仮面ライダーオーズ メダルと欲望と不幸?少年   作:風人Ⅱ

24 / 44
第四章/罪悪と信念と救いの手③

 

 

 

―星華市・レストラン―

 

 

同じ頃、クスクシエの近くのとあるレストランでは、未だ暴食を続ける門太の姿があった。門太は苦しげに料理を口に捩り込むとその度にメダルの増量に伴って身体が膨張し、その様子をレストランの窓から一般人達が写メを撮影していた。

 

 

「ねえアレ、ヤバくない?」

 

 

「撮れた?」

 

 

「撮れた撮れた、ネットで流そう?」

 

 

そう言って一般人の何人かが携帯でネットの掲示板に門太が暴食する姿を撮影した写真を流していき、その間にも門太の身体は自分の意思とは関係無しに料理を食べ続けていたのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―クスクシエ―

 

 

千代子「そう!本当にもう大変だったのぉ~」

 

 

そして場所は戻り、休業となったクスクシエの店内では、千代子が電話で先程の門太のせいで被害に遭った事を誰かに愚痴っていた。すると其処へ、椎名と別れクスクシエを後にしようとした拓斗が千代子を見掛けて頭を下げた。

 

 

拓斗「あっ、すみません。お世話になっちゃって」

 

 

千代子「ああ、君が神道君?気をつけてね?さっきの暴食男、今度はその先のレストランにいるらしいの」

 

 

拓斗「えっ?!」

 

 

暴食男……門太がまたこの先のレストランで暴食している。気味悪げに教えてくれた千代子の情報を聞いた拓斗は慌ててクスクシエを飛び出し、それとは入れ違いにキッチンの片付けをしていた夏目がキッチンから出て来た。

 

 

夏目「あれ?今のって拓斗君……ですよね?」

 

 

千代子「えぇ、何か暴食男のこと教えたらいきなり飛び出しちゃって。体はもう平気なのかしら……って、椎名ちゃん?」

 

 

店を飛び出していった拓斗の身を千代子が心配そうに気にかけるていると、不意に屋根裏部屋に続く扉から血相を変えた椎名が慌てて飛び出し、そのまま千代子と夏目を無視して入口から外へと出ていってしまった。

 

 

千代子「……ど、どうしたのかしら?あんなに血相変えて……」

 

 

夏目「さ、さぁ……」

 

 

あからさまにただ事ではないという様子で店を飛び出した椎名に、千代子と夏目も目をパチクリさせ唖然とした表情を浮かべていたのだった……

 

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

 

その一方で、現場では門太の異常事態を察した客達が食事も忘れ、門太の周りに集まり野次馬を作っていた。それでも門太は身体に逆らえず大食いを続けており、其処へ店の通報を受けた二人組の警官が駆け付けて店員に呼び掛けた。

 

 

「どちらですかっ?!」

 

 

「あ、あの人ですっ!」

 

 

店員が切羽詰まった様子で門太を指差すと、警官達は膨張した門太の身体を目にして慌てて門太を取り押さえた。

 

 

「何してるんですかっ?!止めなさいっ!食べ過ぎだよっ!」

 

 

門太『は、腹がちぎれそうだっ……もう止めてくれぇッ!!』

 

 

―ドガアァッ!!―

 

 

『ウアァッ?!』

 

 

意思では止めてくれと言いながらも身体が言うことを聞かず、門太の身体は本人の意思とは関係なく警官達を跳ね退け、食い物を無理矢理胃の中に捩り込み続けるのであった。そして……

 

 

ティア「―――完熟、ってところか……」

 

 

警官の追跡を免れ、高台のベンチに腰掛けてiPhoneを弄っていたティアはネットの掲示板で見つけた門太の画像を見てニヤリと笑い、ベンチから立ち上がり行動を開始したのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―星華市・市街地内―

 

 

拓斗「はぁっ、はぁっ……あ、自販機?!ちょうどいいところにっ!」

 

 

一方その頃、クスクシエを飛び出した拓斗は千代子から話を聞いたレストランに向かう最中、街頭でライドベンダーを発見して制服のポケットからセルメダルを一枚取り出し、ベンダーにメダルを投入し中央の大型ボタンを押していった。それと共にライドベンダーはみるみる内にマシンバイクモードへと変形し、拓斗は早速ベンダーに乗り込もうとするが……

 

 

「はぁ、はぁ……拓斗っ!」

 

 

拓斗「……へ?」

 

 

