―星華市・市街地―
多くの高層ビルや建物等が立ち並び、正に都会を思わせる風景が広がる街………星華市(せいかし)。
夜に包まれたスクランブル交差点では、仕事帰りのサラリーマンや塾帰りの一般学生等が行き交い、近くのデパートの壁に取り付けられた大画面には、巨大な日本地図をバックにスーツ姿のお姉さんが明日の天気を知らせる天気予報が流れている。
至って何処にでもある普通の町並みの風景。しかしその中に存在する高層ビルの屋上に、『普通』ではない異物が降り立っていた。
『――いやはや、漸く着きましたねぇ、新たな世界に』
ビルの屋上に降り立ち、街を眺めながら呑気な口調でそう呟く謎の人物。その姿は黒いローブのような物で顔や全身を隠しており、更にその傍らには、石で出来た巨大な棺のようなモノが置かれていた。
『クスクス、呑気な物ですねぇ?これから楽しいショーが始まるというのに、何も知らずに人間達は……』
黒いローブの人物はビルの下で行き交う人々を見てクスクスと怪しげに笑うと、傍らに置いてある石の棺の前で身を屈め、『ООО』の紋様が描かれた棺の表面の中心にある石板のような物を掴んだ。
『さて、早速始めましょうかねぇ……目覚めなさい、欲望の化身達よ』
―バキィッ!!―
黒いローブの人物は静かにそう呟くと、掴んだ石板を無理矢理引きちぎり、そのまま乱暴に投げ捨ててしまった。するとその時、石板を失った棺が表面から淡く輝き出し、棺全体が光りに包まれると同時に棺は無数の銀色のメダルへと姿を変えていき、そのまま宙へと飛び上がって高層ビルの下へと飛び去っていった。
「……あれ?何だあれ?」
「え?」
メダル達がビルの屋上から飛び去った後、ビルの下を歩いていた通行人の一人が屋上から落ちてくるメダルの存在に気付き、他の通行人達もメダル達に気付いてざわめき出した。
そしてメダル達は交差点の中心へと降り立つと、金色のメダルを中心にそれぞれ集まって四つの人型を形成していき、なんと、四体の異形達へと姿を変えたのであった。
「?!な、何だあれ?!」
「ば、化け物?!」
「い、いや、着ぐるみとかじゃないか?」
突然異形達へと姿を変えたメダル達を見て野次馬達は戸惑いを隠せず更にざわめいていき、異形達は自分の体を暫く見下ろすと、そのまま何処かへ向かおうと歩き出そうとする。だが……
―ズドォンッ!ズドォンッ!ズドォンッ!―
『……あ?』
突然何処からか数発の銃弾が放たれ、異形達の背中に撃ち込まれたのだ。しかし銃弾を受けた異形達は微動だにせず、その銃弾が撃たれたきた方へと振り返ると、其処には黒いバイクに跨がって銃を構える黒一色の男達の姿があった。そしてその先頭では、隊長らしき人物が何処かに通信を繋いでいた。
「…こちらライドベンダー第一小隊、御藤。メダルの覚醒が始まりました。次の指示を」
御藤と名乗る人物が通信を繋ぐ人物から次の指示を求めていると、四体の異形達が黒ずくめの集団に狙いを定めてゆっくりと近付いてくる。御藤はそれを見て僅かに眉を寄せると、通信機から一言……
『――殲滅だ』
「了解……」
通信機から指示が返ってくると、御藤はすぐに通信を切って背後で待機している黒ずくめの隊員達に合図を送り、それを見た隊員達は一斉にバイクを発進させて異形達へと突っ込んでいった。その光景からただならぬ雰囲気を感じ取った周りの野次馬達は悲鳴を上げながら逃げまどい、異形達は悠然とした立ち振る舞いでそれを迎え撃ったのだった。
『ふふふふ、遂に生まれましたねぇ?この世界を飲み込む混沌の種が……』
その一方、異形達を解放した張本人である黒いローブの人物は薄気味悪い笑みを浮かべながら、高層ビルの下の交差点で行われる戦いを見物していた。其処には……
