仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編   作:風人Ⅱ

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劇場版小説/仮面ライダー×仮面ライダー ディケイド&ツヴァイ NOVEL大戦Evole ディケイドパート①

 

 

――戦国バトルロワイヤル。

 

 

それは、この"戦国世界"において『天下』という名の夢想に取り憑かれた武将達がそれぞれの国々の守護者である『武者ライダー』を使役し、他の武者ライダーを全て倒して最後の一人になるまで戦い続けるという天下取りの大合戦の事だ。

 

 

そして全ての武者ライダーを倒し、最後の一人として勝ち残った瞬間にその覇者には天下と、天下を支配した証である"力"が与えられると言い伝えられているらしい。

 

 

 

 

 

 

零「―――ほほう……で?そんな嘘か誠かも分からん与太話を信じて、こんなド派手なドンパチが毎日日常茶飯事で起きてるって事か?」

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーアァンッ!!!!―

 

 

『『『ウゥゥオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!』』』

 

 

 

 

 

 

若干呆れを含んだ様な口調でそう言いながら零が目を向けた先には、無数の爆発と銃弾が飛び交う戦場を駆け抜けながら敵軍に目掛けて進軍する武士の軍勢の姿があった。

 

 

そしてその様子を岩影からモグラのように顔を出して観戦していた零だったが、突然真横から誰かに引っ張られて岩影に引きずり込まれてしまい、零を岩影に引っ張った人物……全身や甲冑もボロボロの恰好になっている武士は、涼しい顔を浮かべる零に大声で怒鳴った。

 

 

「ちょ、なにやってんスか旦那ッ?!危ねぇーでしょッ!流れ弾が飛び交ってんのに頭出すとか死にてぇんですかいッ?!」

 

 

零「悪い悪い、分かったからそう怒鳴るな……んで?それよりさっきの続きだが、その武将達ってのはその天下と"力"とやらを手に入れる為に、あっちこっちでライダーを従えて戦ってるのか?」

 

 

先程適当に選んだこの戦場に密かに侵入した時に取っ捕まえ、戦国バトルロワイヤルの事を初めとしたこの世界での様々な出来事を教えてくれたボロボロの武士に再びそう問い掛けると、武士は岩影からこっそり外の戦況を盗み見ながら話の続きを語り出した。

 

 

「さぁ……皆が皆そうなのか分かりやせんが、少なくともこの天下取りに挑んでいる殆どの武将さん方は、そのつもりじゃぁないスかねぇ?武者ライダーが一体ありゃ、国を一つ焼くなり奪うなり簡単に出来るわけですからぁ、遊びでやってんじゃねぇのは確かですし」

 

 

零「……それがこの世界の現状、か……何となく察しは付いてたが、これはあの二人を探し出すのも骨が折れそうだ……」

 

 

「……?何か言いやしたか?」

 

 

零「……いや、なんでも」

 

 

そう答えつつも、零は頭痛を覚えて思わずこめかみを抑えてしまう。恐らく自分と同様にあの裂け目に吸い込まれこの世界に飛ばされたであろうなのはと魚見を早く見つけ出し、光写真館が滞在する世界に戻ろうと考えていたのだが、こんな戦国時代真っ只中な世界であの二人を見つけ出そうなど至難の業だ。

 

 

そう考えて溜息を吐きつつも、それでも諦める訳にはいかないかと、零は重い腰を上げて服に付いた汚れを払っていく。

 

 

「あ、もう行くんですかい旦那?」

 

 

零「ああ、早く探さなきゃならない奴らがいるんでな……いきなり踏ん捕まえて悪かった、世話になったよ。……そういえば、お前は一体何処の軍に仕えてるんだ?」

 

 

一応この男にはこの世界の現状を教えてもらった恩もあるし、仮にもしこの世界の武者ライダーと戦わなければならない事態になったとしても、彼が仕えてる軍とは出来るだけ戦わないにしようと考え、何となしにそう質問すると……