ライドベンダーに乗り込もうとした瞬間、不意に背後から誰かに呼び掛けられてそちらの方へと振り返った。其処には両手を膝に付けながら肩で呼吸をする少女……拓斗を追ってクスクシエを飛び出した椎名の姿があった。

 

 

拓斗「椎名ちゃんっ?!何で此処にっ?!」

 

 

椎名「はぁ……はぁ……わ、私も一緒に行く!一緒に連れてって!」

 

 

拓斗「は?いや、なに言ってんのさいきなり?!駄目だよそんな!今から行く所は危険なんだからっ!」

 

 

椎名「アンタを一人で行かせる方がよっぽど危ないわよっ!とにかく付いて行くから!なんて言われようが付いていくからねっ!」

 

 

何と言われようが、絶対に付いていく。連れていくと言わなきゃ梃でも動かないと言わんばかりにそう告げる椎名に、拓斗も戸惑いを隠せず動揺してしまうも、彼女の目が本気だと察して暫く考え込んだ。

 

 

拓斗「―――分かった……だけど、絶対に俺より前に出ないって約束してくれるかな?これから行くところは、ホントに危険だからさ……」

 

 

椎名「……わかった……約束する……」

 

 

拓斗「よし、じゃあこれに乗って!」

 

 

渋々と約束を承知してくれた椎名を見た拓斗は同行を認めると、バイクに備え付けられた手袋を嵌めながらライドベンダーに乗り込み椎名に予備のヘルメットを差し出した。

 

 

椎名「あれ?っていうか……これアンタの?こんなバイク持ってたっけ?」

 

 

拓斗「え?あ、えーと……と、とにかく急いで!早くしないとあのヤミーに逃げられるかもだから!」

 

 

椎名「わ、分かったわよ……」

 

 

ライドベンダーのことを一から説明するにはかなりの時間を要する。そうなればキリがないので拓斗は早くベンダーに乗るように椎名に促し、椎名も渋々頷いてヘルメットを被り後部席に座ると、拓斗はライドベンダーを発進させて現場へと向かっていったのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

 

それから数十分後、拓斗と椎名を乗せたライドベンダーは門太がいると思われるレストランの前に到着し、二人はヘルメットを外して野次馬が出来ているレストランの方を見つめた。

 

 

椎名「彼処にあの大食い男が…?」

 

 

拓斗「多分。とにかく早くあの人を止めないとっ…!」

 

 

こうしてる間にも門太の命が危機に瀕してるかもしれない。ともかく早く門太を見つけてヤミーを引き離さなければと、拓斗は手袋を外し急いで野次馬が集まるレストランへと向かおうとした。その時……

 

 

 

 

 

―ザッ……―

 

 

ティア「…………」

 

 

 

 

 

拓斗「…ッ?!ティアちゃん?!」

 

 

レストランへと向かおうとした拓斗の前に、カザリの誘いに乗るか考えるために先程別れたティアが立ち塞がったのであった。前触れもなく姿を現したティアに拓斗が驚愕する中、ティアはiPhoneを取り出し拓斗に見せ付けた。

 

 

ティア「答えは出たのか、拓斗?私はこれをすっかりマスターしたぞ」

 

 

拓斗「……答えは同じだ。俺は君の道具にはならない」

 

 

ティア「チッ、本物の馬鹿だなお前はっ」

 

 

変わらずティアの道具にはならないと迷いなく断言する拓斗に、ティアも舌打ちしながら思わず毒づいた。そんな時……

 

 

『―――じゃあ、ティアの答えも決まりだ』

 

 

『ッ!』

 

 

不意にティアの背後の物陰から声が響き、其処から一体の異形……あたかもティアの後を付いてきたようにカザリが姿を現し、ティアに呼び掛けた。

 

 

『君はオーズなんか捨てて、僕と組む』

 

 

ティア「あぁ、そうなるな……」

 

 

椎名「あ、アレってっ……あの時の怪物っ?!」

 

 

『フフッ……お前は、此処で消える』

 

 

拓斗「クッ!」

 

 

ティアがカザリに付いてしまった以上、最早変身は出来なくなった。それでも尚戦おうと、拓斗はベンダーからメダジャリバーを取り出して椎名を守る様に剣を構え、カザリはそんな拓斗を嘲笑いながら鉤爪を構え拓斗を始末しようと向かっていった。その瞬間……

 

 

 

 

 

 

ティア「――フンッ!!」

 

 

