仮面ライダーオーズ メダルと欲望と不幸?少年   作:風人Ⅱ

17 / 44
第三章/ネコと進化と大食い④

 

 

 

―和神高校・2ーA―

 

 

その一方、今朝のティアの転校騒ぎから数時間が経ち、現在和神高校では昼休みの時間となり生徒達がそれぞれ昼食を取り始めていた。そんな中……

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………………」

 

 

 

 

 

 

この男……神道拓斗は昼食も取ろうとせず、まるで死んでるようにピクリとも動かず机に突っ伏していた。その原因は勿論、ティアとの関係がバレたことによりクラスの男子や他のクラスの男子から首を締め上げられたり同居生活の事を問い詰められたりと、午前中に様々な仕打ちを受けるハメになったからである。例えば……

 

 

『神道テメエこの野郎!!桐谷さんや東上さんなんて美人揃いといつも仲よさ気にしてるクセに、あんな美女まで毒牙に掛けやがったのかああああああ!!!』

 

 

とか

 

 

『あんなクールビューティーな美女と一つ屋根の下で同棲なんてっ、オマエ何処のエロゲーの主人公じゃあ!!!ゲームみてえなリアルを送りやがってえええええええええええ!!!!』

 

 

とか

 

 

『またしてコイツんとこに美女がぁーーーーっ!!!なァ?!マジで何か使ってんだろ?!美女トレールとか!!何処で売ってんだよ?!教えろよ買うから!!ウオオオオオオオオオオオ美女オオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』

 

 

などなど……わけの分からない事を言われながら誤解を解くのに結構な時間を費やしたのである。かくして一時の平穏を手に入れたのであるが、まだ他のクラスの男子達の誤解も解かねばならぬ。全部の誤解を解くまで体力的にも精神的にも持つだろうか?と、拓斗がちょっと心配になり溜め息を吐いていると、向かいに座る和也が弁当を食べながら口を開いた。

 

 

「しっかし、まさか転入生がお前んとこに居候してたなんてなぁ、何で早く教えてくれなかったんだよ?」

 

 

「あー……まあ、彼女が居候し始めたのは昨日だからね……それに色々事情もあるからさ……」

 

 

そう言いながら拓斗が顔を上げて視線を向けた先には、教室の窓際に立って腕を組みながら窓の外を眺めるティアの姿があった。先程から彼女は休み時間になれば教科書を開いたり、一人ああしていることが多い。他のクラスからも彼女の姿を一目見ようとやって来る生徒達が多いが、クラスメイトも含めて誰も彼女に話し掛けようとはしない。おそらく、彼女から漂う雰囲気に緊張して話し掛けようにも話し掛けられないのだろう。

 

 

(まあ、ティアちゃんも自分から誰かと馴れ合いするようには見えないしなぁ……)

 

 

それでも彼女に心を許せる友人が出来て欲しいなぁと思うのはお節介だろうか?と、拓斗は内心苦笑しながらティアから別の人物……自分達が座る席とは離れた席で、不機嫌な表情のまま夏目と一緒に弁当を食べる椎名に視線を向けた。

 

 

(椎名ちゃんの方も、このままにしとくわけには行かないよな……うん……やっぱり俺が謝るしかないか……)

 

 

「ん?おい、どしたよ拓斗?」

 

 

このまま椎名との仲を悪くしたままにするなんて出来ない。そう思った拓斗は席から立ち上がり、椎名と夏目が座る席まで歩み寄っていく。

 

 

「……あ、拓斗君」

 

 

「……む」

 

 

歩み寄ってきた拓斗を見た椎名は端の先を加えながらムッとした表情を浮かべ、拓斗はそんな椎名の様子を見て内心ちょっとたじろぎながらも、椎名の前に立つと……

 

 

「椎名ちゃん……その……えっと……ゴメンッ!」

 

 

「……へ?」

 

 

パンッ!と、拓斗は乾いた音を響かせながら謝るように両手を合わせ椎名に頭を下げたのであった。椎名は拓斗の突然の謝罪に思わず唖然としてしまうが、拓斗は構わず頭を下げたまま口を開く。

 

 

