仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編 作:風人Ⅱ
―尾張国境・荒野―
―ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッ……!!!!!―
――それから更に数時間後。あの後秀吉を交えた評定の間での話し合いの末に、信長達は家康が新たに招き入れた武者ライダーの正体を確かめる為にも家康からの決闘の申し出を受け、念には念を入れてと戦の準備をしてから武者キャンセラー軍と共に町を後にした。そして家康が指定した尾張国境を目指して無数の馬と様々な銃火を積んだ戦闘車を走らせる中、零はディケイダーを走らせ信長の馬と秀吉の馬と並走していた。
信長「――それで、お主は一体どうするつもりなのだ?零」
零「……どうもこうも、敵の武者ライダーの正体を確かめんとどうにもならないだろう?杞憂だったならそれでいいし、もしそうだったなら、話し合いでどうにか済ませるつもりだ……最も、両方のどっちかが人質にされて戦わざるを得ない状況にされていたら話は別だが……」
秀吉「家康に限ってそれはない、と言いたい所だけど……彼女も一度武者ライダーを失って余裕がない筈だからね。今は戦の真っ只中で敵同士である以上、そうしてこないとも限らないと思うわ」
零「……やっぱり、最悪の事態も想定しておいた方がいいか……」
信長「備えていて損はないだろうからな。……しかし、家康の奴は確かにうつけではあるが、アレはうつけなりに人並みの志は持っているし、無駄にプライドも高い。戦だからとは言え、人質などという下賎なやり方を進んで行い勝利を狙うような乏しい女ではないさ……そう信じたくある、という気持ちでもあるのだがな」
零「……だといいがな」
今は戦場で相見える敵同士とは言え、それ以前に秀吉と同じ昔馴染みである家康の人間性を信じたいと言う信長に零も少なからず同調する。人質を突き付けられて無理矢理戦わせられるという展開になれば最悪だが、そうでないなら幾らでも戦いを回避する方法があるはず。そう考えながら零が一同と共にディケイダーを走らせると、暫く走り続けてた荒野の向こうに大群の姿を捉え一斉に足を止めていく。その大群とは……
家康「――ふーはっはっはっはっはっはっ!!!!!のこのこやって来たか信長めっ!!今日こそこの地を貴様の墓場にしてくれるぞっ!!覚悟しろぉっ!!」
……大群の先頭の戦闘車両の上に様々な銃器を背負いながら仁王立ちし、お馬鹿丸出しで高笑いする一人の女性……武者リノベーション軍の総大将である家康の姿があったのだった。
零「………………なぁおい。まさかとは思いたいが、あの馬鹿っぽい女がもしかして……」
秀吉「……ええ。武者リノベーション軍の大将、徳川家康よ。間違いなく」
零「…………」
マジか、と零は直接声には出さずに左手で顔を覆ってしまう。信長や秀吉が散々うつけなど空気の読めない奴などとこぼしていたからどんな人物かある程度想像しつつも、交渉次第では話し合いでケリが付けられるかもしれないと考えていたのだが目論みが甘かった。
ああいう如何にもノリとかそういうので生きてるような感じのタイプが相手では、どう交渉を持ち掛けるべきか分からない。そうしていきなり出鼻を挫かれた零がどう策を練り直すかと頭を悩ます中、信長が家康に向けて叫んだ。
信長「貴様からの決闘の申し出に応えに来てやったぞ、家康。……だが、貴様は既に先の戦で武者ライダーを失っている筈だ。本当に武者ライダーを用意しておるのだろうな?」
家康「ふん、無論だとも。余は貴様のような大うつけみたく己の切り札を曝すような真似はせぬのだ。さあ、その目で刮目して見よッ!これが我が武者リノベーション軍の、新たな武者ライダーだッ!!」
バサッ!!と、家康がそう高らかに叫ぶと同時に彼女が佇む戦闘車両の脇に立て掛けられた武者リノベーション軍の旗が退けられ、その奥から二人の人物が姿を現す。それは……
なのは「――!零君!」
零「!なのは、市杵宍……!」
魚見「……やはり、そちら側の武者ライダーの正体は貴方でしたか」