 

 

「あっしですか?あっしゃ、武者ツヴァイ軍の武将、"信長"様に仕えてるんですわ」

 

 

零「…………は…………?」

 

 

ピタッと、武士が口にした予想外の名前を聞いた途端に服の汚れを払っていた零の手が不自然に止まり、険しげな顔で武士の方に目を向けていく。

 

 

零「信長って……まさか、あの織田信長の事か……?」

 

 

「……?どの信長様かは知りやせんが、あっしが仕えている主君は織田信長様で間違いないですぜ。……それが、どうかしましたかい?」

 

 

零「……いや、別に何でも……」

 

 

天下統一を目指す戦国世界と言うぐらいだからもしやと思ったが、まさか本当に有名な武将、それも図らずもあの織田信長が率いる軍の武士と話をしていたとは思わず内心驚いてしまう零だが、努めて冷静さを装いながらポケットからコインを取り出し、指で弾き武士に渡した。

 

 

「うおっ、おおぉっ?な、何すかこりゃ?」

 

 

零「色々と教えてもらった礼だ。ついでにアンタと、アンタの大将の無事をせいぜい祈らせてもらうよ……」

 

 

「お、おお。へへッ、そんなん流れ者の旦那に祈られるまでもねぇですよ。何せあっし達の武者ツヴァイは最強ですからね!そんじょそこらの武者ライダーにゃ遅れは取らな―――」

 

 

 

 

 

「う、うあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!?」

 

 

『……ッ?!!』

 

 

 

 

 

 

零が武士と別れの挨拶を交わしている中、不意に突如戦場の方から悲痛な悲鳴が響き渡ったのである。そうしてその悲鳴を聞いた零と武士が慌てて戦場の方へと振り返ると、其処には……

 

 

 

 

 

『グルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』

 

 

『シャアァァァァァァアッ!!!!』

 

 

―ズシャアアァッ!!―

 

 

「ギャアァッ!!」

 

 

「ひ、ひいいいいいッ?!く、来るなッ!来るなぁッ!ウワアァアアアアアアアアアアッ?!!」

 

 

 

 

 

其処には、先程まで戦場に見られなかった筈の異形の怪物達……ミラーモンスターやワーム、ドーパント達の姿があり、陣営を問わずに無差別に武士達を襲っている光景があったのだった。

 

 

零「ッ!アイツ等は……!」

 

 

「な、何だぁッ?!化けもんッ?!『ギシャアァァァァァァァァァアッ!!!』ひ、ひぃいいいいいッ?!」

 

 

零「?!クソッ!」

 

 

何処からともなく突如現れ戦場を掻き乱してる見覚えのある異形達を見て思わず驚愕する零だが、その間に岩影に隠れる武士の下にもオルフェノクとイマジンが現れ彼に襲い掛かっていき、すぐさま我に返って武士に組み付くオルフェノクとイマジンを蹴り飛ばし、腰にドライバーを装着した。

 

 

「だ、旦那ぁ……!」

 

 

零「下がってろッ!変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

そう言って立ち上がるオルフェノクとイマジンを睨み据えながらバックルにディケイドのカードを装填してスライドさせディケイドへと変身していき、それを目にしたオルフェノクとイマジン、そして武士も驚愕を露わに動揺していた。

 

 

「だ、旦那ッ?!アンタッ?!」

 

 

ディケイド『驚いてる暇があったら早く隠れてろッ!ハアァッ!』

 

 

そう言いつつ正気に戻って飛び掛かってきたイマジンの攻撃を払い退けながら拳を打ち込んで後退りさせ、ディケイドは左腰のライドブッカーをソードモードに切り替えてオルフェノクに斬り掛かっていく。

 

 

ディケイド(いきなり前触れもなく現れた怪人……間違いない、恐らく奴が……!)