「今朝の事、ホントにごめん、椎名ちゃんが怒るのも当たり前だと思う……椎名ちゃんには昔からお世話になってたし、いきなり女の子が居候する事になったなんて聞いたら驚くよね?しかもティアちゃん口が悪いし、あんなこと言われたら誰だって怒るだろうしさ……」

 

 

「…………」

 

 

「えぇっと……だからさ?なにが言いたいのかと言うと、そのぉ……」

 

 

「……プッ」

 

 

頭を悩ませて必死に謝ろうとする拓斗の姿に、椎名は思わず可笑しそうに噴き出した。

 

 

「え…椎名ちゃん…?」

 

 

「フフッ…何でアンタがそんな必死になってるのよ?オッカシッ」

 

 

「あ、えっと……あはははっ……」

 

 

クスクスと可笑しそうに笑う椎名の様子を見た拓斗は椎名に釣られるように笑いながら頭を掻き、椎名も箸を置いて肩を竦めながら拓斗を見上げた。

 

 

「まあ、まだちょっと納得出来ないところがあるけど、事情が事情みたいだしねえ……ティアのことはまだアレだけど、此処はアンタの顔に免じて許したげる」

 

 

「あ、う、うん、ありがとう……良かったぁ……もし許してくれなかったらどうしようかとっ」

 

 

最悪土下座する覚悟だった拓斗は思ったよりアッサリ許してもらえて気が抜けたらしく、その場に屈み込み安堵の溜め息を吐いていく。そんな拓斗を見た夏目は椎名へと顔を近づけ、小声で話し掛けた。

 

 

(椎名ちゃん、今日拓斗君を彼処に誘ってみたらどうですか?)

 

 

(は?彼処って……もしかしてクスクシエ?!)

 

 

(はい♪椎名ちゃん、前々から拓斗君にクスクシエでのバイト姿を見てもらいたいって言ってたじゃないですか。これを機会に、拓斗君を誘ってみては?)

 

 

(そ、それは……あー……うー……)

 

 

チラッと拓斗の方を見てみれば、拓斗は未だ許してもらえた事に安堵し屈み込んでいる。それを見た椎名が若干唸り声を上げながら、拓斗をバイト先に誘うか誘わぬべきか悩んでいると……

 

 

 

 

 

 

―ジャラジャラジャラジャラッ……―

 

 

 

 

 

 

(―――ッ?!この気配……ヤミーか……!)

 

 

 

 

 

 

今まで窓際にジッと佇んでいたティアがヤミーの気配を感じ取り、真剣な表情に変わって拓斗の方へと顔を向けた。

 

 

「えっと……た、拓斗、今日の放課後って空いてる?」

 

 

「え?あ、うん、今日はバイトも入ってないから予定はないけど……」

 

 

「そ、そっか!じゃあさ、今日の放課後「おい、拓斗」……え?」

 

 

不意に、椎名の言葉を遮るように拓斗の背後から声が響き渡った。それを聞いた拓斗と夏目、そして椎名がそちらに視線を向けると、其処には険しい目付きをしたティアが拓斗の肩を掴み立っていた。

 

 

「ティアちゃん?どうかした?」

 

 

(どうかしたじゃない。この気配……ヤミーだ)

 

 

「えっ?!こんな時に?!ちょ、まだ椎名ちゃんと話して―――イダダダダダダダダダッ?!!待って待って待って待って?!!そんな引っ張ったら息出来なグギュウッ?!!」

 

 

襟首を引っ張られて呼吸が上手く出来ず息を詰まらせる拓斗だが、ティアはそれを無視し、拓斗をズルズルと引っ張って教室から出ていってしまう。それを見た椎名は呆然とした顔のまま固まり、教室を出ていった二人を見た周りの生徒達は一斉にざわめき始めた。

 

 

「ねえねえ、あの二人何処行ったんだろ?」

 

 

「さあー……でも桐谷さんが神道君を放課後誘おうとしてた時、いきなり話し掛けてたよね?」

 

 

「うーむ、これはあれかもだな……桐谷さんに神道を取られると思って、わざと邪魔したとか?」

 

 

「え?それで神道君呼び出して……きゃー!!ティアさんダイターン!!」

 

 

「えー?!ウソウソウソ!わたし神道くん狙ってたのにぃー!!」

 