旗の向こうから姿を現した二人……それは、この戦国世界に飛ばされた際に零と離れ離れになってしまったなのはと魚見の二人であり、零もやっと二人の安否を確かめられて安堵するのも束の間。予想通り、これからあの二人とライダー同士による決闘を行わなければならないのだという事実を改めて突き付けられて渋い顔を浮かべ、信長は横目でそんな零の様子を見て僅かに険しげな表情をしながら家康に視線を戻す。
信長「驚いたな……まさか三日と経たずに二人も新たな武者ライダーを手に入れていようとは……。よほど運に恵まれているのだな、貴様」
家康「ふっ、当然よ!貴様との戦で我が守護者である武者リノベーションを失い敗走を強いられ、挙げ句の果てにあの物のけ共の追撃に遭い一時はこれまでかと思ったが、天はやはり余を見放さなかったさ!我等の危機に颯爽と現れたこやつ等に命救われ、更には武者リノベーションを失い意気消沈していた我等の新たな武者ライダーとなってくれたのだからなぁ!」
零(……聞いてもいないのにベラベラと経緯を話してくれるな、あの女)
長秀(一度おだてると乗りやすいお方ですからね……長年の腐れ縁のおかげか、姫様も家康公の太鼓持ちが板に付いてますし……)
零(太鼓持ちというか……まぁ、あの女のチョロさに付け込んで情報を引き出すのは確かに手慣れているな……)
おかげであの二人が家康の武者ライダーになった経緯も大体分かった。多分あの二人も自分と同じように、はぐれてしまった自分を探そうとした矢先に戦の光景を目の当たりにし、一先ずこの世界についての情報を集めようとしてたところに武者ライダーを失って逃走していた家康の軍が怪人達の追撃に遭っている場面にたまたま出くわして咄嗟に助けに入り、そのまま家康に保護されて武者ライダーに仕立て上げられたというところだろう。……当然だが、やはり詐欺で婚姻届は書かされてなどはいないのだろうが。しかし……
秀吉「貴方が武者ライダーを新たに仕入れた経緯は何となく分かったわ……けれど解せないのよ。何故貴方はこの時機に信長に決闘を申し出てきたの?今の私達には、戦国バトルロワイヤルで鎬を削り合ってる場合ではない事ぐらい、貴方も重々承知してる筈でしょ?」
そう、秀吉の言う通りだ。幾ら武者ライダーを新しく手に入れたとは言え、今は戦国バトルロワイヤルの勢力図を大きく変える程の力を持つ謎の敵の出現により戦どころではない。なのにこのタイミングで信長を名指して決闘状を叩き付けたのには何の意図があるのか?それについて秀吉が問い詰めると、家康は愚問だと言わんばかりに鼻を鳴らした。
家康「決まっておろうが?この時機だからこそ、だ……今この日ノ本を騒がせるもののけ共を一掃するには、陣地を更に広め、新たに武者ライダーを手に入れて力を付けねばなるまいて。だから信長の首級と共に、そやつの武者ライダーを手に入れにきたのだ」
零「おいおい……」
秀吉「……それが解せないと言ってるの。貴方もあの敵を脅威に感じているなら、今は徒に戦火を広げるのは得策でない事ぐらい分かっている筈でしょ?武者ライダーが必要なら、同盟を組むという手も――」
家康「同盟?ふんっ、それこそ有り得ぬわ。……特に信長、貴様とならば尚の事なッ!」
信長「…………」
ビシィッ!と、人差し指を突き付けてそう叫ぶ家康に信長は無表情のまま家康を見つめ返すが、家康は構わず信長を見据えて拳を握り締めた。
家康「貴様は確か以前言ったな?この天下を力で統一し、その果てに、今の体制を棄てて新たな世を築くのだとか」
信長「……うむ、言ったな……で、それがどうしたというのだ?」
家康「貴様のうつけぶりも遂に自棄が回ったと言っているのだ。今の体制を棄て新たな世を築く?馬鹿めが……この体制を棄て去ればこの国が一体どうなるか、本気で分かっているのか?我等が潰えれば民達は烏合の衆となり、この国は衰退していくのみ……。貴様はこの国が今まで築き上げてきた物を棄て、今の暮らしを好み満足している者達の意志を無視して、民達を滅ぼすつもりか!」
高らかにそう叫び、信長が目指そうとしている天下を真っ向から否定する家康。しかしそれに対し、信長も落ち着き払った様子で首を横に振って応えた。
信長「確かにな……我が目指そうとしている世界は、この国が今まで築き上げてきたしきたりや様式を棄て去る事になる。それを愚かだうつけだと思う者も大勢いるだろう。……だが家康よ、この世に移り変わらぬものなどないのだ」
家康「……何?」