 

 

オルフェノクと戦いながらディケイドの脳裏を過ぎるのは、この戦国世界に飛ばされる要因となったマントを纏ったあの謎の戦士との戦い。あの裂け目の中へと消えた奴がこちらの世界に来ていたとしても可笑しくない。ならば恐らくはこの怪人達もと、オルフェノクとイマジンを纏めて斬り裂いて爆散させ、ディケイドは戦場で武士達に襲い掛かる怪人達に目掛けて疾走しライドブッカーを振るって怪人達に斬り掛かっていくのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

そしてその一方、ディケイド達がいる戦場から離れた場所に位置するとある戦場でもまた、突如現れた無数の怪人の大群がやはり無差別に両陣営の兵達を襲う姿があった。だが……

 

 

―ズシャアァッ!ガギイィンッ!―

 

 

『ウェアァッ?!』

 

 

『グボァッ!』

 

 

武者ツヴァイCP『ハァッ!フッ!』

 

 

武者リノベーション『ハッ!ヤアァッ!』

 

 

其処は、まともな抵抗も出来ぬまま武士達が怪人達に襲われる他の戦場とは明らかに違い、兵達に襲い掛かる怪人達を次々と撃退していく二人の武者ライダー……武者ツヴァイ軍の守護者の武者ツヴァイ・クラスターパンドラと、武者リノベーション軍の守護者である武者リノベーションが、自分達の陣営の兵達と総大将を守る為に戦う姿があったのだった。

 

 

「クッ!何なのだこやつらはッ?!いきなり現れたかと思えば、いきなり襲い掛かって来るとは……!」

 

 

「家康様ッ!このままでは危険ですッ!一度本陣まで退却を……!」

 

 

「馬鹿を言うなっ!敵軍の大将を前に、こんなところで引けるものかっ!」

 

 

家康と呼ばれた馬に跨がる白髪の女性はそう言うと、怪人達が現れるまで今まで対峙していた敵陣営である武者ツヴァイ軍の武将……家康と同じく馬に跨がって武者ツヴァイの戦いを静かに見守る、背中から真紅のマントを靡かせる流麗な黒の甲冑を纏った長い黒髪の女性を睨み付けていく。が、その時……

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガアァンッ!!!―

 

 

武者ツヴァイCP『ッ?!グ、ウグアァッ!!』

 

 

武者リノベーション『ウアアァッ!!』

 

 

「ッ?!ツヴァイッ!」

 

 

家康「な、何だ、今度はッ?!」

 

 

足軽達を守りながら怪人達を蹴散らす武者ツヴァイと武者リノベーションに突如無数の銃弾が撃ち込まれ、二人は装甲から無数の火花を散らして吹っ飛ばされてしまったのだ。そしてそれを見た家康と黒髪の女性が銃弾が放たれてきた方へと振り返ると、其処には……

 

 

 

 

 

―ザッ、ザッ、ザッ……―

 

 

『―――先ずは二人……見付けた……』

 

 

 

 

 

赤いライドブッカーの銃口を突き付け、背後に無数の怪人達を従えて静かに歩み寄って来るマントを纏った人物……零達がこの世界に飛ばされる前に戦った、謎の戦士の姿が其処にあったのだった。

 

 

「奴は……」

 

 

家康「また新手かっ……!リノベーションッ!早くあやつを仕留めて、敵の武者ライダーも倒してしまえッ!」

 

 

「ッ!待て家康ッ!迂闊に手を出すなッ!」

 

 

武者リノベーションに謎の戦士の討伐を命じる家康を黒髪の女性がすぐさま呼び止めようとするが、時既に遅く、武者リノベーションは周囲のグロンギとヤミーを斬り捨てながら謎の戦士に目掛けて一気に駆け出し斬り掛かっていく。しかし……

 

 

―ガギイィッ!!―

 

 

武者リノベーション『ッ?!―ズバアァッ!ガギイィィンッ!グガアァンッ!―ウアァッ?!』

 

