仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 劇場版編 作:風人Ⅱ
―時渡り町・廃工場―
真也「牙王は死んだぜ」
『……それは分かった……が、お前は頭に幼女を噛みつかせるのが趣味なのか?』
真也「んなわけねぇだろうがゴルァァァァァァァアアアアアアア!!!(#゚д゚)」
ルーミア「そーなのかー」
それから数分後。隠れ家である廃工場で合流した直也とネオアポロガイスト……と、まだ真也の頭に噛み付いたまま消えていなかったルーミア。結局戦いのあとも消えなかったルーミアを連れてきたせいか、何処か冷たい目を向けて来るネオアポロガイストにマジギレして叫ぶ真也だが、すぐにハッと我に返り一度咳払いをした。
真也「ンンッ……で、どうすんだ?貴重な戦力。幾ら零と断罪の神に怪我負わせたからって、あの程度で引っ込むような奴らじゃねえぞ?」
『それには考えがある……死者の世界からスカウトするのは大変だったが』
ネオアポロガイストがそう言ってゆっくりと背後へと振り向くと、それと同時にネオアポロガイストの目前に歪みの壁が出現し、其処から五人組の男女が姿を現した。
「――報酬は分かってるな、アポロガイスト?」
真ん中の五人組のリーダーと思われる茶髪に青いメッシュが入った青年が睨みつけるようにそう問い掛けると、ネオアポロガイストは口端を吊り上げながら何処からか銀のアタッシュケースを取り出した。
『もちろん、お前達を再び【ダブル】の世界に送る事であろう?』
そう答えてネオアポロガイストがアタッシュケースを茶髪の青年に渡すと、茶髪の青年……【大道克己】はアタッシュケースを開き、ケースの中に入った五本のメモリと五基のドライバーを確認してニヤリと笑みを浮かべた。
克己「【T2メモリ】と【ロストドライバー】……人数分、確かに受け取った」
「ふふ……これでまた熱くなれるわ」
「……確認完了」
「いいわいいわね~ゾクゾクしてきたわぁ~ん」
「相変わらず気持ち悪りぃな京水……俺としては速く戦いてえぜ」
克己と共にケースからそれぞれメモリとドライバーを手にしていく四人のメンバー……【羽原レイカ】、【芦原賢】、【泉京水】、【堂本剛三】は腰にドライバーを巻いていき、克己も空になったケースを投げ捨てドライバーを腰に装着すると、五人は手にしたメモリをそれぞれのドライバーのスロットへと装填していく。
『ETERNAL!』
『HEAT!』
『TRIGGER!』
『LUNA!』
『METAL!』
五つの電子音声が重なって鳴り響くと共に、五人の姿が吹き抜ける風と共に装甲に覆われて徐々に変化していく。
真っ赤なボディに全身が炎に包まれた仮面ライダー……『ヒート』
青い体にトリガーマグナムを持つ仮面ライダー……『トリガー』
黄色い体で全身クネクネさせている伸縮自在の仮面ライダー……『ルナ』
銀色の鋼鉄のボディにメタルシャフトを装備した仮面ライダー……『メタル』
そして、【永遠の記憶】を内包した白いボディに全身に26個のマキシマムスロットを装備した地獄の仮面ライダー……『エターナル』
彼らはかつて【NEVER】に所属していた特殊部隊のメンバーで、死者蘇生技術により不死の殺し屋だった。
とある計画でダブルの世界でひと悶着を起こすが、ダブルにより計画を壊され、全員死亡した彼等だったが……ネオアポロガイストの手によって再びこの世へと蘇ったのであった。
エターナル『行くぞ。風都に戻る前に、先ずはこの町を地獄に染め上げてやる』
宣言するようにそう告げてエターナルが親指を立てた右手を下に向けると、背後から現れた歪みの壁が五人のライダーを呑み込み何処かへと消えていく。恐らくひと足先に町に向かったのだろうと予想すると、ネオアポロガイストは真也の方に視線を向けて口を開いた。