信長「人は飽く無き欲望を抱き、常に変化を求め進化し続ける生き物だ……それでも中には貴様の言う通り、今の生き方を維持したいと望む声もあるだろう……。だがな、世の中はそんな者達の意志とは関係無しに変化していくのが常なのだ」
家康「それを不変のものとするのが民の上に立つ我等の役目だろう!早急に全ての戦を納め、他国との同盟を結んで現状を維持する!それで十分だろうて!民達の今の生活と財産を守らずしてどうするか!」
信長「民達の事を思うなら尚の事だ……下克上が常のこの乱世、今この戦国世界は我や貴様のような様々な人間の野心や疑心から簡単に人を欺き、裏切り、奪い合う……ほんの少しのきっかけで簡単に戦が起きるのが今の現状だ……例え貴様の言うように、早急に戦を納めて他国と同盟しようと、それで絶対に裏切りには遭わない、戦には繋がらぬという確かな確証があるのか?」
家康「確かな、確証だと……?」
信長「……人は決して強い生き物ではない。例えば、今まで憎み合い敵同士だった隣国同士が同盟して和平を結んだとしても、いつか裏切られやしないかという隣国への疑心と恐怖に耐え切れず、どちらかが先に裏切って新たな戦に繋がり、新たな戦はその度に民達の財産や生活を奪い苦しめる……貴様が維持しようとしている現状とは正にそんな危ういもの、そんな惨状を我はこの目で何度も目にしてきたのだ。だから変えたいと思った。民達が二度と戦の影に怯えずに済む世界。そんな世界を築き上げるには、天下を統一し、今の現状を根本から変える必要があるのだと」
家康「何を小綺麗事を……そう言いつつ、貴様も戦を起こして戦火を広げている武将の一人だろう!」
信長「貴様に言われずとも重々承知している……それでも誰かがやらねばそんな世を築けぬのなら、他の誰でもない、我の手でやる。この戦国乱世を納められる事が出来るなら、幾らでもこの身を堕とし、幾らでも憎まれようさ……その覚悟はとうに出来てる」
零「…………」
互いに睨み合い、問答する二人の姿を零や他の一同も無言のまま見守り続ける。今の体制を変える事に否定的で、早急に全ての戦を納め現状を維持するべきだという家康と、今の体制を根本から変える為に天下を取り、この国の民達が二度と戦の影に怯えずに済む世を築くという信長。相反する考えを持つそんな二人に零も思わず何かを口にしようとしたが、すぐに口を閉ざした。
零(いや……よそ者の俺が口出しする事は何もないか)
この世界の行く末は、この世界の住人である信長達が最終的に決める事だ。他所の世界の人間である自分が深く関与するべきではないと考えながら、零は家康陣の武者ライダーのなのはと魚見に呼び掛けた。
零「おい二人共、こっちに来い」
なのは「え?け、けど……」
零「漸く合流出来たんだぞ?これ以上そっちにいても何のメリットもないだろ?あの敵の件もある以上、こんなところで決闘の真似事なんてしている余裕もないんだ」
魚見「それはそうですが……しかし、私達も家康さんには一宿一飯の恩義がありますから、彼女にその恩を返せないまま裏切るような真似は……」
零「む……」
零と違い根が真面目過ぎる二人だからか、一宿一飯の恩をまだ返せていない以上、このまま家康を裏切って信長側の零の下に戻る事は出来ないと、なのはと魚見はそう言って零と家康の顔を交互に見ながら迷いを浮かべていき、そんな二人の性格を知っている零もそれ以上は強く言えずに押し黙ってしまうが……
零(だが、どうする……?このままじゃどちらにせよあの二人と戦う事に……)
しかも自分が負ければ信長の頸を家康に差し出せねばならない。だからといって二人と本気で戦う事も出来ない。二人と戦うべきか、それともそれを理由に決闘を放棄して信長の頸を差し出すか。どう決断するか心の中で迷い零が苦悶する中、その様子を今まで見ていた長秀が信長の傍に近付き耳打ちしていく。
長秀(姫様……やはりあの様子だと、零も本気で戦う事は出来なさそうです)
信長(だろうな……探していた仲間と望まぬ形で戦わされるのだ。あやつに本気であの二人と戦うことなど出来はしないだろ……)
長秀(ええ。ですが、このまま決闘になったとしてもあの二人に圧されて負けてしまう可能性の方が高いでしょう。そうなれば姫様の頸を差し出さねばならなくなる……ですから――)
ごにょごにょ、と長秀は小さな声で信長の耳に何かを耳打ちしていき、その内容を聞いた信長は目を見開き思わず長秀の顔を見た。
信長(それは……しかし、大丈夫なのか?)
