろうとした怪人達の真横から、何処からか響き渡った電子音声と共に無数の銃弾が飛来して怪人達に直撃し吹き飛ばしていったのだ。その光景を目にしたディケイドが目を見開いて呆然となりながら銃弾が放たれてきた方に振り返ると、其処にはライドブッカーGモードとウィザーソードガンGモードの銃口を謎の戦士達に向けながらディケイドの下に駆け寄って来る二人の仮面ライダー……なのはが変身したトランスと、魚見が変身した聖桜の姿があった。
トランス『零君、大丈夫ッ?!』
ディケイド『なのは、市杵宍……!お前ら、町の方はどうした?!』
聖桜『桜井さん達が代わりに引き受けてくれています。貴方が郊外の森に行ったきり戻って来ないから、何かあったのではと追い掛けてきたのですが……これは、どういう状況ですか?』
トランスと共にディケイドを守るように前に出て、謎の戦士と怪人の大群に銃口を向けたまま状況の説明を要求する聖桜。
トランスと聖桜からすれば、いつまで経っても戻って来ない零を追い掛けて来てみれば、いきなり見知らぬ戦士と怪人達がディケイドを襲っている場面に出くわした訳なのだからこの状況に困惑するのも当然だが、生憎ディケイドもあの謎の戦士の正体についてはまだ何も分かっていない。だが……
ディケイド『詳しいことはまだ分からん、俺も今さっき奴らに襲われたところだからな。ただどうやら、町を襲った怪人共を呼び出しているのは、あのマントを身に付けてる奴のようだ……』
トランス『?あの人が……?』
ふらつきながら身体を起こしてそう答えるディケイドの言葉を聞いて二人が謎の戦士に目を向けると、確かに謎の戦士の足元の影から未だ大量の怪人達が湯水のように出現しており、それを見て聖桜も納得したように頷いた。
聖桜『成る程……つまりあの人物が、この世界で暴れている怪人達を呼び出して、操っている元凶という事ですか』
トランス『でも、どうして……ううん、ならどうして、あんな酷い事をっ!貴方は一体、何が目的なんですかっ?!』
『…………』
何の罪もない子供から老人までの人々の命を無慈悲に奪い取り、町を焼いて破壊と殺戮の限りを尽くす蛮行。それらの行為が怪人達を生み出した元凶である謎の戦士による指示なら、何故あんな残酷な真似をしたのか。その光景を実際に目の当たりにしたからこそ、怒りを露わに謎の戦士に問い詰めるトランスだが、謎の戦士は無言のまま何も答えずに右手に持つ赤いライドブッカーを構え直し三人に再び斬り掛かろうとする。だが……
―……シュウゥゥゥッ……―
『ッ!……時間切れか……』
ディケイド『……?何?』
ディケイド達に斬り掛かろうとした動きを何故か突然止めて、謎の戦士は自分の左手を見下ろしながらそう呟いたのだ。その僅かな声を聞き取ったディケイド達もどういう意味だと訝しげな反応を浮かべるが、よく見ると謎の戦士の左手から粒子のようなものが立ち上り始めており、謎の戦士はそんな自分の左手を見ても気に留めた様子もなく軽く鼻を鳴らした。
『まあいい……コイツ等を制御する実験は済んだ……後は――』
―……ピシッ……ビシッ、ビシィッ……ガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
ディケイド『ッ?!何だッ?!』
聖桜『空が……割れた?!』
謎の戦士がそう呟いた次の瞬間、突如謎の戦士の上空に巨大な亀裂が走り、硝子細工のように砕けて時空の裂け目を作り上げたのだ。そして前触れもなく上空に突然出現した時空の裂け目から巨大な突風が放たれた後、裂け目は周囲の木々や怪人達を吸い込んでいってしまい、更には謎の戦士もそれに身を委ねて裂け目の中へと飲み込まれていってしまった。
―ビュウウゥゥゴォオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォッッッ!!!!!!―
トランス『うぅっ……!!な、何なのあれっ?!吸い込まれるっ……!!』
ディケイド『クソッ……!市杵宍ッ!お前の魔法の力でどうにか出来ないのかッ?!』
聖桜『無理ですッ!こんな状況では指輪を取り替える余裕もっ……!』
三人とも裂け目に吸い込まれまいと雑木にしがみつくだけで精一杯で、カードや魔法の力を使う余裕なんてない。そうして三人が必死に雑木にしがみつく間にも、裂け目は徐々にその勢いを増して周りの木々を根っこごと吸い込んでいってしまい、そして……
―……バキッ、バキャアァァッ!!―
トランス『っ?!う、嘘っ?!キャアァッ!!』
ディケイド『ッ!なのはッ!!』
―ガシッ!―
トランスがしがみつく雑木が遂に耐え切れなくなってバキバキッと嫌な音を立てながらへし折れてしまい、折れた雑木と共に吸い込まれようとしたトランスの手をディケイドが慌てて掴んで助ける。しかしその次の瞬間、ディケイドが反対の手で掴む木の枝が軋む音を立て折れ始めていた。
トランス『は、離して零君ッ!!このままじゃ二人共……!!』
ディケイド『出来るかそんな事っ!!ぐっ、くぅっ……!!』
―ミシッ、ミシミシミシッ……!!―
トランスを見捨てる事など出来る筈がない。どうにかして彼女だけでも助けようと、必死にトランスを自分が掴まっている木に近づけさせようとする。が……
―ミシッ……バゴォオオオオオオオオオオォンッッッ!!!!!―
ディケイド『ッ?!何?!グッ……ウゥアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!』
聖桜『ッ!零ッ!!高町さんッ!!』
トランス『キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!!』
ディケイドが掴まる雑木が地面ごと捲れ上がり、二人は雑木と共に裂け目に吸い込まれてしまったのだ。
そしてそれを目にした聖桜もすぐさま二人を助ける為に自ら裂け目へと飛び込んでトランスの右手をどうにか掴み取るが、ディケイドに伸ばした手は届かずそのまま二人諸共裂け目の向こうへと飲み込まれてしまい、ディケイド達と謎の戦士を飲み込んだ裂け目は徐々に縮小され、最初から其処に何もなかったかのように完全に消滅してしまったのであった……。
◇◆◆
―――そして……
―???の世界―
―……ビュウゥゥゥゥッ……―
零「…………ん、うっ…………ぁ…………?」
――吹き抜けた冷たい風が肌に当たり、裂け目に飲み込まれた影響で気を失っていた零は、漸く其処で意識を取り戻した。
零「…………っ…………ここ、は…………俺は……?」
何やらズキズキと痛む頭を抑えながら零がゆっくりと身を起こして辺りを見回すと、其処はゴテゴテとした岩山が何処までも続く荒野だった。
何故、自分はこんな場所に倒れて気を失っていたのか?