 

と、そんな野次馬達の声が辺りから響き、椎名はワナワナと肩を震わせながら……

 

 

「な―――なんなのよアイツはぁあああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

 

「し、椎名ちゃん?!お、落ち着いて下さい!!」

 

 

(ワッハッ、椎名の奴マジギレだなぁ……こりゃ拓斗の奴、帰ってきたら血の雨を見る事になるかもな……)

 

 

ウガァーーッ!!!と暴れ回る椎名を夏目が必死に宥める光景を遠くから見つめながら、拓斗の死期を悟り心の中で静かに合掌する和也であった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―星華市・港区―

 

 

数十分後、拓斗がティアに引っ張られてやって来たのは、学校からかなり離れた場所にある港の倉庫群だった。其処へやって来た拓斗は、倉庫の一角で見付けたある光景を目にして唖然としてしまう。何故なら……

 

 

 

 

 

 

『ハムッ!ムグムグムグムグッ……もっとぉ……もっと食いものぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!!』

 

 

 

 

 

 

何故なら彼が目にしたのは、身体の至る所に白い包帯のようなものを巻き付けた男……門太がコンビニ弁当を積んだ一台のトラックの荷台を開け放ち、大量のコンビニ弁当を食らい続ける姿があったからである。

 

 

「此処にいたか……アレだ」

 

 

「アレって……昨日と全然違う?!っていうか、人間だろ?!」

 

 

「中に居るんだよ、アレは人間に寄生して成長するタイプだ」

 

 

「寄生って……」

 

 

もう一度門太に目を向けてみるが、確かに身体の至る所に白ヤミーが巻き付いていたのと同じ包帯が所々に見える。それでも昨日戦ったヤミーと違う事に戸惑ってしまう拓斗だが、ティアは門太を見て鼻で笑いながら言葉を紡ぐ。

 

 

「あのタイプは寄生した人間の欲望を暴走させて、そいつをメダルにして溜め込んでるってワケだ。ま、どっちにしろメダルを稼ぐチャンスに違いない。見たところアレはまだまだ育つ、もっと食わせてメダルでブクブクにさせてから――――」

 

 

今回もセルメダルが貯まるのを待とうと、グリード化させた右腕から取り出した三枚のメダルを宙に軽く投げて遊ぶティアだが、拓斗は宙に飛ぶ三枚のメダルを横から奪い取り、門太を見据えながら腰にオーズドライバーを装着した。

 

 

「ッ!おい、何する拓斗ッ?!」

 

 

「そんなの待ってられる訳ないだろ!早くあの人からヤミーを引きずり出して倒すッ!」

 

 

「っ……チッ、勝手にしろっ」

 

 

ティアは自分の言葉を聞き入れる様子を見せない拓斗を見て軽く舌打ちしながら近くの倉庫の屋根へと跳び上がり、拓斗はドライバーに三枚のメダルを装填してバックルを傾け、右腰から取り出したオースキャナーをバックルへとスライドさせた。

 

 

―キィーンッキィーンッキィーンッ!―

 

 

「変身ッ!」

 

 

『TAKA!TORA!BATTA!TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!』

 

 

スキャナーから電子音声が響くと同時に拓斗はオーズへと変身し、直ぐさま弁当を食べ続ける門太へと近付いていく。

 

 

『おい、その人から出てこいッ!おい!!』

 

 

『グウウゥゥゥッ……ウガアァァッ!!』

 

 

―ガシャアァンッ!!―

 

 

『おわあぁ?!ちょ?!―バキイィィッ!!―ガハァッ?!』

 

 

何とかヤミーを引き離そうと門太へと近づくオーズだが、門太は自分が食べてた弁当をオーズに投げ付けて怯ませ、その隙にオーズに詰め寄り信じられない力を込めたボディーブローを打ち込んでいった。オーズはがむしゃらに殴り掛かってくる門太の拳を紙一重でかわしながら後退していき、門太の腕を掴んでメダジャリバーを取り出し斬り掛かろうとするも、門太の顔を見て踏み止まってしまう。

 

 

『クッ……クソッ!出てこいってば!戦えないだろう?!』

 

 

『ウガアァッ!ガァアアアアアアアアッ!!』

 