長秀(あちらのお二方も、家康公に恩があると引けぬようですからね。このままあの三人に望まない陰惨な戦いをさせるよりかはマシかと思います)
信長(……むう……分かった。今はそなたを信じよう。話はこちらで合わせる)
長秀(お願いします)
これも零達が今よりも辛い戦いに身を投じさせない為だと自分に言い聞かせて、信長は軽く咳ばらいした後に零に向け口を開いた。
信長「んんっ!……零よ、やはりあの二人と戦う事になりそうだが、大丈夫なのか?」
零「……どうだろうな……生憎本気で戦える相手ではないし、こっちが加減しながら戦うという手もあるが、それで勝てる相手でもないし……」
信長「うむ、確かにお主にとっては戦い難い相手この上ないだろうしな……だがそれでも、我は貴様が必ず勝つと信じているぞ?何せ、その……貴様は我の……最愛の『夫』、なのだしな……」
なのは「………………………………………え?」
魚見「……………………………………おっ、と?」
ヒュンッ……と、その瞬間、この戦場に漂う空気が一段と冷たくなったような気がした。が、肝心の零はそんな空気の変化には気付かず、あからさまに嫌そうな顔で信長の方に振り返った。
零「だからっ、そのらしくもない台詞もその呼び方も止めろと言っただろうがっ。お前との夫婦関係なんて俺は一切認めてないぞっ」
信長「ん?貴様が認めまいと、事実上我等は夫婦関係なのだから仕方なかろう?貴様は嬉しくないのか?こんな美人な妻を嫁に出来たというのに」
零「自分で言うなっ!大体あんな形で夫婦にされて、どう嬉しく思えと言うんだっ!」
信長「それはまぁ……あれだな、新妻らしく夫に色々と尽くすつもりでいるぞ?例えばこの決闘に勝った暁には、そうさなぁ……うむ、今晩の夜伽は貴様の望む通り、我を好きにしてくれてもいいぞ?」
蘭丸「なっ、ひ、姫様っ!なんとはしたない事をっ!」
零「……馬鹿にしてるのかお前?そんな物で俺が本気出してアイツ等と戦うとでも思って―――」
―……ゾワアァッッッ―
零「………………え?」
その時だった。ぞくりと、絶対零度の冷たい視線が零の全身にべったり張り付いたのは。全身からブワッと冷や汗が噴き出し、額から一筋の汗が流れる。その冷たい視線に釣られるようにゆっくりと零が振り返ると、其処には……
魚見「―――結婚、夫婦、新妻、夜伽……ほぉう……少し離れていた間に、随分良いご身分になられていたようですね……零……?」
なのは「ほんとだねぇー。私達が、零君一人で大丈夫かなってずっと気掛かりで昨日も一睡も寝付けられなかったのに……うっふふふふっ……ど う い う こ と か なぁ ?」
零「…………………………………………は……………………ぇっ…………?」
……完全な無表情と冷たさしか感じない眼差しを零に向ける魚見と、凄く優しげな笑顔を浮かべつつも絶対零度の凍気を放つなのはの姿が其処にはあり、そんな二人の姿を見て零も何故か心の内から自然とある確信を得た。
―――あ、これ死ぬな……と。
零「――あ…………あ、の…………ど、どうしたんだお前等…………?な、何故急にそんな怒り心頭になってるんだっ……?さ、さっきまで全然普通に話してただろうっ?」
魚見「いいえ、別に…………ただ貴方の節操の無さにいい加減、つくっ!づくっ!呆れ果ているだけですので…………」
なのは「私達も、ある程度は覚悟は決めてたよ?この世界の武将さん達って全員女の子みたいだから、ぜっっっっったいにまた零君が誰かにフラグ立ててふらっと帰ってくるんだろうなぁーって……なのに予想の斜め上を超えて結婚って……ねぇ、一体どうしたらそうなるのかなぁ……?」
零「…………ぃ、ぃゃぁぁぁぁ…………く、黒月さんもなんでこんな事になったのか全然分からないというかなあぁっ…………事故というかっ、うっかりというかっ、因果率が狂ったというかぁっ…………」
