仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編 作:風人Ⅱ
―尾張国境・荒野―
『グゥルアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
―ガギイィッ!!バキィッ!!ガギイィィンッ!!―
ドラコ『ガハッ!』
「ウアァッ?!」
天神『グッ!』
その頃、トランス達は未だ並外れた防御力を誇るゲンブジャキに対しダメージを通す事が出来ずに苦戦し、鋭爪を振るって襲い掛かるゲンブジャキの猛攻に圧倒され次々と吹き飛ばされてしまっていた。しかしそれでも負けじと、態勢を立て直したトランスはライドブッカーからカードを取り出してドライバーに装填し、聖桜も右手の指輪を取り替えてセイオウドライバーのバックルへと右手を翳していく。
『ATTACKRIDE:DIVINE BUSTER!』
『Cho-iine!』
『Special!Saiko-!』
聖桜『ハァッ!!』
トランス『シュウゥーーーーーートォッ!!!』
―ドシュウゥウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!―
『ヌッ!』
重なり合う二つの電子音声と共に、トランスはライドブッカーGモードの銃口から桜色の極太の砲撃を撃ち出し、聖桜は前方に出現させた朱い魔法陣から巨大な火炎放射をゲンブジャキに目掛けて放出した。しかしそれに気付いたゲンブジャキは咄嗟に両腕を広げてトランスの砲撃と聖桜の火炎放射を真っ向から受け止め、そのまま砲撃と火炎放射を弾き返してしまう。
―ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアァァンッッッッ!!!!!―
トランス『クッ!やっぱりこっちの技が通じない……!』
迅武『クッソッ!おい、どうするんだッ?!このままじゃジリ貧だぞッ?!』
ドラコ『言われなくとも分かっているッ!弱音を吐いてる暇があるなら、その足りない頭で打開策を考えろッ!』
迅武『それが分かんねぇから聞いてんじゃねぇかッ!ってか足りない頭言うなッー!』
「ああもうっ、こんな時に喧嘩なんかしてんじゃないわよ鬱陶しいッ!!」
『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!』
ゲンブジャキを倒す攻略法が分からず焦りばかり募り子供染みた喧嘩まで勃発する中、そんなライダー達に無数の怪人達が追い撃ちを掛けるように襲い掛かり、ライダー達も咄嗟に反撃しそれぞれ怪人達と戦っていくが、そんな彼等にゲンブジャキが再度攻撃しようと蛇に酷似した尻尾を向けて尻尾にエネルギーを溜めていく。そんな時だった……
―バシュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!―
『……?!ヌゥオッ?!』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーアアァンッッッッ!!!!―
『ッ?!!ギガッ、ギィヤアァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ?!!!!』
聖桜『ッ?!』
ドラコ『な、なんだ、今の砲撃はッ?!』
ライダー達に再攻撃しようとしたゲンブジャキを邪魔するかのように、上空から突如巨大な砲撃が降り注いで来たのだ。ゲンブジャキは直ぐさまその場から退き砲撃を回避したが、かわされた砲撃はそのまま連合軍の武者達に襲い掛かろうとした別の怪人達を飲み込んで蒸発させていき、それを見たライダー達と怪人達が砲撃が放たれてきた方へと振り返ると、其処には上空に浮遊しながらメイオウガッシャーの先端を突き付ける冥王の姿があった。
冥王『ふむ、どうやら良い具合に苦戦しているみたいなの』
天神『冥王?!』
トランス『ちょっ、神樹の木の根の方はどうしたのっ?!まだあんなに沢山残って……!』
冥王『言われなくて分かってるの。ただあの樹の方で何か面白そうな物を見付けたから、姫ちゃんと其処の二人に渡そうかと思って♪』
迅武『へ?俺、たち?』
天神はともかく、初対面である筈の自分達まで名指しされ困惑気味に顔を見合わせる迅武とドラコ。冥王はそんな二人と天神に後ろ腰から取り出した三つの錠前をポイッと投げ渡し、それを見た迅武は慌てて錠前……クロノスロックシードを、ドラコはツヴァイロックシードを、天神はメイオウロックシードを受け取っていく。