―ドシャアァァァァァァァァアァッ!!―

 

 

『ウグアァッ?!』

 

 

『ッ?!えっ…?!』

 

 

 

 

 

なんと、カザリが拓斗へと襲い掛かろうとした瞬間、突然ティアが不意を突いてカザリの横っ腹をグリード化させた右腕で殴り付けていったのだ。予想もしてなかった一撃を受けたカザリは殴られた箇所から大量のメダルを飛び散らせて吹っ飛び、拓斗と椎名も状況が飲み込めず唖然としていた。

 

 

『ぐぅっ……?!ティア、お前?!』

 

 

ティア「ふん……お前は昔から疑い深かったが、復活しても同じだな。私と拓斗が示し合わて裏をかくんじゃないかと、ウロウロ嗅ぎ回ってたろ?」

 

 

ティアはそう言って倒れるカザリを見て鼻で笑い、手に持っていたiPhoneを再び見せ付けた。

 

 

ティア「最近の人間の道具だ。黙ってても情報が集まる。お前の行動は全部見られてたんだよ……人間に」

 

 

そう言ってティアはiPhoneを操作してあるサイトの掲示板を開き、カザリに画面を見せ付けた。其処には、ティアの周りに潜んで動きを監視するカザリの姿が写し出された大量の画像が掲示板にUPされており、それを見たカザリはふらつきながら立ち上がって絶句した。

 

 

『まさか!人間がそんな事を?!』

 

 

ティア「変わったんだよ、私達が封印されてる間に。疑い深いグリードは、その疑いから裏切り、メダルを狙う…馬鹿でも面倒でも、お前よりは人間の方がマシだな」

 

 

『お前っ…!!』

 

 

つまりティアが考える時間を取ったのは、カザリの行動を見極めるためだったという事。完全にティアの手の上で踊らされていた事に気付いたカザリは激怒し、鉤爪を振りかざしてティアに襲い掛かるも、ティアはそれを避けてカザリを殴り飛ばし三枚のコアメダルを取り出した。

 

 

ティア「拓斗ッ!!」

 

 

―ヒュッ!―

 

 

拓斗「ッ!よしっ!」

 

 

拓斗はティアが投げつけた三枚のメダルを見て咄嗟にメダルを掴み取り、懐からオーズドライバーを取り出して腰に装着すると三枚のメダルをバックルにセットし、右腰のオースキャナーを取り出してバックルへとスライドさせた。

 

 

―キィーンッキィーンッキィーンッ!―

 

 

拓斗「変身ッ!」

 

 

『TAKA!TORA!BATTA!』

 

 

『チィ!ハァッ!!』

 

 

バックルをオースキャナーでスキャンした拓斗を見たカザリは、ティアより先に拓斗を始末すべく拓斗へと飛び掛かった。しかしそれより早く拓斗の周りを無数のメダルの残像が駆け巡り、そして……

 

 

『TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!』

 

 

歌のような電子音声が鳴り響くと共に拓斗はオーズに変身し、飛び掛かってきたカザリに掴まれ近くの広場へと場所を移していった。そしてオーズとカザリは互いに距離を離し、オーズは両腕のトラクローを展開してカザリへと挑んでいくが……

 

 

―ガギィンッ!バキィッ!ガギイィィィィィインッッ!!―

 

 

オーズ『ウグゥッ?!セイヤッ!』

 

 

『フッ!ハァッ!』

 

 

やはり戦闘力に開きがあるせいか、オーズの繰り出す攻撃は全てカザリの前には通用せず、カザリの圧倒的な戦闘力に圧されて追い詰められつつあった。カザリは素早い動きで鉤爪を振りかざしオーズを斬り付けていき、その場に椎名と共にやって来たティアはそれを見てポケットから二枚のメダルを取り出した。

 

 

ティア「拓斗っ!こっちにしてみろっ!」

 

 

そう言ってティアはオーズ目掛けて二枚のコアメダルを投げ付けた。オーズはそれを見てすぐさまカザリを蹴り飛ばしてメダルを受け取り、ベルトのバックルを元の位置に戻してバックルから黄色と緑のメダルを取り外すと、ティアから受け取った二枚のメダルをバックルへとセットし、右腰のオースキャナーを取り出しバックルへとスライドさせた。

 

 

『TAKA!KAMAKIRI!ATOLI!』

 

 