 

―ガギィンッ!ガギィンッ!ガギイィンッ!!―

 

 

『グアァッ?!』

 

 

オーズは門太の中のヤミーに外へと出てこいと必死に呼び掛けるが、そんな呼び掛けに素直に応じるはずもなく、門太はオーズの腕を払い獣のようにオーズへと殴り掛かっていき、オーズも人間相手に本気で戦えず回避と防御だけの防戦一方となっていた。そしてその様子を倉庫の屋根から見ていたティアは苛立ちを込め舌打ちし、オーズへと呼び掛けた。

 

 

「そいつは成長するまで出てこない!やるなら人間ごと斬れッ!」

 

 

『グゥッ!そんな事出来る訳ないだろうっ?!―ガキィンッ!!―ガハァッ?!』

 

 

「チッ!馬鹿がっ……」

 

 

反撃もせず、ただ無抵抗でやられる一方のオーズを見て業を煮やしたティアはグリード化させた右腕を剥き出しにし、屋上から二人の間に飛び降りオーズに殴り掛かろうとした門太の首を掴んで壁に叩き付けた。

 

 

『グゥッ……ッ?!ティアちゃん?!』

 

 

「ハッ、パワーはまだ大した事ないようだなぁ!」

 

 

―バキイィッ!!―

 

 

『ゴアァッ?!』

 

 

ティアはグリード化させた右腕で門太を横殴りに殴り飛ばし、地面に倒れる門太の襟首を掴み上げて倉庫の壁に叩き付けると、門太の顔や腹を容赦なく殴り付けていく。その光景を呆然と見ていたオーズも直ぐさま正気に戻り、慌ててティアへと駆け寄りティアを背後から羽交い締めにして門太から引き離した。

 

 

『止せ!止せって!約束しただろうっ?!人の命より、メダルを優先するなってっ!!』

 

 

「知るかっ!!いい加減どっちが命令する立場か覚えろっ!!」

 

 

そう言ってティアは自分を羽交い締めにするオーズを払い退けて再び門太に殴り掛かろうとするが、オーズは慌ててティアを羽交い締めにして何とか押さえ込もうとする。対してティアにダメージを負わされた門太はふらつきながら立ち上ると……

 

 

『グウウウゥゥッ……ウガアァッ!!』

 

 

―バシュウバシュウバシュウゥッ!!―

 

 

『ッ?!―ズガガガガガガガガガガガガガンッ!!―ウアァッ?!』

 

 

門太は大きく開いた口から無数のエネルギー弾を撃ち出し、オーズとティアの足元にエネルギー弾を撒き散らして怯ませていったのだ。そしてオーズとティアが慌てて目の前に目を向けると、其処には既に門太の姿がなく何処かへと消えていたのだった。

 

 

『ッ!逃げられたっ!』

 

 

「チィ!お前が邪魔したせいだぞ?!早く奴を追い掛けろっ!」

 

 

『追い掛けろって、どうやってっ……―ブオォォォォォォォォオンッ!―……え?』

 

 

早くヤミーを追い掛けろと怒りを露わに詰め寄るティアにオーズが困却する中、突然背後からバイク音が響き渡り背後に振り返った。其処にはライドベンダーに乗って走ってくる男………昨日オトシブミヤミーとの戦いの時にメダジャリバーをくれた御藤の姿があった。

 

 

『あ……確か昨日の?』

 

 

ライドベンダーに乗って現れた御藤を見て思い出したように呟くオーズ。御藤はそんなオーズの前にライドベンダーを止めてライドベンダーから降ると、ライドベンダーをベンダーモードに切り替えてオーズに呼び掛けた。

 

 

「コイツを使え」

 

 

『ッ!そうか、バイクで!』

 

 

ライドベンダーならヤミーに追い付けるかもしれない。そう考えたオーズはライドベンダーに駆け寄りながら左腰のメダルケースからセルメダルを一枚取り出し、ライドベンダーにメダルを投入してもう一度バイクモードに切り替えマシンに乗り込もうとするが……

 

 

「なんで戻す?タカにヤミーを追跡させるんだ」

 

 

『へ?あ、そういう事か……』

 

 