ドラコ『ッ?!これは……!』
天神『仮面ライダーのロックシード?!何故こんな物が……?!』
冥王『さぁ?私はただソレを見付けただけだし、とにかく、苦戦してるならソレを使ってみたらどう?』
迅武『な、何か良く分かんねぇけど……これであの亀野郎に対抗出来るなら!』
あのゲンブジャキの防御を突破出来るならばと、迅武はクロノスロックシードの解錠スイッチを押し、それを見たドラコと天神も決心してツヴァイロックシードとメイオウロックシードの解錠スイッチを押していく。
―ガチャッ!―
『CLONOS!』
『ZWEI!』
『MEI-O!』
解錠された三つのライダーロックシードから立て続けに電子音声が響き、直後に迅武、ドラコ、天神の頭上にジィッ!と、ファスナーが開くように裂け目が現れ、其処から果実や異形とも違うあるモノが出現する。それは……
トランス『え、な、何アレ?!』
「クロノスの……顔?!」
そう、裂け目から現れたモノの正体とは、クロノス、ツヴァイ、冥王の顔に酷似した三つの巨大なアームズだったのである。一見すると異様にしか見えないそのライダーアームズ達を見てトランス達や怪人達、当の本人達である迅武達も騒然としていたが、すぐに気を取り直してライダーロックシードをそれぞれのベルトのバックルにセットし、カッティングブレードでスライスさせていった。
―スパアァンッ!―
『Soiya!』
『CLONOS ARMS!』
『GATE UP!Ijiri Taosuze!』
『Come on!』
『ZWEI ARMS!』
『TORNADO!FANG!HA・HA・HA!』
『Soiya!』
『MEI-O ARMS!』
『Saikyou no Orchestra~♪』
それぞれのドライバーから電子音声が響き渡ると共に、迅武達の頭上に浮遊するライダーアームズが迅武、ドラコ、天神の頭に次々と落下していき、そのライダーをモチーフにした鎧へと変形してアームズチェンジしていったのだった。
迅武はクロノスをモチーフにした赤い瞳に漆黒の鎧、右手にクロノスブレイドを握り締めた『迅武・クロノスアームズ』に、ドラコはツヴァイをモチーフにした緑と黒のツートンカラーの鎧にスナイプトリガーを手にした『ドラコ・ツヴァイアームズ』、天神は冥王をモチーフにした純白の鎧にメイオウガッシャーを手にした『天神・メイオウアームズ』となり、アームズチェンジした三人はゲンブジャキ達と対峙していく。
迅武CA『さぁ、お前ら全員弄り倒すぜッ!!』
ドラコZA『さあ、お前の罪を数えろッ!!』
天神MA『さぁ、恐怖の悲鳴と惨劇の断末魔のオーケストラを奏でてやろうッ!!』
『グウゥゥゥッ……グゥルアァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!』
三人がそれぞれのアームズの元となったライダー達の決め台詞を叫ぶと同時に、ゲンブジャキが獣の雄叫びを上げて背後に従える無数の怪人を迅武達に差し向けていき、それを見た迅武も腰に差した無双セイバーを抜いてクロノスブレイドとの二刀流となり、トランス達と共に怪人の軍勢を迎え撃っていくのだった。
トランス『ヤァッ!』
聖桜『ハッ!』
―ズガガガガガガガガガガガガガアァンッ!!バキャアァッ!!ズガァンッ!!―
『ヌガァッ?!』
ドラコZA『フッ!どうしたその程度かッ?!ハッ!!』
迅武CA『ウオォリャッ!!まだまだ行くぜぇッ!!』
―カシュゥッ!―
『Soiya!』
『TIME QUICK!』
「こっちもいくわよ!タイムクイックッ!」
『TIME QUICK!』
トランス、聖桜、ドラコはそれぞれの銃から銃弾の雨を振り撒いて怪人達を次々と薙ぎ倒していき、迅武と黒い少女はタイムクイックを用いて高速戦に突入し、怪人達の軍勢を目にも留まらぬ速さで斬り裂いて爆散させていく。そして二人がタイムクイックを解除した直後にゲンブジャキが迅武と黒い少女に襲い掛かり、咄嗟に反撃して斬撃を叩き込むも、やはり並外れた防御力の前に弾かれてしまう。
迅武CA『クッ?!この錠前の力でもまだ通用しないのかッ?!』
「やっぱり、コイツの固い装甲をどうにかしないとっ。でもどうすればっ……!」
―ギュイィィィィィッ……ドッゴオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォンッッッッッッ!!!!!!―