『では、我らも行くとしよう』
真也「そだな……っていい加減、噛むの止めろ!!」
ルーミア「嫌なのか~」
真也「……はぁっ」
残念そうにシュンッと落ち込むルーミアを見て仕方がないといった感じに嘆息し、結局真也は頭にルーミアを噛みつかせたままネオアポロガイストと共に歪みの壁を潜って町へと向かっていくのであった。
◇◆◇
一方その頃……
なのは(不破)「―――もう一度聞くけど、本気なの?」
なのは「うん……もちろん」
なのは(不破)「なら……私も手加減は一切しないの」
不破家の道場にて、胴着を着て薙刀型の竹刀を持った不破なのはと、同じく胴着を着て竹刀を構える高町なのはが睨み合って対峙する光景があった。
何故こんな状況になってるのか?事の発端は数十分前、なのは(不破)がなのはの欠点……接近戦を指摘したのだ。
彼女はさっきの戦いで足手まといだったと思いそう告げた。現にトランスに変身したとはいえ、本来の身体能力に変化はない。
トランスはディケイドと同じく他のライダーに変身し強化する。
だがトランスが持つライダーのカードは、全て外史のカード。
故に今回は、トランスの力だけで戦闘しなければいけないのだ。
自身とフェイト達の魔法と同じ力を使えるとはいえ、そればかりに頼っていてはオーガのような各上の相手には決して勝てない。
例え付け焼き刃であろうとも、少しでも剣の腕を上げトランスのライドブッカーSモードを使いこなす為、同じ自分であるなのは(不破)に協力を求めたのだ。
そして実を言うと……パンデモニウムの冥王より実力は劣ってるのだから、あの地獄のような修業よりかはマシかもという本音もあったのだが、現実はそんなに甘くはなかった。
剣の指導の開始と同時に、相手の動きを良く見て警戒していればなのは(不破)に勝つ為の勝機もきっと見付けられると、咄嗟に距離を取った瞬間……
なのは「にゃあ……きゅうぅぅぅぅ……」
なのは(不破)「情けない……本当に別世界の私なの?」
たったの一息で一瞬で距離を詰められ、驚く隙もなく脳天に薙刀型の竹刀を叩き込まれ床にダウンしていたのだった……。
そこからはなのは(不破)に頭から水を掛けられて意識を取り戻し、再び剣の指導を再開するも、やはり終始なのは(不破)にボコボコにされまくっていた。
もちろん、ただフルモッコにされた訳ではなく、剣術の指導はちゃんとされていた。
別世界とはいえ、なのはにも御神と不破の血が流れている。それを抜きにしても、これでも訓練学校で運動音痴を地道に改善してきたのだ。
昔よりかは大分マシになっているが、やはりそれでもまだなのは(不破)の足元に及ばない。
連敗続きでなのは(不破)に打たれた個所に激痛が走り、体力も削られるばかりで肩で息をしながらも竹刀を杖代わりにし、呼吸を整えようとするなのは。
なのは(不破)「はぁ……まともに戦わせるのに時間がかかりそうなの」
なのは「っ……も……もう一本、お願いっ!」
それでも諦めず、再び立ち上がって竹刀を両手で構え直す。
彼女が此処まで必死なのも、なのは(不破)に指摘される前から先程の戦いで自分が足手まといだったことを自覚してるからだ。
実際先程のオーガとの戦闘で自分は手も足も出させず、もしも彼処で大輝が来てくれなければ、自分は零と幸助を守り切れなかった。
あんな重傷を負った二人を守る立場でありながら、それが分かってしまったから悔しかったし、勝てないと思ってしまった自分が情けなく思えた。
だから彼女に協力を求め、少しでも剣術を自分の物にする為に自ら志願したのだ。
なのは(今までの戦いじゃ、その場凌ぎでずっと剣を扱ってきたけど、これからはちゃんと剣も扱える様に訓練メニューを組まなきゃね……フェイトちゃんシグナムさんにもお願いして、ご教示願おうかな?)
