仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編 作:風人Ⅱ
―TIME学園―
「ったく……何とか終わったな」
「うん……本当にね」
「にゃはは……本当にゴメン」
9月1日の朝。夏休み明けの生徒達が久々の学園に登校する中、生徒達に混じって校舎内の廊下を眠たげに欠伸しながら歩く三人の男女の姿があった。
彼等の名は、天満 幸助、中島 スバル、不破 なのは……。
零達も良く知る断罪の神、破壊の神、究極と狂気の神の人間時代の彼等である。
昨日はなのは(不破)が溜め込んでいた夏休みの宿題を徹夜で手伝った為にかなり寝不足になっていたが、何とか宿題を終わらせられた三人は欠伸を何度か繰り返しながら自分達の教室に入り、三人がそれぞれの席に座ると、ちょうど良く授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。
「ほら、席に座れー」
チャイムが鳴ると共に幸助達の担任の教師が教室へと入って教壇に立っていき、教室で騒いでいた生徒達もそれぞれの席に着いていく。そして席に着いた生徒達を見回すと、担任の教師は軽く咳ばらいをし話を切り出した。
「えー、おはよう諸君。早速で悪いんだが……うちのクラスに転校生だ。黒月!高町!入って来い」
教師が教室の扉に向かって呼ぶと、ガラッと音を立てながら扉が開かれ、二人の男女が教室に入ってきた。そして、クラス全員が教室に入ってきた二人の男女……というか、片方の女を見て驚愕した。何故なら……
幸助「何ィ!?」
スバル(中島)「嘘ォ!?」
なのは(不破)「へ?……私?」
そう、教室に現れた転校生の一人が、なのは(不破)と外見が瓜二つだったからだ。そして生徒達の間でざわめきが広がる中、教壇の上に立った二人の転校生……零となのはは自己紹介をし始めた。
零「黒月零だ。よろしく」
なのは「高町なのはです。よろしく♪」
零は若干無愛想に必要最低限の挨拶を、それとは対称になのはは人当たりの良い笑顔を浮かべながら生徒達に向けて自己紹介するが、生徒達からの反応は……
「なん……だと!?」
「鬼神が……冥王様が二人だと!?」
「こ……この世の終わりだぁぁぁあああああ!!」
……生徒達から返ってきたのは、幸助と並んで学園で悪名高い不破なのはがもう一人現れたと絶望し、頭を抱えながら恐怖で泣き叫び絶望する光景だった。
零「……大体分かった」
なのは「うん……これは酷いね……」
そんな光景を目の当たりにした当の本人達はなんとも言えぬ顔を浮かべ、此処に来るまでに見たなのはに対する生徒達の反応や噂などを思い出し、思わず苦笑いを浮かべてしまうのだった。
◇◆◇
―市街地―
零となのはがTIME学園で授業を受けているその一方、二人と別れた優矢達もこの世界の情報収集の為に別行動を取り、チームを別けて街中を散策していた。
優矢「――タイムオーガ、か……それがこの世界での怪人の名前なんだよな?」
アズサ「うん……私の中にある記録だと、断罪の神が時の神だった時代に各世界のライダー達を呼び寄せ、タイムオーガを生み出していた元凶を倒した事で全部消滅したらしいの……その時に、零となのはも戦いに参加してたんだって」
姫「時喰らいの鬼なぁ……私やウオミーが神格に至った時には既に封印された後だったし、今度は私が封印されている間にいつの間にか消えてしまっていたらしいから一度も見る事が出来なかったが、実際どんな感じなんだ?その時喰らいの鬼とは」
アズサ「ん……実際の姿は他の怪人みたいに色々あるけど、一番多いのは、ゴキカブリを素体にしたタイムオーガみたい……」
姫「……ああ、つまり雷の世界のローチと同じという訳か……」
優矢「?……なぁ、ゴキカブリってなに?」
魚見「今で言う、ゴキブリの昔の呼び名ですよ。昔は『茶碗をかじる』ことから、明治時代までゴキカブリっていう名で呼ばれてたんですが、文献の誤りが原因で今の『ゴキブリ』という名前で呼ばれるようになったそうです」
優矢「へぇ、そうなのかぁ」
シロ『ニャ~』
映紀「……お前らなぁ、人が食ってる時にゴキブリの話なんか持ち出すんじゃねえよ!折角の野菜がまずくなんだろ!」
優矢「いや……それ以前に野菜を食いながら歩きなさんなよ……」
映紀「馬鹿、栄次郎の爺さんが丹精込めて作って今朝採った野菜だぞ?!新鮮な内に食わなきゃもったいねえだろ!」
姫「だからと言って、歩きながら食べるのはさすがに行儀が悪すぎるぞ?子供が見て真似したらどうする気なのだ」
町を散策しながらワイワイ騒ぐ一団……フェイト達とは別行動で情報収集を行う優矢、映紀、アズサ、シロ、姫、魚見の五人と一匹。
中身はともかく外見はイケメンと美少女の集団という余りにも目立つ風貌をしている為に、すれ違う人達が好奇の目を向けて振り返るのだが、優矢達はそれに気付かずにタイムオーガの話やトマトなどの野菜を食べながら歩く映紀を注意したりしながら先を進んでいた。そんな時だった……
―ブオォォォォォォォォォォォォォオンッ……!―
優矢「……っ?!えっ?!」
アズサ「!これは……!」
町を歩いてた中、突然優矢、映紀、アズサ、姫、魚見の四人の周りに歪みが生じたのであった。それを見た優矢達はいきなり発生した歪みに驚いて辺りを見回し、なにが起きているのか分からず戸惑ってしまう。
魚見「これは、まさか滅びの現象……?!」
姫「まずい……!皆!引き返すんだ!急げ!」
―ドォンッ!ドォンッ!―
映紀「クソッ…!ダメだ!びくともしねぇぞ!」
急いでこの場を離れようと映紀が歪みに全力で体当たりして脱出を試みるがビクともせず、その間にも歪みの壁は徐々に濃くなっていき、そして……何事もなかったかのように優矢達ごと何処かへと消えてしまったのであった。
鳴滝「――申し訳ないが、この世界では君達の存在は少々邪魔になる。時が来るまで大人しくしていたまえ。この世界のクロノスが、ディケイドを倒すまで……」
歪みと共に優矢達が消えた場所を見つめながら、路地裏からゆっくりと姿を露わにした男……鳴滝は不敵な笑みを浮かべてそう呟き、踵を翻して何処かへと歩き出していくのだった。