『ッ?!!ヌ、ヌガァアアアアアアアアアアアアアアッ?!!』
『ッ!!?』
ゲンブジャキの装甲をどう打ち破るか再び躓き掛けたその時、トランス達の背後から先程の様に一発の砲撃が放たれてゲンブジャキを飲み込み吹っ飛ばしたのであった。
ドラコZA『今のは……あの冥王とやらの砲撃か?』
トランス『え、でも冥王は……?』
そのさっきと同じ展開に、もしや冥王が手を貸してくれたのかと彼女の方に目を向けるが、冥王は神樹から伸びる木の根の処理で上空を飛び回っており、こちらに援護してくれたようには見えない。ならば誰が?と、トランス達が今の砲撃が撃たれてきた方向に視線を向けると……
天神MA『――――フフ……フフフ……フフフフフ……』
其処には、身体を仰け反るような姿勢で佇み、薄気味悪い笑い声を漏らす天神がいた。しかしその姿は先程までと違い、まるで何かが壊れたかのような不気味な感じになっている。
聖桜『さ、桜ノ神……?』
天神MA『フフフフ……駄目じゃないかァ、彼の大事な宝物を、仲間を傷付けたら……彼が悲しんでしまうだろォ?そんな悪い事をするんだったら…………少し、頭を冷やそうか…………?』
何故か先程までと雰囲気が一変しただならぬ威圧感を放つ天神にゲンブジャキ達だけではなく、トランスや聖桜、迅武達も圧されてしまい後退りをしてしまうが、天神は構わずゆっくりと宙に浮きながらドライバーのカッティングブレードを一回倒した。
―カシュゥッ!―
『Soiya!』
『FULL CHARGE!』
電子音声が響くと同時に、天神がメイオウガッシャーの先端をゲンブジャキ達に向けると、天神の足とメイオウガッシャーの先端に光の翼が現れ、更にその先に光が集まっていく。そして……
天神MA『彼は私のモノ……彼を傷付けるモノなどこの世には要らないんだ……私の彼を傷付けようなどと、思い上がるなぁあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!』
―ドバァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーアアァァンッッッッッッ!!!!!!!―
『グ、グゥオアァアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ?!!!!!』
メイオウガッシャーから凄まじい閃光が放たれ、標的となったゲンブジャキ達は何も出来ぬまま閃光に飲み込まれ、ゲンブジャキを除いた怪人達は塵一つ残らず消滅していったのだった。そしてゲンブジャキはどうにか耐え切ったようだが、天神が更に砲撃を乱射し、ゲンブジャキは装甲が次々と吹き飛んで徐々に丸裸にされつつあった。
トランス『……ひ、ひひひ姫さんがヤンデレ化したアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!!ど、どどどどうなってるのォオオッ?!!!』
聖桜『ま、まさかっ……椛さんッ!あのロックシード、もしやあのお二人が使っている錠前とは別の物では……?!』
冥王『えー?あー、冥王のロックシードは私があの樹に生ってる変な果実に神氣を流し込んで変化したものだから、別物と言えば別物なのー。まー、何か副作用があるかもしれないけど、気にするレベルじゃないと思ふー』
トランス『思ふーじゃないよォッ!!気にしなくちゃ駄目なレベルだよォッ!!何かもうっ、ほらぁッ!!何かもう元の人格の原形が微塵もないぐらいに別人になっちゃってるじゃないッ!!!!』
天神MA『あァははははははははははははははッ!!!どォーしたその程度かァッ?!!私から彼を奪うなどと吐いておきながらその程度なのかァッ?!!イケナイナァ、イケナイナアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!!』
CB『……最早可笑しな被害妄想をする領域にまで精神が汚染されているな。まぁ、アイツのロックシードという時点でこうなることは予想出来たが』
「予想出来てたんなら止めなさいよぉッ!!!ちょ、こっちにまで来たあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっっ?!!」