なんてね、と内心苦笑いしながら深く息を吸い込むと、なのはは真っすぐなのは(不破)を見据えながら竹刀を両手で構え、勢いよく床を蹴り自ら間合いへと踏み込んでいくのだった。
◇◆◇
―光写真館―
大輝「――まだ、零と幸助さんは目を覚まさないのかい?」
スバル(中島)「うん、幸助の傷はそんな深くないハズなんだけど……」
なのはがなのは(不破)から剣の教授を受けているその頃、写真館では未だに零と幸助が意識を取り戻さず、大輝が二人を看病するフェイト達やスバル(中島)と二人の容態について話し合っていた。
シャマル「零君も、何時もみたいにもの凄い回復力でもうすぐ完治しそうなんだけど……一向に意識を取り戻す気配がないの」
フェイト「いつもだったら、もう目を覚ましても可笑しくない筈なんだけど……なんでだろう……」
未だに目覚める気配がない零と幸助を案じるように、フェイト達とスバル(中島)の視線が二人の眠るベッドに向けられていく。そんな彼女達の視線を追うように大輝も二人を見つめると、アリサが零の眠るベッドに近寄り零の掛け布団を直していく。
アリサ「まったく、懲りずにまたみんなに心配掛けて……さっさと起きなさいよ……このバカ」
口ではそう言いつつも、実際は彼女も心配しているのだろう。アリサは不安げな顔で死んだように眠る零を見つめ、フェイトはそんなアリサへと近付いて励ますように彼女の肩に手を置いていく。そんな時……
零「……っ……ぅ……」
アリサ「?!零?!」
フェイト「零っ!」
ベッドで眠る零が突然呻き声を漏らし、苦しげに顔をしかめたのだ。それを見たアリサとフェイトは慌ててベッドに眠る零に近づき、シャマルも零のベッドに近づいて零の身体を揺らしていく。
シャマル「零君!聞こえる?!私達の声が分かる?!」
零「……ッ……シャマ、ル……アリサ……フェイト……?」
フェイト「零…!良かった!」
アリサ「大丈夫よね?私達の事、分かる?!」
漸く目覚め、朧げな意識の零に自分達の事が分かるか必死に呼び掛けるアリサ。すると零は、ゆっくりと目を動かしてシャマルの顔を見た後、アリサとフェイトに視線を向けて……
零「109……118……あぁ……その有り得ないサイズは間違いなくお前ら―バキャアァァッ!!!―ごばあぁッ?!」
零がぼんやりと何かの数字を口にしながらそう告げた瞬間、目にも留まらぬ速さのアリサの鉄拳が零の顔面に、フェイトのボディーブローが零の腹にほぼ同時に捩り込まれ、零は再び意識を刈り取られてベッドに力無く沈んでいったのだった。
アリサ「うん、意識はしっかりしてるみたいね」
フェイト「みたいだね」
シャマル「い、いえ、あの……零君、今のでまた気を失っちゃってるんだけどっ……」
大輝「おいおい……やっと目を覚ましたのにまた気絶させてどうするんだい?もう一度起こしてくれたまえよ、こっちは彼とこの後の戦いについて話があるんだから」
先程までの心配そうな表情から一変して全くの無表情になったアリサとフェイトに苦笑いするシャマルと、漸く目覚めた零をまた気絶させられ二人を睨む大輝。するとアリサは何か考えるように思案した後……
アリサ「フェイト。確か、前に私達が零に内緒で使ったナマコ料理が、まだ台所に残ってた筈よね?アレ、ちょっと持って来てくれる?」
フェイト「?どうするの?」
アリサ「ナマコをこいつの口に捩込んで無理矢理にでも叩き起こすのよ。ついでにいつまでもナマコ嫌いを克服しないコイツを、私達で後押ししようってわけ」
フェイト「ああ、成る程」
シャマル「……それ、下手したらまた零君が気絶するかもしれない気が……」
大輝(中々容赦ないね……まあ止める気は全然ないけど)
ポンッと掌に拳を下ろして納得するフェイトに苦笑いを深めて冷や汗を流すシャマル。その会話を聞いてた大輝は零が目を覚ますなら何でもいいのか傍観に徹し、スバル(中島)はなんとも言えぬ顔で苦笑を浮かべながらその光景を見ていたのだった。
そして、フェイトが台所にナマコ料理を取りに行ってから数十分後、館内中に零の大絶叫が響き渡ったのは言うまでもなかった……。
◇◆◇
―町外れの洞窟―
鳴滝「――アポロガイストめ。もっと上手く立ち回りさえすれば、ディケイドを始末出来たものを……」
時渡り町から遠く離れた地に位置する山の山頂の洞窟。その奥に、コートを身に纏った男……ネオアポロガイストを蘇らせたこの事件の元凶のひとりである鳴滝が、洞窟の奥で眠る巨大な"何か"を見つめていた。
鳴滝「ガオウの為にコレも蘇らせたというのにまんまと倒されるとは……まあいい。先程回収したこれさえあれば、ガオウも必要ないだろう」
そう呟きながら鳴滝が懐から取り出したのは、冥王のパスと同じ形状をした金色のパスケース……ガオウが牙王への変身に用いていたマスターパスであり、鳴滝はマスターパスから目の前に存在する巨大な何か……列車の様な姿をした物体に目を向けて口端を不気味に吊り上げた。
鳴滝「今度こそ、このクロノスの世界が貴様の墓場だ……ディケイド」
確信に満ちた様な声で鳴滝がそう告げたと同時に、今まで沈黙していた列車の姿をした何かの瞳の部分が怪しげに輝き、徐々に起動し始めていたのだった。