「グ、グアァァァァァァァァァァアーーーーーッ!!!!」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっ?!!!」
其処には、正に地獄絵図と言っていい光景が広がっていた。
シャチを摸した頭部に飾りの付いたマントを羽織った異形は向かって来る隊員二人に左手から凄まじい水流を放って吹っ飛ばし、サイのような姿をした異形は信じられない力でバイクごと隊員達を軽々と投げ飛ばし、ライオンのような姿をした異形は素早い身のこなしで隊員達をバイクから蹴り飛ばして近くの車に叩き落とし、クワガタのような姿をした異形はバイクに飛び移って隊員達の首を掴み、そのまま跳躍して近くの店へと投げ飛ばす等、圧倒的な力で隊員達を蹴散らしていたのだ。
『アハ、アハハハハハハハハハハハ!!良いですねぇ良いですよ!!流石は欲望の化身!!予想以上の期待に応えてくれますねぇ?!アハハハハ―シュウゥゥゥゥ……―……ハ?』
隊員達を一方的に追い詰めていく異形達を見て歓喜の笑いを上げる黒いローブの人物だが、その時背後から暖かな光が放たれていることに気付き、黒いローブの人物は背後へと振り返った。
すると其処には、先程石の棺の封印を解く為に引きちぎった石板が淡い光を放ちながら地面に転がっており、石板はまばゆい光りを放ちながら何処かへと消えてしまった。
『あれは……なるほど……これはまた面白そうな展開になってきましたねぇ……キシッ♪』
光と共に消えた石板を見て黒いローブの人物は歪んだ笑みを浮かべ、再びビルの下へと視線を戻した。すると其処には、炎に包まれるバイクだった残骸に囲まれて佇む四体の異形達の姿があった。
◇◆◆
とある高層ビルの最上階。其処にはこのビルの社長と思われる男性が静かに街の夜景を眺めていた。部屋の隅に置かれたソファーには秘書と思われる女性がPCを操作しており、街を眺めていた男性は含み笑いを浮かべながら口を開いた。
「天城君、我が神上ファウンデーションが誇るライドベンダー隊はほぼ全滅のようだ……流石はグリードだ……」
そう言って男性は女性の方へと振り返るが、女性……天城レイカはそんな男性の顔を見て苦笑いを浮かべた。
「会長も予測されたんじゃないんですか?全然残念そうには見えませんよ?」
「ふふふ、当然さ……どの物でも、この世に誕生するという事はとても素晴らしい事だ……それに、グリード復活は悪い事ばかりとは限らない……君もそう思うだろう、ユリカくん・アルテスタくん?」
そう言いながら男性が物陰の方へと視線を向けると、其処には薄紫のロングヘアーと金色の瞳、脇で絞った半袖のTシャツにボロボロのジーンズ、黒い革製のロングコートを羽織った女性……ユリカ・アルテスタと呼ばれた女性の姿があった。
「どうかしらね……私はただ依頼をこなす為に此処にいるだけ……貴方が何を考え、企んでいようがどうでもいいわ……」
「ふ……君は相変わらずのようだね、アルテスタ君」
「それは私の台詞よ……神上総介……」
ユリカはそう言って目付きを鋭くさせながら男性……この神上ファウンデーションの会長である"神上総介"を睨みつけるが、神上は何も言わずに笑みを浮かべ、スーツの胸ポケットからメモリーカードのような物を取り出しユリカに投げ渡した。
「……今度は何?」
「君に頼みたいことがあってね……もう時期別の場所で、新たなグリードが三体目覚める……その彼等からメダルを奪ってきて欲しい」
「……それを手に入れる為に、棺が保管されていた美術館の襲撃を見過ごした……訳じゃないわよね……?」
「ふふ、さあ……どうかな?」