メイオウロックシードの影響か、狂気の高笑いを上げながらメイオウガッシャーから間髪入れず砲撃を撃ちまくる天神。危うくソレに巻き込まれそうになり黒い少女も慌ててトランスの下にまで避難するが、天神が放つ砲撃は怪人達だけでなく連合軍にまで被害が及び、戦場は更に混沌と化しつつあったのだった。
―チュドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!―
『ヌッ!何だ?!』
アマテラス『ッ!ちょっと、どうなってるのコレっ?!』
ディエンド(……ああ……何かまためんどくさい事になってるな、アレ……)
―ドゴオォンッ!!!―
トランス『あぅッ!こ、このままじゃ、家康さん達にまで被害がっ―ブオォンッ!―……え?』
天神の砲撃を何とかかわしながら打開策を考えようとしたトランスだが、その時ライドブッカーが突然勝手に開いて中からシルエットのみの三枚のカードが飛び出した。そしてトランスがそれを掴むと、シルエットのみだった三枚のカードの絵柄が蘇り、トランスの隣に立つ黒い少女……ライダー少女クロノスのカードに変化していったのだった。
トランス『ッ!これは……ううん、一か八か、やるしかないッ!』
これを使えば更にこの状況が混沌と化するのではないかと一瞬迷うが、すぐに頭を振って迷いを払い、中央のカードを抜き取りながら黒い少女の背後に回り込み、ドライバーに装填しスライドさせていった。
『FINALFORMRIDE:C・C・C・CLONOS!』
トランス『ちょっとくすぐったいよ!』
クロノス「……え?ちょ、なに―ドンッ!―ひやぁッ?!」
トランスの突然の言葉に戸惑い振り返ろうとした黒い少女……ライダー少女クロノスだったが、トランスは構わずにそんなクロノスの背中に両手を伸ばして背中を開いた。しかし、クロノスの身体は他のライダー達のように超絶変形はせず、クロノスの開いた背中からまるで赤ん坊のように小さな竜の足の爪先が生えていた。
トランス『あ、あれ?変形しない?あ、そっか、ライダー少女は変形しないんだっけ……!』
クロノス「ね、ねぇ!ねぇ何してるのッ?!っていうか私の身体に今何が起きてるのッ?!―ズプッ!―ヒィイッ?!」
トランス『ご、ごめんね!ちょっとだけ我慢してて!』
流石に自分の背中が開いているという状況に戸惑いと動揺を隠せないでいるクロノスだが、トランスはそんなクロノスの背中に両腕を突っ込んで彼女の中にいる"ソレ"を取り出そうとする。が……
クロノス「いやぁああああああああああああッ!!!無理ィッ!!こんなの無理ィッ!!死んじゃうッ!!死んじゃうってばぁああああああッ!!!」
トランス『りっ、力んじゃ駄目ッ!!力んだら引っ込んで取り出せないからッ!!ほらっ!ヒッヒッフーッ!ヒッヒッフーッ!』
クロノス「ひっ、ひぃぃっ……ひぃ、ひぃ、ふぅぅっ……ひぃ、ひぃ、ふぅぅぅっ……!」
トランス『そ、そう!その調子ッ!ヒッヒッフーッ!ヒッヒッフーッ!あ、魚見さんッ!魚見さんも手伝ってッ!』
聖桜『クッ!はいっ?…………え、出産プレイ?』
トランス『違いますッ!!と、とにかくそっち持ってくださいッ!!もうちょっとで取り出せそうなんですからッ!!』
聖桜『は、はあ……』
クロノス「ひっ……ひぃ、ひぃ……ふぅぅっ……」
トランス『ほら、頑張ってッ!もうちょっとだからッ!ハイ、ヒッヒッフーッ!ヒッヒッフーッ!』
CB(……何だこの図)
混戦の横で、仮面ライダー二人が年端も行かぬライダー少女の背中に両腕を突っ込み、一緒にラマーズ法を繰り返すという何ともシュールな光景に、そんな感想をポツリと漏らすクロノスブレイド。で……
トランス『せぇーーのぉっ!!』
―ポンッ!―
『――――……ゥゥッ……キュァァ~ッ……』
トランスの掛け声と共に、クロノスの背中から思いっ切り引っ張り出されたモノ。小さく欠伸をするそれは正に赤ん坊サイズの小さな黄金の竜……クロノススペリオルドラゴンだったのであった。
トランス『や、やったッ!取り出せたぁッ!』
聖桜『おおっ……!ほら、しっかり見て下さい……!生まれました、元気な男の子ですよお母さん!』
クロノス「ぜぇええッ……ぜぇええッ……だ、誰がお母さんよぉっ……!」
苦労の末に取り出し、最早感動すら覚えてミニスペリオルドラゴンをクロノスに見せる聖桜だが、クロノスの方は無駄に体力を大幅に消費したせいで全身汗でびっしょりになって話す余裕もなく、取りあえず呼吸を整えてからトランスの手を借り立ち上がっていった。
クロノス「……んで、コレ一体なんなの……?」