なのは「事故やうっかりでどうすれば織田信長さんの旦那さんになんかなれるのォオッ!!!!!!」
零「知らんわぁあッ!!!寧ろ俺が聞きたいッ!!!こっちだって自分の女運の無さにつくづく嫌気が差している真っ最中なんだぞぉおッ!!!」
何が悲しくて結婚詐欺に引っ掛かった上に織田信長の夫にされねばならぬのか。最早号泣一歩手間といった感じに叫ぶ零だが、信長は頬を紅くしながらモジモジと毛先を弄って拗ねるように口先を尖らせた。
信長「むー、其処まで嫌がる素振りをせずともよいではないか……我等はもう、一緒に裸で風呂に入った仲だろう……?」
なのは「ッ?!は、はだっ……?!//」
零「ぬおおおおおおおおおおおおいッ!!!お前も何とんでもない爆弾パスしてくれとるんだぁッ?!!」
信長「ん?今さら恥ずかしがるような事でもないだろう?貴様もあの時は堂々としていたし、我の裸をあんなにもじっくりと隅々まで見ていたではないか……あんなにも恥ずかしい体験は生まれて始めてだったのだぞ……//」
零「じっくりとも隅々とも見てはいないだろうがぁッ!!誤解を招くような発言するなぁッ!!」
魚見「……見て"は"いない、ですか……つまり彼女と裸同士で浴場に入ったのは嘘ではない、と?」
零「ッ?!……ぁ……い、いや、ち、違くてだなっ……?お、俺はっ、コイツと風呂になんぞ入る気なんて更々なくてっ……!」
信長「『なら、此処で俺が手を出しても文句言わないのか、お前?』……あんな言葉を男から向けられる日がこんな我にも来ようとはな……あの時は一瞬、我も自分を忘れて女になってしまったぞっ……//」
零「いい加減にしろテメェエエエエエエエエェェェェェェェェェーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!俺に何の怨みがあるってんだあああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーッッッッ?!!!」
『RIDER SOUL TRANS!』
『KAMENRIDE:TRANS!』
『gouka!now!』
『gou!gou!gou-gou-gou!』
どう見てもわざと焚き付けているようにしか見えない発言を繰り返す信長に零も思わず涙目になりながら怒鳴るが、直後に聞き慣れた電子音声が響き渡り慌てて振り返ると、其処には変身を完了してライドブッカーをガンモードに切り替えるトランスと、淡々と右手のリングを取り替える聖桜が背後からゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……と、とてつもない威圧感を放ちながら佇む姿があった。
聖桜『――成る程、よーく分かりました……どうやら貴方にはいい加減、『躾』という物を教え込んだ方が良さそうですね……』
『Explosion!Now!』
トランス『お父さんが勝手に結婚しただなんて、ヴィヴィオに一体なんて説明すればいいのっ……ほんっっとにもうっ……いい加減、その頭の芯まで冷やそうか……?』
『ATTACKRIDE:DIVINE BUSTER!』
零「ぁ……だ、だ、だから待てと言っているだろうッ?!!少しはこっちの言い分も聞けぇッ!!!確かにちょっとした手違いで夫婦になんかされたが、アイツとはきっちり別れて離婚するんだッ!!!別にアイツの事は特別好きでもなんでもないんだぞッ?!!」
トランス『なっ……あ、愛してもいないのに信長さんとの結婚を決めたっていうのッ?!最っ低ッ!!』
聖桜『しかもこんな大勢の前で離婚宣言するとは……ドン引きしました……デリカシーがないにも程があります……』
零「だからそうじゃないと言っているだろうがぁあッ!!!!」
信長(……ふむ。長秀よ、こんな感じでどうか?)