バイクではなくタカを使ってヤミーを追跡する。御藤にそう言われて漸くマシンを使えと言った意味を理解し、オーズは慌ててライドベンダーを自販機形態に戻してもう一度セルメダルを投入しようとするが、それを見たティアが抗議した。

 

 

「おいっ!メダルを無駄に使うな!今の返せ、無効だ!」

 

 

「……消費したら戻らない。一回は一回だ」

 

 

「ッ!何だと…?」

 

 

メダルは消費されたから戻らない。御藤のその言葉にティアは違和感を覚え眉間に皺を寄せるが、オーズはそんな二人を他所にメダルをライドベンダーへと投入し、赤い缶の購入ボタンを押した。

 

 

『TAKA KAN!』

 

 

奇妙なメロディーが流れると共に電子音声が響くと、ライドベンダーの取り出し口に赤い缶が一個排出され、オーズは取り出し口から赤い缶を手に取ってタブを起こしていった。すると、赤い缶はオーズの手の平の上でみるみる内に変形していき、昨日オーズとティアの前でセルメダルを横取りしたのと同じ鷹のメカ……タカカンドロイドへと変形していった。

 

 

『悪いけど、ヤミーを探してくれるかな?』

 

 

『ピュイィーッ!』

 

 

オーズがヤミーを探してくれるようにお願いすると、タカカンドロイドはそれに頷き返してオーズの指示通りヤミーを探しに上空へと飛び立っていった。そしてティアは空へと飛び去っていくタカカンドロイドを見ると、御藤を睨みながら口を開いた。

 

 

「お前……何者だ?何でたかが人間がメダルの力を使える?」

 

 

「お前達が寝ていたのは800年。その間に、たかが人間も進化したということだ……お前達グリードに対抗出来る程度にはな」

 

 

そう言って御藤は何処からか取り出した小型銃の銃口をティアに向けていき、それを見たティアは馬鹿馬鹿しそうに鼻で笑った。

 

 

「ハッ、進化ってのは、デカすぎる自信のことか?」

 

 

『ちょ、ちょっと!二人とも落ち着けって!』

 

 

どんどん険悪ムードになりつつある事を察したオーズが慌てて二人の間に立って止めに入っていく。御藤はそんなオーズからティアに視線を向けて一度睨むと、そのまま何も言わず踵を返してライドベンダーをマシンバイクモードに切り替え、ライドベンダーに乗って何処かへと走り去っていってしまった。

 

 

『あの人、どういう人なんだろ……いつも助けてくれるけど』

 

 

ティア「……確かに、人間も変わったらしいな……」

 

 

ティアはライドベンダーで走り去る御藤の後ろ姿を見つめながら、先程御藤に言われた言葉を脳裏に思い出していく。

 

 

―たかが人間も進化したということだ―

 

 

「――こっちもその必要があるか……」

 

 

『え?今なんて……ってティアちゃん?!何処行くの?!ちょ、待って!学校は?!ねえってば!』

 

 

ティアは何かを呟いたかと思いきや、突然何処かへと向かって歩き出していき、それを見たオーズは慌てて変身を解除しティアの後を追い掛けていった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―神上ファウンデーション―

 

 

一方その頃、神上ファウンデーションの会長室では、神上が部屋に備え付けられた大型テレビで御藤が撮影したティアの映像を閲覧していた。

 

 

「……今の所、非常に良いバランスだよ天城君。力はあるが、知識と技術のないオーズを我々ライドベンダーと、なんとグリードの一人が補完している……メダルが増えるのに、これ以上素晴らしい環境はないよ」

 

 

「確かに、増え方は加速していますね」

 

 

ソファーに腰掛け、テーブルの上にセルメダルを積み重ねて弄びながらそう返すレイカだが、その口調は何処かあしらうような感じに聞こえる。だが神上は特に気にする様子もなく、柔らかい笑みを浮かべて執務机へと戻っていく。

 

 

「御藤君には当分、監視とフォローを続けてもらおう……さて、今日が誕生日なのは誰かな?」

 

 

「はい、総務に一人……」

 

 

レイカはそう言って資料を開いていき、神上もケーキ作りの準備に入ろうとエプロンを身につけて執務机の上に調理器具を並べていくのであった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。