トランス『あ、えっと……多分、コレが貴女のファイナルフォームライド、だと思うんだけど……』
『キュアァァ~ッ……』
トランス『……ちょっと小さい、よね』
聖桜『ちょっとどころか、かなり小さいと思いますが……コレ、どう使えば……?』
取りあえず無事に取り出せたのはいいが……よくよく考えると、こんなミニサイズのスペリオルドラゴンをどう戦闘に活かせば宜しいのか。冷静に改めて考えて再び悩み始めるトランス達だが、そんな彼女達の悩みなど露知らず、ミニスペリオルドラゴンは聖桜の手から飛び降りて地に降り立ち、そして……
―ドッシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!―
『グゥウウウルゥアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!』
トランス『……え?えええええええええええええええええッ?!!!』
クロノス「きゅ、急に巨大化したぁッ?!!」
そう、なんと、ミニスペリオルドラゴンは脈絡もなく突如巨大化を果たし、地面を爆発させながら竜の咆哮と共に戦場に降り立ったのだ。そして怪人達や連合軍も突如前触れもなく現れたその巨大な黄金の竜を見て騒然とする中、スペリオルドラゴンは口から強力な砲撃を撃ち出し怪人の軍勢を薙ぎ払っていくのだった。
「お、おいっ!何なんだよありゃあっ?!」
「む、武者クロノスのスペリオルフォームか?!け、けど、何処から出て来たんだぁっ?!」
トランス『…………あー…………うん、まぁ、なんて言うかな……取りあえず、結果、オーライっ……?』
聖桜『……あっという間に成長期を終えて大人に仲間入りとは……子供の成長が早いとなるとこれから大変ですね、お母さん』
クロノス「だからお母さん言うなァーーッ!!」
トランス『にゃははは……と、とにかくこれで決めるよ!恭司さん!影虎さん!手伝って!』
迅武CA『ウォッ?!えっ?あ、ああ、分かったッ!』
ドラコZA『こっちもこれ以上付き合い切れんっ、さっさと決めるぞッ!』
突然現れたスペリオルドラゴンと砲撃をむやみやたらに撃ちまくる天神の暴走にこれ以上巻き込まれたくはないからと同意する二人。それに対してトランスも思わず苦笑いしながらライドブッカーからカードをもう一枚取り出してバックルに装填し、聖桜も左手の指輪を取り替えてバックルへとタッチし、迅鎧とドラコもそれぞれのバックルのカッティングブレードを操作していく。
『FINALATTACKRIDE:C・C・C・CLONOS!』
『Cho-iine!』
『Kick Strike!Saiko-!』
『Soiya!』
『TIME CRASH!』
『Come on!』
『MAXIMUM DRIVE!』
『!!ギュアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
四人のベルトからそれぞれ鳴り響く電子音声と共に、スペリオルドラゴンは竜の咆哮を上げながら翼を羽ばたかせて飛び立つ。そしてトランス、クロノス、聖桜、迅武は同時に地を蹴って空高く飛び上がり、ドラコはゲンブジャキ達に向けてスナイプトリガーを構えながら銃口にエネルギーを収束させていき……
ドラコZA『オーバーヒートレーザーッ!!!!ハァッ!!!!』
―チュドオォオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーオオオオォンッッッッ!!!!―
『ヌゥガアァッ?!!』
『ギャアアアアアアアッ?!!』
スナイプトリガーから撃ち出された超高熱のレーザーが無数の怪人達を呑み込んで焼き尽くし、ゲンブジャキの動きを封じた。その隙にトランス達は上空で空中回転して跳び蹴りの態勢を取り、そして……
トランス『ハアァァッ……セェヤアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!』
クロノス「デエェアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!」
「グルルゥッ、ギュオアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!」
―バシュウゥウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!―