 

『ヌウアァッ!ハアァッ!』

 

 

武者リノベーションが振りかざしたアマノハバキリを払い退け、謎の戦士が瞬時に剣形態に切り替えた赤いライドブッカーによる凄まじいまでの速さの斬撃が武者リノベーションに叩き込まれていき、武者リノベーションの首を掴み上げた。次の瞬間……

 

 

―バチバチバチィッ、ギュイィィィィィィィィィィィィィィィイッ!!!!―

 

 

武者リノベーション『う、うぐうぅっ?!ウアアアアアアアアアアアアアアアッ……!!!』

 

 

謎の戦士に首元を掴まれる武者リノベーションの全身に青白い火花が撒き散り、武者リノベーションの身体が突如捻れ、そのまま謎の戦士に腰に吸収されて消滅してしまったのであった。

 

 

家康「リ、リノベーションッ?!」

 

 

「武者ライダーを……取り込んだ、だと……?」

 

 

『……先ずは一人……次はお前だ……』

 

 

―ダッ!―

 

 

武者ツヴァイCP『!クッ!』

 

 

武者リノベーションを取り込んだ謎の戦士を見て驚愕する一同の反応に構わず、謎の戦士は次の標的に武者ツヴァイを狙い定めて勢いよく突っ込んでいき、それを見た武者ツヴァイもすぐさまパンドラソードを構えて謎の戦士に対し迎撃していく。其処へ……

 

 

―ガギイィィィィィィィィィィィィィインッ!!―

 

 

『グゥアアアッ?!』

 

 

『シャアァッ!!』

 

 

ディケイド『チィッ!いい加減しつこいッ!』

 

 

他の戦場で襲われる武士達を守りながら怪人達と戦っていたディケイドが、残り僅かとなった怪人達を引き連れその場に現れたのだ。そして、ファントムが振りかざした槍をライドブッカーで受け止めながら押さえ込むと、ディケイドは武者ツヴァイと切り合っている謎の戦士の姿に気付き目を見開いた。

 

 

ディケイド(アイツは……?!やっぱり、コイツ等が現れた原因は奴が……!)

 

 

―ギュイィィィッ!―

 

 

『フッ、ゼエェイアアァッ!!!』

 

 

―シュババババババババババババババババババババババババババババババアァッッッッ!!!!!!―

 

 

武者ツヴァイCP『グッ?!グアァッ!!』

 

 

ディケイド『うおぉッ?!』

 

 

―ドッガアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーアアァンッッッッ!!!!!!!―

 

 

『うっ、うあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ?!!!!!』

 

 

ディケイドがファントムの槍を払い退けて謎の戦士の下に向かおうとした瞬間、謎の戦士が武者ツヴァイのパンドラソードを弾き返しながら赤いライドブッカーの刃に莫大なエネルギーを溜めて横一閃に薙ぎ払い、それと共にライドブッカーの刃から無数の真紅のエネルギー刃が縦横無尽な軌道で武者ツヴァイとディケイド、そして二つの陣営……武者ツヴァイ軍と武者リノベーション軍に襲い掛かって無数の爆発を巻き起こしていき、両陣営の多くの兵達が次々と事切れて倒れていってしまう。

 

 

「ぐうッ!い、家康様ッ!リノベーションも失い、我が軍も甚大な被害を受けていますッ!これ以上は……!」

 

 

家康「クッ……おのれぇぇぇぇっ……退却だっ!退却しろぉっ!」

 

 

武者ライダーを失った以上、これ以上この場に留まっても自分の軍が余計な被害を受けるだけだと悟ったのか、家康は馬を操って自軍の兵達に退却指示を送りながら撤退を開始していく。そして家康達の後を追って逃げる武士達を怪人達が背後から追い撃ちを掛けようとするが、それを阻むように敵軍の大将であるハズの黒髪の女性が馬を操って怪人達を刀で切り払い、武者リノベーション軍の兵達の撤退を何故か手助けしつつ自軍の兵達に叫ぶ。