長秀(上々です♪これで零も本気で戦うのは無理だとしても、彼に本気で応戦させる事は可能でしょうね。……まぁ彼には気の毒ですが、嫌々仲間同士で戦わされるよりかはマシでしょう)
そのおかげか、仲間と戦わなければならないと沈んだ気持ちにっていた零からは既に悲壮感は漂っていない。……その代わり、なのはと魚見からの制裁を必死に回避しようと血相を変えて必死に弁解しているが。
家康「―――き、貴様等、いつまで余を放って駄弁っているのだぁッ!!!いい加減にしろッ!!!我等は決闘しに来ているのだぞッ!!!」
信長「むっ、言われずとも分かっておるわ」
秀吉「あら、私は別にもう少し続けてもらっても構わないんだけど?他所様の修羅場ほど見ていて飽きないものはないし」
家康「部外者は黙っておれ猿ッ!!大体信長ぁッ!!貴様は昔からそうやって余が気に入らぬ事ばかり――!!」
と、何処までもマイペースな信長と秀吉に家康が怒りを露わに怒鳴り散らし始め、両陣営の武者ライダーと武将達が勝手に言い争いを始めて決闘の雰囲気でなくなり掛けていた。そんな時だった……
―ガギイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィインッ!!!!―
『グアァァァァァァァァアッ!!』
「キャアァァァァァァァァアッ!!」
『『『……ッ?!!』』』
決闘の雰囲気がうやむやになり掛けてたその時、突如その戦場に甲高い金属音と二つの悲鳴が響き、それと同時に二人の人物が何かに吹き飛ばされるようにその場に転がり込んできたのだ。そしてその悲鳴と金属音に驚き一同が振り返ると、其処には両者共に剣を支えに立ち上がろうとしている二人……ライダーバトルを繰り広げていたハズの仮面ライダー天神と黒い少女の姿があったのだった。
天神『グッ……!クソッ、なんて出鱈目な強さだっ……!』
「ッ……不意打ちとは言え、私が遅れを取るなんてっ……」
家康「な、何だ、あやつらは……?」
零「あれは……まさか、天神かッ?!」
聖桜『桜ノ神ッ?!』
天神『……ッ?!零ッ?!それに魚見、なのはもッ!無事だったのか!』
突然戦場に吹っ飛ばされてきた二人組の片方が天神と知って零達が驚愕する中、天神も身体が傷付いているにも関わらずに三人の姿を見付けて安堵の様子を浮かべていくが、其処へ……
―ザッ、ザッ、ザッ……―
『――邪魔物の掃除をしていたところに、まさか最後の一人を見付けようとはな……これは運がいい』
天神と黒い少女が吹っ飛ばされてきた方からゆっくりと新たな参戦者……全身を覆う灰色のマントを纏い、右手には鮮血のように赤いライドブッカーを手にした謎の戦士が姿を現し、零達は目を見開き驚愕を浮かべた。
零「アイツはっ……!」
トランス『あ、あの時のマント付きッ?!』
秀吉「そんな、どうして奴がこんな場所にっ……!」
信長「っ……」
たった一晩で各陣営の武者ライダーを十人以上倒した謎の戦士の参戦。本来なら、入念な準備や各陣営との一致団結を持って戦わねばならないほど危険な存在の予想外の登場に動揺してしまう一同だが、そのことを知らない天神は右手に握り持つ無双セイバーの鍔の部分のスライドを引き……
天神『いつまでそうやって顔を隠してるつもりだっ?いい加減正体を現せっ!!』
―バシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッ!!!―
『……!』
―ガギイィィィィッ!!―
無双セイバーの鍔の部分の銃口を突き付けてトリガーを引き、数発の弾丸を謎の戦士に目掛けて素早く乱射したのである。それを目にした謎の戦士も咄嗟に赤いライドブッカーを盾に使い咄嗟に弾丸を防いでいくが、数発の弾丸を防ぎ切れずに幾つかがマントに直撃し、その内の一発がフードを払い退けてその下に隠されていた素顔を露わにしたのだった。その素顔とは……
ディケイド?『…………………………………』
天神『ッ?!な、何……?』
聖桜『あ、あれは……?』
零「……ディケイド……」
そう、フードの下に隠されていた謎の戦士の素顔とは、血のように赤く染まった仮面と複眼以外ディケイドに全く酷似した外見をしていたのであった。その予想外の正体にトランスと聖桜と天神は驚愕してしまい、前の世界での謎の戦士との戦闘で見たその武器から既にその正体がある程度予想が付いていた零は険しげな眼差しで赤いディケイドを睨むが、信長達はその赤いディケイドを見て信じられないものを見たような顔で驚愕していた。
家康「あ、あやつはっ?!」
秀吉「まさか……武者ディケイド……?!生きていたの?!」
零(ッ!武者ディケイド?……確か、伊達政宗の武者ライダーだったっていう?)