聖桜『ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!』
迅武CA『セイッハアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!』
『ッ?!ガッ、ガ……ガァギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ?!!!!!』
―ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーアアァンッ!!!!!!―
聖桜のストライクセイオウ、迅武のライダーキック、そしてスペリオルドラゴンの放つエネルギー砲を身に纏ったトランスとクロノスのエンド・オブ・スペリオルがゲンブジャキに同時に炸裂し、天神により大部分の装甲を剥がされたゲンブジャキは抵抗も出来ぬまま断末魔の悲鳴を上げ爆発し、遂に撃破されたのだった。
『ッ……!馬鹿な、ゲンブの鉄壁を突破しただと?!』
ディエンド『フッ、彼等を大した事がないと侮り過ぎたようだね?これで君の手札の一つは倒した』
アマテラス『後は貴方だけよ、覚悟しなさい!』
『……ジャキを倒した程度で嘗めてくれるなよ?良い機会だ、貴様等にも見せてやる。私の超新星を!』
ゲンブジャキを倒されたのは予想外だが、これで追い詰められた訳ではないと、アルゴゾディアートは左手を突き出して自身の身体に刻まれた星座から宇宙の闇を放出し始めていく。それを見たアマテラスとディエンドも咄嗟に身構えていき、闇がアルゴゾディアートを飲み込もうとした。その時……
―……其処までだよ、アルペジオ。此処はまだ、君が全力を出す場所じゃない―
『……ッ!』
ディエンド『ッ?!何だ?声っ……?』
アルゴゾディアートが更なる力を行使しようとした瞬間、それを制止するように何処からか声が響いたのだ。その声の主を探してディエンドとアマテラスが周囲を見渡すと、アルゴゾディアートの前にまるで幻影のように二人の人物……アルペジオと同じ財団と幹部であるカンパネルラ、そしてフードで全身を隠した謎の人物、ノアールが現れたのだった。
アマテラス『ッ!貴方達は……!』
カンパネルラ「やぁ、こうしてお目に掛かるのは始めましてかな?ディエンド、それからアマテラス……。僕は財団の幹部が一人、カンパネルラ。そしてこっちは、僕とアルペジオと同じ幹部のノアールだ。以後、お見知り置きを」
ノアール「…………」
突如現れたカンパネルラとノアールを見て警戒するアマテラスとディエンドに対し、軽い調子で自分と隣に立つノアールについて自己紹介をするカンパネルラ。すると、超新星の発動を邪魔されたアルゴゾディアートが軽く舌打ちしカンパネルラに食ってかかった。
『今更何しに出て来たカンパネルラ?冥王やイレギュラーの侵入を許しておきながら……』
カンパネルラ「その辺は別にいいじゃない。『クライアント』に渡す神樹と邪武者ディケイドのデータも一通り揃ったし、結果さえ出せば過程は問題じゃないよ」
『そういう問題ではっ……』
カンパネルラ「ハイハイ、小声なら後で幾らでも聞いてあげるって。それよりもほら、戻るよ。ノアール?」
ディエンド『ッ!逃がすと思うかッ!』
ノアールに目配りして撤退しようとするカンパネルラ達を引き止めようと、ディエンドはすぐさまドライバーを突き付けて銃撃する。だが、その前にノアールが何処からかトランペット型の武器を取り出してフードの下に隠された口に当て、そして……
―♪♪~♪~♪♪~♪―
ディエンド『ッ?!なっ、グッ?!な、何だこの音ッ?!』
アマテラス『ッ……!この嫌な音色っ……戦国世界に戻ってきた時にも流れていたっ……?!』
トランペット型の武器から放たれたのは、美しい旋律の魅惑のメロディー。一度聞けば誰もが魅了されるような音色だが、ディエンドとアマテラスにはその音色が不快且つ苦痛のメロディーに聞こえて耳を押さえながら悶え苦しみ、ノアールはその隙に自身とカンパネルラとアルゴゾディアートの周囲に音譜と楽譜を摸した転移術を使用し、三人はそのまま何処かへと消えてしまったのであった。
ディエンド『ッ!ハアッ、ハアッ……逃げられたっ……!』
アマテラス『……何だったの……あの楽器使い……』
カンパネルラ達に逃げられ悔しげに地団太を踏むディエンド。その隣に立つアマテラスはカンパネルラ達と共に逃げたノアールの姿を思い出して険しげな表情を浮かべ、未だ遠くにそびえ立つ神樹をジッと見つめていくのであった。