 

 

「我々も陣形を立て直しつつ、本陣にまで後退するぞッ!余力がある者は負傷している兵を守りながら避難させるのだッ!」

 

 

『……あの女……』

 

 

武者ツヴァイ軍と武者リノベーション軍の兵達の撤退を手伝いつつ、的確な指示を飛ばして馬を巧みに操りながら怪人達を次々と蹴散らしていく黒髪の女性。だが、謎の戦士は武者ツヴァイと戦いながらそんな黒髪の女性を無言のままジッと見つめ、何を思ったのか、いきなり武者ツヴァイの腹を蹴り飛ばし黒髪の女性に目掛けて赤いライドブッカーから巨大なエネルギー刃を飛ばしたのだ。

 

 

武者ツヴァイCP『ッ?!殿ッ!!』

 

 

―ズバアァァァァァァァァァァァァァッァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

「……?!ツヴァイ?!」

 

 

しかし、黒髪の女性に襲い掛かろうとした巨大なエネルギー刃は、武者ツヴァイが咄嗟に黒髪の女性の前に飛び出て身代わりになり、盾となったのだ。謎の戦士はその隙を見逃さずにすかさず武者ツヴァイへと斬り掛かり、何度も斬撃を叩き込んで弱らせてから力強く首を掴み、そして……

 

 

―バチバチバチバチィッ、バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーッッッ!!!!―

 

 

武者ツヴァイCP『ウグッ、クッ……グゥアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

先程の武者リノベーションと同様に、武者ツヴァイは全身から青白い火花を撒き散らしながら身体を捩らせ、そのまま謎の戦士の腰に吸い込まれるように吸収されてしまったのであった。

 

 

「なっ、また武者ライダーを……?!」

 

 

『これで二人……次は……』

 

 

武者ツヴァイを取り込んで満足げに溜め息を吐いた後、謎の戦士は黒髪の女性に目を向けてゆっくりと彼女に歩み寄っていき、それを見た黒髪の女性も険しげに顔を歪めて刀を持つ手に力を込めた。その時……

 

 

―バシュウゥンッ!―

 

 

『……ッ!チッ!』

 

 

謎の戦士の真横から、突然一発の銃弾が放たれて謎の戦士に襲い掛かった。完全に頭部を捉えたその弾は謎の戦士に直撃し掛けたが、謎の戦士は咄嗟に身を傾けてソレを回避しながらその場から跳び退くと、今まで怪人達と戦っていたディケイドがライドブッカーガンモードの銃口を謎の戦士に突き付けながら女性の前に立った。

 

 

「ッ……!お主は……」

 

 

ディケイド『怪人達を生み出すだけでなく、武者ライダーを吸収する能力か……いよいよ持ってきな臭さが増してきたな、お前の正体も』

 

 

『……貴様……何故此処に……』

 

 

ディケイド『お前のせいでこっち側に飛ばされてきたんだよ、お陰で大迷惑している……で、お前こそ何をしてる?あの世界での破壊だけでなく、こんな真似をして……何が目的だ?』

 

 

ライドブッカーGモードの銃口を突き付けたまま謎の戦士の目的を問い詰めようとするディケイド。しかし、それを見ても謎の戦士は軽くを鼻を鳴らすだけで身構えもせず……

 

 

『生憎だが、こちらはお前なんぞに構ってる暇はないのでな……お前はコイツ等とでも遊んでいろ』

 

 

―ギュイィィィィッ!―

 

 

『グルアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

ディケイド『!逃がすかッ!』

 

 

足元の影から無数の怪人を再び生み出して逃げようとする謎の戦士を追い掛け、ディケイドは襲い掛かってきた怪人達の攻撃を退けて潜り抜けていく。だが謎の戦士は背後にそびえ立つ崖の上へと跳躍して戦場から離脱してしまい、ディケイドもその後を追おうとするが……