あくまで真意を悟らせない為か、それとも他になにかあるのか。神上は意味ありげな笑みを浮かべてそう返し、ユリカはそんな神上を見てこれ以上何を言っても意味はないと悟り、部屋を後にしたのだった。
◇◆◇
そしてその頃、とある森林公園の一番深くに存在する洞窟。その洞窟の更に一番奥には、異形達が封印されていた物と何処となく似た棺が置かれていた。だが、棺の表面は異形達が封印されていた棺と違って開いており、その中には、無数の白い花を添えられて静かに眠る少女の姿があった。とその時……
―……シュウゥゥゥゥ……シュパアァァァァァァァァァァァァアッ!!―
少女が眠る棺の真上に突如光りが現れ、現れた光……先程黒いローブの人物が引きちぎった石板はそのまま棺の中に眠る少女の右腕に吸い込まれていき、それと同時にゆっくりと少女の瞼が開かれた。
「―――奴らめ……やはり目覚めたか……」
少女は何かを理解したようにそう呟くと、徐に上体を起こして立ち上がろうとするが、その時洞窟内を見て頭上に疑問符を浮かべた。
「?何処だ……此処は?」
見慣れない洞窟の中に少女は訝しげな表情で天井を見上げるが、取りあえず外に出てみようと考えて棺から出て立ち上がるが、すぐにふらついて棺に寄り掛かってしまう。
「っ!なんだっ……身体に力がっ……?」
全身に力が抜けていくような感覚が襲い、少女は自分の身体を見下ろして訝しげな顔を浮かべるが、すぐに『まさか!』と思い自分の右腕を見た。するとなんと、少女の右腕が無数の銀色のメダル達に包まれながら赤い異形の腕へと変化していき、それを見た少女は思わず舌打ちした。
「っ……やはり、メダルが足りないっ……待てよ……」
赤い異形の腕を見た少女は其処で別の考えが過ぎり、何処か慌てたように右腕を振るった。すると、右腕の下部分からジャラジャラと金色のメダルが無数に現れ、少女は左手でそれを手に取ってメダルの数を確認していく。
「っ……ウヴァ達のメダルはあるのに……私のメダルは一枚だけだとっ……?」
少女は気怠そうにそう言いながら左手の中にある金色のメダルの中から鷹の絵が刻まれた赤いメダルを手に取り、赤いメダルが一枚だけしかないと知ると奥歯を噛み締め、メダルをすべて右腕に仕舞って目前に目を向けた。
「何か可笑しいな……とにかく、今はメダルを探して取り返す方が先か……」
そう言って少女は赤い右腕を元に戻し、ゆっくりと歩き出して洞窟を抜けていく。彼女のメダルを見付ける為に……
神道 拓斗
年齢:十七歳
性別:男
容姿:赤い瞳に赤色の髪が特徴とし、ルックスは◎
イメージCV:宮野真守
解説:和神高校に通う二年生であり、本編の主人公。明るく前向きな裏表がない性格の持ち主で、困った人を見れば老若男女・親交の有無・自身の危険一切問わないで助けにいったりする。
よく大小様々なトラブルに巻き込まれる自他共々が認める不幸体質なのだが、当の本人は愚痴等をこぼさず前向きな態度を取っている。特に不良と遭遇することが毎日のようにあり、良く走ったり身を守る為に喧嘩したりするので、体は自然と鍛えられてたりする。
身体能力がかなり人間離れしており、中学時代には船でなければ渡れない島等へ単身で泳いで渡ったりして遊んでいたらしい……
家族は父親が借金を残して蒸発した為、母と妹の三人で暮らしている。因みに家は床が抜けたり壁が突き抜ける事が良くあるほどオンボロ。
家計を助ける為に様々なバイトを掛け持ちしてるが、たまに年齢を偽ってバイトしたりするのでクビに合う事もしばしば……
そんな平凡?な日常を過ごしていた中、一人の少女との出会いをきっかけに仮面ライダーオーズとなる。
イメージキャラはSTAR DRIVER 輝きのタクトから、ツナシ・タクト