仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編   作:風人Ⅱ

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劇場版小説/仮面ライダー×仮面ライダー ディケイド&ツヴァイ NOVEL大戦Evole⑩(完)

 

 

―アマツの世界・神社―

 

 

ヒビキ「カガミー!こっちの葉っぱも掃き終わりましたから、塵取りお願いしまーす!」

 

 

カガミ「分かったー!」

 

 

その一方。アマツの世界のとある古い神社の境内では二人の巫女……ヒビキとカガミが庭の掃除に勤しむ姿があり、そんな彼女達の姿を尻目に本殿の手間の階段に横になる刀夜と、その脇に腕を組んで立つ大輝の姿があった。

 

 

刀夜「ふぁああ……あー、カガミが来てくれたおかげか、神社の掃除も楽出来て助かるなぁ……」

 

 

大輝「とんだ怠け者だな、君は。まるで何処ぞの知り合いでも見ている気分だよ」

 

 

刀夜「いいだろー、この前でっかい戦いがあったばっかりなんだ。少しくらい怠けたって罰は当たんねぇよ」

 

 

大輝「だからといって本殿の前でねっころがるのはどうかと思うが……まあ今更か」

 

 

刀夜という男がどんな人物か良く分かっているからか、それ以上の小言は口にはせず溜め息を吐く大輝。

 

 

大輝「で、アマテラスドライバーに選ばれた彼女……元伊達政宗君は何処に行ったんだい?」

 

 

刀夜「ん?あー……何か、この世界を見て回って来るとか言ってさっき出てったな。なんでも「戦いやすい場所、戦い難そうな場所を事前に下見しておく必要がある」とか何とか……」

 

 

大輝「……流石は元武将か……君も少しは彼女を見習って、ベルトの後継者としてもっと自覚したらどうだい?」

 

 

刀夜「俺はこれでいいんだよ。アイツみたく常時気を張ってると、いざって時に使いもんにならなくなるからな……ってか、お前もいつまでいる気だよ?言っとくが、アマテラスドライバーはもう霧之のもんだから掠め取っても意味ねぇぞ」

 

 

大輝「そんなつもりは毛頭ないよ、アレは財団に対抗するのに貴重な力だからね……だからこそ、彼女にはきちんと使いこなしてもらわなければ困る」

 

 

肩を竦めながらそう言うと、大輝は腕時計の時間を確かめ、壁から背を離してゆっくりと歩き出した。

 

 

大輝「じゃ、そろそろ師匠達が別件から戻って来る頃だし、俺はそろそろ行くよ。……また機会があれば会おう、アマツ君?」

 

 

刀夜「出来ればそんな日が来ない事を祈りたいが……お前さんも達者でな、怪盗」

 

 

気怠げに手を上げる刀夜を背に、目の前に現れた歪みの壁を通ってまた次の世界を越える大輝。そしてそれを気配で感じ取りながら、刀夜はヒビキが呼びに来るまで二度寝を決め込む事にするのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―アマツの世界・森―

 

 

同時刻、アマツの世界の町を一望出来る程の高台の森。其処には、町を下見して回っていた霧之が風で髪を揺らしながら町を見下ろす姿があった。

 

 

霧之(……此処が……私が戦う場所……私の、新しい世界……)

 

 

ポケットに手を突っ込み、取り出したのは固まった血がこびりついたディケイドのカード。財団が襲撃したあの夜、武者ディケイドが自分を逃がす際に手渡した形見であり、霧之はそれを手に握り締めて瞼を伏せる。

 

 

霧之(この世界で、私は戦い続ける……草薙霧之として、アマテラスとして……皆……ディケイド……どうか、見守っていて……)

 

 

カードを胸に当て、心の内で死んだ皆にそう決意して瞼を開き、霧之は踵を返して歩き出す。

 

 

新しい世界、新たな戦場で、財団を討つその日まで、戦い続ける事を誓って……。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

―光写真館―

 

 

零「―――おい、シャドー……」

 

 

シャドー『む、何だ?』

 

 

零「何だ、じゃない……何だ、この馬鹿みたいに山のような本が入った段ボールの数々は……?」

 

 

シャドー『うむ、戦国世界の長秀殿からお主に届けて欲しいと頼まれたものでな。軍略や政略、礼式に戦国世界の歴史、家系図……織田信長の旦那として恥ずかしくないように覚えて頂く、資料の一式らしい』

 

 

零「……十……三十……五十……百……ぇ……え?こんな、にっ……?」

 

 

シャドー『これでも一部だそうだ。これ全てを覚えたら、また次を送るとのコトでゴザル』

 

 

零「……………………………………………………………………………」

 

 

後日、シャドーの手により戦国世界の長秀から百冊を超える古文書が段ボールの山で届けられ、その絶望的な数に零は言葉を失いテーブルにダンッ!と頭を打ち付けていたのであった。

 

 

 

 

仮面ライダー×仮面ライダー ディケイド&ツヴァイ NOVEL大戦Evole END

 

 

 


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