 

 

「グ、ウアァッ!」

 

 

ディケイド『!』

 

 

背後から不意に悲痛な悲鳴が響き、ディケイドがそれを聞いて背後に振り返ると、其処には先程謎の戦士が生み出した無数の怪人達が黒髪の女性や武者ツヴァイ軍の兵達に襲い掛かる光景があった。

 

 

ディケイド『っ……ええい、クソッタレめっ!』

 

 

―バッ、ズシャアァッ!―

 

 

『ギャアッ?!』

 

 

「ッ!何……?」

 

 

一瞬謎の戦士を追い掛けるか踏み止まるディケイドだが、このまま彼等を見捨てる訳にはいかないと引き返して黒髪の女性を襲うドーパントを後ろから切り捨て、ライドブッカーから一枚カードを取り出しバックルにセットした。

 

 

『ATTACKRIDE:ILLUSION!』

 

 

電子音声が響き渡ると共に、ディケイドは四人に分身しながらそれぞれ散開し、兵達を襲う怪人達へと斬り掛かっていく。そして怪人全てを兵達から引き離して戦場の一カ所に集めていくと、それぞれカードを取り出しドライバーに装填してスライドさせた。

 

 

『『『『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』』』』

 

 

『『『『フッ……ゼエェヤアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!』』』』

 

 

『グ……ァ……ウゥオアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッッッッ?!!!』

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

再度響き渡った電子音声と共にディケイド達が空高く跳躍すると、それと同時に怪人達に目掛けて四人分のディメンジョンフィールドが形成されていき、四人のディケイド達はフィールドを一瞬で潜り抜け、怪人達にディメンジョンキックを打ち込み爆散させていったのだった。そして爆炎の中から飛び出たディケイドは既に一人に戻り、怪人達が爆発した炎を見つめて両手を叩くように払いながら身を起こしていく。

 

 

ディケイド(これで粗方片付いたか。それにしても、奴は一体何が目的だ?武者ライダー達を取り込んで……いや、アレは倒しているのか……?)

 

 

あの謎の戦士は何が目的で動いてるのか。元の世界で戦った時もそうだが、この世界で再び奴の行動を目の当たりにしてその謎が更に深まるばかりだ。とにかく奴を捕まえる……の前に、なのはと魚見と合流して奴を見つけ出なさいと、また破壊と殺戮を繰り返すかもしれないと考える中……

 

 

 

 

―ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッ……!!!!!!!―

 

 

ディケイド『……あ?』

 

 

 

 

思案するディケイドの周りを、突然武者ツヴァイ軍の兵達が取り囲み始めたのである。その光景を目にしてディケイドも頭上に疑問符を浮かべて辺りを見回していくが、兵達は構わずディケイドを包囲して一斉に刀をディケイドに突き付け、その中でも特に目立つ甲冑を身に纏った茶髪の少女が敵意を込めた目付きで口を開いた。

 

 

「貴様……何の真似だ?他の陣の武者ライダーが我等を助けるなど、我等に恩を売るつもりか?!」

 

 

ディケイド『?……意味が分からんな。大体何の真似だ、これは?この世界じゃ、恩人に刃を突き付けるのが礼儀なのか?』

 

 

「惚けるなッ!我等が武者ライダーを失った直後に助けに現れるなど、そんな都合のいい話が「止せ、蘭丸」……ッ!」

 

 

わざとらしく戯けるように小首を傾げるディケイドに蘭丸と呼ばれた茶髪の少女が食ってかかるが、それを制するように蘭丸達の背後から声が聞こえて振り返ると、其処には赤いマントを靡かせこちらに歩み寄って来る黒髪の女性の姿があった。

 

 

蘭丸「姫様……!」

 

 