この世界の半年前に、突然何者かの襲撃によって伊達政宗と共に何処かへ消えてしまったという武者ディケイド。それがあの赤いディケイドだという秀吉に零も訝しげな表情を浮かべてしまうが……
ディケイド?『武者、だと?……否……断じて否!!我はそんな軟弱な存在などではない!!』
信長「……?武者ライダーではない?……なら貴様、一体何者だというのだ?」
自分は武者ライダーなどではないと否定する赤いディケイドに対し、その正体を見極める為に一歩も退かず鋭い眼光を向ける信長。するとそんな信長の問い掛けに対し、赤いディケイドもマントを剥ぎ取って今まで隠していた姿を曝しながら両手を広げ……
ディケイド?『良いだろう……知らぬならば聞かせてやる、心して聞けッ!!!我が名は"邪武者"!!!"邪武者ディケイド"ッ!!!この天下を手に入れる者為りッ!!!!』
零「……邪武者、ディケイド……?」
邪武者。零も知らない武者ライダーとは全く異なる異名を名乗る赤いディケイド……『邪武者ディケイド』の高らかな名乗りを聞き零や他の一同も呆然としてしまうが、それを他所に、邪武者ディケイドは足元の影から再び無数の怪人を生成して新たに呼び出していき、その数はあっという間に万を軽く超える程の数にまで増えていってしまったのだった。
『『『グウゥゥルアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!』』』
勝家「っ?!な、何だあの馬鹿げた数はッ?!たった一瞬であんな数のもののけを……?!」
信長(ッ……!前に戦った時よりも遥かに化け物共を生み出す速さが増している……やはり武者ライダー達を倒さずに取り込んでいる影響なのか……?)
明らかに以前よりも怪人を生み出す速さが増している邪武者ディケイドに一同が戦慄を覚え、武士達もその圧倒的な数に腰が引けてたじろいでしまう中、そんな一同に邪武者ディケイドは徐に赤いライドブッカーの切っ先を向けていき……
邪武者ディケイド『漸くだ……この戦で漸く全てが手に入る……天下の頂は目の前にぃッ!!!掛かれえぇぇッ!!!皆殺しにしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!』
『『『グルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッ!!!!!!!』』』
零「ッ!いきなりかクソッ!信長ッ!兵達を下がらせろッ!生身の人間にアイツ等の相手は危険過ぎるッ!」
長秀「ッ!いけませんッ!此処から一山越えた先には人里もあるんですッ!此処で兵達を下がらせれば、あの化け物達を人里に侵入させ兼ねませんッ!」
信長「……つまり、此処で食い止める以外ない訳か。秀吉ッ!貴様の軍だけでも下がらせろッ!奴の狙いは十中八九貴様の武者ライダーだッ!」
秀吉「馬鹿を言わないで、同盟軍を置き去りにして逃げ帰るほど、私達は薄情ではないわ……信長軍を援護するぞッ!!キャンセラーは私の傍を離れるなッ!!家康、貴方も手伝いなさいッ!!」
家康「貴様が命令するなッ!!全軍、迎え撃てッ!!こうなればあの主を失った幽鬼を討ち取り、信長の頚も討ち取ってやれえぇッ!!」
秀吉「ッ!貴方ねぇ!」
信長「おけぃ。向かって来るなら家康達は我等の軍で抑える、貴様はあの邪武者達を零達と共に頼む。……全軍、此処で必ず奴らを食い止めるぞッ!!!絶対にあの邪武者共に尾張の土を踏ませるなぁあああああああああああッ!!!!」
『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!』』』
信長の号令と共に信長軍の兵達がそれぞれ武器を掲げながら高らかに叫ぶ。そうして、邪武者ディケイド軍の怪人達と家康軍の兵達が一斉に動き始めたと同時に信長と秀吉の連合軍も馬と戦闘車を走らせ、天下分け目の三つ巴が火蓋を切って落とされたのだった。