スキャナーから電子音声が鳴り響くと、オーズの胴体と脚部がカマキリアームとアトリレッグへと変わっていった。そしてオーズは姿を変えたと共に両手にカマキリブレードを構え、カザリに向かって駆け出しカマキリブレードで素早く斬り掛かっていく。

 

 

―グガァンッ!ギィンッ!ビュンッズバアァッ!―

 

 

オーズ『ハァッ!セイッ!ゼアァッ!!』

 

 

『クッ?!このぉっ!』

 

 

カマキリブレードを巧みに扱い手数の多さでカザリを少しずつ押していくオーズ。オーズは連続回し蹴りを打ち込みカマキリブレードによる素早い斬撃をカザリに与え、カザリも少し焦り始めてカマキリブレードを弾き、オーズに鉤爪で斬り掛かった。が……

 

 

―……ブオォンッ!―

 

 

『ッ?!なにっ?!』

 

 

カザリの鉤爪がオーズの体を斬り裂いた瞬間、なんとオーズの体が幻の様に徐々に消えていってしまったのである。それを見たカザリが思わず驚愕して動揺した、その時……

 

 

オーズ『ツオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

 

『ッ!』

 

 

カザリの頭上から、オーズがカマキリブレードを振りかざして落下してきたのであった。それに気付き咄嗟に振り返ったカザリだが、既にオーズはカザリの頭目掛けてカマキリブレードを振り下ろしていた。完全に入った!と、誰もが核心するが……

 

 

『――なんてね……フッ!』

 

 

―ドシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーッ!!!―

 

 

オーズ『ッ?!なっ、ウグアアァァァァァァァァァァァァァァアッッ?!!』

 

 

カザリは冷静にオーズに向けて右腕を突き出し、金色の竜巻を放ってオーズを吹っ飛ばしてしまったのだ。オーズはそのまま壁際まで地面を転がって倒れ込み、カザリはそんなオーズの下へ悠然とした足取りで歩み寄っていく。

 

 

『さて、返してもらうよ。僕のコアメダル』

 

 

ティア「クソッ、拓斗ッ!死んでも取られるなよッ!」

 

 

オーズ『っ……死んでも、ねっ……ハァァァァァアアアアアアッ!!』

 

 

『フン、無駄な事を!』

 

 

態勢を立て直したオーズは一気に勝負を決めるべく、両手のカマキリブレードを構え直してカザリへと勢いよく飛び掛かっていき、カザリも余裕の笑みを崩さずオーズに向かって飛び掛かり、そして……

 

 

オーズ『ハアアアアアアアアアアアッ!!!』

 

 

『フッ!!!』

 

 

―ガギイィィィィィィィィィィィィインッ!!!―

 

 

オーズ『グッ?!グアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』

 

 

椎名「?!拓斗ッ!!」

 

 

空中で決死のクロスカウンターを仕掛けるも、健闘虚しく、カザリに押し負けて吹っ飛ばされてしまったのだった。更に……

 

 

 

 

―バチッバチバチィッ……ピィーーーーーーンッ!―

 

 

 

 

ティア「…ッ?!メダルが?!」

 

 

クロスカウンターの際に受けたカザリの鉤爪によるダメージにより、オーズのベルトのバックルからカマキリメダルが弾かれ空中に投げ出されてしまったのだ。それを見たティアは咄嗟に宙へと飛び出してカマキリメダルを掴もうとするも、それより早くカザリがカマキリメダルをキャッチして奪ってしまった。

 

 

『ふぅん、ウヴァのコアか』

 

 

ティア「ッ!チィ!やっぱり人間を選んだのは間違いだったかっ!」

 

 

カマキリメダルをカザリに奪われてしまったティアは地面に着地すると、メダルを失い変身が解けた拓斗を見て後悔するように舌打ちし、椎名は慌てて拓斗へと駆け寄り拓斗の身体を抱き起こしていく。

 

 

『さてと……僕のメダルも返してもらおうか?ティア』

 

 

ティア「くっ!」

 

 

カザリは次の標的をティアに定めて自分のコアを取り返そうとティアにゆっくりと近づいていき、ティアもそれを迎え撃とうと右腕を構えてカザリに挑もうとした。その時……

 

 

 

 

―……シュウゥッ、シュバアァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

『ッ?!!な……にっ……?!!』

 

 

ティア「ッ?!何だ…?」

 

 