ディケイド(?蘭丸、って……まさか、森蘭丸?この女が?……いや、それこそまさかだな)

 

 

森蘭丸と言えば、あの織田信長の側近であった有名な武将の名だ。それがまさか、こんな年端も行かぬ少女な訳がないと心の中でディケイドが否定する中、黒髪の女性は兜を脱いで誰もが見惚れるような綺麗な黒髪を曝し、ディケイドと向き合っていく。

 

 

「助けてくれた事には素直に礼を言おう……だが、伊達家の武者ライダーであるハズのお前が、何故我等を手助けするのだ?武者ディケイドよ」

 

 

ディケイド(……?伊達家?武者ディケイド?)

 

 

黒髪の女性の質問の意図が分からずに思わず口を閉ざしてしまうディケイドだが、黒髪の女性はそれを質問の拒否と受け取ったのか、一度瞼を伏せた後に再び口を開いた。

 

 

「答えられぬなら、質問を変えよう。伊達の奴は何処にいる?奴は生きているのか?無事なのか?何故今になって、お前が姿を現したのだ?」

 

 

ディケイド『おい……おいちょっと待てっ。さっきから何の質問をしてるんだっ?伊達って誰の事だっ?』

 

 

「?伊達は伊達家の伊達だ。『伊達政宗』……お前の主君だろう?」

 

 

ディケイド『伊達、政むっ……?』

 

 

伊達政宗。戦国時代を駆け抜けた有名な武将の一人であるが、それが自身の主君と言われ一瞬困惑してしまうも、ディケイドはすぐに首を振った。

 

 

ディケイド『誰と勘違いしているのかは知らんが、俺は武者ディケイドでもなければ伊達政宗の武者ライダーでもない……通りすがりの仮面ライダーだ』

 

 

そう言ってサイドバックルを開くと、変身を解除して零に戻り、それを目にした兵達と蘭丸、黒髪の女性は目を見開いて驚愕を浮かべた。

 

 

「人間、だと……?」

 

 

零「ご覧の通りな。だからお前の言う伊達政宗の武者ライダーでもないし、その伊達政宗が何処にいるのかなんて俺には分からん」

 

 

「……そう、か……俄には信じがたい話だが、我等の勘違いだった……という事か……?」

 

 

零「そういう事だ……で、そういうお前こそ一体何者なんだ?人に質問ばかりしていないで、そろそろ名前ぐらい教えてくれても良いんじゃないか?」

 

 

蘭丸「無礼者っ!貴様っ、姫様になんという口の聞き方を……!」

 

 

「構わんよ、蘭丸……確かにお主の言う通りだ。命を助けてもらっておいて恩人に勘違いで刃を向け、名も名乗らないとあっては末代までの恥……無礼を詫びよう」

 

 

蘭丸を制止して素直に自分の非を詫び、謝罪の言葉を零に口にする黒髪の女性。そんな彼女の姿を見て蘭丸や他の兵達も互いに顔を見合わせると、おずおずと零に突き付けた刀を下ろして一歩退いていき、それと入れ代わるように、未だ警戒を解かずジト目を向ける零の前に黒髪の女性が立ってマントを勢いよく翻し……

 

 

 

 

 

 

「うむ。では、名乗らせてもらおう。問うたからには簡単に忘れてくれるなよ?我こそ、この武者ツヴァイ軍の総大将にして、織田の当主……

 

 

 

 

……『織田信長』だッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

零「………………………………………………………………………………」

 

 

 

 

 

 

………………………。

 

 

 

 

 

 

零「はぃ?」

 

 

 

 

 

 

堂々と、長く美しい黒髪を靡かせて天にまで届かんとばかりに高らかにそう叫ぶ黒髪の美女……"織田信長"と名乗る彼女の名乗りを耳にし、零は思わず間抜けな声を上げて唖然とした顔を浮かべてしまうのであった。

 

 

 

 

 

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