まだ完全に覚め切っていない脳裏にそんな疑問が思い浮かんだが、先程まで自分の身に起きた出来事……謎の戦士と戦い、トランスと聖桜と共に時空の裂け目に飲み込まれてしまった記憶がフラッシュバックした。
零「―――ッ!そうだ、俺は……なのは!市杵宍ッ!何処だッ?!」
先程までの出来事、そして自分と一緒に裂け目に飲み込まれてしまった二人の事を思い出して、近くにあの二人がいないか慌てて呼び掛ける零。だがそんな彼の声に返って来る返事はなく、零は思わず「クソッ」と毒づきながら二人を捜しに向かおうと一歩踏み出した。その時……
『『『ウゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!』』』
零「ッ?!……何だ、今の……?」
なのはと魚見を捜しに向かおうとした矢先、突然何処からか地を揺らがす轟音のような雄叫び声が聞こえてきたのだ。それも数人や数十人ではなく、数百数万の人間が一度に叫んだような、腹の底にまで響き渡る声。
それが気になり、零が何となしにその声が聞こえてきた方に向かって歩いていくと、その先に広がっていた予想外の光景を目の当たりにし、目を見開いて愕然としてしまった。何故なら……
―ドオオォンッッッ!!!ドオオォォンッッッ!!!ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッッッッッ!!!!!!―
ノーヴェ?「怯むなぁあああああッ!!敵将の首に目掛けて、突き進めぇえええええええッ!!」
『ウゥゥオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!』
シリウス『ハァアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
フェイト?「勝機はこちらにあるッ!!ディジョブド、貴方の力を見せてッ!!迎え撃てぇえええええええッ!!!」
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!』
ディジョブド『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』
―――零の目前に広がっていたのは、あまりに異質で、荒唐無稽で、デタラメな光景だったからだ……。
何故か昔の戦国武将のような鎧と兜を身に纏ったノーヴェとフェイトの二人が、それぞれシリウスのエンブレムとディジョブドのエンブレムが描かれた旗を背中に掲げて対峙し、数百人を越える大勢の武士達を互いの陣営に差し向け、爆発と銃弾が飛び交う戦場で戦い合う姿……。
そして何より可笑しいのは、歴史の教科書に載ってるような武士と武士が命懸けで戦う戦場に似つかわしくない二人のライダー……零の異世界の友人である紲那が変身するディジョブドと神威が変身するシリウスが、互いの武器をぶつけ合わせて激突する姿が其処にはあったのだ。
零「…………なんだ、これ…………どうなってるんだ…………」
あまりに意味不明な光景を目の当たりにし、零は思考停止して目の前で繰り広げられる合戦から目を離せずにいた。
ノーヴェとフェイトは一体何をやってる?
あの武士達や、あの二人の恰好は一体何だ?
何故、シリウスとディジョブドが互いに武器を向けて戦い合っている?
そもそも、何故連中はこんな大昔の合戦みたいな真似をしているんだ?
目の前の光景を眺めながらそんな疑問ばかりが次々と思い浮かぶ中、今度はまた別々の場所から爆発音と雄叫びが響き渡り、その音に釣られるように零が周囲を見渡すと、其処には……
―ブゥオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!―
first『ハアァッ!!!』
ロード『ハッ!!!』
――此処とは別の戦場で、firstのエンブレムが描かれた旗と、ロードのエンブレムが描かれた旗を背中に掲げた武士達が刀をぶつけ合わせて激突し、その中でそれぞれのマシンで戦場を駆け抜けて激しいカーチェイスを繰り広げるfirstとロードの姿があり……
―ズガガガガガガガアァンッ!!―
エグザム『ゼェアァッ!!ハッ!!』
エクス『グッ、ウアァァッ?!』
また別の戦場では、武士達と入り乱れエグザムがエグザムカリバーによる攻撃で怯んだエクスに飛び掛かって土砂を転げ落ちていったり……
『ガオォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』
ディライト『グッ!このっ!』
雷牙『ダァアアアアアアアッ!!!』
他の戦場では、素早い動きで襲い掛かって来るサンダーレオンの爪を必死に避けながら応戦するディライトに、雷牙が両腕のクローを振り上げて奇襲を仕掛ける姿もあったのだった。
零「―――そうか……そういう事か……此処は……」
三者三様……様々な場所で見知ったライダー達が合戦を繰り広げるその光景を前に、幾分か冷静さを取り戻した零は何かを理解したように目を細めて呟く。
零「――『戦国世界』……『武者ライダー』の世界か……」