突如、カザリの上半身部分が無数のセルメダルに変化して飛び散り、貧弱な体に変化していったのだった。突然の事態にティアもカザリ本人も困惑して動揺してしまい、其処で椎名に支えられる拓斗が掌をゆっくりと開き二枚の黄色のメダル……トラメダルとチーターの絵柄が描かれたコアメダルをカザリ達に見せた。

 

 

『僕の……僕のコアを?!』

 

 

拓斗「偶然…かな…?」

 

 

身体の激痛で顔を歪めながらも笑みを浮かべ、先程のカザリとの決死のクロスカウンターを思い出す拓斗。実はあの時、拓斗の攻撃もカザリに入って二枚のコアメダルを抜き取っており、ティアはそういうことかとほくそ笑んで拓斗の手からコアメダルを掴み取った。

 

 

ティア「フフッ、上出来だな」

 

 

『っ……ティア……いつか後悔するよっ……』

 

 

二枚のコアメダルを見せ付けるティアにそう言うと、カザリはそのまま覚束ない足取りで逃げるように歩き去っていった。そしてカザリが撤退するのを目にした拓斗達は一安心して息を吐いた、その時……

 

 

―ガッシャアァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!―

 

 

『…ッ?!』

 

 

突然レストランの方からガラスが割れる轟音が響き、それを聞いた拓斗達は互いに顔を見合わせて慌ててレストランの方へと向かうと、其処には……

 

 

 

 

 

門太『た、助けてぇっ……』

 

 

 

 

 

拓斗「ッ!あれはっ…!」

 

 

其処には、レストランの窓ガラスを突き破って外へと出た門太の姿があったのである。その様子を目にした拓斗と椎名は驚愕し、ティアはニヤリと口元に笑みを浮かべた。

 

 

ティア「そろそろ寄生しているのも限界だな、メダル収穫だ」

 

 

門太『うあぁっ、あああああああああああああああああああーーーーーーーッッ!!!』

 

 

ティアが静かにそう呟いたと共に門太の身体の内側から大量のセルメダルが溢れ出し、それに飲み込まれるようにして門太の体がネコヤミーへと変化していってしまった。

 

 

椎名「な、何アレっ?!」

 

 

拓斗「あの人……ヤミーの中に?!」

 

 

ティア「欲望に飲み込まれた、ってとこだ……」

 

 

先の二回の戦いとは異なり、ネコヤミーと一体化してしまった門太を見て拓斗も驚愕を隠せなかった。その間にもネコヤミーはレストランから離れて近くの公園へと向かっていき、拓斗達もその後を追ってネコヤミーに追いつくと、ティアがネコヤミーを見て静かに語り出す。

 

 

ティア「良く見てみろ、あの醜さが人間の本性だ。あんなのに助ける価値があると思うか?」

 

 

拓斗「…………」

 

 

確かに、ネコヤミーに呑まれてしまった門太を見れば、ティアの言う事はもっともなのかもしれない。だけど……

 

 

拓斗「人の価値は……俺が決める事じゃない」

 

 

ティア「ふん、私は決めるぞ?価値無しと見たら……すぐにお前も捨てる」

 

 

椎名「ッ!アンタッ!」

 

 

価値が無いと見たら拓斗も捨てる。簡単にそう言い放ったティアに椎名が思わず詰め寄ろうとするが、拓斗が横から腕を出してそれを制止し、ティアを見据えながら口を開いた。

 

 

拓斗「それは別に、ティアちゃんの勝手だから好きにしていいよ。でももし、君が人間を見限って人を襲うようになった時は……その時は……俺が君を倒す」

 

 

ティア「…………」

 

 

迷いなく、決意の篭められた瞳で強く断言する拓斗。その目から拓斗が本気なのだと悟ったティアは拓斗の目を見つめると、軽く鼻を鳴らしながら三枚のメダルを取り出した。

 

 

ティア「やれたら褒めてやる」

 

 

―ピィーーーーーンッ!―

 

 

そう言いながら、ティアは三枚のメダルを宙へと放り投げ、拓斗は腕を伸ばしてそれをキャッチすると腰にオーズドライバーを装着し、バックルにメダルを装填し斜めに傾け、右腰のオースキャナーを取り出しバックルへとスライドさせた。

 

 

拓斗「変身ッ!」

 

 

『TAKA!TORA!BATTA!TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!』

 

 

オースキャナーでメダルをスキャンをすると、拓斗はネコヤミーに向かって勢いよく走り出し、周りを駆け巡る無数のメダルの残像が赤、黄、緑と縦一列に揃うと共にオーズへと変身していくのであった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。